見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
ひなちゃんと一緒に、イルマの待つ東京スカイツリーを目指す。
東京は前世以来久しぶりに来た上に前世の日本とはまた違う世界だから、東京の地理なんかも前世の記憶は当てにならないだろう。
でもスカイツリーは日本で一番高い建物。故に飛んで行けば方角は丸わかり。
全く分かりやすいところを最終決戦の場にしてくれてありがたいよ全く。
「……あ! れお君、あそこにイリスさんいっぱいいるよ!!」
「え、あ、本当だ」
お台場方面に大量の量産型イリスの群れ。
別にお台場周辺には結界維持のための防衛ポイントはなかった筈だけど、いくら何でも数が多すぎる。コイツらが別のポイントに移動したら危険すぎるし、この場で狩っていった方がかもしれない。
「れお君、やっつけて行こ!」
「あぁ、サクッと殲滅するよ!!」
ひなちゃんも同じ事を考えていたようだ。
確かにイルマを倒すのも重要だけど、そっちに執着して結界が解けたら笑えないもんな。
ナノマシンを注射してからなんだか身体も軽いし、激戦前のウォーミングアップと行くか。
〜数分後〜
「いやー、無双ゲームの如くバッサバッサ薙ぎ倒していくのも中々に楽しいもんだ!」
「むそーゲーム? よく分からないけど、簡単に倒せちゃったね!」
量産型なんて所詮は質よりも量。
一般魔導師はこの程度の戦力でなんとかなったっぽいけど、俺やひなちゃんレベルになると荷が重かったみたいだな。
それにしても……
「やっべぇ……優越感がやべぇ…………」
「なんだかれお君楽しそうだね!」
今回イルマと言うイレギュラーがいること、そして事前に俺らの事を調べやがってたせいで敵側の戦力がインフレしてやがるけど、俺ら転生者はこんなふうに雑魚を薙ぎ倒してナンボのもんなのだ。
これでいいんだよこれで!!
「数の暴力を圧倒的な力で屈服させる……。転生者って最高だねひなちゃん!!」
「うん、イリスさん達が悪い事する前に止められて良かった! ちーとバンザーイ!!」
「バンザーイ!!」
『……ツッコミ不在の恐怖ってまさにこの事を言うんでしょうねぇ』
ひなちゃんとバカな事を話しながら、再びスカイツリーを目指そうと空を飛ぼうとした瞬間殺気を感じて咄嗟に七時の方向にパーフェクトプロテクションを張る。
直後シールドにミサイルらしきものが激突して大爆発を起こす。
「ひゃぁ! れ、れお君大丈夫!?」
「うん。平気、俺の防御力はすずちゃんと同レベルだからね。…………撃ったのはお前だな?」
「なんだ。受け止めちゃうの?」
そう言いながら現れたのは、ロケランを装備した緑髪の少女。
もしかしてコイツも量産型? いやでも普通に話せるし他の量産型とは違うな。……上位個体と言ったところか?
「宮坂麗央、桃崎ひな。確か確実に排除しとけって言ってたっけ? なら確実に殺さないとね。はーいこっちだよこっち〜!!」
彼女がそう叫ぶと、物陰から先ほどよりもさらに大量に量産型イリスの群れが現れる。しかもタチの悪い事に量産型に紛れて上位個体がさらに数体いる徹底ぶり。
……さてはワザと量産型を見つけやすい位置に設置して、そいつらを倒しに来た俺らを取り囲んだんだな。
「むぅ、れお君と同じくらいひきょーだね」
「こらひなちゃん、戦いに卑怯って言葉はない。策士って言ってやりな」
「分かった、れお君と同じくらいの策士さんだね! ……ねぇれお君、戦える?」
「うーん……いけるっちゃいけるけど……」
正直これはまずい。いや、ここの連中を殲滅するのは簡単なんだけど。この後イルマと一騎討ちをするって言うのに無駄な体力を消費したくないのだ。
「ま、イルマ戦で無茶をすれば無問題かね。ひなちゃん、一気に倒すよ」
「うん! 一気にやっつけちゃ「その必要はない」ほぇ?」
直後、空から無数の投げナイフが降ってきたかと思うと、ナイフが地面や量産型に当たった瞬間大爆発を起こす。
おいおいこれってランブルデトネイターじゃねえか!! てことは……
「チーちゃんだー!!」
「チンク、お前どうしているんだよ! 帰ったんじゃなかったのか!?」
「水臭いぞ兄上。この世界は私にとってもお気に入りだ。それを滅ぼそうとしている者たちがいると言われて、黙ってられるわけが無いだろう?」
おいおい、この場で助っ人って最高すぎる展開じゃねえか!
「は、このタイミングで助っ人かよ。ふざけやがって、おい一気に「チンクちゃんだけじゃ無いわよ」ガハッ!?」
緑髪の上位個体が何か言った瞬間、彼女の胸から白い何かが生える。
これは……エンジェルウイング!? え、ひなちゃんここにいるしまさか……!?
「え、ママ!?」
「ロボットだし壊しても問題ないわよね? これは人の娘にロケットランチャーを撃ったお返しよ!!」
「ぎゃ──」
翼を操作して、串刺しにした緑髪の上位個体を、他の上位個体に投げつける。その瞬間何故か緑髪が大爆発を起こして、他の上位個体を巻き込んで消えた。
「翼で投げつけるときに身体の中に羽を残しておいて爆発させるなんて……流石は羽鳥ね」
「いやー、流石は次元航空部隊の爆撃機。腕は落ちてな「おいこの駄猫の片割れ、またお仕置きされたいの?」……サーセン」
「ですが羽鳥さん。ブランクは相当空いているのでしょう? 何とか援護しますから怪我だけはしないようにして下さいね?」
「えぇ、ありがとうねリニス。ロッテ、あなたは娘の使い魔の爪の垢を煎じて飲みなさい」
「えぇ!? リニスにロッテお姉ちゃんにアリアお姉ちゃんまでいる!?」
…………(キャパオーバー)
え、どう言うことだってばよ? え? なんでここにチンクとか羽鳥さんとかリーゼ姉妹とか集合してんの?
「リニスはひなの使い魔だし、ママは元々局員さんだったから分かるけど……どうしてロッテリアお姉ちゃんまでいるの!?」
「一応この世界は私達の故郷でもあるしね」
「滅ぼされたらたまったもんじゃないのさ。それに……」
二人はそう言うと俺の前へ移動。そしてそれはそれは深く深〜く、頭を下げてきた。
「謝る機会が無くって今更になっちゃうけど、二年前のこと、本当にごめんなさい!!」
「私らのせいで大怪我して、家もなくして心に深い傷をつけちまった。本当に悪かったよ!!」
「え、いや。流石に二年前の件はもう気にしてませんよ? そちらにも真っ当な理由がありましたし、大怪我させて家焼いたの龍帝院なんで!」
どうやら二人は俺に謝る機会を探していたようだ。
二人と会うのはなんだが気まずかったから避けてたし、グレアム一派が釈放されてからは罪を償うかのように休む暇もなく働いてるって聞いたからなぁ。
「二年前迷惑かけちゃったからね。アンタらに力を貸しに来たのさ」
「こんなんでお詫びになるとは思ってもないけど、ここは私達に任せて」
「え、いやいや。確かにロッテさんもアリアさんも強いのは知ってますけど、羽鳥さんにリニスも強いのは分かってますけど! なんかさっきからどんどんどんどん量産型増えてるのに何とかなるんで「羽鳥だけではないさ」え、グレアムさん?」
「えぇ!? グレアムおじいちゃんまで!!」
「ブフッ! つかよく見ると背後に控えますは、闇の書被害者の会の皆様方ぁ!?」
いやいやいやいや! いやいやいやいや!!
ちょっと待てやコラ! チンク一人が助っ人に来るだけでお腹いっぱいだったのに、どうしてそんな次から次に助っ人出てくるんだよ!?
つかグレアムとチンクは別に接点ないだろ!? ……え? 羽鳥さんに会って一緒に行動しようって言われた? あぁ、そういえばチンク、羽鳥さんのパン屋のパン大好きでナカジマ家にって大人買いするもんだから仲良かったね。
「どうやらお台場のどこかに軍隊イリスの製造工場があると見た。ひなにレオ君、二人はやらなければならない事があるのだろう? ここは我々に任せたまえ」
「おじいちゃん……でもおじいちゃん戦えるの?」
「それについては大丈夫だ」
そう言って被害者の会からひょっこり現れたのは……えーと、確かコイツは……あ、グレアム一派や守護騎士とかの強化アクセサリー作ってた人! アクセサリーの安全性が度外視だったから研究者としてぶん殴ったなそう言えば!!
「まさかアンタまたあの強化アクセサリを……」
「まさか。貴様にユーザーに配慮しろと殴られ、後遺症とリハビリに苦しんでからは反省してな。二年間で安全性と出力を向上したものを作ったからそれを装備してもらっている」
そう言って俺に「彼らと合流したら渡して欲しい」と魔導師組の人数分のアクセサリーを手渡す白衣の男。
それでは早速解析を……おぉ、マジか。前よりも強化レベルが格段に上昇してるし、負担がほぼゼロになってんじゃねえか。え、こんな良いものくれるの?
闇の書事件のときにコピーしたものは、この人の知的財産のコピーだからってバラして廃棄しちゃったから素直にありがたい!!
「と言うわけで我々は問題ない。さぁ、ここは任せて行きたまえ」
「ママにリニス、ロッテリアお姉ちゃんにおじいちゃんもありがと!!」
「助かります! チンク、お前は一緒に行くだろ?」
「勿論だ! 私もマリエルに頼んでこっそりフォーミュラを入れたから戦力になるぞ!!」
コイツいつの間に……。
こうしてチンクを仲間にした俺とひなちゃんはお台場を後にして、再びスカイツリーを目指すのだった。
レオ君達救援のために集結したメンバーとの合流その1でした。
え、ゼスト隊とスカさん? 本命は後の方がいいだろぉ?