見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
イリスファンの方は胸糞が悪くなるかもしれません。ご注意ください。
魔心を暴走させながら、胸を押さえて苦しむイリスさんの目は、無理矢理命令を聞かせていたユーリちゃんやイルマさんみたいに赤く輝いていた。
「ぐうぅ……あ、あぁ……!?」
「い、イリス!?」
「に、逃げな……さい……!! あんたじゃどうする事も出来ないんだから!!」
キリエさんはイリスさんの魔心から次々と溢れ出す魔力を掻き分けて、イリスさんの下に駆け寄るけどイリスさんは彼女を突き飛ばした。
「あぅ! い、イリス!!」
「これ以上私を……どうしようもないやつにしないで!! あ"あ"あ"ぁぁあああああああああ!!!!」
直後、イリスさんから溢れる魔力が更に多くなり、イリスさんは悲鳴を上げながら頭を抑えて苦しみ続ける。
「ねぇねぇホープ! これって何が起きてるの!?」
『解析した結果、ユーリちゃんやイルマに打ち込まれていたウイルスコードの数倍は酷いものが彼女を侵食しています! 相手を利用するからバチが当たったんですね。ザマァないですね! アッハッハ!!』
「もぉ、ホープ!!」
いくら悪い人とはいえ笑っちゃダメだよ! 誤解させられて、本当に悪い人に利用されちゃってたならイリスさんも被害者なんだから!! ……だから苦しむイリスさんを見てちょっとだけスッキリしちゃってるひなは悪い子だよね。
しばらく頭を抑えて苦しんでいたイリスさんだったけど、しばらく悲鳴を上げ続けたらやがて悲鳴を上げなくなって魔力の放出もピタリと止まる。
そして静かに身体を起こすと、イリスさんは無表情顔でひな達を見てた。
「……い、イリス?」
「っ! キリエさん!!」
殺気みたいなのを感じたひなが、自分ごとキリエさんをエンジェルウイングで包み込むと、その直後衝撃を感じる。
攻撃されちゃってるみたい!!
しかも連続攻撃だからこの状態じゃ逃げられないし……こうなったら〜……
「《ウイングボンバー》!!」
エンジェルウイングの表面を起爆して無理矢理イリスさんを追い払うと、それと同時にリーンお姉ちゃんがイリスさんを殴り飛ばす。
そしてぶっ飛ばされたイリスさんにはーちゃんが更に追撃を放つ。
「《クラウソラス》!!」
でもはーちゃんの追撃の魔力弾はシグナムお姉ちゃんのレヴァンティンみたいに蛇腹刃に変形したイリスさんの武装で全て弾き落とされた。
「落とされたか。それにしてもユーリを操ってたイリスがこうなるなんて……自業自得やね! アッハッハ!!」
「主、今は笑ってる場合ではありませんよ? ……まぁスカッとしたのは否定しませんが」
「や、やめなよはやて、リィンフォース。キリエさんすごい顔でこっち見てるから……」
……はーちゃんは夜天の書をとられちゃった上に悪用もされちゃったからこう思っちゃうのは仕方ないことなのかも。
でもキリエさん、笑ったはーちゃんを怒りたいけどこうなった遠因を作ったから、怒るに怒れないような感じの複雑な表情をしてるから笑うのはそれくらいにね?
キリエさんは今はそれどころじゃないと思い直したみたいで、イリスさんを取り押さえようと攻撃を加えるけど、イリスさんの蛇腹刃がそれを防ぐ。
「イリス! 目を覚まして!!」
「……」
イリスさんは無表情のままキリエさんを蹴り飛ばすと、蛇腹刃をブラスターに変形させてキリエさんを打ち抜こうとする。
いけない! ひなとかはーちゃん達とは違う方角に蹴り飛ばされたから翼が届かない! 守れない!!
ダァン!!
「……え? い、イリス?」
「……早く……逃げなさい……!!」
イリスさんは引き金を引く直前に、もう片方の腕でブラスターの軌道をキリエさんからそらしていた。
「同情ならいらないわよ……。私はあんたをずっと騙してた……!! 自分の目的に利用する為に……イルマの事も目的のために縛って無理矢理言うことを聞かせて……だけど、私も嘘に気づかずに踊らされてた…………これって報いなんだわ……!!」
イリスさんはそこまで言うと、泣きながら悪そうな作り笑いを浮かべる。
「教えてあげようか……? あんたが初めて私の所に来たとき、チビだったあんたを見て、私はもう……どうやって騙そうか考えてた。あんたが私を頼ってくるたびに……くだらない悩み事を打ち明けられるたびに……これでまた信頼させられるって…………思ってた!! あんたの面倒を見てやったのも……一緒になって笑ったのも……全部あんたを利用する為……だったんだから……!!」
段々とイリスさんの銃口がキリエさんのほうを向きだす。ウイルスを抑えきれなくなってるみたい。
またブラスターを撃つ前にキリエさんを守ろうとキリエさんのところに行くけど、キリエさんはこっちを向いて首を横に振る。
来るなって言ってるのかな? 何か考えがあるのかもと動きを止めると、キリエさんは構えていた剣に呟く。
「アトンメント、お願いね」
『了解しました』
「だからさっさと、逃げなさいよぉおおおおおお!!!!」
とうとう耐え切れなくなったイリスさんが今度はキリエさんにしっかりと銃口を合わせて引き金を引いてしまうけど、次の瞬間キリエさんはイリスさんの砲撃を一刀両断にしてしまった。
「逃げないよ、それでも一緒に過ごした時間は嘘じゃないもの!! イリスに色んなことを教わった……一緒に笑った! あの時間は……私の宝物だから!!」
そう言うキリエさんは先ほどのピンクの防護服に布とか装甲が増えて、剣もさっきよりも装飾が多いものに変わった。
「イリスがどんな風に思ってたって……私にとっては大切なお友達なんだもん!! 大好きな友達を……泣いてる友達を……放ってなんておかないよ!!」
「う、うぅ……うわぁああああああああ!!」
キリエさんとイリスさんはお互いにアクセラレータを起動して高速戦闘を始める。
「ねぇ、なんかキリエさん進化した?」
「あぁ、レオ君の仕業やね。私たちのデバイスと一緒にアミタさん、キリエさんの武装も強化したって聞いたわ」
「あの短時間でひな達のデバイスだけじゃなくて、キリエさん達の装備も強くしちゃうなんですごいや!!」
おっと、感心してないでキリエさんのお手伝いをしないと!!
せっかくだから新しく入れてもらった新フォームを使ってみようと、ロイヤルホープを手に取りながらキリエさんの加勢に向かうと、次の瞬間イリスさんに異変が現れる。
イリスさんの胸部装甲に装備されてた魔心がさっきよりもたくさんの魔力を吐き出し始めたのだ。
「っ!? か……あ…………があ"あ"あ"あ"あ"ア"ア"ア"ア"ア"ァ"!!!!」
「い、イリス!?」
「今度はなに!?」
『ウイルスが魔心の魔力を強制的に引き出しています。ですがこれほどの量はイリスの身体では耐えられない。おそらく彼女の裏にいる者はここで彼女を使い潰すつもりなんでしょう』
ホープの言う通りこれだけの魔力は身体が耐えられないみたいで、イリスさんの全身が裂けて血を吹き出し始めた。
「イリス! イリスゥ!!」
「……流石にこれは笑えへんな」
「えぇ、哀れですね……」
「ひな! このままじゃイリスさん死んじゃうよ!! なんとか……いや、最悪死んでもひなの力でっていやそれ倫理的にアウト!! でも死なないと止まらないだろうし、でも流石に死なせるのは問題だし、あぁ、もう何言ってるのか分からなくなってきた! アハハハハハ!!」
「お、落ち着いてシアちゃん! 確かにフェニックスウイングならなんとかなりそうだけど、これだけ魔力が出てると近づけないよぉ!!」
パニック状態でひなを揺さぶるアリシアちゃんをなんとか宥めていると、次元震が起きちゃうほどの魔力を発生させ続けるイリスさんに、さっきの戦闘でイリスさんを叩きつけたりした事で壊れちゃったロボットの残骸が魔力に反応してイリスさんに集まり始めた。
「こ、こうなったら仕方ない! イリスさん、死んじゃったらごめんなさ「人殺しは不味い。俺に任せて!」……あ、れお君!!」
プリンセスフォームに変身して、サンシャイニングアローで魔心を射抜こうと弓を引き絞ろうとした瞬間、イルマさんと戦っていた筈のれお君がひなを止めた。
(レオ視点)
イルマをぶち転がしてから、改めてイリスを捕まえるのを手伝いに来たんだけど、なんだかすっごく笑える状況になってた。
『アーッハッハッハッハ!! まさか魔心ごと機動外殻の動力源に使われるとは……自業自得とは正にこの事を言うんでしょうねぇ!! カリバー、しっかり録画しましたか!?』
『うるさいですよアスカロン、笑いすぎです。まぁ、ザマァ見ろと思わなくは無いですし、しっかり録画もしましたけどね』
血まみれになったイリスが機動外殻の胸部に埋められてるというこの状況。
普通なら可哀想とかすぐに助けなければとか思うだろうが、口元がニヤけてしまう俺は最低な人間なんだろうなぁ。
でも魔心が悪用されてるこの状況、ハッキリ言って気持ちの良いものではない。
と言う事で無力化させていただこう。
「ウイルスコード、起動っと」
そう言って指を弾くと、魔力を大量に発生させていたイリスの魔心レプリカから魔力の供給が止まったかと思うと、イリスを取り込んだ機動外殻が苦しそうに蠢き始めた。
「れ、れお君イルマさんをやっつけたんだね! でも何をしたの?」
「イルマが仕掛けてたトラップを起動させた」
と言うのも、元々イルマに盗ませた魔心レプリカにはウイルスコードを入力しており、魔心レプリカの魔力を戦闘機人や傀儡の動力にした場合は俺の命令一つでウイルスを流して、そいつらのシステムを俺が掌握出来るようにしていた。
イルマはそれに気がついていたようで、敢えて魔心をウイルスはそのままで量産する事で最上位個体やイリスなんかのシステムをいつでも掌握出来るようにしていたのだ。
無論自分の魔心は無害化した上に、ウイルスの起動権限もイルマ自身に書き換えてはいたけど、イルマは魔剣を俺に渡すと同時にウイルスの起動権限も俺に返したため、こうして俺が発動する事が出来たという訳だ。
「そうだったのね。イルマが操られてるフリをしてから、どうしてイリスに従ってたのか分からなかったけど、イリス達を止めようと……」
「まぁあいつの事だから、利用した分奴隷としてコキ使おうとか考えていたんだろうけどね」
「なるほどなぁ。て事はイリスはこれでもう大丈夫ってことなん?」
「いや、一応鎮静化させようとしてるけど、黒幕が打ち込んでたウイルスの方が強いみたい。ある程度動きは阻害できるし、もうあの魔心の魔力は供給出来なくしたけど、あの機動外殻をぶっ壊してイリスを倒さないといけないね」
それを聞いたひなちゃんやアリシアちゃん、はやてやリィンフォース、そしてキリエさんはお互い頷き合うと得物を機動外殻に突きつける。
「なら早いところイリスをやっつけてフェイト達と合流しよ!」
「そうやね。……散々煮湯を飲ませてくれた借りはここで返すで、覚悟しいやイリス!! リィンフォース、多重ユニゾン行くで!!」
「はい、我が主!」
「ひなも最強フォーム使っちゃお! 行くよれお君!!」
「あぁ、せっかく先祖から魔剣を貰ったんだ。チュートリアルに利用させてもらう!!」
「すぐに助けるから! 待ってて、イリス!!」
相手は機動外殻。イリス本体に当てなければ、魔剣の試し斬りに使っても大丈夫だろう。
と言うわけで魔心を魔剣シュリセルに嵌める。
この魔剣が本当の力を発揮するのは、魔心を嵌めた上で魔王の血族……俺の魔力を流す事。その二つの条件を見事満たした事で魔剣は黒から銀色に変色、魔剣本体から凄まじい魔力が湧き上がる。
「っ!?」
ここで驚くべき事が起こる。
魔剣の魔力に俺のバリアジャケットが反応して、オールユナイトフォームに更に黒い装甲が追加されたのだ。
アースカリバーとシュリセルの二刀流で戦って、翼型に変形したファンメランで高速移動が可能、フラガラッハとFガントレットである程度の距離にも対応できるし、魔心の魔力で強化されたMブラスターで遠隔攻撃も可能。
……うん、オールユナイトフォームより数段強くなってる。これなら新しいフォーム名を考えた方がいいかも。
「「『《多重ユニゾン》!!』」」
「行くよロイヤルホープ! チェンジ、パルテノンフォーム!!」
「決めた! インペリアルフォームって名付けよ!!」
と言うわけで好き勝手やった借りはここで返して貰うから覚悟しろよイリス!!
この事件のイレギュラー的存在だったイルマはレオが倒した……。
イルマが量産してた魔心は、レオが仕掛けていたウイルスコードの対策をせずに量産されており、レオが起動することで装備した相手を無力化、あるいは弱体化させられる仕様だった。
ならばやる事は一つ。
……反撃返しだァ(ゲス顔)
〜おまけ〜 みんなズルい!!
「「『《多重ユニゾン》!!』」」
「…………」
「行くよロイヤルホープ! チェンジ、パルテノンフォーム!!」
「…………」
「決めた! インペリアルフォームって名付けよ!!」
「…………むぅうううううう!!」
「ん、どうしたのアリシアちゃん?」
「なんか私以外全員パワーアップしてる〜! みんなズルいよ〜!!」
「と言っても私らは元から切り札として使おうって決めてたとっておきやし」
「ひなのもエンジェルクロスを覚えてから、れお君が時間をかけて作ってくれてた姿だし」
「俺は今回偶然の産物だし」
「ず〜る〜い〜、私もパワーアップ形態欲しい〜!!」
「レオ君、将来の婚約者候補がパワーアップ形態を要望しとるで?」
「……まぁ確かにアリシアちゃんだけ無いのも不公平かな」
その後アリシアちゃんの強化アイテムを作ると約束したレオ君であった。
〜おまけ2〜 パルテノンフォームはあかん!!
数時間前
「わぁ、きれ〜。これがひなの新しい形態なんだね!!」
「うん。エンジェルクロスを衣服として纏った形態。エンジェルウイングは一対までしか展開できなくなるのは難点だけど、その分防御力に火力なんかもプリンセスフォームを超えてるよ」
「凄いねぇ! ……よし、女神様みたいだからパルテノンフォームって名付けよ!!」
「女神って単語は地雷だから口に出さないで。……あとパルテノンフォームはあかん!!」
「え、なんで?」
「今から数年後のプリキュアにパルテノンモードってのが出るんよ。それのパクリになってまう」
「え〜! 既に出てきたわけでも無いんだったらひなパルテノンフォームがい〜い〜!!」
「ダメー!!」
「パルテノンフォーム〜!!」
「ダメー!!」
「パルテノンフォーム〜!!」
その後ひなちゃんの泣き落としに敗れたレオ君であった。