見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
旅館だ! 温泉だ!
ここの温泉は10歳以下は男湯女湯どっち入ってもオーケーだ。
ヤマトのやつは女子に捕まったから女湯確定だろう!
故に……
「男湯行くぞユーノ君!」
「キュー!」
なのはちゃんからユーノ君を強奪し、巻き込まれる前にとっとと男湯に入ってやった。
今日は士郎さんと恭也さんがいるし、女湯に入ろうだなんて自殺と言っても良いからだ。実際、女子組に背中を押されて女湯に入ったヤマトを殺意のこもった目で見てたし。もう奴は明日の朝日を拝めまい。
「ふふふふーん、よしユーノお湯かけるから動くなよ?」
「キュー!」
ユーノの身体をささっと洗ってやり、洗面器に温泉のお湯を張ってユーノのそばに置いてやる。
「キュ〜……」
(洗ってくれてありがとう)
(どういたしまして。それと貸し一な。因みに俺の貸しには利子がある上に、利子は
(悪徳金融どころの話じゃない! なんだよその利子だけで人破滅させられる鬼のようなシステムは!?)
(あはは、大丈夫だって最悪ベーリング海でカニ取ってきてもらうから)
(昨日なのはとテレビで見たよ! かなり過酷なところじゃないかなそこ!?)
「ユーノをじっと見つめてどうしたんだい?」
「うぉう!? し、士郎さん、気配消して背後にまわり込まないで下さいよ! 俺を暗殺する気でしたか!?」
念話に集中しすぎたのか、士郎さんが背後から声をかけていた。危ねぇ、今の下らないやり取りを口でしてたらユーノがお喋りできる不思議な動物だってバレる所だった!
なのはちゃんは親には魔法のこと話してないし俺からバレたなんて知られた日には俺の命の灯火はなのはちゃんによって吹き消されてしまう。
「ははは! もう暗殺なんてしてないよ。気配を消すのはなんとなくの癖さ」
「え、今もうって言った? え、昔は暗殺とかしてたの!? 桃子さんにストーキングしてた人たちとか秘密裏に消してたの!?」
「…………」
「この状況で無言はやめてぇえええ!」
冗談にしては士郎さんの身体には古傷が沢山ある。てかそこの胸の傷、刀で斬られないとまず出来ないような傷だろそれ?
これはマジでやってるかもしれない。
「父さん、その冗談は洒落になってないから。大丈夫だ麗央、ウチは至って健全だ。……命が大切ならこれ以上の追求は……分かるな?」
「」コクコク
どんな家系だよ高町家!?
驚愕のあまりビクビクしてると、恭也さんは小さく笑いこれも冗談だ。と言った。
なーんだ、一本取られた。
……でもこれ以上の追求はやめよう。勘のいいガキは消されると相場が決まってるんだ。
「麗央君はまだ身体洗ってないだろう? ほら背中流してあげよう」
「ありがとうございます」
その後士郎さんに背中を流してもらったお礼に俺も士郎さんの背中を流してやり、念願の湯船に浸かる。
「「あ"〜生き返る〜……」」
「父さんはともかく麗央まで……おっさん臭いぞ?」
俺の精神年齢はとっくに40歳のおっさんだからいいんですー。
……最近若い子と一緒にいるせいか精神が退行してるけど、まぁ前世でできなかった青春してると思えば。……うん。
「……それにしても、士郎さんも恭也さんも凄い筋肉ですねぇ。やっぱ剣道って鍛えられるんですか?」
「お、剣道に興味あるのかい? そう言う麗央君だってこの筋肉のつき方は剣士特有のものだし、どこかの道場で剣道でもやっているのかな? ……というか、槍とか無手とかもやってる筋肉のつき方だなぁ。武術を極めたいなら一つに絞った方がいいぞ〜?」
すげぇ語りますやん士郎さん。ちゃいますねん。俺が使うのは剣じゃなくて剣型チェーンソーですねん。そもそも俺の使うデバイスは近接とかのも多いから、いくつか我流で練習してますねん。
てか俺の筋肉のつき方で、武術をしてるのはともかく、やってる分野まで見極めるってどんだけすごい観察眼持ってんですか士郎さん?
「いやー俺のなんて金髪対策も兼ねて趣味でやってるだけですんで。俺こんな見た目だからアイツによく喧嘩売られるし、ひなちゃんをアイツから守らないといけないし」
「……お前も苦労してるんだな。竜弥には俺もなのはも悩まされている。困ったことがあれば、いつでも言うんだぞ」
「ありがとうございます」
「れお君〜」
「ぶっ!? ひ、ひなちゃん!?」
男同士で適当に駄弁りながら温泉を楽しんでいると、男湯にひなちゃんが入ってきた。
ど、どうしてこんな所に……そういえば10歳以下は男湯女湯どっちもオーケーだったな!?
まさか女子がやるなんて思わなかったよ!
「あのねあのね、向こうに子供用温泉ってのがあってね。すべり台とかもあるの! いっしょ行こうよ!」
「え、えぇ? ごめん俺これからサウナ入って水風呂で身体を整えるという大切な用事が……」
「え、ダメなの……?」
「麗央、ここでひなを泣かせたら……分かってるな?」
「あ、ハイ」
俺に拒否権なんてものはなかった。
仕方ない、サウナは明日の朝に入らせてもらおう。
「早く行こ、なのちゃん達も待ってるよー」
「……麗央君、行ったらどうなるか……分かるね?」
「なにそのジャイアニズム、じゃあどうしろと!?」
ひなちゃん泣かせたらアウト、子供温泉の方行ってもアウト。俺に生存の道はないのか?
どっちを選んでも待っているのが、あの神の元への強制転移なら悔いのない選択を選ばなければならない。究極の選択だ。
……よし。
「分かったよひなちゃん。一緒いこうか」
「わーい!」
「「……」」ギロリ
とりあえず風呂上がったら真っ先に遺書でも書いておこう。
それはそうと……
「いくぞー、ユーノ君」
「キュ!?」
(ちょっと、なんで僕まで巻き込むのさ!?)
(うるせぇ、こうなったらテメェも道連れなんだよぉ!!)
ユーノ、貴様だけのうのうと温泉を堪能させてたまるか、お前も俺と同じ地獄へ堕ちてもらうぞ。
なーに、お前はフェレットだから高町親子の制裁対象じゃねえよ!!
「あ、レオも来たのね。見なさいよ水鉄砲もあるわ。水鉄砲勝負するけど3対3だと一人余るし、アンタ審判やりなさいよ」
「さりげなく仲間外れにされた件について問い詰めたい気分ではあるが、それはそうと一ついいか?」
「何よ?」
「お前ら羞恥心って知ってる?」