見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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レオ&テスタロッサ姉妹VSイルマ&レヴィが気になるかもしれませんが、まずはヤマト君の方を片づけさせていただきます。


(ヤマト視点)神速を使ってくるのか。ならば!

 オールストン・シーの防衛を担当する事となり、なのはとアリサと合流した俺であるが、少々面倒くさい事が起きてしまった。

 と言うのも海からオールストン・シーに向けて、一体の巨大なロボがこちらに歩いて来ているのだ。このままコイツを上陸させたらこの施設が蹂躙されてしまうだろう。

 

「せっかくのすずかのとことの共同プロジェクトの成果……アンタ達なんかに壊させないわよぉおおおお!!」

 

「このやろ〜! こっちに行くんじゃ……ねぇえええええ!!」

 

 アップデートされたアリサのフレイムアイズと、ヴィータのグラーフアイゼンが、上陸しようとする巨大兵器を力づくで陸から遠ざける。

 その隙に俺となのははカレドヴルフ社と言うところと管理局が共同開発した次世代シリーズの一つ、パイルスマッシャーを巨大兵器に照準を合わせる。

 

「「パイルスマッシャー、フルチャージ! ……バスター!!」」

 

 打ち出された二つの電磁砲は途中で一つに合わさり一つの巨大な砲撃となって、巨大兵器の頭を消し飛ばす。

 人ならば頭を破壊すればこれで終わるが、この手の兵器は頭部を破壊したところで止まりはしない。確実に動けなくする為に足にも一発撃っておこ──

 

『冷却ユニットを起動します。バッテリーを交換してください』

 

 マジかよ!

 神様が作り、レオを始めみんなが改良してくれた超高性能デバイスを使い慣れてしまった弊害か、まさかこんなにあっさり使えなくなるなんて夢にも思っていなかったぞ!

 …………待てよ? こう言う時こそ言霊の出番じゃ……

 

「パイルスマッシャー、再発射困難……ヤマト君、言霊をお願い!」

 

「おう! 【俺達のパイルスマッシャー本体のみの時間を20秒巻き戻せ】!」

 

 なのはも同じ事を考えた様だ。言霊でパイルスマッシャーを撃つ前の状態にする。

 よし、これなら言霊に使う魔力が尽きるまで無限に撃ち放題だろう。

 

「ありがとう! もう一発行きます、バスター!!」

 

「俺も……バスター!」

 

 よし! これで後は胴体だけだな。

 だが胴体は思った以上に堅牢。パイルスマッシャーで完全破壊出来るか……いや、流石に難しいだろう。

 ここはアリサとヴィータに任せた方がいいか。

 

「ナイスよ、それじゃあラストアタックは私達が貰うわね!!」

 

「後は任せとけ!!」

 

 アリサとヴィータが頷き合って二人同時に得物を振り上げたその瞬間。二人の背後から真紅の砲撃が……っ!?

 

「……っ!? アリサちゃん、ヴィータちゃん!!」

 

「……殲滅しますよ、ルシフェリオン。ディザスターヒート!!」

 

 咄嗟に声を張り上げるなのはであるが、気づくのが遅すぎたようだ。無情にも二人に向けて砲撃が撃ち出される。

 ……でも大丈夫みたいだな。既にアリサは背後の存在に気がついた様だ。

 

「……え──」

 

「ヴィータ、危ない! 《タイラントハンマー》、だりゃぁあああああ!!」

 

 炎の光線を炎の一閃で斬り払うアリサ。

 だが光線と刃がぶつかり合った衝撃で、光線は無数の炎塊となって雨の様に施設に降り注ぐ。

 

「あ、施設が……!」

 

「アタシに任せろ!!」

 

 アリサに守られていたヴィータもこのままでは終わらない。施設にこれ以上の被害が及ばない様に、無数のシールドを貼って炎塊が施設に落ちるのを防ぐ。

 その隙に俺はグラディウス(銃)で砲撃を撃って来た犯人を牽制。それと同時になのはもスフィアを撃つが、そのうちの一つを光らせて犯人の視界を潰した。

 

「ヤマト君、私をあの子の所まで投げて欲しいの!」

 

「任せろ、せーのおぉおおおおお!!」

 

 なのはの腰に手を回して彼女を持ち上げると、回転で助速をつけて一思いに彼女に投げる。

 そしてそれと同時に地面を強く蹴って、俺も犯人へと襲いかかる。

 なのはとの同時の一撃……だが驚くべき事に、彼女は持っていた杖でなのはのストライクカノンを、シールドで俺の一撃を危なげなく守って見せた。

 これでも充分に衝撃的だが、彼女の顔を見てもっと驚く事になる。

 

「……なるほど、良き連携です」

 

 砲撃を撃った犯人は、髪を結んでいないなのはの色違い……俗に言う2Pカラーのなのはだったのだ。……と言っても服装も武器も違うんだけどな。左腕にはレオが使うガントレットよりも一回り小さいものをつけてるし。

 彼女は素早く俺らの下を離脱して安全圏へ移動する。

 

「名乗らせて頂きましょう。我が名はシュテル、殲滅のシュテル」

 

「シュテル……」

 

「まさかなのはに似てる子がいるなんてね…………戦いづらいったらないわ」

 

 アリサが悔しそうに歯軋りする。それはそうだろう。ちょっとだけ違うとは言え、彼女は……シュテルは友人とそっくりの姿。これでは戦いづらいったらない。

 相手がそれと見越して彼女を俺らにぶつけたのだとしたら、なかなかの策士だな。

 

「アリサ、いつもの模擬戦を思い出せ」

 

「……あ、余裕ね」

 

 だがいつも模擬戦で容赦なくなのはをぶっ飛ばして、砲撃でぶっ飛ばされてをしているのだ。いつもの様にやれば良いと思えば戦えないこともないだろう。

 

「アリサちゃんもヤマト君も酷いの!! ……って、えぇ!?」

 

 何故かなのはが頬を膨らませたかと思うと、次の瞬間驚愕の表情に変わった。

 百面相かな? え、後ろ? 後ろに何が……マジか。

 先ほど破壊した巨大兵器は、先ほどの車を改造したロボの様に再生してしまっていた。これでは先ほどの苦労は水の泡、一からやり直しだろう。

 

「そして、王から賜った我が僕、城砦のグラナート」

 

「いや、コイツの名前はどうでも良いんだよ! 再生は流石に卑怯だろ!?」

 

「そうでしょうか? あなたの言葉を実現させる能力と比べたらまだまだかと思いますが……」

 

「…………」

 

 あっさり論破されてしまった。そうだよ、真に卑怯なのは言霊でほとんどのことがなんとかなる俺じゃないか。

 おまいうとはまさにこの事だよ。

 

「うーん、どっちも卑怯だと思うの」

 

「バッカなのは、戦場に卑怯なんて言葉はないんだよ。それにしても再生すんのか……壊し甲斐がありそうじゃねーか。コイツはアタシに任せろ!!」

 

「わ、分かったの!!」

 

「気をつけなさいよねヴィータ!!」

 

 どうやらあの巨大兵器はヴィータが一人で片付けるつもりの様だ。

 俺も手伝うか……いや、今【遠視】の言霊で強化した視力で別エリアを見てみたけど、シグナム達が同系統の機械人形相手に優勢に立ち回っている。

 ならばヴィータでもやれるだろうし、シグナムが手伝いに来てくれるかもしれないな。

 よし、ヴィータに任せよう。

 

「あなた方に恨みはありませんが……ここで消えて頂きます!」

 

「上等だ。……たまにはオリ主らしいところ見せないとなぁ!!」

 

 巨大兵器はヴィータに任せ、砲撃を撃とうとするシュテルを相手にグラディウスで斬りかかった。

 

 

 ◇

 

 

 はっきり言おう、シュテルは強い。

 基本的な戦闘スタイルはなのはにそっくりだが彼女は炎熱変換を有しており、アリサと同レベルの熱量の炎を放つことも出来る。

 そして何よりも脅威なのは、彼女は神速を使うことが出来るのだ。

 

「あんた……一体神速をどこで習ったのよ!!」

 

「これは私のお家に代々伝わる必殺技なの!!」

 

 神速に翻弄されながらも、かろうじて身を守っていたアリサとなのはがシュテルに問いかけると、彼女は首を横に傾げた。

 

「どこででしょう? 気づいたときには既に有していた能力です」

 

 気づいた時には持っていた? ……そう言えばアミタさんはキリエさんが俺らのデータを調べてたって言ってたな……もしや。

 …………それなら試してみる価値はあるか。

 

(なのは、アリサ、一旦下がっていてくれ! 俺に考えがある!!)

 

(分かったわ。ここはヤマトを信じましょうなのは)

 

(う、うん。頑張ってねヤマト君!)

 

 念話でなのは達に指示を出すと、彼女と一対一で相対する。

 

「一対一。……なるほど、この力(神速)を使えない二人は足手まといという事ですか」

 

「そんなわけないだろ? なのは達が信じてくれるから、その分俺が頑張るってだけだ」

 

「信じてくれるから……なるほど、私にとっての王の様なものですか」

 

「そうなのか? まぁそれは今はどうでも良いが……。ここからは常に神速で戦わせてもらうぞ?」

 

「良いでしょう。受けて立ちます」

 

 集中力を極限まで高めて視界をモノクロに変える。

 そして俺とほぼ同時に神速をかけたシュテルとの打ち合いを始める。

 シュテルは剣の心得もあるようで、ルシフェリオンを剣に見立てて俺を相手に互角に立ち回る。もしキリエとの戦いで覚醒できていなかったら、俺が押し負けていたかもしれない。

 

「……くっ」

 

「……ふうぅ」

 

 お互いそこそこ消耗している。だがここで勝負を決めるべきではない。多少の無茶を通して神速での戦いを継続する。

 大丈夫、伊達に今まで身体作りをして来たわけじゃない。一回くらいの無茶なら耐えられるはずだ。

 そしてどれ位の時間が経っただろうか。息苦しくなりながらも神速で打ち合いをしていると、急にシュテルの動きが停止する。

 どうやら神速が切れた様だ。せめて一撃加えたいが俺も限界が近い。悔しいが解除しよう。

 

「あ、あぁ……あぁああああ!?」

 

「ゼェ……ゼェ……どうやら思った通りだな」

 

「ヤマト君!」

 

「シュテルって子、急に足を押さえ始めたけど、どうしちゃったの!?」

 

「あぁ、コイツの神速の歪な点を突いたんだ」

 

「歪な点?」

 

 シュテルが神速を使えるのは真っ当に習得したからではなく、俺らから盗んだ神速のデータを再現していただけの紛い物だったのだ。

 神速の使用において一番重要なのは身体作り。データで再現しただけの彼女には神速を使い続けられる強靭な身体が出来ていなかったのだ。

 

「だからこそ、お前の足は限界を迎えて腱が切れた。これでもう神速は使えないぞ」

 

「……なるほど、そんな弱点があったのですね。……いえ、気づいていました。使い続けたら大変なことになると。ですがあの状況で神速を切るのはリスクが大きかった。……神速を使い続けなければならない状況に持って行ったと言うわけですか」

 

「そう言うことだ」

 

 弱点を見抜いて、それを突くために実行に移すレオの十八番戦法。見よう見まねだったがどうやらうまくハマってくれたようだ。

 

「す、凄いのヤマト君!」

 

「ナイスよ、これなら私達も戦える!」

 

「まぁその前に……シュテル、投降しろ。こうなったらお前にもう勝ち目はない」

 

「……そのようですね。ですがお断りします。私の役目はあくまで時間稼ぎ。……ならば王のために一分一秒でも、粘って見せましょう」

 

「……そうか。なら一気に決めさせてもらう! 行くぞなのは、アリサ!」

 

「ここからは全力全開で行くの!!」

 

「反撃開始よ!」

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