見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
アリサちゃんとヤマトに思いっきり殴られたり、蹴られたり、踏まれたりと生きるか死ぬか分からないほどの壮絶なお仕置きを受けた後、金髪の女の子を連れてすずかちゃんの屋敷まで移動した。
どうやらすずかちゃんのベッドで寝てるこの子の素性を知っていたらしいリニスが説明をする。
「この子はフェイト。私のかつての主人の娘で私の教え子だった子です」
「てことはフェイちゃんはひなの、姉弟子さんなんだ」
あれ? いつの間にかリニスにひなちゃんの先生の座を奪われてる?
ちくしょう、どうしてやろうかこのヤマネコ。
「私がこの子に魔法を教え、すずかの持っているこのバルディッシュを作ってあげたんです」
「つまりアンタが諸悪の根源なわけね。どうしてやろうかしらこのヤマネコ」
「よし、処すか」
「考え方が極端すぎだろう?」
「リニス虐めちゃ、め!」
手をわきわきとさせてリニスににじりよる俺とアリサちゃん。そしてそんな二人の魔の手からリニスを守るひなちゃん。ひなちゃんに免じて今回だけは許してやろう。
「……ん」
あ、目を覚ました。
フェイトちゃんが目を覚ましたのを確認したリニスの足元に魔法陣が展開され、たちまち人型になりフェイトの元へ駆け寄った。
「フェイト! ……ああ、よかった」
「……え、り、リニス? てことは私、死んじゃったの?」
「フェイトは死んでなんかいません。ちょっとした縁で別の人の使い魔として生きながらえることが出来たんです!」
「そ、そうなの? ……生きててよかったリニス!」
「フェイト!」
抱きしめ合う二人。
感動的な雰囲気のところ悪いが一ついいだろうか?
リニス。お前人型になれたんだな。人の姿初めて見たよ。
「よかったねぇリニス……」
「感動の再会なの……」
「リニス嬉しそうね」
「リニスさんに取っては大切な教え子との再会だもん。嬉しいなんてものじゃ無いと思うよ」
「……俺も少しばかりジワリと来たぞ」
みんなはリニスが人型になれると知っていたようで、感動の雰囲気に当てられみんなが涙を流していた。
なんだこの疎外感?
『ドンマイマスター』
(別の意味で泣きそう)
「……それで? なんですずかの猫を虐めたのかしら? 返答によっては私たちがアンタを虐めるわよ?」
「いや、怖えよ。何する気だよ?」
リニスと感動の再会を終わらせたフェイトにアリサが問い詰める。
虐めるという単語に危機感を抱いたのか、自分のポケットをまさぐり……
「……あれ?」
そのご身体のあちこちを触り何かを探している。
「あれ? ……あれ? …………あれれ?」
もしかして……
「お探しのものはこれですか?」
「あ、返して!」
すずかちゃんから預かっていた斧型デバイスを見せつけると、フェイトちゃんは焦ったような表情をする。
そりゃあこれ無いとほとんどの魔法使えなくなるし焦るのも当然だよな。
「動かないほうがいいわよ? このデバイスは人質、少しでも黙秘したり抵抗しようとしたら、レオにこのバルディッシュを分解してもらうから」(ゲス顔)
「あ、分解した後使われてる部品とかは他のデバイスに流用するから安心してネ」(ゲス顔)
「う、うぅ……」
「「「「うわぁ……」」」」
おっとみんなが盛大に引いてるぞ。
そしてすずかちゃんが恐る恐るアリサちゃんに苦言を呈す。
「流石にやりすぎだよアリサちゃん。メイを傷つけたのは怒ってるけどもう仕返ししたし、何か事情があったのかもしれないよ? だからもうやめようよ」
「……すずかがそう言うなら」
渋々引き下がるアリサちゃん。
俺としてはバルディッシュに割と貴重な素材が組み込まれてるから、分解して手に入れたかったんだが、流石に空気を読んで分解用の機材をしまう。
「レオ君。バルディッシュを貸して欲しいの」
「ん、ほい。尖ってるところあるから気をつけて」
なのはちゃんにバルディッシュを渡してやると、この子は何を考えたのか泣きそうになっていたフェイトちゃんに返還してしまった。
「ごめんねフェイトちゃん。でもどうしてあんな事をしたのか聞かせて欲しいな。話してくれないと分からないこともあるから……ね?」
フェイトちゃんはしばらくなのはちゃんの顔を見つめると、ポツリポツリと話出した。
なんでもフェイトの母親がジュエルシードを欲しているらしく頼まれるがまま集めているらしい。
しかもタチの悪いことにジュエルシードを手に入れるためなら敵対した人を倒せとも言われてるんだとか。
本当は戦いたくは無いらしいがジュエルシードを持ってくれば昔のような優しい母に戻ってくれるはずだから、なんとしても誰を敵に回しても母の願いを叶えたいのだと言う。
(なぁレオ)
(なんよ?)
(この事件の黒幕絶対フェイトの母親だろ?)
(そう。忘れてるけど多分そう)
どうするかなぁ。
今の話が本当ならば彼女はジュエルシードを狙っており、そのためなら俺たちとの敵対も辞さないらしい。
さすがに敵になる人を野放しにすることはできない。踏み台その1のように被害が拡大するかもしれんし。
ならとれる選択肢は
①見逃す。
②デバイスだけ没収する。
③ジュエルシードを集められないように、拘束しておくまたは怪我させる。
のどれかか
(どうする? 俺としては今のうちに無力化したほうがいいと思うけど)
(うーん、私は反対かな。お話してそれがダメならぶつかり合ってでも、分かりあっていきたいの)
(なのはちゃんに賛成。なんとか分かり合えないかなあ)
(お友達になればいいと思う!)
(それができるなら苦労しないわよ。うーんどうしようかしら……?)
しばらくみんなと見つめあうと一同せーのでヤマトのほうを見る。
(どうした? 俺の顔をじっと見て)
(説得任せた)
(なんで俺なんだよ)
そりゃあお前がハーレム物の主人公だからだよ。
フェイトちゃんを惚れさせて味方に引き入れるんだ!
ヤマトは面倒くさそうに溜息を吐くと、フェイトのほうを向き直る。
「フェイト。手を組まないか?」
「手を?」
「フェイトはジュエルシードを集めたい。俺たちはジュエルシードを封印して街の平和を守りたい。ならば俺たちが敵対するよりも先に協力してジュエルシードを集めよう。取り分はフェイト半分俺たち半分だ」
「……でもジュエルシードは渡せない」
「それこそジュエルシードを全部集めた後に、21個のジュエルシードを賭けて戦えばいい。そうだな……俺たちは6人いるしフェイトが誰と戦うかを指定してそいつと1対1で戦う。そして勝ったほうがすべてのジュエルシードを手に入れる。なんてどうだ?」
こいつちゃっかり俺たちを巻き込みやがったぞ。
いやまあいいんだけど。もし俺が指定されても勝てばいいんだし。
なのはちゃん達も同じ気持ちなようで、納得したようにうなずいている。
フェイトはしばらく俯き考え込んでいたが、やがてヤマトの顔を見てうなずいた。
「分かった。金髪の男の子が邪魔してジュエルシード集めもうまくいってないし、これ以上母さんの悲しむ顔は見たくない。だから手を組むよ」
「決まりだな」
流石だな。
別に惚れさせたわけではないがお互い良い落としどころに持って行ったのではないだろうか?
それにしても踏み台のほうの金髪はフェイトちゃんにまでちょっかいをかけてたのか。全く迷惑なやつだよ。
「あんたもリュウヤに悩まされてたのね。なんか嫌なことされてない?」
「だ、大丈夫。嫁とか言ってきたり、ジュエルシード集めないといけないのに遊ぼうってしつこく言ってくるだけだから」
「フェイトちゃんも苦労してるんだね……」
金髪に対してヘイトを持っていたのは俺たちと同じなようで、思いの外早く女性陣と打ち解けていたら。
あんまり仲良くなりすぎると、敵対した時が辛いと思うんだけど……まぁ、決着ついたら仲直りすればいいか。
「……なんだか勝手にジュエルシードを賭けられたんだけど」
「……なんかすまんねユーノ君」
「いや、まぁ探してもらってるのはこっちだからいいんだけど……」
今回の一番の被害者は勝手にジュエルシードを賭けに出されたユーノ君であったとさ。
フェイト・テスタロッサが仲間になった!