見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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イルマを戦闘機人に改造する?

 と言うわけでエルトリア組からイルマを拉致ってやって参りましたスカリエッティ研究所!!

 

「……なんか前より外観の装飾が豪華になってね? なんだよ『研究者の為の夢のテーマパーク』って?」

 

「ドクター……」

 

 あのチンクすら呆れるしかないって相当じゃねえか。

 しかも『社会科見学大歓迎。スカさんバッチ販売中!!』ってアンタ違法研究者なのに随分と余裕な事で……。

 

「まぁ、いいや。スカさーん、遊びましょー!!」

 

「いや兄上、インターフォンここにあるから」

 

 流石に研究所内にまで声は届かなかったようなので、潔くインターフォンを鳴らしてしばらく待っていると、出て来たのは薄い桃髪の赤ちゃんを抱いた紫色の長身女性……トーレだった。

 コイツかよ、口を開くとプロテインしか言わないから何だか苦手なんだよなぁ。

 

「おぉチンク、帰って来たんだな。久しぶりに共に筋トレでもするか? 最近はバスをバーベルにするのが流行ってるんだ」

 

「その流行はトーレだけだろう? 今日はドクターに用事があって来たんだが、帰って来ているか?」

 

「あぁ、いるぞ。ところで……」

 

 そこまで言うとトーレは俺の方を見る。

 

「お前は誰だ? チンクと同じ姿をしているがもしかして、チンクのオリジナル……レーヴェ氏のクローンだとでも言うのか?」

 

「レーヴェの息子のレオです。ちょいとロストロギアを悪用して急成長しましてね」

 

「ほう、急成長か……」

 

 そう言いながら赤ちゃん……セッテちゃんをチンクに預けると、そのまま拳を大きく振りかぶって……!?

 

「あっぶな!? ちょ、トーレさん殺す気か!? 別にアンタに恨みなんて買ってないだろ!? ……あ、そう言えばこの間遊びに来たときに、四女のメガネがトーレさんのプロテインに下剤仕込んでるのを目撃した時関わりたくなくて見て見ぬふりしたっけ?」

 

 でもそれはメガネが悪いから俺を襲うのは筋違いだと思う。

 そもそもトーレさんイメージ的に下剤でやられるようなタイプでも無さそうだし。

 だがトーレさんは突きを防いだ俺を見て満足そうに頷く。

 

「……合気で防がれたか、技術を見れば分かる、本物だな。悪かった、急成長したと言ってもチンクを騙してる可能性もゼロでは無いから試させて貰ったよ」

 

 どうやらいきなりの不意打ちは、俺が本物かを試すものだったらしい。

 俺ならば合気なりなんならで受け流すことが出来ると考えたようだ。……いや、一度手合わせしたことあるけど随分と過激な確かめ方だなおい。

 でも一応信じてくれた事に安堵してると、「ところで……」と青筋を立てたトーレが俺に詰め寄る。

 

「私のプロテインにイタズラした愚か者は誰だって?」

 

「え、メガネ」

 

「私はこれからクワットロに用事があるからこれで失礼する。ドクターは中にいるから寛いで行ってくれ。……クワットロテメェ、オレのプロテインに手ぇ出しやがって! 引きちぎって団子にしてセッテ達の離乳食にしてやらぁ!!」

 

「するなよトーレ!? ……行ってしまった」

 

「ふむ、随分愉快な姉だな」

 

「ただのプロテイン中毒の筋肉バカだ」

 

 かなり辛辣なチンクであったとさ。

 

 

 ◇

 

 

「スカさーん、ちょっと良い……クイントさん?」

 

 その後チンクに案内されて、普段スカさんがいると言う部屋を訪ねると、スカさんとナカジマ家に養子に行ったノーヴェちゃん、ディエチちゃん、ウェンディの三人にクイントさんがいた。

 

「ん? この声は我が息子、レオ君! 一体どうしたのか──え?」

 

「ちょっとスカリエッティ、アンタもしかしてレオ君のクローンを……違法研究者のアンタを信じた私がバカだった! もうここで逮捕してやる、慎重にお縄につけい!!」

 

「ちょ、ちが……クイント氏、私レオ君のクローンなんて作ってない。あ、そこ弱いからやめ、らめぇええええ!!」

 

「「「どくたー!」」」

 

 ものの数秒で関節を決められて制圧されたスカさん。

 流石にこれで逮捕だなんて可哀想な為、チンクと二人がかりでクイントさんに事情を話してなんとか信じて貰った俺であった。

 

「ロストロギアの力で成長したんだ。それにチンクも……変わってないから全然気が付かなかった」

 

「……ドクター、この際だから私の身体アップデート頼んで良いか? 正確には年齢に合わせて肉体が成長するように……」

 

「諦めたまえチンク。チンクのそれはいつまでも若くいてほしいという私の配慮ではなく、レーヴェ氏が成長しない体だからだ!!」

 

「嘘だッ! (ひぐらし風)ならば兄上も成長せず子供の姿のままだろう!!」

 

「レオ君の場合はレーヴェ氏こそ小さかったが、父親が二メートルあったからプラスマイナスで普通に成長したんだろう。チンク、現実を受け入れるんだ!!」

 

「あ、あ……あぁあああああああ!!」

 

 クイントさんに関節を決められたままのスカさんの言葉にショックで崩れ落ちたチンク。なんというか哀れだな、プレシアさんと相談して身体の成長を促すような薬でも作ってもらうか……?

 

「ま、まぁチンクについてはもうドンマイとしか言えないけど……大丈夫なの? ロストロギアで急成長って……」

 

「問題ない。これは非常に安定した物だから暴走なんてまずあり得ない物だからな。ただ三日のインターバルを開けなければならないから、麗央らが今大人の姿のままと言うわけだ」

 

「と言うわけです。ところでクイントさんはどうしてここに? 流石に局員が違法研究者と一緒にいるって不味いでしょ?」

 

「それはあなたもだけどね? この子達を養子に貰ったのは良いけど、スカリエッティにとってもこの子達は大事な娘。だから寂しがらないように定期的に合わせてあげてるの。因みに今日はメガーヌも来てるわ。今ウーノさんとドゥーエさんと子育て談義してるところ」

 

 曰くルーテシアちゃんと、スカさんの所の赤ちゃん達は同い年という事で、すっかりママ友になってしまったとのこと。

 もうね、スカさん達仲良く自首してもろて綺麗な身体で生活したほうがいいと思うんだよね?

 俺もしっかり口利きするから自首しようぜ? え、嫌? あ、そう。

 

「定期的に会わせてくれるお陰で娘達の元気な姿が見れて安心出来る。クイント氏は良い母親だ! ……ところでクイント氏? そろそろ解放してくれないかな? ……折れちゃう、もやしっ子な私の骨折れちゃうから……」

 

「あ、ごめん」

 

 誤解を解いてなお関節を決められていたスカさんは、ようやく解放されてヨロヨロと立ち上がると乱れた服装を整えて悪の科学者風にポーズを取る。

 

「それで今日は何しに来たのかな? あ、今回手伝ったお礼については気にしなくていいからね? 私がしたくてやっただけだから」

 

「いえ、めっちゃ助かったからそれについてはいつかしっかり借りを返すよ。……今回はちょいと頼みがあってさ」

 

「なるほど、そこにいる腕が壊れたテラフォーミングユニットについてかな?」

 

「そうそう。一応コイツ俺の先祖の記憶転写してるから、スクラップにせずにしっかり修理したいんだけど、こういう系はスカさんの専売特許だから頼みたいんだけど」

 

「頼めないか? いい加減腕が使えないと不便で不便で……」

 

「もちろん構わないよ。ちょうど量産型を解剖してどんな構造をしてるかは分かったから、半日で修理してやろうでは……え、彼女は誰の記憶を転写してるって?」

 

「俺の先祖」

 

「……どぅぇぇえええええ!!??」

 

 うん、予想はしてたけどメチャクチャ驚いてるな。

 でも特徴的な驚き方をしたせいでウェンディが「どぅえー!!」って真似してるから、あんまり変な驚き方はやめてもろて。

 ひとしきり驚き、挙げ句の果てには腰を抜かしてたスカさんだが、やがてゆっくりと立ち上がるとイルマの前に立つ。

 

「どうも、ジェイル・スカリエッティと申します。レオ君とは仲良くさせていただいてまして……」

 

「あぁこれはご丁寧に、私は魔王国の最初で最後の王レオノーラ・ベルフェリア。今はイルマを名乗っている。うちの子孫が世話になってるようで……」

 

 なんかお互い自己紹介始めちゃったよ。

 しばらくペコペコしてたスカさんではあるが、ハッ!? っと思い出したかのようにマッドサイエンティストっぽく振る舞う。

 

「せっかくのベルカの王からの依頼、機械オンリーの身体というのも味気ない物だろう。この際腕だけでなく全身魔改造を施してあげようではないか。私に任せてくれたまえ!!」

 

「ほう? 強くなれるなら文句はないが、どんな魔改造を施すつもりだ?」

 

「クフフフフ、新生児ではなく、機械を素体にした新たな規格の戦闘機人の作成だ」

 

「アウト! ジェイル・スカリエッティ逮捕ね!!」

 

「あ、ちょ、クイント氏待って!! これは従来の戦闘機人の規格みたいに命を弄ぶ系の技術じゃないから言い訳聞いて!!」

 

 曰く今回の企画では新生児をベースに機械パーツを埋め込むのではなく、機械をベースに生体パーツを組み込む新たな形での戦闘機人の作成らしい。

 

「別に新生児を犠牲にする物じゃなくて、機械に合わせた内臓を作るだけだから、最近プレシア女史が手掛けている医療で使うクローン内臓の培養と同じだから倫理的には問題ないはず! それにデバイスとかに使われてるAIがたまに人間になりたがる事例があるから、それの救済のために作った技術なんだ。グレーではあれどブラックではないはずだ!!」

 

「なるほど、確かに元人間として機械100%よりも機械50%、人体50%のほうが何かと都合がいいな。主に人権的な問題において」

 

「本当にグレーね!! ……でもまぁイルマさんも希望してるし止めるべきでは無いのかな?」

 

 納得していなかったクイントさんではあるが、AIの方から希望しない限りはやらないと言うスカさんの言葉を聞いて、イルマもそれを希望したことで渋々退く。

 その後生体部品の培養のために、子孫の俺の細胞を回収したスカさんはイルマと共に研究室に入って行ったのだった。




スカさんはイルマを戦闘機人に魔改造した後、レオの遺伝子をコレクションとして保管しようとしたが、それを見越していたレオ君により全て焼却処理され泣き叫ぶことになった。


 おまけ 〜成長してる!?〜

 ナカジマ家にて

「ん? 女房からか……ブフッ! ま、マジかよ!!」

「吹き出したお茶は自分で片付けてよね? ……それでどうしたの父さん?」

「ちょ、ギンガ、スバル。これ見てみろよ!!」

「え……こ、これは!!」

「えー!? レオ姉成長してるー!!」

「ロストロギアの力らしいけど、随分と別嬪に育ったなぁ……。あいつ本当に男だよな? 実は女とか言うなよ?」

「レオ姉は女の子だよ?」

「確かにこれは女の可能性高すぎだろ……なぁ、ギンガ。あいつ本当に男なのか……ギンガ?」

「…………」

「鼻血出して気絶してらぁ……」

「ギン姉しっかりしてー!!」

 その後クイントさんが撮った写真を印刷したギンガちゃんは、それを写真立てに納めて部屋に飾った。
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