見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
さて、途中何回も何回も寄り道しながらもようやく辿りつきました。東京スカイツリー!!
「うわ〜、高いねぇ!」
「あぁ。確か日本一高い建造物なんだろう?」
「634メートルの高さの電波塔だね。せっかくの観光名所、こんな時じゃ無ければ展望台に登ってちょっとした思い出作りでもしたいもんだけど──」
「思い出作りがしたいならしたらどうだ? 少しの間待っているぞ?」
「おっと」
俺俺らの会話に加わってきたのは、スカイツリーの入り口前で堂々と待っていた赤……と言うかオレンジ髪の大学生くらいの少女イルマ。
いやそうは言うけど流石にこんな非常事態に呑気に観光する奴はおらんやろ?
「……予想より早かったな。この街にばら撒いたイリスの分身の相手をしながら来るからもう少しかかると思っていたが」
「予想外の助っ人が来てくれてね。ここに来るまでにそれほど消耗せずに済んだよ」
「……ほう、慕われているのだな」
「まぁな。……もはやごちゃごちゃ話すのも時間の無駄だしとっとと決着と行きたい所だけど。その前に二つお前に聞きたい事がある」
「ほう?」
本当なら聞きたい事があるなら捕まえて事件が終わってからゆっくりと聞けば良いのだが、コイツに関してはどうしても今ここではっきりさせとかなければならないのだ。
「いいだろう。最後はお互い悔いなくやりたいだろうし、誤魔化さないからなんでも聞いてみる──っと動くなよ」
直後イルマは指先からスフィアを撃ち出してくる。
一瞬不意打ちかと思ったが、スフィアは俺やひなちゃん、チンクを狙ったものではない。故に動かずにスフィアが俺らを通り過ぎるまで待つと、直後背後から倒れる音がした。
そこにいたのは最上位個体。
「……何やってんのよイルマ」
直後スカイツリーから要殲滅対象イリスが出てくる。
それと同時にまたまた大量の量産型……いや、それだけではなく最上位個体や複数体のロボット……機動外殻なるものが姿を現した。
「れ、れお君あれって……!!」
「ふむ、流石に不味いな」
「わぉ、四面楚歌すぎてワロタ」
笑えないけどな!!
流石に不味いと言う事で、ヤマト達に連絡を入れようとしたがイルマは「何をやっていると言われても……」と首を傾げる。
「私は言っただろう? 私は宮坂麗央と戦うためにこの世界に来た。解放する気がないならせめて私が彼を相手取らせていただくとな」
「そうよ。だから私はあんたが呼び出したアイツを確実に狩るために戦力を整えた」
「……つまり一騎討ちは認めないと?」
「当たり前よ、良いから黙って言う事を聞きなさい。これは命令よ」
「っ! ぐうぅ……!!」
直後イリスの目が光るとそれに同調するようにイルマの目も光る。どうやら命令を送って無理やり命令を聞かせようとしているのだろう。
「イリスさん。……いくらなんでも酷すぎるよ!!」
「なるほど、今までゼスト隊として相手をしてきた中でもかなりタチの悪い相手のようだな」
ひなちゃんとチンクがそう言うが、イリスは俺らを無視してイルマに色々と好き勝手言い始める。
「あんたもしかして勘違いしてない? ユーリみたいに恨みは買ってないからある程度の自由はあるとでも? そんなわけないでしょうが。この身体に遺跡で眠っていたあんたの魂を入れたのは私。ならあなたをどうこうする権利は私に──」
パァン
いい加減聞くに耐えないから耳でも塞ごうかと思っていると、イリスの頬を銃が掠める。ん? これどっかで見た展開だな。もしかしてアミティエさんでも来たのか?
そう思い鉛玉が飛んできた方向を見てみると、そこにいたのはアミティエさんではなく妹のキリエ。
「……なんだ、まだいたのね。何しに来たの? 一人じゃ何にもできないあんたが……」
頬を抑えながらそういう言うが彼女は彼女を見据えてはっきりと告げる。
「そうだね。私はイリスやイルマに頼りっぱなしで、優しい人に甘えて沢山の人に迷惑をかけて……そこのひなちゃんにも本当に悪い事をしちゃった」
どうやらキリエさんはひなちゃんの歯を折ってしまったことを心から反省して、捕まったあと怪我した状態でひなちゃんと母親の羽鳥さんに土下座したほどだったらしい。
そしてそんな事をされたせいで、大怪我させた俺はキリエとどう話せばいいのか分からなくて困っている所です。
「だけど私は変わりたい。変わらなきゃいけないんだ!!」
「……変わる? あんたがどうやって?」
「分からないよ。どうやったら変われるかなんて。だから今の私でも出来ることから始める、イリスの誤解を解いてイルマを助けること!!」
彼女はそう言ってヴァリアントザッパーを構えると、イリスは目を細めた。
「イルマ、キリエを殺しなさい」
「っ!? イリス! イルマを操ってまで私を殺したいなら、あなたが殺しに来ればいい!! イルマにそんな事を命令しないで!!」
「私は目的を果たすためなら手段は選ばない。ほら、何グズグズしてんのよ早く行きなさい!!」
イリスの命令に冷や汗を流しながらもなんとか抵抗しようとするイルマ。
……………………。
俺は一度大きくため息を一つ吐くとイルマに言ってやる。
「これが聞きたかった事の一つ目なんだけど……イルマお前さぁ、いい加減操られてるフリするのやめろよ」
「え?」
ドシリアスな空気だったが、俺の一声でキリエが頭にハテナマークを浮かべてこちらを見てくる。
だが続ける。
「お前の正体は察しがついてる。もし俺の推測があってるんなら、お前はその程度の三下如きに操れるような存在じゃないだろ?」
「……な、何を言い出すかと思えば……イルマはユーリと同じ強さのウイルスプログラムを入れて縛ってる。ユーリほど自我を消してないとはいえそんな事は──」
「……確かにそうだな。いい加減この三下如きの小間使いをするのも疲れたし、身勝手な発言にはイライラする。いい加減金縛りを解くとしよう」
「……え?」
直後苦しんでいるフリをしていたイルマの足元からベルカ式の魔法陣が浮かんだかと思うと、白い光が彼女を包み込む。
どうやら操られてるフリではなく、いつでも解ける癖してワザとウイルスに操られていたようだ。
「ふぅ、これで自由だな。では……まずは好き勝手命令してくれたお礼だ!!」
「カハッ……!?」
直後、晴れて自由の身となったイルマはイリスの鳩尾を殴りぬき、思いっきり殴り飛ばしてスカイツリーの壁に叩きつけた。
「い、イルマ! え、もしかして本当に……?」
「あぁ、騙していて申し訳なかったなキリエ。私にも目的があってワザとイリスの支配下に置かれていた。……だが」
彼女は壁に叩きつけられたイリスを養豚場の豚を見るような目で見つめる。
「コイツの本性があまりにも醜すぎて、いい加減我慢の限界が来たんだ」
「……ハハ、何よそれ」
ゆっくりと起き上がるイリスの目は怒りで血走ったものになる。
「あなたいつでも逃げ出せるのにワザと言うこと聞いてたの? しかも理由が思惑があるから? …………ハハ、何よ……ふざけないで!!」
「ふざけているのは貴様だろう? 私を関係ないことに巻き込んで、挙げ句の果てには解放すると言う約束まで反故にした。悪政を敷くと必ず反逆する者が現れる。今回の場合それが私だっただけだ」
「っ!! みんな、キリエもイルマもここにいるやつみんなみんな排除しなさい!!」
血走ったイリスの命令で周りで待機していた量産型や上位個体、最上位個体がこちらに迫ってくる。
ったく、イルマ戦の前座かよ面倒臭え!! でもイルマもこの前座は答えなければならない分条件は同じ。
ならイルマよりも温存しながら、上手く立ち回れば──
「目標は軍隊イリスの殲滅だ! 地上本部最強の部隊の力、見せつけてやれ!! ゼスト隊、突撃!!!!」
『了解!!』
直後見知った号令が聞こえたかと思うと、量産型イリスの群れがぶっ飛ばされたかと思うと、クイントさんやメガーヌさんなどのゼスト隊の姿が現れた。
…………うん。
「だと思った!!」
「ヤッホーレオ君、救援に来たよ!!」
「あら……いいタイミングで駆けつけられたみたい」
「ほんと良いタイミングですねぇ! なんでここに、ここ管理外世界ですよ!?」
「クロノ執務官に協力を打診した。困った事があれば駆けつけると約束したからな」
そう言って不敵な笑みを浮かべるゼストさん。
あらやだカッコいい! 俺が女だったら惚れてたね!!
「クイント、俺と連携して機動外殻を一つ破壊するぞ! メガーヌ、究極召喚の使用を許可する!」
「了解! と言うわけで雑魚処理は私達に任せてね!! ……オラァ!! これは娘達をくま髭のおじさんに預けちゃう事になった分よ!!」
「レオ君達は安心して大将の首を取りなさい!! ……白天王召喚!! ウーノさんにルーテシアを預けなきゃいけなくなった怒り……あの鉄屑にぶつけてやりなさい!!」
「……助かります!!」
本当の本当にありがたい!
ゼスト隊は地上部隊で最強の部隊。量産型イリスや機動外殻になんかには絶対負けないだろう!!
「素敵な上司さん達だね!」
「うん。本当にいい上司に恵まれた。……さて、これで形勢逆転だな?」
「……っく!!」
好き勝手やってくれたイリスが今度は四面楚歌状態になる。
流石に不味いと感じ取ったのだろう。イリスは飛んで逃げようとする。
「待ちなさいイリス!!」
そんな彼女をキリエも追いかける。……アイツも魔心レプリカのレプリカを埋め込んでた。流石にキリエだけじゃ勝つことは出来ないだろう。
「ひなちゃん、行って!!」
「え、で、でもひなはれお君と……」
「イルマとイリスじゃ優先度は圧倒的にイリスだ。それに大丈夫、チンクに手伝ってもらうし絶対生きて帰ってくる!!」
「……分かった、それじゃあ気をつけてね!!」
ひなちゃんもイリスとキリエを追いかけて行った。
これでここにいるのはイルマと俺、チンクの三人。ここから先の話しはある意味チンクにも関係があるから丁度いい。
「お前は追わなくていいのか?」
「追ったら止めるだろ? 私を優先しろって」
「フフ違いない。……それで聞きたい事が二つあると言ったな? 一つは私がワザと操られていた事。もう一つは……なんだ?」
俺がイルマに問い詰めたかったもう一つの問い。
魔王の心臓のことを知っていた事。
本来魔王の血筋にしか使えない筈の魔王の遺物である魔剣を使える事。
本当の王という発言。
劣化したレプリカとはいえ、魔心を複製してしまった事。
そして何より……隠していた目が
もうここまでヒントがあるならコイツの正体は一つしかない。
「単刀直入に聞く。お前の正体は古代ベルカの魔王……俺の先祖だな!?」
「な、そ、そうなのか!?」
チンクが驚いたようにイルマを見ると、彼女はニヤリと笑った。
「正解だ!!」