見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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腹立つなぁ、マジで!!

 さて、イリスの踵落としをもらって海に落ちた俺ではありますが、そんなんでこの踏み台2号の意識を刈り取れると思うなよ!!

 水中でプロテクションを張って勢いよく海中から脱出しようとした瞬間、目の前の水面が暗くなるのが見えた。

 

(……ん?)

 

『マスター、ユーリって子にぶっ飛ばされた皆さんがマスターの方に落ちてきます』

 

「ごぼぉ!?」

 

 遅れて海に落っこちて来た、アリシアちゃんの身体が俺の鳩尾にクリーンヒット。おかげさまで俺は更に海の底に沈むこととなり、肺の中の空気を全部吐き出してしまう事態となってしまった。

 い、息が……しかもこの深さはこの状態じゃ浮上できねぇ……。

 

(お、オワタ……)

 

(レオ!? ごめん、すぐ助ける!!)

 

 数ヶ月ぶりの死を覚悟した俺であったが、アリシアちゃんが咄嗟に気がついてくれたお陰で彼女に救助されました。

 

「ゲホッ……ゲホッ……。ぜー、ぜー、死ぬかと思った」

 

「ご、ごめんね! 私がレオに落っこちたから!!」

 

「いや、大丈夫……。諸悪の根源は別にいるし……」

 

 水面から顔を出すと、ユーリとはヤマトが戦ってくれていた。流石はオリ主と言うべきか、凄まじい力の持ち主であろうユーリに一歩も引いてはいない。

 どう動いたものかと考えていると、近くからアリシアちゃんと一緒に落ちてしまったアリサちゃん達も海から顔を出す。

 どうやらヤマトと今この場にいないなのはちゃん以外は全員海に落ちてしまっていた様だ。

 ヤマトと合流するのは確定として、どう立ち回ったものかと考えてようとした直後────感じたのは鋭い痛み。まるで何かが身体を食い破る様な……。

 

「っ!? ……ちょ、これって……」

 

『先ほどのイリスの踵落としで、ヤマト君の言霊が剥がされてしまったみたいですね……』

 

「……てことは?」

 

『マジでヤベェ……ですね』

 

「オワタ……がはぁ!!」

 

 直後、結晶に身体が食い破られたかと思うと途端に力が抜けてしまう。

 あー、なるほど……こりゃマジで初見殺しだわ……。

 

「れ、レオ!? あぁあああ!?」

 

「お姉ちゃ──ぐぁああ!?」

 

「れお君、シアちゃん!? 今癒してあぐぅ!!」

 

「ちょ、みんな!? ……あぁあああ!!」

 

「アリサちゃんまで! ……くぁあああ!?」

 

「これは……がぁああああ!?」

 

 っ!? どうやらユーリの攻撃を食らってしまったみんなも、言霊の効力を失ってしまった様で次々と俺と同じ様に身体から結晶が生えてしまったようだ。

 言霊対策をしてるのは知ってたけど、バフ系の言霊も触られるだけで解除されるのかよ。あかん、油断してた。

 

「っ!? お、おいみんな!?」

 

「隙ありね」

 

「ガハッ! ……くそ、言霊で……っ!! ぐぉおあああ!?」

 

 と、とうとうヤマトまで陥落。俺らのザマを見て動揺した一瞬の隙をつかれて、言霊バリアを剥がされてしまった。

 ……やべ、眠くなって来たぞ〜。

 

「……生命力を結晶化して奪い取るのが、この子の力の一つ……。対策なしでは近づくだけで皆殺しよ」

 

 意識が飛びそうになっていた次の瞬間、イリスの声が聞こえて意識が戻る。

 コイツ、何を言って……。

 

「意思も力も自由にはさせない。……大切な命も無関係な命も全て殺して、誰もいなくなった世界で泣き叫びなさい」

 

 ……なんか好き勝手言ってるなぁ。

 つまりなんだ? コイツは地球を滅ぼす。そう言ってんのか?

 ……闇の書の様に世界を壊してしまうシステムでもない。プレシアさんの様に娘を生き返らせたいと言う純粋な願いの為でもない。悪意を持ってこの世界を滅ぼそうってか。ふぅーん?

 ……さて、休憩は終了。とっとと起きてこの好き放題いいやがるコイツを──

 だがその直後イリスの背後に裏切られたらしいキリエが銃口を突きつけているのが目に入る。

 

「驚いた。そっか、フォーミュラスーツのおかげでユーリの能力を受けにくいのね」

 

「イリス、私は……」

 

「どうする? 撃ってみる? 今なら見逃してあげるわ。だけどもし撃ったら、死ぬより酷い目に合わせる」

 

 その言葉にキリエの顔は恐怖で歪む。

 

「あのレオって子がやったのよりも数十倍の酷いことよ? それをあんたのパパとママとお姉ちゃんにも同じことをする。それでもいい?」

 

「あの子の数十倍……?」

 

 ……ダメだ。キリエは撃てない。銃を持ってがブルブル震えてしまってる。

 しまった、俺がボコボコにしたのがトラウマになってしまったのか。

 

「アンタは結局何も変わってない。私がいなきゃ何にもできない。自分じゃ何にも決断できない。弱くて! 泣き虫で! 冴えない子!!」

 

「違う……違う……! 私は……!!」

 

「現実は絵本とは違うの。一人じゃ何にも出来ない女の子は大人になってもそのままだし、どんな願いだって叶う不思議な指輪なんて絵空事! 願いは叶わないし、悲しい物語は悲しいまま終わる。……だからあなたには引けないわ。そのトリガーを」

 

「う、ううぅ……」

 

 ………………あー、最後までこの茶番を見てて良かったよ。

 

「……腹立つなぁ。本当の本当に腹立つなぁ……」

 

「うん、許せないね……」

 

 おっと、ひなちゃんもまだ戦う力は残っていた様だ。てかよく見たたらうちの可愛い妹分になんて事してんだコラ?

 生命力なんぞ所詮は気の持ち様。怒りをバネに無理やり身体を起こすと腹にブッ刺さった結晶を掴み一思いに引き抜く!

 ……お、血が出るのは覚悟してたけど出血はなしか。儲け儲け。

 一方ひなちゃんはフェニックスウイングを三対展開。そしてなんと自らに生えてしまった結晶を燃やしたかと思うと、生命力として自分の内に還元してしまった。

 

「ひな! 私達もお願い、アイツを引っ叩いてやりたいのに力が入らない!!」

 

「……シアちゃん、みんなちょっと待っててね。《フェニックスフレア》!!」

 

 ひなちゃんが不死鳥の焔をみんなに浴びせると、みんなの結晶も生命力に還元されてみんなの下へ戻り何事もなかった様に立ち上がる。

 その姿を見た俺はユーリの一番近くで結晶の木と化していたヤマトに叫ぶ。

 

「おいヤマト! テメェ、いつまで休んでんだコラ!? オリ主のお前がこの程度でやられる訳ねえよなぁ!?」

 

「……ちょっと眠くなって居眠りしてただけだコラ。【身体の状態よ、一分前に巻戻れ】そして【この場にいる全員、イリスとユーリからの干渉を絶対に受けつけない様にしろ。言霊の強制解除もなしだ】!!」

 

 さて、これで完全回復。そしてヤマトからイリスやユーリに剥がされない言霊バリアをかけてもらった。

 

「え……まさかこんなあっさりと」

 

 いともあっさり絶体絶命な状況から脱した俺たちにイリスは目を大きく見開かせる。

 だがその瞬間、イリスの頬を鉛玉が掠める。

 イリスは頬の血を拭いながら銃を撃った犯人の方を向くと、そこにいたのは先ほどまで言いたい放題言っていたキリエのお姉ちゃん。

 そりゃあ妹が虐められてるのを黙って見てる訳無いわな。

 

「貴女はそうやって、色んなことを諦めて来たんですね。だとしたら可哀想です。貴女はとても……」

 

「アミティエ…………行きなさい、ユーリ!!」

 

 おっといかせるか!!

 操られてるだけで可哀想だが、流石に強いやつ相手に手加減は出来ないという事で、Mブラスターを高速でアミティエさんに襲いかかるユーリに向け…………お。

 どうやら俺が撃つ必要はない様だ。

 

『ファイア』

 

 高みの見物を決め込んでいると、ユーリがアミティエさんに攻撃を加える瞬間に、ユーリは桜色の砲撃の餌食となる。

 犯人はバカな事やったためにニコポナデポの刑に処したら伸びてしまったので、置いてきてしまった我らが原作主人公。

 

「あ、なのは!」

 

 近くに降り立ったなのはちゃんは、俺らを見つけるとひなちゃんの様に頬を膨らませた。

 

「みんな私を置いて行っちゃうなんて酷いの! 起こしてよ。ビンタでもしてちゃんと起こしてよ!!」

 

「置いて行かれたのは俺を怒らせたなのはちゃんの自業自得ざんす!!」

 

「そうよ。これに懲りたらバカな事はしない事ね!!」

 

「にゃ!? な、ならみんながボロボロなのは、なのはを置いて行ったみんなの自業自得なの!!」

 

「んだとコラ!?」 「なんですって!?」

 

『ま、マスター? 今は喧嘩している場合ではないかと』

 

「あ、ごめんレイジングハート、お願い!」

 

『システムドライブ、フォーミュラカノン』

 

「フォーミュラカノン、フルバースト!!」

 

 もう一度我らが砲撃隊長が極太の光線をユーリに向けてぶっ放すと、ユーリはある程度ダメージを負って怯んだのか、俺ら以外で攻撃を食らって結晶にやられていた武装局員の皆さんが解放された。

 

「この力……あの武装……まさかアミティエのフォーミュラを……!?」

 

 おぉ、驚いてる驚いてる。

 俺もヴァリアントコアを見たときにあまりに未知の技術で内心度肝を抜いたからな。

 

「……ねぇキリエ。この世界の魔導師って魔法使いって意味だそうなんです。不思議な力が嘘でも、悲しい物語が進んでいても、泣いてる子を助けてくれる魔法使いはちゃんといました」

 

 遠くでなんか言ってるアミティエさん。

 俺らの方向いてるけど、もちろん俺は除外してるんだろうなぁ? 魔法使いって言葉は30を超えた未婚のおっさんには禁句なんだよ。

 

「待っててください。今度はちゃんと助けます! みんな、反撃開始なの!!」

 

 

 

 

 

 

 

 〜おまけ〜 一方その頃イルマは

 

(おっと、急に身体が自由になったぞ? ふむ、どうやらイリスは私が気絶して海に沈んだと思っている様だな。どうせこのまま海から出ても体よく使われるのがオチだろうしいい加減疲れた。この身体は空気をあまり必要としてないし海底散歩でもするとしよう。

 ……おぉ、イルカ君。水族館から逃げ出して来たのかい? そりゃあ、あんなにメチャクチャにされたら安心してられないもんな。

 おっと、どうして逃げるんだいイルカ君? 一緒に海底散歩でもしようよ……ん? なんだか高速でこちらに近寄ってくる者がいる。………………なんだサメか。…………え、サメ!?)

 

 

 一方海上では

 

ごぼばぁあ(ぐわー)!!」

 

「みゅ? シアちゃんなんか言った?」

 

「ううん、言ってないよ?」




Reflection編完!
と言っても劇場版は前後作なので、このまま後編Detonation編に参ります!!

Q:なんでデバイスにナノマシンを入れていたレオ君を始めとした転生者組がユーリの能力の餌食になったの?

A:ナノマシンは入れてはいましたが、ヴァリアントコアを入れていなかったためユーリの能力を防ぐほどのフォーミュラ出力を出せませんでした。
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