見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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イリス、ねぇどんな気持ち? どんな気持ち!?

 さて、キリエさん達が月村興業とバニングス社から損害賠償を請求された翌日、俺は再び本局にやって来ていた。

 と言うのもイルマもしばらく管理局勤めになるなら腕を治した方がいいと言う事で、マリエルさんに手伝って欲しいと打診があったんだけど、イリス曰くイルマは特注のテラフォーミングユニット。そう簡単に修理はできないようだ。

 故にイルマを俺の方で預かってスカさんの元へ連れていく事にした。

 

「戦闘機人を作ってた上に、いくつか最上位個体をとっ捕まえてたスカさんなら俺よりもあっさり修理できるやろ。ま、そのとき中身とかを舐め回すように見られるだろうけど、ご先祖の自業自得という事で」(ゲス顔)

 

「ドクターならやりかねないな。でもその分しっかり修理してくれるだろう」

 

 という事でチンクも誘ったことだし早速イルマを捕まえに「もう許してあげてください!」……ん?

 アミティエさん達の部屋を覗こうとしていると、どこかで聞いた声がする。

 別に無視しても構わなかったが、気になったので止めるかどうかは別にして冷やかしに行こうかと声の主を探すと、イルマとイリス、そして半泣きのイリスをイルマから守るように立っていた声の主のユーリちゃんがいた。

 

 …………。

 

「おやおや? こんな所に人間様に逆らった愚かな失敗作いるぞ〜」ニチャア

 

「ヒィッ!?」

 

「ちょ、兄上?」

 

「いやー、それにしてもなんだっけ? 魔心と夜天の書に対して言った発言……そうそう、用済みになるまで使わせてもらうわ……だったっけ? ねぇ、そんなこと言ってた君が本当の黒幕に用済みになるまで使われた挙句、便利ねと言ってた魔心レプリカの暴走とレプリカを媒介としたウイルスの注入で身体ボロボロにされてどんな気持ち? ねぇ、どんな気持ちィ!?」

 

「う、うぅ……ふぐぅ……」ボロボロ

 

「ねぇ、なんで泣くの? 僕どんな気持ち? って聞いてるんだけど? ねぇ、どんな気持ちなの、ねぇ、ねぇ、ねぇ!!」

 

「あ、あの! うちのイリスが本当にご迷惑を……イリスの代わりに私が謝ります。ですのでどうか……どうか許してあげてください!!」

 

「いいや、もっと言ってやれ麗央! あれだけ調子乗ったことしたんだ、今くらいとことん虐めてやってもバチは当たらん!!」

 

「もちのろんですよ、ご先祖様! 俺の先祖と遺物を利用して散々好き放題やって挙げ句の果てに地球を破壊しようとした機械に人権なんて無いのでねぇ! と言うかそれ聞くとほんとヤベェなコイツ。……世のため人のためここでバラすか?」

 

「ごめんなさい! ごめんなさい! イリスが本っ当にごめんなさい!! イリスも今傷ついてるんです! ですのでまだ言い足らなければ私が聞くのでどうか……どうか……!!」

 

「い、いいのよ……ユーリ……これが私のした事だから受け止めないと……自分のした事に責任取らないと……」プルプル

 

「「こんないい子にあんな事するなんて、ほんと呆れちゃうわ〜。私(俺)魔王(の子孫)だけど無いわ〜、あれは無いわ〜」」

 

「う、うぅ……うぇええええん!!」

 

「あぁ、大丈夫ですよイリス! 心を込めて謝ればきっと許してくれますから!!」

 

「……兄上? ご先祖? そろそろいい加減にしような? 好き放題やったっぽいイリスはともかく、ユーリを困らせるのは違うだろう?」

 

「「……すみませんでした」」

 

 調子に乗りすぎてチンクに怒られてしまった兄貴とご先祖様でした。

 その後泣きじゃくるイリスをユーリちゃんが必死に宥める中、俺とイルマはチンクに「責めるのはせめて庇い人がいないタイミングで!!」となんか見当違い感が否めないお説教をされ、イリスが泣き止んだタイミングでお説教も終了改めて元気になったユーリちゃんとご対面した。

 

「あの、初めまして。私ユーリって言います。ヤマトさんから聞きました、私を助けるためにウイルス突破コードを作ってくれたんですよね? お陰様で助かりました」

 

「あのオリ主言わなくてもいい事を……。まぁ結局それを使いこなしたのも、マクスウェルからの追撃からユーリちゃんを守り切ったのもアイツの功績だから、礼はヤマトに言えばいいよ」

 

「それでもお礼を言わせてください」

 

 そう言って深くペコリと頭を下げたユーリちゃん。

 い、いい子や。イリスへの悪口をやめなかった俺に対してこんなに丁寧に対応するだなんて、本当にいい子や……。

 

「それで、イリス虐めに参加しておいてなんだけど何があったの? 俺ユーリちゃんの声が聞こえたから気になって覗きに来たんだけど」

 

「それは──「私が説明しようか」あ、イルマさん」

 

 イルマが曰く、釈放されたと言っても細々とした取り調べや手続きなどがあり、それを済ませて小休止を取っていたらしいが、その際に同じく取り調べ帰りのイリスと鉢合わせたと言う。

 

「なんか顔見たら腹が立ったから、お前はいいよな、無償奉仕だから損害賠償から逃れられて。キリエや私を弄んでよくもまぁのうのうと生きてられるな。とか言ってたらユーリに止められたんだ」

 

 なるほどね。でもさっきイリスが言ってたけど、俺やイルマに責められる件について、それはイリスが受け止めなきゃいけない事だし、それをユーリちゃんが止める権利は……いや、そういえば今回の事件のぶっちぎりの被害者ってユーリちゃんだっけ?

 何も悪いことしてないのに、勝手に恨まれてウイルス漬けにされて、関係ない人と戦わせられて、なのはちゃんのブレイカー食らって、イリスに腹貫かれて、今度はより強靭な洗脳を受けた上に魔心を埋め込まれて…………。

 

「……実はユーリちゃんが一番イリスを恨んでもいいと思うの俺だけだろうか?」

 

「騙されていたのなら仕方ないですよ。それにそれだけ再生委員会のことを大事に思っていたと言うことです。ならば恨む事なんて私には出来ません」

 

 そう言って一切の曇りなく笑って見せたユーリちゃん。

 

「なんだこの大天使!? え、これひなちゃんと絡ませたらどうなるんだ!?」

 

「強いんだな、ユーリは。……だが生憎、私は昔の事をグチグチ言うタイプの老人気質なのでね!! ……我が宝物庫に侵入しただけじゃ飽き足らず、私を私兵として顎で使った件……やはり一発殴ったくらいでは足りないな。どうしてやろうか」

 

「またなのかご先祖! だからユーリがいない所でと──」

 

「いいの」

 

 イルマを止めようとしたチンクをイリスは止める。

 

「嘘に踊らされてみんなに迷惑かけて、取り返しのつかない事をいっぱいした。法で裁かれるのはもちろんだけど、みんなには本当に酷い事をしたから……。キリエの思いを踏み躙って、イルマが子孫の子に遺した物を悪用して、ユーリにも酷い事いっぱいして……だから私はもう……「今回のことは、イリスが私のお願いを聞いてくれたのが始まり」……キリエ」

 

 イリスの後ろからキリエとアミティエさん。……それにそっくり三人衆が歩いてきた。

 どうしてここに……そういえばここアミティエさん達の部屋と近かったね。イリスの泣き声が聞こえたのかな?

 

「聞いてたの?」

 

「うん。イリスがそんなに背負い込む必要はないの。償うのも謝るのも一緒にやっていこ。お姉ちゃんやイルマ、王様達にユーリもきっと手伝ってくれるわ」

 

「はい!」

 

「私にも止められなかった責任がありますので!」

 

「ま、ユーリが手伝うと言うのだから仕方あるまい」

 

「素直じゃありませんねディアーチェ」

 

「そーだよ。素直にお手伝いするーって言おうよ〜」

 

「え、私も入ってるのか?」とほざいているオッドアイ以外のみんなはそう言ってイリスに笑いかけ、それを見たイリスは目の端に涙を浮かべる。

 

「空を見上げて頑張ろ。みんなと一緒に」

 

「……ぅん。……ごめんね、キリエ。ごめんなさいイルマ……ごめんなさいユーリ……!!」

 

 そう言って再び泣き始めたイリス。

 ……まだまだ言ってやりたい事は山ほどあったとにこんな場面見せられたら流石に引くしかないな。

 まぁ俺自身はトリプルブレイカーでお仕置きもできた事だし、諸悪の根源もノネットブレイカーで生首にもした。……しゃあない、これくらいで許してやるか。

 

「おい、私はまだ許してないからな! 泣いたところで人は所詮変わらな「お前はちょっと空気読めや!!」ぎゃぁああああ!!」

 

 この状況でなお何か言おうとする老害をバックドロップで黙らせる。

 確かに数年間縛られ続けて許せないのは分かるけど、ここで言ったら台無しになるやろがい!!

 何か言いたければまた今度にしろ今度に!!

 

「丁度いい。このまま博士のところへ連れて行ってしまおう」

 

「そうだな。これは隔離した方がいいや。という事でエルトリア組の皆さん、ご先祖借りていくね。ちょいとコイツの腕修理できる人の所に治療させに行くから」

 

 ロボのくせに頭に大きなタンコブを使ったイルマの襟首を掴んで連行する俺とチンク。

 そんな中、懲りずにイリスに声をあげるイルマ。

 

「私を操った借りは絶対に忘れないからな! お前がエルトリアに帰って来たら今度は私がお前をコキ使ってやるから覚悟しているんだな!!」

 

「……うん」

 

「素直じゃないな。ご先祖も」

 

「こう言うのをツンデレって言うんだ、ババアのツンデレなんて需要は一切ないけど覚えておこうなチンク」

 

「レオ、貴様覚えておけよ?」

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