見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「アミタさん達はやはりエルトリアへ?」
なのはちゃんの問いにアミティエさん達は頷く。
アミティエさんは違法渡航は問題ではあったけど、事件解決のために来ており管理局にも協力的だったため違法渡航の件が帳消しになった上に感謝状を渡された。
キリエは色々悪い事やってたけど、俺が裏からちょちょいと手を回したから罪には問われず厳重注意ですんだ。
イルマは本来ご先祖のよしみで司法取引なり、上手い事イリスとマクスウェルに罪をふっかけるなりして釈放してやるつもりだったが、持ち前の話術で局員をうまく騙して釈放を勝ち取りやがった。
つまりこの三人は管理局の無償奉仕の対象外、いつでも元の世界に帰ることができるのだ。
「はい。ユーリの体調が良く無い為あの子が元気になるまではこちらにいますが、いつまでも母さんに心配をかけるわけには行きませんので」
「それにユーリなら父さんと母さんを治療出来るかもしれないんだって」
なんでもユーリちゃんはフローリアン姉妹の両親と知り合いのようで、二人の父親……グランツさんの状態を聞いてなんとかしたいと言ってくれたんだと。
「別に治療についてはヤマトの言霊で一発なような気がするけど「「……あぁ!!」」……それでイルマは?」
思い出したかのような反応をするフローリアン姉妹は放っておいてイルマの方を向く。
なんかエルトリアへ行く気満々だけど、コイツにとってエルトリアはあくまで宝物庫を隠した世界の一つに過ぎずあの世界に執着なんてないはず。
「ユーリが落ちてきたときの衝撃で宝物庫が壊れたからな。またイリスのようなやつが入ってきても困るし、修理をしに行こうと思ってな」
「う……ごめんなさい」
「キリエには言っていないだろう? むしろ悪意なく純粋に接してくれたお前は良き話し相手……いや、友人と思っているから気にするな」
「イルマ……」
「良かったですね。キリエ」
感動したようにイルマを見るキリエ。
あら素敵な友情。これはアリサちゃんやすずかちゃん。なのはちゃんやフェイトちゃんみたいな相棒的関係になるかも知れないなぁ。ニヤニヤ
目の前で繰り広げられる百合にうんうんと頷いていると、「それに……」とイルマは続ける。
「今のところ麗央は魔王国の復興は考えていないからな。ならば私は私でエルトリアを起点に新たな魔王国でも作ろうと思ったんだ。エルトリアの惨状はもはやほぼ無人世界と言っても良いし、無人世界の開拓は既にしたことがあるからいけるだろ」
おいなんかウチのご先祖とんでもないこと言い出したぞ。
イルマ曰く、緑の再生はユーリの力で何とかなるし、エネルギー問題も魔法を使えばどうとでもなるが、世界が発展すれば出て行ったエルトリア人が戻って来るかもしれず、人口が発展すればその分犯罪を増えていく。
故にイルマは緑の再生を手伝うと同時に、今なおエルトリアに住んでる人をまとめ上げて新たな国家を作ってしまおうと考えているのだとか。
「そっか、イルマは昔は王様だったっけ? なら国家の運営とかが出来るんだ?」
「あぁ、一から十まで私がワンマンでやってたから、司法や流通、他の世界との外交まで何でもござれだ。それに今回地球であった侵略のような事態に関しても、第二の魔王の心臓や魔剣、宝物庫に納めてたあれやこれやを再び作れば防衛面も何とかなる」
「おぉ、それは心強いですね!!」
「第二の魔王国……。おいイルマ、俺に止める権利はないから止めはしないけど、聖王国みたいに管理局に喧嘩売るなよ? ベルカの戦乱の時代の繰り返しなんてマジで笑えないからな?」
文献には聖王国との戦争は魔王が宣戦布告をしたと書いてあった。それが本当かは分からんが、もし聖王教会があるからと喧嘩売られたら本当にたまったものでは無いからな。自重してくれよマジで!?
「あぁ。聖王国に対して喧嘩売っといてなんだが、私自身戦い続けるのは疲れてたしな。少なくとも第二の人生じゃのんびり平和な国づくりでもするさ」
「だと良いんだけど……」
なんか色々な不安は拭いきれないけど、まぁ腐っても数百年生きたババアだし彼女の手腕を信用してみるか。
「なぁ子孫よ。貴様今失礼な事を考えなかったか?」
「別に」
チッ、悪口を察してしまうタイプだったか……。
「アハハ、ですがユーリにイルマが来てくれるなら安心ですね」
「うん。帰ったらやる事がいっぱいn「帰るのはちょっと後にしてもらってもいいかしら?」ほぇ?」
「え、お、お姉ちゃん!?」
急に扉が開くとそこにいたのはなんとすずかちゃんのお姉さんの忍さんと、頭を抑えたクロノ君だった。
嫌なんでここにいるし!?
「お、お姉ちゃんどうしてここに!?」
「やっほー、すずか。……うわぁ、父さんと母さんから聞いてたけどこんなにおっきくなって!! これならいつでもヤマト君を婿に迎えられるわね!!」
「そ、そうかな? えへへ」
「ちょっと待ってよ忍さん!!」
「まだヤマトはすずかの物になって無いですからね!?」
「まだ決着ついてないです!!」
「あらそうなの? すずか、いくらなのはちゃん達がお友達でも恋は戦争。アタックし続けるのも良いけど、なのはちゃん達の足を引っ張るなりなんらかの手段で排除するなりして早いとこヤマト君をゲッチュしないと取り逃すわよ?」
「そんな事しないよ!?」
こっわ、忍さんこっわ!!
そんなドロドロな奪い合いなんて見たくねえよ! と言うか実の妹に友達蹴落とせって良い顔で言うなよ!! 恭也さんに言いつけるぞこの野郎!!
「し、忍お姉ちゃん怖い……」
「すずかのお姉ちゃんってほんとおっかないよね……」
「忍さん、ひなちゃんとアリシアちゃんが怯えてるからその辺にしてもろて。それでどうしたんですか?」
「あ、そうそう。ここにキリエちゃんっているかしら?」
「え? キリエはこの子ですけど……」
「それじゃあ、はい」
忍さんは良い笑顔でキリエに一枚の紙を渡す。
紙には何かが書いてあるけど、日本の文字が読めないキリエは頭にハテナマークを浮かべながら「えっとこれは?」と問いかける。
「イリスちゃんとキリエちゃんにイルマちゃんもウチの会社だったりバニングス社から、ブルドーザーだったりトラックだったりクレーンだったり色々盗んじゃったでしょ? しかもご丁寧に全部スクラップにしちゃって。限界を留めてるものはヤマト君の言霊とか、私の方で修理出来そうではあるんだけど、それを差し引いてもウチもバニングス社も結構損害が出ちゃってね……」
「え、お姉ちゃん? ま、まさか……」
「と言うわけで盗んだ車とかについてはしっかり損害賠償請求させていただきます♡」
「「「………………」」」
「「「えぇええええええ!!??」」」
アミティエさん、キリエ、イルマの三人はしばらく真顔で忍さんを見ていたが、やがて意味が理解したそうで悲鳴を上げる。
いやまぁでも忍さんの言ってることも一理あるんだよな。
世界規模の大企業のバニングス財閥だったり、忍さんのいる月村興業が潰れるとは思わないけど、それでも損害は出てしまってるし、いくら別世界の人間であったとしてもそれをチャラには出来ないよなぁ……。
「でも忍さん? それは諸悪の根源のマクスウェル……はもはや生首だけだから返済能力ないか。イリスに一括請求すれば良いじゃないですか。何でキリエやイルマに?」
「え〜、だってイリスちゃんは数年間無償奉仕なんでしょ? なら返済能力が無いじゃない。どんな理由はあれあなた達の行動の結果ウチに損害出ちゃったから請求はしないとね!!」
「……と言うことだ。一応損害については一旦管理局の方で建て替えだけど、申し訳ないがキリエとイルマは建て替えた分を払ってもらうまで、エルトリアに帰すわけには……うん。流石にこればっかりはしょうがないことなんだ。だからフェイトにアリシアもそんな目で僕を見ないでくれ!!」
「……別に損害についてはしょうがないんだろうけど」
「もっと早く言っててもよかったよね?」
まぁ確かに損害賠償請求があるなら前もって伝えておけって話だよな。いかんせんすっかりエルトリアに帰る気に満々になってたキリエ達にとって絶望感半端ないだろうな。
「お、お姉ちゃんはユーリや王様達と先に帰ってて。頑張って何とか返済したら、多分その時にはイリスも釈放されてるだろうし一緒に帰って来るわ」
「いえ、私も手伝います。キリエとイルマでは負担は半分ですが私も手伝えば負担も三分割できるはず。一緒に頑張りましょう!!」
「ダメよ。お姉ちゃんはユーリを連れて帰らないとパパが!!」
「なら私は一旦帰って父さんをユーリに見てもらうので、ある程度したら手伝いに戻ってきます!!」
「……オチが見えたわ。結局シュテル達も返済を手伝うことになって、当分全員が管理局勤めになるパターンだわ」
「自業自得ではあるけど流石に可哀想すぎる」
悲報、アミティエさん達も管理局で働くことになりました。
でも流石にエルトリアに帰れないのは可哀想だよなぁ。ちょっとミゼット婆ちゃんに連絡入れて、監視付きなら帰れるようにするとかでなんとか妥協してもらお。
劇場版見ててもやっとした事! それは地球の車とかを盗んで、アリサちゃんママとかすずかちゃんママとか困ってたのに損害賠償がなかった事!!
それにこのままだとアミタさん達エルトリアに帰って物語からフェードアウトしてしまう……。
それなら損害賠償請求でしばらく管理局勤めにしてしまえと言う魂胆でしたw
おまけ 〜お前なら払えるだろ? 〜
「損害賠償か……。私としたことがそこら辺がすっかり失念していた……」
「と言うかご先祖なら俺みたく何か開発して管理局に売ればすぐに返済できるだろ?」
「開発するための費用が足りん。流石に管理局の下でフォーミュラを使うわけにはいかないだろうし、開発費を稼ぐために働いたとしてもそれは立て替えた分で取られてしまう。……なぁ麗央、本当に申し訳ないが開発費を貸してくれないか?」
「えぇ〜、流石に自分の稼いだ金を先祖とは言え他人に貸したく無いですわ〜」