見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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スカさんどうしているんだよ!?

 お台場を後にした俺達は量産型を破壊しながらスカイツリーを目指していたのだが……

 

「このフォーミュラという技術……。まるで私達の為にあるような能力だな」

 

「マジそれな。フォーミュラは金属を即座に加工したりもできるから、金属爆破の能力持ちの俺らにとっては鬼に金棒すぎる」

 

 チンクのISであるランブルデトネイターは金属を爆発物に変えるレアスキルなのだが、当たり前だが金属がなければ爆発は出来ない。

 チンクなんかは持参した投げナイフが尽きたら、一気に不利になる能力為近くの手頃な金属から投げナイフを即座に加工できるフォーミュラとの相性は最高だったのだ。

 

「それにチーちゃんの動きのキレも良くなってるよ〜」

 

「あぁ。ナイフ切れを考えなくても良い分、余裕が持ててるな……む、兄上あそこに上位個体がいる」

 

「みたいだな。……ん? おいおいよく見たらあれって……」

 

 遠くでブラスターで俺達を狙っている青色の髪の上位個体なのだが、アイツの胸に埋め込まれてるのは……間違いない。魔心レプリカじゃねぇか。

 

「ほんとだ! という事はあの子をやっつけたら魔心を取り返せるね!!」

 

「いや、何であんなモブ機体に持たせる必要がある? 答えは簡単、あいつら魔心を複製しやがったんだ」

 

「複製……相手に魔心を複製する事ができる技術者がいるとは聞いてないが……」

 

 ま、犯人はイルマで間違いないだろ。仮にもロストロギアを複製するだなんて、よほどの技術者か、そもそもそのロストロギアの製作者その人でなければ不可能なものなのだ。

 おっとそんな会話をしてるうちに魔心装備の上位個体……最上位個体がブラスターの引き金を引こうとしてるな。

 

「ま、受けてやる理由はないわな。《パーフェクトプロテクション》!」

 

 プロテクションで軽々と受け止めてやったが、魔心の魔力が上乗せされた粒子光線の威力は恐ろしいほど強化されている。

 それでも魔力5S以上の魔力量の俺が本気でプロテクション張ったら余裕で防げるけど、何かの間違いでプロテクションが解けたら間違いなく消し飛ばされる。

 ならばこっちもMブラスターで応戦するか──

 

「三人とも、あたしに掴まって!!」

 

「うわ、ビックリした! え、お前も来てたの!?」

 

「あ、確かチーちゃんの……」

 

「助かる! 二人とも早く彼女に掴まれ!!」

 

 

(最上位個体視点)

 

 ブラスターを撃つのを止めて、宮坂麗央達がいた場所を見てみると地面が抉れてそこには誰もいなかった。

 周辺をサーチ……逃げた痕跡はないですね。

 

「…………対象の消滅を確認」

 

 私が管轄するこの場に要危険人物が来たのは予想外でしたが、呆気なかったですね。

 私の胸に埋め込まれた水晶、魔王の心臓の持ち主にして一番油断ならないとされた宮坂麗央。非常に強力な回復魔法の使い手である桃崎ひな。二人をここで消す事が出来たのは大きいですね。

 

「さて、それでは早速イリス本体に報告をしましょ「えぇ。私達の妹と弟と言っても過言ではない子に銃口を向けるとどうなるか……報告した方がいいわね」え……っ!?」

 

 直後私の胸に三本の何かが生えたかと思うと、それらは魔王の心臓を鷲掴みにされて引き抜かれてしまう。

 魔王の心臓という動力源を失った私は激しい痛みと共に脱力感に苛まれながらも、犯人を見るとそこにいたのは爪を装備した量産型の姿。

 

「な、……なぜ……裏切ったのですか?」

 

「裏切った? ……あぁ、ごめんなさいね。この姿擬態なの」

 

 そう言って量産型は金髪の女へと姿を変える。

 擬態ですって? 私達は一体一体が特殊電波で繋がっているから、視覚を誤魔化すだけでは意味はないのに……もしや電波そのものも擬態してたっていうの?

 でも大丈夫、彼女の周りには量産型がたくさんいる。圧倒的な数で押し込めば……

 

「み、みなさん。お願いします……みなさん? ……みなさん!」

 

「……あ、そう言えばこっちも偽装してるんだった。クワットロ、もう良いわよ?」

 

「は〜いドゥーエお姉様ぁ♡」

 

 直後金髪の女を取り囲んでいた量産型はまるで霧が晴れたかのように消えると、そこにいたのはメガネをかけた茶髪の女と大柄な深紫髪の女、そして白衣を着込んだ恐ろしい目をした研究者風の男。流石にまずいと離脱しようとしましたが、その直後私の身体は特殊な糸で絡め取られてしまった。

 

「よくやったねドゥーエ、それにクワットロ。トーレも彼女に気づかれないように周りの量産型の殲滅ご苦労だった」

 

「ドクターと他でもないドゥーエお姉様のお願いでしたからぁ♡」

 

「だが雑魚ばかりで不完全燃焼だ。あの程度では鍛え上げたフィジカルは悲鳴ひとつあげない。もっと血湧き肉躍る戦いを所望するものだが……」

 

「はいはい。後で思いっきり暴れて頂戴トーレ。それでドクター? 彼女はどうするんですか?」

 

「……殺しなさい」

 

 殺せばいい。あなた方というイレギュラーがいたのは予想外でしたが、宮坂麗央、桃崎ひなは排除したんです。そしてそれは敵側の勢力を確実に削る事が出来たということでもある。

 使い捨ての存在である私にしては上出来な結果だろう。だから大丈夫、私は結果を残したから死んでも怖くは────

 

「ドクター、三人を助けてきたよ〜」

 

 そう思った直後研究者風の男の隣の床から、水色の髪の少女と……彼女に掴まった宮坂麗央と宮坂麗央と似た顔の少女、そして桃崎ひなが現れた。

 

「流石だねセイン。これが終わったらご褒美にみんなでご飯を食べに行こう」

 

「ほんと? やったー!!」

 

「あ……あぁ……」

 

 何も出来なかった。上出来な結果なんかじゃない。これは完全敗北だ。

 

「どうしたんだい、そんなに怖がって? ……あぁ、これから起こる事を心配しているのか。でも大丈夫、私は鬼ではないんだ。君の事をちょっと解剖して中身を調べるだけ。解剖し終わったらきちんと組み立て直して元に戻してあげよう!」

 

「ああぁ…………!」

 

 なんの価値もない死がやってくる。

 

「本当にありがたいよ。最近はマネキンでも人型の姿をしていれば良心が痛んでしまって、実験なんかも出来なかったものだが……レオ君達に酷い事をしたキミ達ならばバラしても良心が痛まなさそうだ」

 

「ああああぁああぁああぁぁ……!!」

 

 私は結果を残せずにここで終わる。

 

「ドゥーエが丁寧に魔王の心臓のレプリカを抜き取ってくれたから、キミはあまり壊れていない貴重なサンプルだ。丁寧に丁寧に……大切に解剖してあげようではないか! フハハハハハハ、ハーハハハハハハハ、ハハハハハハハ!!」

 

「いやぁああああああああああ!!!!」

 

 心のないはずの私は、このとき初めて恐怖心というものを知った。

 

 

(レオ視点)

 

 その後意識を失った最上位個体をニッコニコで箱詰めするスカさん。

 それを見たひなちゃんは涙目で俺の背後に隠れる。

 

「あ、あのおじちゃん怖い……」

 

「おいスカさん! うちのひなちゃん怖がっちゃったじゃん!! と言うかなんでここにいるんだよ!?」

 

「それはもちろん、キミがピンチだと聞いたからパパとしてちょっと手伝いに来たのさ!!」

 

「スカさんパパじゃないよねぇ!? いや、チンクのお父さんではあるから父親と言っても良いのかもしれないけどさ!!」

 

「何を言ってるんだ兄上? 私の父上はゲンヤ・ナカジマ。ドクターはドクターだぞ?」

 

「グフゥ!!」

 

 チンクの発言に吐血してぶっ倒れたスカさん。

 娘から父親ではないと言われる……確かにそれは相当応えそうだよなぁ。なんと言うかまぁ……スカさんドンマイ!!

 ……と言うかなんで俺の状況知ってんだよ? もしかしてチンクが呼んだの?

 そう思いチンクの方を向いてみても、フルフルと首を横に振る。違うようだ。

 

「私が管理局で仕事をしてるときに、この世界が不味いことになってるって聞いちゃってね。こうしてドクターと一緒に助けに来たの」

 

「ドゥーエお姉ちゃん、あなたが犯人か……!!」

 

「そ、そう言うことさ……グフッ」

 

「おじちゃん大丈夫?」

 

 先ほどまで怖がっていたひなちゃんは、チンクの発言でぶっ倒れたスカさんを癒そうとしてあげている。

 怖いのを我慢して回復させてあげてる所悪いけどこれは精神的ダメージだから、フェニックスウイングじゃ癒せないと思うよ?

 だがスカさんも幼女に心配はさせられまいと思ったのかヨロヨロとなんとか立ち上がる。

 

「だ、大丈夫。ありがとうひな嬢……。ドゥーエにその事件を調べてもらったら、犯人はそれはそれは素敵な技術を使っていたからね。研究材料狩りも兼ねているのさ」

 

「なるほど……別に来なくてもフォーミュラとかをまとめた資料を後日渡そうと思ってたのに」

 

「研究者たるもの自分で調べてこそ価値はある!!」

 

「それはその通り」

 

 自分で調べた方が、他人のまとめた資料を見る数倍は楽しいからな。

 スカさんは最上位個体や、他のあまり壊れていない量産型を箱詰めし終わると「さてと」と呟く。

 

「私達はそろそろ別の場所で研究材料狩りの続きをするよ! チンクにレオ君。今度はナカジマ家の人達と一緒に食事に行こう。それではサラバだ!!」

 

「チンクもレオ君も気をつけてね〜!」

 

「助けた借りはまた今度返すんだぞ〜!」

 

 そう言ってスカさん一味はさっさとどこかへ行ってしまった。

 

「さて、私達も出発しよう。ドクターがいるならここら周辺は大丈夫だろう」

 

「そうだな」

 

「う、うん」

 

 いや〜、それにしてもスカさんまで来てるとは驚いた。

 スカさんが来るならもしかしたらゼスト隊のみんなも……いや、流石にそれはないか。(フラグ)




※ウーノ姉は最近ハイハイ出来るようになったセッテとオットーとディードの面倒を見ているのでお留守番しています。
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