見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
どうかお付き合いください。
レオ達よりも少し遅れて指揮船を出て来た俺らは、それぞれ分散して軍隊イリスを倒して行っていた。
「ヤマトくーん!」
「そっちはどう?」
「アリサ、すずか」
次のエリアに飛ぼうとしていると、二人で行動していたらしいアリサとすずかがやって来る。なんでも偶然見つけたから声をかけたんだと。
「目につく奴らは軒並み倒したけど……やっぱり本体を叩かないと終わらないだろうな」
「やっぱり? そうなるとやっぱりイリス本体を倒せば良いんだろうけど……」
「見つけられれば後は簡単なんだ──」
ドォン!!
直後近くの河川敷の橋の方で爆発音が聞こえた。
「っ!!」
「今のって……!!」
「一応見に行ってみるぞ!!」
◇
後のした方はすぐそこだったので一分もかからずに到着する。
そこにいたのは、武装局員を攻撃するユーリの姿……。
「ユーリちゃん……」
「……見つけたわね」
あぁ、ユーリは第一保護対象。エンカウントしたら、必ず正気に戻して保護してやらないといけない。
ユーリは朝とは違い胸に魔心を埋め込まれてしまっているけど、ちょっと無茶すれば行けるか?
「すずか、近くにイリスとかはいる……?」
「えっと……いないよ。隠れてるのかな?」
「どうだろうな『大変だよみんな!!』っ!? どうしたひな!」
突如レオと一緒に行動していたはずのひなから、魔導師組に一斉連絡が入る。
ひな曰く、イリスを発見したこと。
レオの指示によりイルマはレオと途中で合流したレオの妹のチンクに任せて、ひなはキリエと一緒にイリスを追っているらしい。
『今度の今度こそ逃したくないから、手の空いてる子は誰かごーりゅーして!!』
イリスは黒幕だ。だからここは俺が合流した方が良いだろうけど、ユーリをこのままにしておくわけにもいかない。
どうしたものかと考えていると、はやてとアリシアから念話が来る。
『了解や! 今度という今度こそは夜天の書を取り返す!! ちょっと待っててな!!』
『了解! ひな、すぐ合流するから待っててね!! フェイト、ここお願いね!!』
『う、うん! 任せて!!』
「……イリスの不意打ちに注意する必要はないみたいね」
「そうだね。それじゃあヤマト君……」
一度戦った相手だ。フォーミュラを得た俺たちなら三人でも充分倒せる相手……ってわけでもないようだ。
ユーリの胸に白い水晶……魔心が埋め込まれているのだ。これ自体は量産型でも埋め込まれたやつがいたのだが、埋め込まれたやつの力は埋め込まれていない量産型と比べてもかなり強かった。
ならば素で強かったユーリはもっと力が底上げされてしまっているはずだ。
「……正直キツイかもな。……でもその分無茶すればなんとかな「お前らもユーリを見つけたか」あ、王様にシュテルにレヴィ」
背後を見ると、そこにいたのはディアーチェ、シュテル、レヴィの三人だった。
俺らがひなの念話を聞いている間にこの三人もユーリを見つけたようだ。
「ユーリは我々で助ける。先に見つけたお前らにいうのもなんだが、下がっていろ」
「ちょ、待って王様。見て、ユーリちゃんの胸!」
「はぁあああああああ!? ユーリの胸を見ろって一体どこを見てるんだ貴様ぁ! その目見えなくしてやろうか!?」
「え、えぇ!?」
すずかがユーリの胸に埋め込まれた魔心の存在を教えようとしたが、直後顔を真っ赤にして怒り出したディアーチェ。
どうやらあの短時間ではやての悪影響を受けてしまったようだ。
「良いから見る!!」
「く、首が!? き、貴様折れたらどうするんだ! 我は王なのだからもっと丁寧に……ってあれは」
これは後ではやてとO☆HA☆NA☆SHIが必要だなと考えていると、アリサがディアーチェの頭を掴んで無理やりユーリの胸を見せと、文句を言っていたディアーチェも彼女の胸に埋め込まれた魔心の存在に気づいた瞬間に顔色を変える。
「あれは……」
「魔王の心臓って言うロストロギアの複製体よ。あれでユーリの力は強化されてる」
「ユーリちゃんを確実に助けたいなら、一人よりも多い方が良いよね?」
ディアーチェも魔王の心臓をユーリに埋め込まれてしまっていたのは予想外だったようで舌打ちを一つ。
「……仕方がない。足は引っ張るなよ!」
「そーだそーだ、引っ張るなよー?」
「ヤマト、アリサ。あなた方二人の力は相手をした私がよく知っています。期待してますよ?」
ディアーチェとレヴィは受け入れてくれたシュテルを見習うべきだと思う。
その後ディアーチェの指示通りにユーリ包囲網を形成する。これで万が一にユーリが不利になっても逃げる事は不可能という寸法だ。
……まぁユーリは逃げるつもりは微塵もないようだけどな。
「私達の過去とあなたの今を取り戻す為……」
「ちょっとだけ我慢してね」
「行くぞユーリ」
『敵性存在6基排除します』
ユーリはベルカ語でそう言うと、サブアームを複数展開して、それぞれ一人一個に襲い掛からせる。
グラディウスで受け止めてみたが、サブアームの表面に魔力のバリアが貼られているようだ。
バリアを張る事でサブアームはより堅牢に、より破壊力が増すってか……だがなぁ。
「バリアを張るくらいじゃ、俺は倒せねぇ! 【斬撃強化】、【干渉貫通】!!」
グラディウスの魔力刃を展開して、言霊で斬撃強化とユーリにかけられた言霊対策貫通を付与して、一振りでサブアームを真っ二つにする。
そのまま近くで戦っていたディアーチェのサブアームを破壊すると、ディアーチェは「よくやった」と言って杖を構える。
「《アロンダイト》!!」
ディアーチェの黒い魔力砲がユーリを襲うが、彼女はシールドを盾にして逃れてしまう。相手が防勢に出るのなら、守りが壊れるまで叩き続けるだけだ。
みんなで砲撃や近接攻撃を使用してユーリに攻撃を加え続ける。
……今だ!
「【出力強化】【爆発】《ローグ・ルインズスラッシャー》!!」
「あぅ!?」
連続攻撃でシールドに負荷がかかりすぎてヒビが入った瞬間に、グラディウスの魔力刃をシールドに飛ばす。
それはユーリを守護していたシールドに当たった瞬間に大爆発を起こして、爆発に巻き込まれた衝撃でシールドは粉砕、ユーリも体勢を崩す。
「今だ!!」
「オッケー! 雷光招来!!」
レヴィがそう言って手を空に掲げると、空から水色の落雷が落ちる。
「ぐうぅ……《雷神槌》ッ!!!!」
どうやらこの技はレヴィもダメージを受けるようで、苦悶の表情を浮かべながらも手に集めた雷を砲撃として撃ち出す。
直接の攻撃に悲鳴を上げるユーリ。
「きゃぁああああああああああああ!!」
「ユーリ、ごめんね。痛いよね!」
「ユーリを操作しているのは、フォーミュラによる強制行動プログラム!」
「連続攻撃で負荷を与え続ければ、ユーリを縛っている物は灼き切れる!!」
「っ!? まだだよ!!」
「そう簡単には行かないようね!!」
アリサとすずかはそう言ってユーリを見つめる。
二人はレオのところでデバイス技術を学んでる分、魔法への理解力はレオには及ばないまでも俺達以上。
そんな彼女達曰く、前戦ったときとは違い連続攻撃の負荷ではユーリの意識を取り戻す事は出来なさそうなのだと言う。
「おのれ、イリスめ!!」
「ど、どうにかならないの〜!?」
「……待ってください。そう言えばヤマト、あなたは銀髪の……えっと……誰でしたっけ? まぁその人から何か受け取っていませんでした?」
シュテルが俺にそう問いかけて来る。いや接点がなかったせいかは知らないけど、レオの名前覚えてもらえて無いじゃん。レオここにいたら絶対泣くぞ?
だがシュテルの発言で出撃直前のレオとの会話を思い出した。
『ヤマト、これ預けとく』
『これって?』
『カートリッジシリーズの新作でございます! ユーリちゃんの洗脳が思った以上に酷い時はこれを守護騎士戦の要領で使えばなんとかなるかも。時間なくて一個しか作れなかったから、気をつけて使えよ?』
『分かった。でも一個しか無いならお前が持ってた方がいいんじゃ無いか?』
『バッカお前、ヒロインを助けるのはオリ主の仕事じゃねぇか。大体こういう時はユーリちゃんの所にヤマトが辿り着く確率が高いんだ。良いからもっとけ!!』
………………。
レオって未来が見えてたりすんの? ……そう言えば忘れてるとは言え原作知識があったっけ?……いやいや流石にこれは原作知識関係ないな。
ま、まぁいいや。でもそういう事なら……!!
「みんな、なんとかなるかもしれない! ユーリに砲撃を撃つから、彼女の防御をもう一回崩してくれ!!」
その言葉に頷いたみんなは、一斉にユーリに襲いかかる。
そしてその間に俺はグラディウスの剣と銃を合体させてブラスターフォームにして、レオ特性のウイルスバスターカートリッジを一つロード。
「今よヤマト!!」
「おう! 《ローグルインズスマッシャー・フルバースト》!!」
「あぁああああああああ!!」
みんなが再び再生したサブアームなどを破壊してくれた隙に、ウイルスバスターカートリッジをロードして放った砲撃魔法がユーリを飲み込む。
それで彼女は意識こそ失わなかったが、ペタリと膝をついた。
「うぅ……シュテル……レヴィ……ディアーチェ……」
「「「ユーリ!!」」」
どうやら意識を取り戻してくれたようだ!!
〜おまけ〜
言霊でなんとかなったんじゃないの?
〜事件が終わった後〜
「ヤマト」
「どうしたシュテル?」
「あなたは言霊がという能力を持っていると聞きましたが、それでなら戦わずともユーリの洗脳を解く事が出来たのでは無いですか?」
「いやいや、イリス達は対策して来て……そう言えば干渉貫通で無理矢理突破してたじゃん。……俺バカだ。言霊でなんとかなったじゃん!!」
「意外とウッカリさんなんですね」