見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
金髪に不意打ちを仕掛けてから早いことで、もう一年が経ちました。
1年間、アスカのスパルタ教育と毎月支給される生活費を除いた、すべての金をデバイスの制作費につぎ込んで、複数デバイスを作りそれを戦術に組み込んでいったことにより……
「俺ってだいぶ強くなれたと思うんだよね」
『ええ、これだけの力があれば、原作に入ってもよほどのことがない限りは遅れを取る事はないでしょう』
Nロッドによる基本的な立ち回りをベースに、魔力変換資質による四属性に対応したデバイスを一つずつ作り、状況によって使い分けて相手の苦手をつく戦法で戦うことにした。また巨大なライフル型のデバイスを用意して魔力SSSの才能を100%活かし切れる強力な砲撃をも撃てるようにしたのである。
『ですが一つだけ不満があります』
「どうしたアスカ?」
『他のデバイスもいいですが、いい加減私を使ったデバイスを作ってくれませんか?』
そう俺はまだアスカを生かすデバイスは作っていないのだ。
と言うのもアスカはあの邪神特製のインテリジェントデバイス。せっかくならばとことんまでに手間ひまをかけて究極のデバイスを作りたいというのが俺の考えなのだ。
一応究極のデバイス(仮)の完成系や設計図などはある程度完成させているのだが、それを作るための最高級な素材を探している最中なのだ。
「ということで悪いけどもう少しだけ待ってくれ」
『分かりました。では当分の間はサポートに徹しますよ』
俺の作るデバイスは全て、ストレージデバイスかアームドデバイスということもあり、デバイスに搭載されたAIは本当に最低限のことしかしないようになっている。ゆえに現在アスカには俺の作ったデバイスと同期させて、そのデバイスのAIを補助してもらっているのだ。
『ですが複数のデバイスの使うのならば、いつか同時に二つか三つを使うときも来るはず。はやく並列思考を習得していただきたいものですね』
「前からやってるけど、同時に二つを処理するまでで限界だわ。三つ以上になると頭追いつかないんだよなぁ」
『何を甘えたことを。最終的には聖徳太子レベルになって貰う予定ですよ』
「え"……」
十個の物事を同時に思考しろってかふざけんな。
しょうもない話をしている間に目的地へ到着した。
「ふぅ……毎日のように登ってるからもう慣れたもんだけどさ、毎日毎日こんな山の頂上までくる意味あんの?」
『この世界に魔法はないので、人に見つからないところでやらなければならないじゃないですか。それに足腰を鍛える訓練も兼ねているのですよ?』
「すっげえ納得した」
俺は普段近場の山の頂上付近で魔法の練習をしている。正直言って他のリリカルなのはssのように地下室に鍛錬室を作ってくれよと嘆いていたのだが、確かに毎日山を上り下りしているおかげか、足もかなり速くなったしスタミナもついている。理にかなった鍛え方だったってことか。
『おや? ですが今日は先客がいるようですね』
「え?」
山の方を見るとピンクの髪にピンクのドレスと言うまさにプリキュアを体現したような今の俺と同年代の女の子が泣いており、それをハートが先端についた杖が宥めているところだった。
「うぇえええん。こんなの無理だよぉ! 出来ないよぉ!」
『ヒナちゃん、大丈夫ですよ。最初は誰でもこんなものですし……』
……。
「アスカ、あの子も転生者なの? それにしては随分と精神年齢が幼いと言うかなんと言うか……」
『あの子は
「あー、なるほど。つまり年相応なんだな」
というかそんな小さな子まで転生者に選ばれるんだな。
あの邪神のせいで本当の親とも引き離されて可哀想に……。
『因みにあの子の前の両親はこの子を虐待してました』
「……あの神にしてはファインプレーをするじゃないか」
さてどうするかな。踏み台だから警戒されるだろうし関わらない方がいいのかもしれないけど、年相応ならばもしかしたら警戒心はないかもしれないし……よし。
「君も魔導師なんだね〜」
「ふぇ?」
怖がられないように明るい口調で話しかけると、ひなちゃんは目の端に涙を浮かべながらも泣くのをやめてこちらを見る。
パッと見怖がってはなさそうだし、これはいけるか?
「見た感じ魔法の使い方がわからない感じかな?」
「……ぅん」
「どの魔法が分からないのかな?」
「……すふぃあが思うように飛ばない」
「スフィアかー。オッケーそれじゃ一緒に練習しよっか」
「うん」
懐から待機状態のNロッドを展開すると、一つだけスフィアを作る。
「それじゃあひなちゃん。スフィア鬼ごっこでもしよっか」
「すふぃあ鬼ごっこ?」
「俺の作ったこのスフィアをひなちゃんのスフィアで追いかけるんだよ」
「楽しそう!」
計画通り。
子供っていうのは興味がある話題にはとことん食いつくけど、興味ないことは苦痛に感じてしまうのだ。ならばやる事は簡単、遊びを交えた訓練をさせてあげればいい。魔法は遊びに転用しやすいし丁度いいのだ。
「よーし、それじゃいくよー!」
「よっしゃ来な!」
〜数時間後〜
今、午後三時半くらいか、そろそろ解散して山降りないと五時のタイムセールに間に合わないよな。
「今日はここまでにしようか」
「えー、まだあそぼーよ!」
「ごめんねー、これからタイムセール行かないとだから俺は帰らないと行けないんだ」
「うぅー、ならしょーがないね。あ、ならさ、いっしょ帰ろー?」
「いいよー」
変身を解いて年相応の姿になったひなちゃんと手を繋いで帰路に着く。
というかスフィア鬼ごっこしてて思ったがこの子かなり魔法の才能あった。
最初こそスフィアを動かすのに苦労していたようだが、慣れてくるとかなり滑らかに動くようになり、挙げ句の果てにはフェイントまでかけてくるようになったのだ。君ほんとに五歳児なん?
「今日は楽しかったね。……えーっと、お名前なんだっけ?」
「俺は宮坂麗央。転生者の一人にして踏み台その二。よろしく」
「れお君って言うんだね! 私桃崎ひな。よろしくね」
あ、転生者と踏み台はスルーなのね。というか意味分かってないんだろうなぁ……
その後、雑談を交えながら一緒に山を降りたのだが、話せば話すほどこの子は純粋無垢な子供だということが分かった。リリカルなのはの登場人物はよく覚えていないが、ほとんどが歳の割に成熟してた筈だ。だからこそこんな人材はある意味貴重だろう。
「この子は俺が守らねば」
『何言ってるんですかマスター』
『貴方にひなちゃんは渡しません』
「んー?」