見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
早いことで一泊二日の温泉旅行からもう数日が経った。
本日は土曜ということで、念話で連絡を取り合い丸一日ジュエルシードの捜索をしていた。
「おーい、今日暑いしスポドリ買ってきたぞー。熱中症になる前に……いや、その前においオリ主。このスポーツドリンクに美味しくな〜れ萌え萌えきゅん♡ってやれよ」
「いや、なんでだよ。なんでそんな恥ずかしいこと……」
「その方がみんな元気が出るからだよ」
朝から探しっぱなしで、もとより体力のないなのはちゃんは勿論のこと、アリサちゃんやフェイトちゃんにひなちゃん、挙げ句の果てにはヤマトと同じレベルの体力お化けのすずかちゃんすらも疲労が見え隠れしている。
それを回復させるにはヤマト、貴様の力が必要なのだ。早くやれい!
「みんなもヤマトに美味しくなーれってしてもらった方が嬉しいよな?」
「いやいやそんなバカな……満場一致だと?」
ほら見ろ。
……まぁヤマトに気がないひなちゃんには、念話でこっそりと何も考えずに手を挙げて。って言ったから手を上げただけだけど。
結局引くに引けなくなったヤマトはスポーツドリンクの目の前に立つと
「お、おいしくなーれ……萌え萌えきゅん」
棒読みだったしやり直しにしたいところだが、まぁ今回は許してやろう。
その後ヤマトの愛たっぷりのスポーツドリンクを一気に飲み干したアリサは疲れたように公園のベンチに座った。
「それにしてもないわね〜。ジュエルシード」
「まぁ、この広い海鳴の街に広がってるからね。しょうがないよゆっくり探そ?」
「フェイトちゃんすっごい疲れちゃってるの。大丈夫?」
「……うん、大丈夫だよなのは」
休憩ということで適当に駄弁る俺たちだったが、そんな中でヤマトがボソリと呟いた。
「……もしかしてこの街中には無いのかもな。捜索範囲を海鳴市周辺の市や街まで広げた方がいいんじゃ無いか?」
「うわー、それ面倒くさいな。すずかちゃん、スノーホワイトは索敵能力かなり発展させてたと思うんだけど、やっぱりレーダーでの探索は難しい?」
「……うん、ごめんねレオ君」
「いや、それは製作者側の失態だから気にしないで」
こうなったらスノーホワイトと今持ってるジュエルシードを回収して、ジュエルシード索敵用のプログラムを使ってスノーホワイトに搭載した方がいいかな?
「ねぇ、なのは達はジュエルシードを何個集めてるの? 私は前回の旅行のときにひなに譲ってもらったのも含めて3個しか集められてないんだけど」
「10個は集まったんだけどね。それからはいくら探しても全然見つからないの」
「10個……!?」
予想以上に激しくフェイトちゃんが食いついた。
そしてなんか葛藤する表情をしてバルディッシュを強く握っている。
……ははーん。
「さてはフェイトちゃん。お母さんに急かされてるね?」
「それは……! うん、ごめん。急かされて焦っちゃってたかも」
俺の言葉にびくりと反応するも素直に謝るフェイトちゃん。
でもこんないい子なフェイトちゃんも、管理局の法でいえば違法渡航者、ロストロギア不法所持って罪状を持ってるんだよね。
まだ子供だしある程度減刑はあるけど管理局に捕まったら、凶悪犯罪者の仲間入りなのだ。
絶対に許すまじフェイトのお母さん……!
え、俺ら? そもそも俺以外の面子はミッドチルダに行った事ないから管理局法適用外だし、適用される俺も本格的に捜索に参加するようになってから、すぐに管理局に届出を出してジュエルシードの所持に対して特例を貰ってるから無問題なのだ。
「ならこうしたらどうだ? 模擬戦って感じでフェイトと俺たちのうち誰か一人が戦う。勝った方が負けた方の言う事を聞く。つまりフェイトが勝てばジュエルシードを手に入れられる。どうだ?」
「やる」
「おいコラ何勝手に進めてんねん。このアホ……」
勝手にジュエルシードを賭けに出すなよ。ほらユーノ君なんとも言えない顔してるぞ。
え? もし負けても最終決戦のときに勝てばいいから? そう言う問題じゃねえよ。
「でもまぁ確かにそうよね。このまま見つかるかも分からないジュエルシードを探して日が暮れるよりも、模擬戦とかで戦ってスカッとしたいわ」
「うーん、スカッとしなくてもいいけど、私もまだこの中じゃ弱いし魔法の練習したいかな? 一人での練習はレオ君に止められてるし」
「そうよ。許可しなさいよレオー!」
勘弁してくれよ。バッテリー型デバイスの安全が確立されてないんだから。もし一人で練習しててボンっとなって、今週末はアリサちゃん、すずかちゃんの法事に参加することになりましたぴえん。って感じにはなりたく無いんだよ。
だからと言って安全を確立させるには誰かに使ってもらう……つまりはテスターが必要になるから、アリサちゃん達の協力なくして完成させられないし……。
「辛いところだよなぁ……」
「……なんかごめん」
「レオ君も苦労してるんだね……」
その後結局模擬戦を行うことになり、俺らがいつも訓練を行なっている山の中で結界を張り第一回天下一魔導会を開催した。
今回はトーナメント戦でやるため負けたらその時点で終了である。
一回戦はなのはちゃんVSフェイトちゃん、アリサちゃんVSヤマト、すずかちゃんVSひなちゃんで俺は二回戦からの参加だ。
もしこのトーナメント戦でフェイトちゃんが優勝できれば、なのはちゃんとの予選で一個、準決勝で一個、決勝で一個の計三個のジュエルシードが手に入る。
フェイトちゃん的にはなんとしても手に入れたいところあろう。
「ごめんね、なのは。私手加減しないよ?」
「臨むところだよフェイトちゃん! 勝っても負けても恨みっこなし、全力全開でやろう!!」
「ヤマト。今の私じゃ届かないかもしれないけど、なんとしても勝ってみせる! そして……」
「なんでそんな怖い顔してんだアリサ?」
「ごめんねひなちゃん、私負けないよ。決勝まで勝ち進んでヤマト君と……」
「ひなも負けないよー! れお君に聞いてほしいお願いがあるからね!」
アリサちゃんとすずかちゃんの本気度がえぐい。そしてひなちゃんのお願いは勝っても負けても、トーナメント終わった後に聞こう。
〜予選〜
時間も勿体無いということで3チーム同時に行うことになったので、俺はなのはちゃんとフェイトちゃんの勝負を観戦させてもらうことにした。
「《フォトンランサー》!」
「《ディバインシューター》!」
なのはちゃんとフェイトちゃんはスフィアによる撃ち合いになっているが、やはり移動しながら撃つので速度的にも技量的にもフェイトちゃんに分があった。
「《アークセイバー》!」
「しまっ!?」
あ、鎌に変形したバルディッシュの飛ぶ斬撃でなのはちゃんの体勢が崩れた。
これはもう勝負アリだな。
「ごめんね。《フォトンランサー・マルチショット》!」
「にゃぁあああああああ!!」
なのはちゃん撃墜、フェイトちゃんの勝ちだね。
まぁ今回は経験の差で負けたっぽいし、なのはちゃんの頑張り次第では充分に追いつけるんじゃ無いかな? 知らんけど。
「負けちゃった〜、レイジングハートお願い」
『Pull out』
「ありがとうなのは。でもなのはも強かったよ?」
撃墜したなのはちゃんが地面に叩きつけられる前に華麗に抱き止めたフェイトちゃん。
遠くから見てたけど王子様に見えるね!
さーて、アリサちゃんとすずかちゃんの方はどうなったかな……。
「あ、アリサ!? どうしたんだしっかりしろ!」
「すずちゃん、胸を押さえてるけど苦しいの? ねぇしっかりしてよ!!」
二チームの様子を見にいくと、お互い離れたところで胸を押さえて苦しむアリサちゃんとすずかちゃん。そしてそれを介抱するヤマトとひなちゃん。もはや試合どころの話ではなかった。
……え、これってバッテリーデバイスのせい?
俺二人をやっちゃった……?
アリサちゃんとすずかちゃんはどうなってしまうのか……
次回は若干シリアスです。ご注意下さい。