見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
輸血の終了後、一度自宅に帰還して俺のを含めてヤマトとひなちゃんのデバイスのアップデートの仕上げを15分で済ませた。
その後パンを食べたとはいえ、動いたせいで普通に腹が減った為、近くのコンビニで色々買ってからオールストン・シーのホテルの部屋に帰還する。
「あ、れお君おかえりー」
「ただいまー。アップデート完成したよ〜、まずひなちゃん、プリンセスフォームの出力アップと新しいフォームを入れておいたからね。詳しいことはミラクルホープにデータ送信しておくからミラクルホープに聞いてね。後ヤマト、悪いがお前のは出力アップだけだ。でもさらに覚醒したみたいだし出力アップだけでも充分使いこなしてくれるよな?」
そう言いながらひなちゃんには優しく手渡しして、ヤマトには適当に投げ渡す。
「ありがとうれお君!」
「助かる。……そう言えばお前が俺に渡してた魔心のレプリカは返した方がいいか? オリジナルの方を今回持っていけないだろ?」
今回魔心のレプリカを盗難されたと言うことで、魔心のオリジナルを持って行ってしまったら、もしかしたらこれの方がより使えるからと奪われる可能性が高い。
故に今回局員ではないと言うことでホテル内に待機する……というかなのはちゃん達の保護者の皆さんの護衛をする事になった羽鳥さんに預ける事にしたのだ。
「別に良いよ。魔力のリミッター外してるから、魔心がなくたって魔力切れになる事はまずない。なんなら力みすぎて次元震起こさないようにしないといけないくらい」
「やっぱりスタート時点で魔力SSSだったのに成長補正もつけるべきじゃなかったと思うんだよな。力入れたら次元震起きるって破壊神じゃないんだから」
「じゃかあしいわ。魔力だけが多くても他がダメダメだと笑えねえじゃねえか」
「ん? レオ君、今私に喧嘩売った? 喧嘩売ったよね? またナハトのペロペロ攻撃をくらうか?」
おっと、はやてがこちらに詰め寄ってきたぞ? そう言えばはやてって強みが魔力量しかないって言うのがコンプレックスだったっけ?
どうやら知らず知らずのうちに地雷を踏んでしまったらしい。
「何を言ってるんだはやて。お前は魔力だけじゃなくて、指揮や作戦立てなんかも上手いじゃないか。それに魔力の運用が苦手だけど、陰では克服しようと頑張ってるのも知ってる。そんなに自分を卑下するな」
「や、ヤマト君……」
「そうだぞ。それに車椅子レーサーは車椅子で鍛えられた腕力も驚異的だから、夜天の書がなくたってゴリラ並の腕っ節で割となんとかなるじゃん。それにタヌキらしく相手をうまく誘導して地面に引きずり降ろして、車椅子レーサーらしく相手を轢き飛ばす必殺技、タヌタヌクラッシュもあるんだからさ」
「…………」
「あ! おいこら、こんのタヌキが!! 人が出撃前に食べようと買ってきたチャーハンおにぎりを取るんじゃない! 返せ!!」
「じゃかあしい! 慰めてるのか貶してるのか分からんわ!! 実は半分バカにしとるやろ!?」
「はぁあああい!!」
「決定! このチャーハンおにぎりは私の晩御飯にするわ。お昼ご飯食べてなかったからちょうどええわ。いただきます!!」
「あぁあああああああ! 俺のチャーハンおにぎりがぁああああ!!」
買ってきたおにぎりをはやてに食べられてしまいました。
いいもんいいもん。昼飯食べてないなら仕方がないもん。こんなこともあろうかと、おにぎりは他にも買ってきてるからそっち食べるもん。……チャーハンおにぎり食べたかった。
◇
その後みんなも夕飯食べ損ねたという事で、ホテルの売店で色々と買ってきて、それをみんなで晩飯代わりに食べていると、モニターに眼鏡をかけた女性が映る。
彼女はレティ・ロウラン。羽鳥さんとリンディさんの友人であり、はやての直属の上司の方らしい。
だが正直俺とはあまり接点がない。せいぜい羽鳥さんの家にお茶しにきたレティさんと遊びに来てた俺が偶然鉢合わせて軽く挨拶した程度だ。行ってしまえば顔見知り程度の関係である。
『重要参考人の治療は無事成功。今はもう普通に話が出来るような状態になったわ』
「随分早い回復ですねぇ。……ひなちゃんこっそり回復させに行ったん?」
「行ってないよ? ひなずっとこのお部屋にいたもん」
『えぇ、ひなちゃんはここに来てないわ。簡単な治療処置をしてもらって、後はエネルギー補給をしてもらったらあっさり治っちゃったそうよ』
そして映し出されるは料理が盛られてあったのであろう皿の山。こんな光景ワンピースとかドラゴンボールとかでしか見たことないぞ?
つか飯食えば治るってどんな回復力だよ。
『ただ彼女ね。取り調べするなら聴取担当者を指名したいって』
「指名?」
『えぇ、フェイトちゃん、すずかちゃん、ひなちゃんの三人のうちの誰かだそうよ』
「それは妙な話ですね」
「うん。なんでフェイトちゃん達なんやろ?」
「う〜ん、優しそうだから?」
なのはちゃんの言葉にヴィータちゃんが食いかかる。
「そこのド天然、今真面目な話をしてるから!」
……でも優しそうってのはあながち間違ってないかもしれないな。
アミティエさんが指定した三人は、魔導師組の中でも優しそうな雰囲気ではあるし、アミティエさんは何か悪巧みをしそうな人ではない。
どちらかと言うと熱血漫画の主人公よろしくの熱血キャラっぽいからな。
俺が内心納得していると、モニターの向こうのクロノ君が腕を組みながら思案する。
『その三人の中だと、ひなは聴取には向いてないから論外。「ガーン!?」そしてフェイトとすずかでは、執務官を目指してるフェイトが聴取を担当した方がいいと思う。フェイトはどう思う?』
「聴取は誰かがやるんだし、アミタさんの希望なら私にやらせて欲しい」
『じゃあ通信を繋いでもらうわ』
「お願いします!」
「……ひなも聴取くらいできるもん」
「まぁまぁ。ここは執務官志望の妹を信じてあげてよ」
真っ先に戦力外通知を喰らい凹んでしまったひなちゃんを宥めるアリシアちゃん。
だがクロノ君と同感。ひなちゃんに聴取はまだ早いと思う。だって途中で関係ないことお喋りしちゃいそうだもん。
『ユーノ司書長もそちらに向かっている。もうすぐ到着するはずだよ』
「ユーノ君!」
「ユーノ君……なぁヤマト、誰だっけ?」
「ユーノ……ええっと、どこかで聞いたことあるんだけど……」
俺とヤマトの会話を聞いたヴィータちゃんがジト目をこちらに向けて来る。
「おい男二人、お前らマジで言ってる?」
「さ、流石に存在を忘れちゃうのはどうかと思うけど……」
と言われても忘れたものは忘れたんだよ。ええっと……うぅんと……あ!
「あぁ、オコジョのユーロク!」
「そうか、そう言えばジュエルシードの一件でいたなぁ!!」
「……ユーノ君が二人の反応見たら絶対泣くの」
「忘れてるんじゃないわよ。一応友達でしょうが」
「あははは……」
みんなからの視線が痛いでござる。……でも仕方ないやん。ユーロク君影が薄いんだから!!
それに無限車庫なんて俺行った事ないから去年の旅行以降全然会ってないんだよ。
忘れられるのは影の薄いユーロク君が悪いと、脳内で責任転嫁をしていると『まぁあのフェレットもどきは無限車庫に引きこもってるし、忘れられたのも仕方ないとして……』と言って閑話休題。
『現場のみんなは、対象キリエとイルマの捜索を続けてくれ』
『装備も更新が終わり次第届けるから、空の上で受け取ってね』
『了解!』
さて休憩は終わりだ。早いところ二人を見つけて、夜天の書と魔心レプリカを取り返さないとな。
「あ、こらみんな? 急いでるのは分かるけど、食べかけのまま出かけようとしないの。せめて開けた分のおにぎりとかは食べていきなさいね?」
『……了解』
「ねぇ羽鳥? 今それどころじゃ無いんだけど?」
「どうせ装備の更新完了がまだなら、ちょっと遅れたって問題はないわ。それにちゃんと食べてからじゃないと、途中でお腹減ったら力が出なくなるわ」
出鼻を挫かれました。
まぁ食事途中で出かけるのはお行儀が悪いし、帰ってきたらおにぎりカピカピになってるかもしれないし、しょうがないね!!