見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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劇場版のユーリと夜天の書の関係がいまいち捉えきれないため、勝手に解釈したところがあります。
ご了承下さい。


永遠結晶か〜。リーン姉さん、何か知らない?

 さて、食事も終わり出撃した俺たちは、奴らをキリエとイルマ、そしてイリスと呼ばれる俺とはやてをリモートで襲撃してきやがったやつの捜索を開始する。

 今回はフェイトちゃんは別行動、ホテルの脱衣所でアミティエさんの聴取を行う。

 因みに会話の音声はこちらにも流してもらっているため、聞き流しながら捜索をするとしよう。

 

『では、アミタさんの居住世界は?』

 

『故郷の名は惑星エルトリア。エルトリアは長い歴史を持つ星なんですが、近年は砂漠化の進行や地上資源の枯渇、環境汚染といった生存環境の悪化が著しく、住民達は故郷を離れ星の海へと旅立って残っている人はごく僅か』

 

 ふぅん、それだけ聞くともうその星はほとんど無人世界と言ってもいいのかもしれないなぁ。

 今回の事件が終わったら、エルトリアの座標を特定して責任追及しようと思ってたけど……いや、あくまで一個人が動いてるだけでエルトリア政府が動いてるわけじゃなさそうだし、仮にエルトリアが世紀末世界でなくても責任の追求は難しいか。

 

「この状況を上手く利用できれば、フォーミュラっていう未知の技術を今の魔導技術に組み込めたんだろうけど……」

 

「うちの技術顧問がとんでもない事言ってるわね」

 

「と言うかレオ頭いいし、ナノマシンだっけ? それもさりげなく回収してたから、デバイスにフォーミュラ技術を組み込めるんじゃない?」

 

「いや楽勝。なんなら俺のデバイスとヤマトのグラディウス。あとひなちゃんのロイヤルホープにはもうとっくに組み込んでる」

 

「あの短時間でそんなあっさりと……でもそれなら問題ないんじゃ無いの?」

 

「いや〜、万が一エルトリア人に見られた時にパクリだなんだって因縁つけられそうだから、責任追及して二度とこんなことが無いようにって、合法的にフォーミュラ技術を取り込んだ方がいいんだよね」

 

 だから今回は非常事態だからナノマシンを組み込んだだけで、この事件が終わったらフォーミュラ技術はデバイスから削除せねばなるまい。

 おっとお喋りしすぎた。アミティエさんの話の続きを聞かないとな。

 

『私の両親は科学者なんですが、故郷の大地の再生と緑化が私達家族の夢なんです。私も妹のキリエも両親のために力を尽くしていました』

 

 アミティエさんの話を聞く限り家族仲は良好かな? ならなんで最終的に実の姉を自分の脇腹ごと風穴開けるほどに拗れてしまったのか。……まぁその理由は今から話すだろ。続きをはよはよ。

 

『ですが父は数年前から病を患って、今ではもう意識を取り戻す可能性はほとんどないと』

 

「これはキリエさんから聞いたね。ヤマト君の言霊ならなんとかなりそうなの」

 

「普通になんとかなる。……なんなら今やってみるか?」

 

「ここから何万光年くらい離れたエルトリアまで言霊を届けるって、どんだけ魔力が必要だと思ってんだこの馬鹿野郎。魔力が勿体無いからやるなら事件が終わった後に頼む」

 

 いくら今にも死にそうな大病であろうが、あくまでも優先順位は不届き者の抹さtゲフンゲフン、不届き者の拘束だ。

 ここで魔力を消費するわけにもいかないし、アミティエさんのお父様には事件が終わるまで頑張っていただこう。

 

『キリエは父の無念を悲しんで、なんとかしたいと必死になって……見つけたんです。遠い世界……こちらの世界に渡って、そこに眠る力と技術を持ち帰る方法を。星の命すら操るという永遠結晶……。それを探すための鍵となるのがはやてさんの持つ魔導者、夜天の書』

 

 その言葉に一同がせーのではやての方を向く。

 なるほどつまりキリエが持ち帰ろうとしていた力と技術は古代ベルカの物なのか。だとすると永遠結晶は闇の書の中にあった物だと仮定できる。

 

『はやて、永遠結晶という名に心当たりは?』

 

「ないよ。夜天の書の解析はこの二年で充分したはずなんやけど……」

 

「ただ、夜天の書のデータの大半は闇の書事件で失われていますから……リィンフォース、確か人格の他に闇の書に関する知識もある程度は継承しているんだったか?」

 

 シグナムさんが近くを飛んでいたリーン姉さんに声をかける。

 ある程度ではなくほとんど大半の知識は継承させておりますぜ? 伊達にメモリを作るだけで三徹したわけではないのだ。(ドヤ顔)

 

「あぁ、覚えている。永遠結晶……そうか、奴らの目的はユーリなんだな」

 

「ユーリ?」

 

 リーン姉さん曰く、永遠結晶とは闇の書時代に追加で作られた外部アクセサリ。……主を蝕み最終的に世界を破滅に追い込む闇の書をコントロールするために生み出された人工生命らしい。

 

「ユーリは闇の書の防衛プログラムを抑え込み、闇の書を夜天の書として安定して活用するために作られた存在だった。だが彼女は闇の書の闇に飲み込まれて、闇の書の奥深くで機能を停止していたんだ」

 

「つまりはリィンフォースの同居人やったんやね」

 

「まぁ、分かりやすく言うならそんな感じです。……ですが数十年前、主はやてより三代前の主が闇の書を破壊しようとした事がありました」

 

 なんでも闇の書の危険性にいち早く気がついた三代前の主は、守護騎士に蒐集を命じる傍らで防衛プログラムを破壊するプログラムを作り、闇の書の完成の際に自らごとそのプログラムを取り込ませて破壊したそうだ。

 

「三代前の主は闇の書の転生機能には勝てませんでした。ですがそれでも闇の書はしばらく再生に集中しなければならないほどのダメージを受け、闇の書が正常に動かなくなったタイミングでユーリが起動して闇の書のコントロールに成功したんです」

 

 リーン姉さんは当時意識を失っていたため、ユーリが起きている間何をしていたのかは分からなかったらしいが、やがてユーリは破損状態で闇の書の奥底に戻ってきて、その後何事もなかったように闇の書は再び転生をしたのだと言う。

 

「おそらくユーリが目覚めた世界こそ……」

 

「エルトリアなんやね」

 

 なるほど。だから奴らは夜天の書の存在を知っているのか。

 ……ん? と言うことは永遠結晶は闇の書と一緒に完全破壊されたんじゃないか? その点をリーン姉さんに指摘してもこれ以上は分からないのだと言う。

 

「もしかしたらナハトヴァールと私が分離した際の衝撃でこの世界のどこかへ落ちてしまったのかもしれませんね。彼女らはそれを狙っている」

 

「なるほどなぁ。……あ、ならなんでレオ君の魔心を狙ってたんやろ?」

 

「おそらく永遠結晶を起動させる為だと思います。永遠結晶からユーリを起こすときは、かなりのエネルギーを必要としますので」

 

 なるほど。永遠結晶を手に入れたところでバッテリー切れで動かないなら意味はない。

 ならどうするか? 答えは簡単、エネルギーを食わせてやればいいって事か。

 まぁ永遠結晶についてはよく分かった。クロノ君と話し合い、聴取の続きをフェイトちゃんに頼む。

 

『キリエの調査は綿密でした。永遠結晶の在処と計画にとって重要人物であるこの街の魔導師のみなさんのデータ。能力はもちろん、過去の事件のこのも色々と…………。失礼ながらここにくる前私もそのデータの閲覧を……。そうしてキリエはそちらの世界へ。私も半日遅れでやって来ました』

 

 なるほど。だから俺らの名前とかも知っていたわけか。

 その後フェイトちゃんが「私達のことを知っていたのなら、ここに来た時点で相談して欲しかった」とアミティエさんに優しく注意をしていたが、これについては同感だな。

 あくまで俺が思い出してたのは事件が起きる時期だけ。故にどんな事を企んでるか知れたら事前に手を回しておいたと言うのに。

 

『そう言えば……聴取担当のご指名が私やすずか、ひなだったのはなんでなんですか?』

 

『えっと……フェイトさん達は優しそうな方ですから。穏やかにお話を聞いてくれるかな〜っと』

 

 なるほど、 なのはちゃんの予想通りだったってことか。

 おい、なのはちゃん? 勘が当たって嬉しいのは分かったから、そのドヤ顔やめろ?

 

『後は……もしもキリエがフェイトさん達の触れられたくない事に触れていたりしたら、それは私が謝罪しておかなければと……』

 

『大丈夫ですよ。でも、お気遣いありがとうございます』

 

 フェイトちゃん達の触れられたくない事か。おそらくフェイトちゃんはジュエルシード事件、ひなちゃんは闇の書事件のグレアムの孫の件。すずかちゃんは……よく分からん。多分月村家の秘密についてだろうな。

 そんな事を考えているとフェイトちゃんが思い出したかのように、アミティエさんに話し出す。

 

『そう言えば、大切な事がもう一つ! キリエさんがイリスって名前を呼んでいたんですが……。あと最後の方でキリエさんを助けに来たイルマって人についても……お知り合いでしょうか?』

 

『イリスは遺跡版の人工知能ですかね? キリエが調査に使っていました』

 

『遺跡版……』

 

『こちらの言う世界でいうコンピューターみたいなもので……小型の端末を持ち出したんでしょう。キリエにとっては子供の頃からの友達のような存在でしたから……。はやてさんやレオさんを襲った車もその人工知能が操作していたんだと思います』

 

『なるほど……そしてイルマについては……』

 

『……ごめんなさい。彼女についてはよく分からないんです。一年ほど前に急に現れたキリエの新しい友達と言った感じで……おそらく、イリスと同じ人工知能を過去に惑星で使われていたテラフォーミングユニットに入れた存在なんだと思いますが……』

 

 どうやら謎は深まるばかりのようだ。




 〜おまけ〜 やべぇ、初見殺し入れてんだよ……

「あ、そうそうリーン姉さん」

「どうした?」

「そのユーリって防衛プログラムって入ってる?」

「ユーリも闇の書の一部だから入っている。もっとも、今のナハトに入ってるようなごく弱いものだがな」

「そう。それならよかった」

「よかった? 防衛プログラムが入っていないと不都合があるのか?」

「うん。魔心レプリカを奪われたけど、あれ盗難防止にちょっとした初見殺しを入れててね……。防衛プログラムが無かったら多分危ないんだよ」

「それは……盗難を想定していたのは流石と言えるな」
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