見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
ひなちゃんとアリシアちゃんとの合体魔法で遠くまでぶっ飛んでしまったイリスを追いかけていたら、そこにいたのは今回の事件の真の黒幕フィル・マクスウェルだった。
見た感じ近くにいるヤマトは相当辛そうにしていて、足もガクガク……これは。
「オメェ、さては神速とアクセラレーターを重ねがけしたな? あれ爆弾だから実戦で使うのはやめろって言ったのに」
「し、仕方ないだろ! アイツ魔心でバフかけて来たんだし、そもそもお前がイルマに魔心奪われなければ……ってそういえばお前イルマとの決着は……」
「無論カタをつけて来ましたぜ? これ戦利品な」
そう言って見せますは魔剣シュリセル。
それを見たヤマト達は安心したような表情を浮かべる。まるで勝つか負けるか分からなかったと言うような感じで……。
おいおい確かに重要な場面で割と大怪我するタイプだし、事実片目潰されたけどもう少し信用してくれよ…………。
「まさかイリスだけじゃなくて、あのイルマも敗れるとは…………相当な実力者みたいだね」
「レオは俺よりも強い魔導師。それにひな達やアリシア、はやても相当な実力者だ。お前が勝つ結末も逃げる結末ももはやあり得ない。降参しろ」
バッカヤマト! それはフラグだ!!
あと実力的にはお前の方が強いやろがい!! そりゃあ模擬戦で魔力リミッター外した事も、オールユナイトフォーム使った事ないけどよぉ!!
そんな事を考えていると、マクスウェルとか言うクソ野郎は余裕な笑みを浮かべる。
「万に一つの勝ち目もないか……。ならばこうしよう。空をご覧?」
え、空?
マクスウェルの不意打ちに気をつけながら空を見ると、夜空の中に月よりも眩く輝く何かがある。
「なんか変や、あんな明るい星が……」
「この星にも衛星技術があってよかった。イリスがここを訪れる時にタネを仕込んでおいたんだ。イリスを産み出すための素材をね……」
衛星技術? タネ? ……もしや。
まさかと思ってアナライザーの遠視機能で夜空に浮かぶ何かをズームで確認してみると……そこにあったのは巨大なメガ粒子砲。
「……衛星を武器に作り変えたのか」
「あぁ、衛星砲。今は丁度ここを狙える位置に来ている。小型だがこの街を吹き飛ばすくらいは容易い」
「あなたは……」
「取り引きと行こう。ここにいる私とイリス、そしてそちらに確保されたイルマとユーリをここから離脱させてもらいたい。そうすれば、君達とこの街……いや、この世界のことは見逃そう。もう二度とこの世界にちょっかいを出さないと誓う。だがそれを許さないのなら、この一帯に向けて衛星砲を撃つ」
「東京に住んでる人達を人質に取る気なのね!?」
「この外道……! 人の命をなんだと……!!」
アリサちゃんとアミタさんが怒りの表情をマクスウェルに向けるが、「なんとでも言いたまえ」とコイツは涼しい顔をやめない。
「君達自身の命が失われるのはもちろん、友達や家族もいるんだろう?」
「あなたも死にますよ!?」
「死なないさ。少なくとも、私の記憶と意志はね」
うわぁ……こいつマジで最悪だな。
勝てないと悟ったらこの国の首都の全ての人の命を人質に取るとか。
……リリカルなのはってこんなハードモードな作品だったっけ? (白目)
そんな事を考えていると、オールストン・シーのある地点から一つのロケットが衛星砲に向けて飛び上がっているのが見えた。
「あのロケットには私とイリス、そしてイルマのバックアップと衛星砲を守る私の娘との通信を中継する機械がある。これが結界から出たらもう私でも止められない。……今ならまだ間に合うよ? さぁどうする?」
「レ、レオ! どどどどうしよ〜!! このままじゃ街が、ママ達が、みんなの命が〜!!」
「全く絶体絶命すぎて草飛び超えてアマゾンだよクソッタレ!! ヤマト、お前がフラグ建てるからぁ!!」
「すまん! 責任とってあのロケット止めてくる!!」
「わ、私も行くの!!」
「私もご一緒します!!」
「行かせないよ」
ヤマトとなのはちゃん、そしてアミタさんが空に飛びあがろうとするが、その瞬間にマクスウェルがヤマトには剣を、なのはちゃん達には銃で牽制しやがる。
「確かに私ではもはや君達に勝ち目はない。だがあのロケットが大気圏を突き抜けるまで君達の時間稼ぎをする事は出来るからね。さぁ、早くしなければこの街は消えて無くなるよ?」
……ふぅん、つまりコイツは衛星砲の発射までは俺らを足止めする気満々と。
もしこれで俺らがマクスウェルを見逃したら最高。もしダメでも衛星砲で俺達を蒸発させて、改めて新たな身体で地球を征服する。
万が一ここで取り逃したとしても、その分マクスウェルを取り押さえる人員が減るからその隙にそこに倒れてるイリスを確保して撤退する。
……隙がないな。
「ズルい! そんなのズルいよ! れお君でもそんな酷いことしないのに! このひきょーもの! ひきょーもの!!」
「これが大人の戦い方だよ。……君達子供にはまだ早かったかもしれないがね」
「なるほど、これが大人のやり方ね……。大人にしては随分と甘いやり方だ」
「……何?」
マクスウェルがこちらを睨んでくるが、それを無視してシュリセルを構える。
「ほぉ、イルマから奪い取ったその剣で私と戦うと? 果たしてロケットが衛星に辿り着く前に倒すことが出来るかな?」
「お前じゃねえよ。確かイルマはこんな感じにやってたよ……な!!」
魔剣を両手で持って、それで空を斬ると空間がパックリと斬れて、空間の向こうにロケットがこちらに迫って来ているのが見える。
この魔剣は空間を斬り裂いて転移門のような物を開くことが出来る。その能力でロケットの進行方向に扉を開いてみたのだ。
それを見てようやく俺が何をしようとしているのか気がついたマクスウェルは、顔色を変えて俺の方にまっすぐ詰め寄ってくる。
「ヤマト、止めておけよ?」
「おう。お前の相手は俺だ!!」
「ぐっ、その程度遺物の力で……「あ、ウイルス起動」がっ……!? こ、これはまさか……!!」
「隙だらけだ! どうせレオが何かしたからだろうけど!!」
「ぐぅ!!」
魔心を悪用しようとしてたから、トラップを発動させて無力化。なんか苦戦してるっぽかったけど、魔心が無ければ対等に渡り合えるだろ。
一方俺は転移門にロケットが近づいてきたタイミングでアースカリバーを突き刺す。
「《プロミネンスカリバー》!!」
アースカリバーの異常なまでの熱量を帯びた突きを食らったロケットは一瞬にして大爆発。そのまま海に落下してしまった。
さて、お次はあの衛星砲だな。
衛星砲は宇宙空間……真空にあるから転移門を開いたら空気が宇宙空間に流れ出て、下手したら宇宙空間に投げ出される可能性がある。
……ここから撃ち落とすか。
「フラガラッハ、フォーメーションLB」
フラガラッハを円型に組んで砲撃の威力倍増レンズを作ると、懐から取り出したカードを展開して小型アルカンシェルを取り出す。
「え、これって……イリスさんに取られたときに爆発させたんじゃないの!?」
「無くしたとき用に予備を作ってたのさ! 予備といっても全く同じ性能だから威力は折り紙付きだけどな。ドーン!!」
アルカンシェルの引き金を容赦なく引き、フラガラッハの威力倍増レンズ(アルカンシェル対策済み仕様)に通して威力を倍増。
そんな恐ろしい光線をロケットの代わりに衛星砲にくれてやると、そこを守っていた最上位個体もろとも綺麗さっぱり消えてしまった。
「ふぅ……スッキリしたネ!!」
「…………」
コイツの下らない企みを根本から断ち切ってやると、マクスウェルはあり得ないと言った表情で俺を見る。
そうそう、その表情が見たかったんだよ!!
いやー、散々調子に乗ってたやつが逆転されて呆然とする顔ってほんといつ見ても最高だな!!
「お、お前は一体何者なんだ? その魔剣を使えるのはイルマしか……」
え、何? 俺のことを調べなかったの? 調べればすぐに魔王の子孫であることなんて一発で……いや、もしかしたらイルマが上手いこと偽造してたのかもな。
ならば改めてカッコよくビシッと自己紹介をしてやろう!!
インペリアルフォームになった際に新たに追加されたマントをバサリと翻して堂々と名乗りを上げる。
「俺は時空管理局地上本部護衛官兼ゼスト隊準所属、宮坂麗央!! お前が散々利用したイルマ……いや、魔王レオノーラ・ベルフェリアの直系の子孫だ!!」
「なっ!?」
「えぇ!?」
それを聞いたマクスウェルとキリエさんは驚いた表情を見せる。
なんでキリエさんまで……そう言えばヤマト達にはもしかしたらってイルマの正体について話してたけど、キリエさんには話してなかったっけ?
「レオ君あなた……イルマの子孫だったの? と言うかイルマって私よりも何百歳も歳上なの!? てことは私イルマにかなり失礼な態度をとってたって事!?」
「キリエ、落ち着いてください。今は先にするべき事をしましょう!」
「そ、そうだね。まずはイリスに嘘の記憶を植え付けてこんなに悪い事をさせて、イルマをウイルスで縛ったコイツを捕まえないと……!!」
うん、これでまたもや形成大逆転。このまま一思いに決めて……いや、ちょっとさらにスパイスを……
そんな事を考えていると、マクスウェルは突如として笑い出した。
なんだコイツ気持ち悪いな?
「……フフ、私の作戦を作戦の一つを潰せたからって調子に乗りすぎなんじゃ無いかな?」
そう言ってパチンと指を弾くと、遠くにいた機動外殻がこちらに歩いてくる。
おいおい、作戦失敗したからって兵力のゴリ押しかよ情けねえな。
……でもこの状況で兵力をゴリ押されるのはちょっとキツイかもな。一瞬でも隙を見せたらマクスウェルはイリスを回収して逃げてしまいそうだ。
そんな事を考えながらアースカリバーとシュリセルを構えるが、突如機動外殻が崩れ始める。
「ちゃんとついて来てるかいロッテ!!」
「えぇ! 一気に決めるわよ!!」
「「《ミラージュ・アサルト》!!」」
「こっちは私達で引き受けるわ!! 《フェザーバースト》!!」
「ママ! ロッテお姉ちゃんにアリアお姉ちゃんも!!」
「ならばこちらは俺達が! お前らは犯人を取り押さえろ!!」
「レオ君、ゼスト隊の底力見せてやりなさい!!」
「ならばこちらは私達が……この科学者の風上にもおけないクソ野郎の相手は任せたよ!! トーレ、やりたまえ!!」
「はい! ならばこちらはプロテインの底力を見せてやろう!!」
「ゼスト隊の皆さんにスカさん御一行!? ナイスタイミング!!」
「ってなんで猫姉妹がいるんだよ!!」
「コラ、ヴィータちゃん? いがみ合ってる場合じゃないわよ!」
「こっちは任せろ!!」
「後はお願いします我が主!!」
「シグナム、みんな!! ありがとな!!」
……クク、フハハハハハ、ハーハハハハハハ!!!!
このタイミングで協力者が全員集合って最高すぎるだろ!!
これで相手さんの兵力のゴリ押しも無くなったと、笑っていると機動外殻の間を縫って四人がこちらの方へ降り立った。
「兄上、ご先祖様は本局へ運んだし、私も手伝いに来た!!」
「ボクらも参上!!」
「主人を助けてくれた借り、微弱ながら返しに来ました!!」
「それにコイツはユーリをあんなにした仇……ならば我らも参加するのが筋という物だろう!!」
まさかのまさかで最終決戦はチンクとレヴィ、シュテルにディアーチェも参加かよ!!
いや、心強すぎだろ!!
「ぐっ……次から次へと……!!」
「お、流石に余裕無くして来たみたいやね」
「確かにこれは相手からしたら絶望的な状況だからな」
「ならもっと絶望的な状況にするのも乙なもんだよな!!」
「あ、レオ君また何かする気だね?」
マクスウェルはさっき言った。これが大人、君たち子供にはまだ早いと。確かにマクスウェルの言う事にも一理ある。子供と大人じゃ経験も力も何もかも違うからな。
ならばどうするか? 答えは簡単、俺達も大人になって仕舞えばいいのさ!!
俺は懐から劇場版が始まる直前に入手した魔王の遺物…………懐中時計を取り出す。
「“久遠の時辰儀”よ。俺らの肉体を全盛期の姿へ成長させろ!!」
直後、懐中時計の針がグルグルと高速で回転を始めると同時に俺らの身体が光に包まれる。
「ふぇ!? な、なに!? なんなの!?」
「ちょ、レオそれって……!!」
「第二のロストロギアだよな!? え、俺らにも効果がある物なのかそれ!?」
「イエス、安全確認とかは一通り済んでるから安心してな!!」
やがて光が収まると、そこにいたのは18歳くらいの姿になったヤマトやひなちゃん達。
最後の最後まで勿体ぶって使っていなかった俺の保有する第二の遺物、“久遠の時辰儀”。それは自身の身体を急成長させたり若返らせたり、体内時計を止めて寿命を延ばすと言った、古代ベルカの王達が手を伸ばした永遠の命を与える究極のロストロギアだった。
レオ君含めた魔導師組+チンク、フローリアン姉妹、シュテル、レヴィ、ディアーチェの肉体が18歳程に急成長した!!
実は久遠の時辰儀はreflection、detonation編の一話のアリサちゃんの「それにしてもレオのこの時計綺麗ねぇ。写真撮っていい? これをモデルにした時計とかって流行りそう!」から既に伏線を張っていました。
次回、マクスウェルをフルボッコだドン!!