見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
ひなは今イリスさんを追っかけていた。
あの人がいるとリュウヤ君と同じくらい大変な事になっちゃう!
れお君と一緒にイルマさんと戦えないのは残念だけど、あの人だけは絶対にここで捕まえないといけないんだ!!
念話でみんなを呼んだら、はーちゃんとシアちゃんが来てくれるけど、来る前に取り押さえちゃうもんね!!
「いい加減にしてよイリス! 逃げてないで話を聞いてったら!!」
「うるさい……《アクセラレーター》!!」
「っ! 《アクセラレーター》ッ!!」
あ! キリエさんもイリスさんアクセラレーターを使うの!?
あぁ、置いていかれちゃった! もぉ、あんなの使われたら追いつかないよぉ……待って? そう言えばアクセラレーターってフォーミュラの能力だったよね? ならフォーミュラを搭載したひななら使えるんじゃないかな?
「よーし、いくよホープ! 《アクセラレーター》!!」
アクセラレーターを使うとひなの身体が光り出す。
よーし、後はこれで……っ!?
「わぁ、すっごい速い!! これなら追いつけそう!!」
すごいすごい! エンジェルウイングを使わないでこんなに速く動けるならエンジェルウイングを使ったら……わぁ、もっと速くなったよ!!
「え、ひなちゃん!?」
「っ!? 桃崎ひなですって!? まさかアクセラレーターを使って……」
「追いついたよイリスさん!!」
イリスさんは諦め悪く逃げようとするけど、今ならひなの方がずっとずっと速い!!
追いついてイリスさんの足を掴んだひなは、振り払われる前にひなの身体ごとくるくると回転する。
「な────っ!?」
「いい加減に……しなさーい!!」
「ガハッ!?」
そして回転の勢いをつけて思いっきり近くにいた大きなロボットに投げつけると、勢いをつけすぎちゃったみたいで、追突の衝撃でイリスさんが当たった装甲が歪んじゃって、ロボットも倒れちゃった!!
「えっと……やりすぎちゃった?」
「う、うん。ちょっとやりすぎかな……? イリス、聞こえるー?」
「イタタ……やって、くれるじゃ無いの……!!」
「痛い? でもユーリちゃんはもっと痛そうだったよ? 我が身をつねって、ユーリちゃんの痛さを思い知りなさい!!」
痛そうな顔で再び飛び上がるイリスさんにそう叫ぶ。
これは入学直後になのちゃんがアリサちゃんに言ったこと。なのちゃんの受け売りで、ひな自身じゃ良い事言えないのは悔しいけど、今のイリスさんはこの言葉の方がいいよね?
でもひなの発言を聞いてイリスさんはプルプルと震え始める。
「……たい……しの……よ」
「え?」
「……痛いのは私のほうよ!! …………委員会のみんなを……私自身をユーリに殺されて……痛いのは私なのに…………アンタみたいな子供が……分かったような事を……言うなぁああああああ!!」
怒っちゃったイリスさんがひなに斬りかかってきた!!
咄嗟に防御しようとすると、キリエさんがひなを守ってくれる。
「落ち着いてイリス……それは誤解よ!!」
「誤解、私が間違ってるって? ……ふざけないで!!」
「私はふざけてない!」
そう言ってキリエさんはイリスと鍔迫り合いをしながらも、叫ぶように彼女に伝える。
「全部分かったの、イリスの過去もユーリの事も!!」
キリエさんがそこまで言うと、イリスさんが空いた右手に装備した銃をキリエさんに向けるけど撃たせはしない!
「《フェザークロス》!」
羽糸で作ったリボンでイリスさんの銃を絡め取って奪い取る。
こんな危ないもの没収だよ没収!! こんなものポイして……あ、ポイ捨てしたらママとリニスに怒られちゃう。懐にしまっておこう。
「くっ!? 本当に厄介ね!!」
「てぇええええい!!」
「ぐっ!?」
搦手がなくなり、キリエさんと鍔迫り合いをするしか無くなったこの状況。
でも鍔迫り合いをしている最中、合流してきたシアちゃんにフォーチュンザンバーの腹を思い切り叩きつけられて、またロボットに叩きつけられちゃったイリスさん。
「ついでや! 《クラウソラス》!!」
「チッ!!」
そしてロボットに叩きつけられたと同時に、はーちゃんの魔法がイリスさんを追撃する。
二人とも……うぅん、リーンお姉ちゃんも含めて三人が到着したみたい! これなら5体1で確実に止める事ができるね!!
「ここで増援が来るなんて……!!」
「それだけ沢山の人を敵に回したって事だよ!!」
「そうやそうや! と言うわけでさっさと夜天の書返して貰おか!?」
「あぁ、あの本を奪った事は絶対に許さない。主の魔法の餌食になるか、パイルバンカーで風穴開けられるか……選べ」
『お姉ちゃんちょっと物騒すぎです』
シアちゃんもはーちゃんもやる気満々みたい。
まだお話ししたそうなキリエさんには悪いけど、いつまでも時間をかけるわけにはいかない。早く捕まえてその後に誤解を解いてもらおう。
そう思ってミラクルホープを構えると、イリスの近くにモニターが展開する。
そこにいたのはクロ君だった。
『もうここらで良いんじゃ無いか? 制圧は順次進行している。出来る限りの配慮はする。……一応君の為にも言っておくが、彼女らに酷い目に遭わされたくなければ、抵抗は止めて投降してくれ!!』
「……脅してるつもり?」
「脅しだと思ってるなら、やってもええんやで。有刺鉄線でぐるぐる巻きにして、そのおっぱい引きちぎるくらいは出来るんやからな?」
『ああもうはやて! 怒ってるのは分かるが一旦後にしてくれ!! ……各地での戦闘報告を受けて疑問が出てきた。君が目的と言って決めた行為は……本当に君が決めたことか?』
クロ君のその言葉にイリスさんは一瞬目元が揺らいだけど、すぐに元の調子に戻る。
「…………ユーリが過去を漏らしたんでしょ? 私はユーリを恨んでるし、自分の過去も『本当にそれだけか? 君はユーリの意思を奪って操作していた。でも
クロ君のその言葉に明らかに動揺を見せたイリスさん。
それを見たキリエさんは静かに彼女に話す。
「イリス聞いて。ユーリが繋いでくれて……故郷のママが教えてくれた。イリスは過去の出来事を誤解してる。……うぅん、誤解させられてる」
キリエさんはそう言うと懐から一枚の石板を取り出した、イリスさんに投げ渡す。
イリスさんも無言でそれを受け取った。
「ユーリが鍵を残してくれたの。この世界とエルトリアを繋ぐ鍵を……それでエルトリアにいるママと通信が出来た。調べてもらったの、惑星再生委員会の事もイリスの事も……。委員会崩壊の日に何が起きたのか……。これがあの日の記録」
キリエさんはそこまで言うと、石板から一枚のモニターが浮かぶ。
あの中にお昼に見たイリスさんとユーリちゃんが喧嘩しちゃった本当の真相があるの?
……ここは見てる隙に不意打ちでもして捕まえた方がいいんだろうけど、仮に真相があるならちゃんと見せて、誤解だって分かった上で投降してもらった方がいいかも。
「ちょっと待ってあげよっか?」
「ん〜、ここで変に捕まえようとして誤解が解けなくなったら問題だしね。はやてもそれで良い?」
「イリスには前科があるから正直不安なんやけど……まぁええわ。私らは怪しい動きとか周りとかに最大限の警戒をしながら様子を見守ろ」
急にイリスさんが逃げないように、周りから誰かがイリスさんの救援に来てないかの確認などを最大限に注意しながらイリスさんを見守る。
イリスさんもこちらに注意をしながら、石板を読み進めていたけどだんだん顔色が悪くなっていき、やがて顔が青くなって来た。
「……え? ……なに……これ」
「き、キリエさん。あの石板には何が書かれてたんですか?」
「それはね……」
キリエさんから、石板に書かれてあった真相を聞こうとすると、ホープからアラームがなる。これは緊急連絡のアラームだ! 何かあったのかな!?
『みんな、大変だよ! ユーリちゃんを救出したヤマト君が謎の男性の襲撃に遭ったの!! ヤマト君が上手く立ち回ってくれたおかげでユーリちゃんは無事に本局で保護できたけど、彼が黒幕の可能性が高い! ヤマト君のデバイスが撮った顔写真を送るからみんな注意して!!』
そう言ってモニターにフォーミュラの武装をした男の人の写真が写る。え……この人って確かお昼に見た映像に出てたイリスさんを作ったって言う博士?
え、て事はイリスさんは黒幕じゃないの!?
チラリとイリスさんの方を見てみると、モニターの写真を見たイリスさんは顔を更に青くして、石板を落としてしまっていた。
「しょ……所長……?」
「これが真相よ。イリス」
顔を青くしてガタガタ震えるイリスさんの肩を掴む。
「あ……あぁ……」
「もうやめてイリス! あなたは利用されてるの、投降してみんなに謝ろ!!」
「き……りえ……っ!?」
直後、イリスさんの顔色が変わり、突如胸を抑えて苦しみだす。
「あ、あぁ、あぁぁぁあああああああああ!?」
「ちょ、イリス──キャア!?」
「キリエさん!!」
「あ、ありがと……」
イリスさんの近くにいたキリエさんは、苦しみ出すと同時に魔心の魔力を暴走させ始めたイリスさんに吹き飛ばされてしまい、咄嗟にひなが受け止めてあげた。
こ、これって……うぅん、驚くのは後。今までやりたい放題して来た悪い人とはいえ、まずは助けてあげないとね!!
ひなちゃん編は一旦ここまで!!
次回もう一回ヤマト君編をやってからレオ君サイドで魔王と決着つけて、その後ひなちゃんサイドをやります!!
因みに黒幕ではなかったイリスですが、好き放題やった分はちゃんと痛い目にあってもらう予定なので悪しからず。
〜おまけ〜 いい事ってするもんだなぁ!!
ヒュー……
「ヒュー? あでぇ!?」
「あー!! ドクターの頭になんかよく分からん青い石板が落っこちて来た!!」
「ほぉ、あの石板ドクターに傷をつけるとは中々の実力……ならばこの私が握りつぶしてやろう!!」
「なーにバカな事言ってるのトーレ? ……ドクター、ちょっと頭見せてくださいねー。……あちゃー、タンコブできてますね。一旦結界を出て近くのコンビニで氷でも買って冷やしましょうか」
「ぐぉおおおおお……最近悪いことしてないのに……ってこれは!?」
「ん? この石板がどうかしたのドクター?」
「この石板……全く未知の技術で作られてる! これはもしかしてエルトリアの通信端末!? 量産型や最上位個体よりもレアものじゃないかヒャッホウ!!」
「おおう、ドクターが変なテンションになっちゃってるよ」
「そうか? 私もプロテインをキメたら大体こうなテンションになるぞ?」
「トーレあなたね……ドクター、コンビニに氷買いに行きますよ?」
「お姉様ぁ! コンビニで氷買って来ましたよ!! いい子いい子してください!!」
「あら、ありがとうねクワットロ。あなたは優しい子ね」ナデナデ
「ウヘヘヘ、ドゥーエお姉様のナデナデ……あ、頭が孕むぅ!!」
「天からこんなレアものが降ってくるだなんて、きっと日頃の行いが良かったからだ!! ……待てよ? という事は常日頃からもっといい事を……聖人のように振る舞えばもっともっと良い事が起こるのでは……ならば全力で良い子になろうでは無いか。聖人になってやろうでは無いか!! と言うわけで、研究材料も必要な数ゲッチュしたし、聖人らしく困ってる局員を救援に行くぞぉおおおおおお!!!!」
「救援か! よし、一番強いやつの首……私がへし折ってやろう!!」
「あ、ドクター、まだ冷やしてる途中なんですから動かないでください!!」
「あぁん、お姉様ぁ! もっとナデナデしてぇ!!」
「……何このカオス空間?」
セインはこの日、初めて家出しようかなと思った。