見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
オールストンシー近海上空にて、俺らとイリスが相対していた。
「イリスさん、私今すっごく怒っています! 個人的な望みの為に関係ない人にたくさん迷惑かけて……すぐにこちらに来てください! さもないと……」
「さもないと?」
「容赦なく撃ち落とします!」
物騒ななのはちゃんである。
いやここまでやった相手にその選択は正しいんだけど。俺も容赦なく半殺しにしようと思ってるけど!!
なのはちゃんの目を見てマジで撃ち落とされると思ったのだろう。イリスはユーリの方を一瞥する。
「ユーリ」
「っ!? うぁあああああああ!!」
直後、ユーリが苦しみ出したかと思うと、突如纏っていた衣服が脱げて……
「れお君見ちゃダメ!!」
「そりゃまぁ流石にね。分かったから目隠しはやめて? ちょっと首に負荷がかかって痛い痛い」
ひなちゃんを無理やり引き剥がそうかと考えていると、突如ひなちゃんは俺を解放。俺を抱えてその場から離脱する。
その直後ユーリがいたところから生えて来ていた黒い樹の幹が俺らのいた場所を侵食していた。
「あっぶな……ありがとひなちゃん」
「うぅん、ひながれお君の目を隠してたから」
それでもお礼は言わせていただきますよ。ひなちゃん相手だからね。
黒い樹がどんどんと辺りの空間を侵食していくのを眺めていると、巨大な黒い大樹からシールドが変形したのであろうサブアームを携えた、先ほどよりも露出の多い服を着込んだユーリが現れた。
これはこれで目に毒ざんす。
「私は離脱する。危険度の高い順に排除して」
『命令受領』
そう言うとイリスは飛んで逃げて行ってしまった。クソ、チキン野郎め。隙を見たら消し炭にしてやろうと思ったのに。
(みなさん、イリスは私が追っています! イリスを止めれば、その子も止まるはずですので……!)
どうやらイリスはアミティエさんがなんとかしてくれる様だ。ならば俺らはユーリの暴走を止めるのを優先した方が良いかもしれないな。
『排除行動開始』
「ねぇねぇ」
「どったのアリシアちゃん?」
「ユーリが何か言ってるんだけどあれって何語?」
「私が教えよか。あれは「ドイツ語ね。ドイツ語で私達を排除するって言ったわ」……アリサちゃん? これはベルカ語やで?」
「え?」
盛大に間違えてしまったアリサちゃんなのであった。
確かにベルカ語はドイツ語と似てるけど。なんならドイツ語の語源は地球にやって来たベルカ人が広めた説あるけど。普通異世界から来た子がこの世界の言葉使うわけないでしょうが?
『機鎧起動。排除開始』
おっと、そろそろユーリが動き出すみたいだね。
さて、どう立ち回ったものか……。
そう言えば、さっきのなのはちゃんの砲撃でかなり怯んでたな。ならなのはちゃんの砲撃が当たる様に上手い事援護すればワンチャンあるか?
「なのはちゃん、露払いは任せて!!」
「私達は援護に回るね!」
「お願い! それじゃユーリちゃん、すぐに助けるから! ちょっとだけごめんね!!」
ユーリは強い。
ヤマトが相手でも対等に渡り合える実力がある上に、先ほどよりも更に強くなっているだろう。
でもそれがどうしたってんだ。数の暴力で押し通らせて貰うぜ? (ゲス顔)
「《インフィニティゼロ》!!」
なのはちゃんに突っ込んで来て、サブアームで殴ろうとするユーリ。
だがすずかちゃんの氷のシールドで受け止めて、そのままサブアームを氷漬けにする。当然それだけでは無理やり突破されてしまうだろうが、時間を稼げればそれで良いのだ。
「《タイラントレイヴ》!!」
「《ローグルインズスラッシャー》!!」
アリサちゃんとヤマトの一閃が、サブアームを真っ二つにして破壊する。
よし後は翼みたいに設置されたシールドをぶっ壊せば……おっと。
「さ、再生しちゃったよ!?」
「まぁそう簡単に破壊できたら苦労せんわな。……おっと、今度はユーリの攻撃みたいだね」
『炎の矢』
ユーリは掌から白い炎を生み出すと、それをマシンガンの様に射出する。
「シャマル!」
「はい! レオ君もお手伝いよろしくね!!」
「あいよ。《アルティメットプロテクション》」
武装局員に流れ弾を当てるわけにも行かない。
シャマルさんと俺で武装局員にシールドを張って、ユーリの攻撃からみんなを防御する。
だがただ守るだけじゃつまらない。そのときさり気なくフラガラッハもシールドに使わせていただき、炎の矢を何発か跳ね返す。
「よし、怯んだ。なのはちゃん」
「うん!」
自分の攻撃が跳ね返ってくるのは予想外だったのだろう。自分の攻撃を浴びて体勢が崩れたタイミングで、なのはちゃんは桜色の砲撃を放つ。
よし、当たった!
だがその直後、なのはちゃんの胸部装甲に組み込まれていたレイジングハートが点滅する。
『マスター、良いニュースと悪いニュースがあります』
「にゃ? 良い方からお願い」
『フォーミュラモードは正常稼働。マイスターレオの調整により想定より遥かに上の性能を発揮しています』
「流石レオ君! ……悪い方は?」
『マイスターレオにより稼働制限時間が設定されています。残り五分です』
「え?」
「あ、ごめん。流石にそれ以上はなのはちゃんの身体が耐えられないからリミッターつけた。でもこう見えても調整前の稼働限界時間よりも二分も増えてるからな?」
本来ならば残りの制限時間は三分もなかっただろうし、今の時点でもフォーミュラの負荷でなのはちゃんにはかなりのダメージが入っていたはず。
それに比べたら今は負荷を耐えられる範囲にした上で、制限時間は五分もあるんだ。納得してくれ頼むから!!
「そ、そっか。じゃあ五分以内に助けよう!!」
なのはちゃんはそう言うと、ユーリに突撃を開始する。
前から思ってたけど、あんた砲撃担当でしょうが。いくら相手の懐に入る為に突撃機能搭載してるとは言えその使い方は無茶すぎるって!!
「ちょっと援護してくるね!」
「俺も行ってくる!」
「なのはにだけ無茶させられないわね。ひな!」
「はーい、それじゃ合体!!」
高速移動でぶつかり合うなのはちゃんとユーリ。
この速度についていけるフェイトちゃんとヤマトはともかく、アリサちゃんでは流石についていけない。だがひなちゃんがアリサちゃんを抱えて移動すれば話は別だ。ひなちゃんに抱えてもらい、ユーリとなのはちゃんのぶつかり合いに入っていく。
やれやれ。なら俺はMブラスターで援護射撃でもするか。
その後ヤマトやアリサちゃん、フェイトちゃんがユーリの攻撃を弾いた隙になのはちゃんが砲撃を叩き込み、ユーリの攻撃が誰かに被弾しそうになったら、俺やすずかちゃん。アリシアちゃんやはやてちゃんが妨害して確実にダメージを与えていく。……でも
「なのはちゃーん、後一分だよー!!」
「にゃ!? も、もう!?」
やべぇ、このままじゃなのはちゃんのフォーミュラドライブが切れてしまう。こうなったらなのはちゃんの制限解除して少し無茶してもらおうか……。
いやいや、流石にそれは嫌だな。
「どうしよヴィータちゃん?」
「このままじゃ埒が明かねえからな。オラみんな!! 全員で協力して一気にやるぞ!!」
ヴィータちゃんの掛け声で全員が散解すると、最初に動いたのはすずかちゃん。
距離をとったなのはちゃんに追撃しようとするユーリとの間に立つと、氷のシールドで防御する。
「く……《エターナルコフィン》!!」
「っ!?」
反撃の最上級凍結魔法でサブアームどころか身体まで凍結したユーリ。
そんな彼女に対してフェイトちゃんが一気に距離を詰めて、サブアームを叩っ斬るとすぐさま距離を取る。
「次は私のターンや。《クラウ・ソラス》!!」
「それじゃ私も! えい!!」
はやての魔法で翼の様に設置されたシールドも破壊すると、アリシアちゃんがハリセンスマッシュを叩きつけて黒い樹までぶっ飛ばした。
「シグナムさん、ひな、今だよ!!」
「あぁ、駆けよ隼!!」
「ごめんね! 《セラフィムアロー》!!」
黒い樹に叩きつけられたユーリにシグナムさんとひなちゃんが矢を放ち彼女を大樹に縫い留める。
だがユーリもこのままでは終わらない。反撃を加えようと再び白い炎を射出する。
だが白い炎を掌から出した時点で既にヴィータちゃんとアリサちゃんが動いていた。
「ラテーケン……」
「タイラント……」
「「ハンマー!!」」
二人の打撃で白い炎は打ち消された。
だがユーリは負けじと再び白い炎を……そろそろ動くか。
「《エレメンタルブラスト》!!」
「《ローグルインズブラスト》!!」
「くぁあああ!?」
再び白い炎を射出する前に、俺とヤマトでダメ押しの砲撃を叩き込んでユーリを怯ませてやった。
「それじゃ任せたぞなのは!!」
「分かったの! 全力全開《エクシードブレイカー》!!」
そしてユーリが完全に無防備になったタイミングで、なのはのトドメの砲撃がユーリを飲み込んだ。
…………何このイジメ? 罪悪感が凄まじいんだけど…………