見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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最近シリアスばっかりだから今回はギャグ多め。
日常会みたいなノリで行きます。


さぁ、注射のお時間だ!!

「……よし、終了!!」

 

「ふぅ、なかなか大変な作業だったね。レオ君もすずかちゃんもお疲れ様」

 

「すずかもね」

 

 イリスの過去を見てからは、通信でなのはちゃん達とも話さずに集中してデバイス製作に取り組んでいた俺達だったが、マリエルさんやシャーリィちゃん。リニスにも手伝ってもらったおかげで予定通り昼前には無事にデバイスの整備を完全に終わらせる事が出来た。

 

「レオ君もアリサちゃんもすずかちゃんもお疲れ様。でもこの後相手が姿を現し次第出撃するんでしょ? 指揮船ではやてちゃん達と合流して出撃までゆっくり休んでて」

 

「はい、そうします。徹夜だからもうクタクタで……」

 

「あはは、そうだね」

 

 確かに昨日の朝から任務でテロを鎮圧して、夜はこっちで徹夜で戦い続けて、それが終わったらデバイスの整備だからなぁ。

 いい加減マジで疲れたし今寝たらぐっすり眠れそうだ。

 ………………でも。

 

「残念ながら後一個やる事があるんだよね」

 

「そうなの?」

 

「それならさっさと終わらせましょ。何?」

 

「と言っても簡単な事なんだけどね。今からナノマシンを身体に入れるよ」

 

 

 ◇

 

 

 と言うわけで指揮船に魔導師組を集めるとプレシアさんとともに説明を開始する。

 

「さて、みんなのデバイスには今回の事件の解決のために、エルトリアのフォーミュラってシステムをレオ君達が入れたわ。でもこれだけでは満足にフォーミュラを使えないの」

 

「俺やヤマト、ひなちゃんは先の戦いでデバイスにナノマシンを入れてたけど、あれは全体的な出力向上にしかなってなかっただろ? なのはちゃんみたいにフォーミュラ全開で使用するためには、ナノマシンの他にナノマシンを操る心臓とも言えるヴァリアントコアと、生体用ナノマシンを体内に入れる必要があるんだよ」

 

「レオ君が採取したイルマの血液からナノマシンを抽出、培養した上でみんなの身体に入れても拒否反応が起きないように一つ一つ調整を加えたわ」

 

「へぇ、つまりこれを取り込めば私達もなのはみたいに戦えるんだね」

 

「凄いね! それじゃ、早速飲んじゃお!!」

 

「ひなちゃん、これは飲むものじゃないの」

 

「えー。それじゃあどうやって身体に入れるの? 飲む以外に身体に入れるって言ったら……」

 

 飲む以外の摂取方法。そしてなのはちゃんが遠い目をしている事に気がついたひなちゃんは段々と顔を青くする。

 どうやらどうやって体内に取り込むか分かったようだ。

 

「それじゃあシャマルさん、後はお願いするわ」

 

「はーい、と言うわけでみんな! お休みの前に注射のお時間ですよ!!」

 

「「やだー!!」」

 

 ひなちゃん、アリシアちゃんのお子ちゃまコンビは逃げ出した!

 だが羽鳥さんとプレシアさんに回り込まれて捕まってしまった!

 ジタバタもがくが無論逃げられない!

 

「こら、暴れないのひな! 今度こそ捕まえるんでしょ? 痛いのは大丈夫なのにどうして注射は嫌がるの?」

 

「気持ちの問題なんだよ! お注射嫌いー!!」

 

「ママー、離してよー!!」

 

「ぐっ……! だ、ダメよプレシア、離したらダメ。いくら嫌がっていてもこの先の戦いは過酷になる。アリシアの安全のためにもナノマシンは重要なのよ……!!」

 

 うん、まぁ二人がこう言う反応をするのは目に見えてたよ。

 だって予防接種とは比べ物にならないほどに注射器大きいもん。多分注射の数倍は痛いんじゃね?

 

「全く、ひなにアリシアも情けないわね。注射なんて子供騙しなのに」

 

「と顔を青くしながらも、なんとか強がって見せるアリサちゃんなのであった」

 

「べ、別に注射ごときで怖がってないわよ!!」

 

「膝震えてるでアリサちゃん? ……それにしてもふっとい注射器やなぁ。注射は慣れてるけど、こんなのは初めてや……」

 

「私も注射苦手だからちょっと怖いかも……」

 

 なんとも情けない女子連中であった。平気なのは なのはちゃんとフェイトちゃんだけかよ。

 しゃあない。ここは精神的年長者として俺が一番槍を務めるか。

 

「しょおがねぇなぁ。俺が漢気を見せてやるぜ! シャマルさん、俺からお願いします」

 

「はーい、それじゃあチクッとしますね〜」

 

 シャマルさんは丁寧に注射を打つ箇所を消毒液を吸ったガーゼで消毒すると、無用に怖がらせないようにと言った配慮なのかささっと注射を……おっと、予想した通りこれ普通の注射よりも数倍痛いわ。

 しかもそこそこな量のナノマシンを入れるって事でしばらくナノマシンを注入しないと行けないから痛みも持続するし。お子様には相当キツイぞこれ。

 

「……れ、れお君大丈夫なの?」

 

「全っ然痛く無いわ。拍子抜けするくらい」

 

 ひなちゃん達を無用に怖がらせないように努めて余裕な表情を浮かべてやると、ひなちゃん達はほっと胸を撫で下ろしたような表情を浮かべる。

 

「……よし。はーい、終わりましたよー」

 

「はい、ありがとうございまーす。ほら、次はヤマトだ行け」

 

「分かった」

 

 みんなは俺の様子で安心した顔をしてるけど、ヤマトも注射で余裕な表情を浮かべればみんなは更に安心するに違いあるまい。

 大丈夫、ヤマトも前世は男子高校生。たかが注射ごときに遅れは取らないだろう。

 

「レオのあの様子なら余裕だろういった! え、これ普通に痛いけど!? しかも注射の時間長いから痛みが持続するし……これのどこが余裕なんだよ大人でもこれはキツイわ!!」

 

「「「「「…………」」」」」ガタガタガタガタガタ

 

「ヤマトお前マジでふざけんなよ?」

 

 この大馬鹿野郎が。男子なんだからそこは強がれよ! ほら見ろひなちゃん達ガタガタ震えちゃってんじゃん!!

 取り敢えずこの中で怖がってないフェイトちゃん! 君の余裕な表情でヤマトが大袈裟だったとみんなに教えてあげてくれ!!

 

「次はフェイトちゃんね。チクッてするけど動いちゃダメだからね?」

 

「はい、頑張ります! …………っ! ……確かにこれは痛いや」

 

「だ、大丈夫フェイト!? 苦しく無い!?」

 

「うん、へっちゃら。鞭で叩かれるより全然マシ」

 

「いやぁああああああ!!」

 

 そりゃあ流石に鞭打ちとは比較にならないだろうて。あとプレシアさんが地面に頭ガンガン叩きつけてるからトラウマを刺激するのはやめてもろて。

 まぁ何はともあれ、フェイトちゃんは顔を顰めてしまったけど、大袈裟に反応しやがったヤマトよりは全然マシ。怖がってしまったみんなの表情も少しは柔らかくなったな。

 

「はーい、次の方どうぞ~」

 

「……なら私が行くわ。嫌なことはさっさと終わらせたいからね!」

 

「それだね。なら次は私が行こうかな」

 

「ならすずかちゃんのお次は私や。注射は慣れてるしフェイトちゃんの様子からして大丈夫やろ」

 

 その後、覚悟を決めたアリサちゃん、すずかちゃん、はやてが順番に並ぶ。この三人は気が進まないだけだったため、本当にさっさと済ませてしまい、お次はひなちゃんの番となる。

 

「ううぅ……お注射嫌だなぁ」

 

「ここにひなちゃんの大好きな、チュッパチャップスのストロベリークリーム味があります」

 

「!!」

 

「はいどうぞ」

 

「ありがとう! あーん……ん~♪」

 

「今です、シャマルさん!!」

 

「分かったわ!」

 

 ひなちゃんがチュッパチャップスに夢中になってる間にさっさと注射を打ってもらいました。

 彼女が注射嫌いなのは、多分初めて注射を打ちに行ったときに前の子が大泣きしたとかで注射そのものに苦手意識を持ったからで、痛いのが理由ではないはず。

 ならば食べ物とかに夢中になってる間に済ませてしまえば良かろうものなのだ!

 

「流石はレオ君。ひなちゃんの扱いが上手なの」

 

「というか飴であっさりと懐柔されるなんて、ひなも単純っていうか……ママとして複雑ね」

 

 分かります。不審者が「お菓子あげるから一緒に来ようか」って言ったらホイホイついて行きそうですからね。

 ……さて次はアリシアちゃんの番だな。

 

「アリシアちゃんもチュッパチャップス舐める?」

 

「私、ひなほど単純じゃないよ!? ……でも飴舐めてたらちょっとはマシかな。……それでも嫌だなぁ」

 

 よっぽど注射が嫌なのか、アリシアちゃんはシャマルさんに近寄ろうとせずに冷や汗を流しながら負担の少ない方法を模索する。

 やがて「あ、そうだ!!」と天啓が舞い降りた感じで手を叩くとこちらに駆け寄ってきた。

 

「レオ、ニコポナデポで洗脳して!!」

 

「ゑ?」

 

 いや、注射が嫌だからってニコポナデポに頼るか普通? ってかプレシアさんの前で言わないでよ!! この人鬼婆モードで俺を睨んでるからぁ!!

 

「ねぇレオ……ダメ?」ウルウル

 

「う、上目使いは卑怯っすよアリシアさん! ……ああもう、しょうがねぇ。ヤマト、やっちまえ!!」

 

「【ニコポナデポ解除&強化】」

 

 その後ニコポナデポでアリシアちゃんを洗脳して、プレシアさんが親バカの呼吸 鬼婆の型 サンダーレイジ(うちの娘に何やってんのよ!!)でこの船を沈められる前にさっさと注射を打ってもらってさっさと洗脳を解除しました。生きた心地がしませんでした。

 

「もうちょっと洗脳状態でいたかったんだけどなぁ……」

 

「勘弁してつかぁさい。……さて最後はなのはちゃんだね」

 

「え、なのは? なのははもう打ってもらったの」

 

「何言ってるんだい?」

 

「え?」

 

 なのはちゃんの目が点になる中シャマルさんがおずおずと説明をする。

 

「あ、あのねなのはちゃん? なのはちゃんはアミタさんの持ってきたナノマシンを調整しないでそのまま身体に入れちゃってるでしょ? だからまずはこっちの注射でナノマシンの機能を停止させて、数十分くらい後になのはちゃん用に調整したナノマシンを入れなおすのよ?」

 

「つまり注射二本打たないといけないってわけ」

 

「……ふぇえええええ!?」

 

 なのはちゃんはすでに注射をしたから大丈夫と思っていたようだが、今なのはちゃんの体内を循環してるナノマシンは調整していない物のため拒否反応が起こらないギリギリ……つまり少量しか入れておらずに本領を発揮できないのだ。

 だからと言って追いナノマシンをするのも身体によくないし、一度体内のナノマシンを死滅させて新しく入れなおさなければならないのだ。

 

「注射打たなくてもいいと思ったのに! しかも二本って!?」

 

「しかも一本目を打った後時間を空けるってことは……」

 

「その分休む時間が減るな」

 

「一人だけ抜け駆けしたバチが当たったのよ。諦めなさい」

 

「えー、そんなぁ!!」

 

 可哀想ななのはちゃん……!! ひとえにテメェが抜け駆けするからだが……あれ? もうこのネタ以前に使ったっけ?

 さーて、ナノマシンを身体に馴染ませるために数時間はあまり動かないほうがいいし、いい加減眠いから仮眠するか。

 なのはちゃんは見捨てて俺たちはさっさと割り当てられた部屋で寝に行くのだった。

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