見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「フッ!!」
「ぐっ!? ぐぉおおおおおおお……!!」
イルマが脳天をかち割ろうと振り下ろして来た魔剣をアースカリバーで防ぐ。
っ!? この俺を持ってしても重いって感じるとは……一体どんな踏み込みしてんだこいつ!?
「兄上!!」
「ふむ」
とっさにチンクが投げナイフを投げてくれたお陰でイルマは即座に離脱するが、あまりの重さで踏ん張っていた地面が沈み込んでしまい足を取られる。
「ではこのナイフは兄の方に返すとしようか!!」
「っ! しま──」
「チンク、もう遅い! 爆発させるな!!」
イルマが素早く落ちた投げナイフを拾うと、チンクは即座に起爆させようとするが爆破する前に俺の方へ投げて来やがった。
もしチンクが爆発させてたら俺の目の前で起爆、爆発に巻き込まれてダメージを受けてただろう。
でも爆破が無いならこの投げナイフ、利用させてもらうまでよ!!
雷の魔力で磁力を発生させて磁力で投げナイフの速度を殺してやる。
「っ!? ほう、そういう止め方をするか」
「これが本当のマグネキャッチってなぁ! そしてそのまま──」
「やらせるとでも? そんなもの解析をっ!? ……解析対策をしていたか!!」
ええ、対策しましたとも!! どんなにセキュリティ張っても解かれるのだから考え方を変えて、地球の住民ではないお前ではまず読むことができない地球のプログラミング言語でセキュリティ張ったんだよ!!
と言うわけで、動揺している隙にくらえ、一度は使ってみたい大技10選の一つ!!
「《レールガン》ッ!!」
「カハッ!?」
磁力により空中で止まっていたナイフを180度回転させると、電磁加速させて超高速でナイフを返してやる。
イルマにとってもあれほどの急加速は予想外だった様で、対応しきれずに見事に腹に風穴が空いた。
御坂美琴の得意技TUEEE!! とある科学の超電磁砲ありがとう!!
「ぐ……なかなかやるじゃ無いか。……だが貴様は局員だろう? そんな殺意マシマシで戦って良いものなのか?」
「嫌なら潔く投降してくれていいんだぞ? そしたらご先祖に手をかけずに済む」
「抜かせ、お前みたいな腑抜けに負けるほど耄碌はしてない。……それでは今度はこれを使ってみようか」
イルマはそう言ってパチンと指を弾くと、闘技場に一体の機動外殻が現れる。
「なんだ? 不利になったら、ロボに任せて逃げるのか? 俺が腑抜けならそっちは腰抜けだな」
「フッ、こうするのさ!!」
煽り返してやったもののうちの先祖は王にしては煽り耐性がある様で、涼しい顔で受け流すと魔剣で機動外殻を斬り刻んでしまった。
そしてサイコロステーキ状に斬り分けられた機動外殻だった鉄塊をこちらに……あぁ、そういう。
「チンク、ちょっと失礼!」
「わっと!?」
イルマの凄まじい脚力で蹴り飛ばされた鉄塊チンクを抱えて回避すると、俺がいた場所に鉄塊が到達した瞬間大爆発を起こす。
「な、これはランブルデトネイター!? ……そうか、私のISは……」
「そう。元は私のレアスキルだ」
「その上鉄塊は重いから、磁力程度じゃ速度を殺すことができても止め切ることは出来ないってか。流石にちょっと近づくのは危険か? 鉄塊が無くなるまでは避けに徹して「いや、私に任せてくれ」チンク……」
どうやらこの状況はチンクがどうにかするするとのこと。ならばチンクに任せようかな。
「ほう? いい度胸だ。ならばもう一人の子孫、チンク。貴様から倒すとしようか」
「こんな私も子孫と言ってくれるなんて光栄だな!」
イルマはそう言って近くにあった鉄塊をもう一度蹴り飛ばす。
それに対してチンクが行ったのは鉄塊に投げナイフを投げること。いやいやこれで威力を殺すことは出来ないだろ!?
俺がすぐさま救援に向かおうとするがチンクに手で制されたため、これは作戦の一環らしい。
「転送!」
「っ! ほう、そう来るか!!」
鉄塊がチンクの目の前まで来てあとコンマ一秒で当たると言うタイミングでチンクは鉄塊を転送魔法でイルマの背後に飛ばす。
だがチンクが何か仕掛けて来るのはイルマも予想していた様で、あっさり避けてしまった。
しかしイルマが避けたタイミングでチンクは指をパチンと弾くと……
「な──」
直後爆発音。
チンクが飛ばした鉄塊が爆発。イルマはプロテクションを張ってそれを防いだが、残っていた鉄塊も突如として爆発を起こし、最終的にイルマのいる地点は大爆発を起こす。
「……私も日々精進している。兄上を参考に間接的にでも触ることが出来れば、それも起爆対象になる様にスキルを改良したんだ」
「なるほど、投げナイフを一度鉄塊に当てたのは、間接的に触れる為。イルマがまだ蹴ってない鉄屑も、爆発で崖立った鉄片が触れることで連鎖したってことか」
「そう言うことd「お喋りとは余裕だな?」っ!?」
はいはい、させませんぜ?
爆破の衝撃を推進力に利用したイルマが高速で距離を詰めてチンクに斬りかかろうとしていたが、魔王があの程度でやられるとは思ってない。
何か仕掛けて来るのは予想出来ていたため、魔剣をアースカリバーを受けて再び鍔迫り合いになる。
「なら今度はフォーミュラも使ってみようか?」
「ならお前はブラスター食らえよ?」
奴は空いた左手でエルトリア製の銃を取り出してこちらに突きつけて来るが、俺もサブアームに取り付けたMブラスターを彼女に突きつけていた。
「……ふむ、ならばせーので撃ち合ってみるか?」
「いいじゃねえか。そう言うの好きだぞ」
「「せ──」」
直後俺と同時に引き金を引くイルマ。
「お互いせーのと言い切る前に撃つとは……ってそんなこと言ってる場合じゃ無い! 無事か兄上!?」
俺は鉛玉を、イルマは砲撃を食らってお互いぶっ飛ばされてしまった。
いつつ…………ん? メチャクチャ左目が痛い。それに見えない……。くそ、潰されたか。
「っ!? 兄上、目が!!」
「大丈夫、右目が残ってる。それにいつでもカートリッジで回復可能だ」
「ならば回復したらどうだ? カートリッジを使わせるために敢えて左目を狙ったのだからな」
エゲツない。流石魔王、やることがエゲツない。これが可愛い子孫にやる事か貴様ァ!!
あとカートリッジはまだ使わないぞ。俺は回復アイテムとかは使うのを躊躇ってしまうタイプ……ラストエリクサー症候群だからなぁ!!
「ラストエリクサー症候群の割には任務とかでも結構使ってる気がするが……? 兄上、流石にこれは痩せ我慢してないで使った方がいいんじゃ……」
まぁラストエリクサー症候群ってのは嘘。
本音で言えば、コイツとの戦いで一番避けなきゃいけない事は、ここでフェニックスカートリッジを使い切ってしまう事だからだ。
イリスと真の黒幕が倒れてないなら、イルマをぶち転がしてもそれで事件解決にはならないからな。
「ならば今度は右目を潰そうか!! 流石に視力を失えば使うだろう!?」
そう言って再び俺と距離を詰めて、鍔迫り合いを演じるイルマ。
「アンタ本当にエゲツないなぁ!? そんなんだから聖王様に国を滅ぼされるんだよぉ!!」
「や、やかましい! なんだ聖王のゆりかごって? 流石にあれはお前の世界で言うところのチートってもんだよ!! と言うか聖王様!? 貴様我が子孫のくせして聖王を崇めているとでも言うのか!?」
「やかましい! 誰を祈ろうが俺の自由じゃボケェ!!」
どうやらイルマは煽り耐性はあれど、聖王様ネタは地雷の様だ。ほら見ろ。先ほどまで余裕の表情が崩れてるぞ?
「誰を祈ろうと自由と言うが普通先祖の仇を祈らんだろ!! オリヴィエのやつよりも私だろ普通!? 私は先祖、もう少し敬ってくれてもいいんじゃないか!?」
「じゃかあしい!! 遺産受け継いだ人の性格が気に入らないからって、わざわざ生き返ってまでここまで悪質なちょっかいかけて来る老害なんぞ誰が敬うか! この際お前をぶち転がした後はその魔剣を聖王教会に寄付してやらぁ!! うっかり聖剣壊しちゃったからその代わりにはなるだろうよぉ!!」
「なんだと貴様ァ!! ……え、聖剣を壊した? それってもしかして聖剣リディル? え、私にとって因縁があったあの剣……壊したの?」
「いや、俺の事覗いてたくせに、なんでそのシーンだけ見逃してんだよこのストーカー」
「あ、あの……兄上もイルマも口喧嘩は後にして早いところ決着をつけないか?」
「「ハッ!!」」
鍔迫り合いも忘れてお互い罵り合っていた事に気がつき距離を取る俺とイルマ。
いけないいけない、あれだけの事をしておいて敬えなんて言うもんだからついついカッとなってしまったよ。
「ふぅ、口喧嘩はここまでにして、いい加減ケリをつけようかイルマ。……イルマ?」
再びアースカリバーを構えてイルマを迎え討とうとしていると、イルマは剣を構えながらも尋ねる。
「あの聖剣を破壊したのか…………。そうか、お前がこの魔剣無しで……」
あれー? なんか聖剣を壊したって言ってからイルマの様子がおかしいぞ。あれあれ〜?
次回決着!!