見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「や、やりますね……私との口論でここまで食い下がったのはあなたが初めてよ。本当に小学生なのかしら……?」ゼーゼー
「ウチの両親とっくに死んでるんで……世の渡り方は研究したんですよ……(嘘)」ゼーゼー
「……やめましょうか」ゼーハー
「ええ、やめましょう」ゼーハー
お互いにこれ以上は泥沼であることを悟り和解した。
というかリンディさんもクロノ君もどういう理由であれ違法収集者と手を組むのは危険であると叱りたかっただけっぽいし、それは事実なので今回は俺が明らかに余計なことをしたと言える。
だが反省はしていない。
「一応聞いておくけど、どうして寝ぼけていたの? 徹夜でジュエルシードを探してたのかしら?」
「いや、この間次元震があったじゃ無いですか? それのせいで俺以外のデバイスが壊れたんで三徹で修理してたんですよ」
「さ、三徹!? え、そんな限界の状態で私と論争をしていたと言うの……!?」
「というか三日も寝てない状態で戦場に出るなんて何を考えてるんだ!?」
クロノ君とリンディさんはありえないと言った表情で俺たちを見るが、無理やり連行されたんだし俺は悪くない。
それにヤマト達の言い分は、もしジュエルシードの近くに金髪がいた場合必ず状況が悪化してしまうため、保険としてすぐ近くに俺がいたほうが良かったとの事らしい。
よく覚えてないけど今日もそこに金髪がいたらしいし、ヤマト達の判断は間違って無かったと言える。
ついでにこの間の次元震の原因も金髪であると話してやった。
「……母さ、いえ艦長」
「えぇ、確か龍帝院竜弥君だったわよね? いくら管理外世界の住民だとしても、ジュエルシードが危険なものと分かった上で使用したのなら話は別よ。拘束して事件が終わるまでアースラの独房にでも入れてしまいましょう」
結論、全てにおいて金髪が悪い! これではっきりしたね!!
「ですがあの一件で分かったでしょう? ジュエルシード一個であれだけの規模の次元震が発生してしまう。それがもし複数のジュエルシードで同時に発生してしまったら? 次元震のさらに上次元断層が発生してしまう」
「そうなったら世界の一個や二個、簡単に滅びるだろう」
俺らは理系が多いため数値で詳しく説明してもらったが、例えばジュエルシード一個が起こす次元震を10と仮定したとき、二個から同時に次元震が発生すると相乗効果で10の2乗になるとのこと。
つまり21個で10の21乗……。うわぁ。
どれだけジュエルシードが危険なものであるかを改めて知り息を呑む原作三人娘。
そして意味がわからず首を傾げるひなちゃん。
うん、君にはまだ早かったね。
……まぁ俺的にはぶっちゃけ10が10垓とかいう途方もない数字に変わったところで、ヤマトに言霊使わせれば問題ないからどうとも思わないけど。
つかヤマトには言霊とヒロインを惚れさせるくらいしか存在価値ないしそこで頑張ってもらわなきゃな(ゲス顔)。
俺の邪念を読み取ったのか睨みつけてくるヤマトを無視していると、リンディさんは大量の砂糖とミルクの入った緑茶を一回啜ると続ける。
つかよく飲めるなそれ。
「だからこれからのジュエルシードの回収は私達が行います」
「君達は今回のことは忘れてそれぞれの世界へ帰るといい。もう一度言うがジュエルシードは危険だ」
……まぁ時空管理局からすれば俺たち見たいに局員でもない子供にこれ以上ジュエルシードを追わせるのは危険だと判断したんだろうな。
事実フェイトちゃんと手を組んでるし、金髪のせいとはいえ次元震を発生させたと言う失態もあるし。
「急に言っても気持ちの整理はつかないでしょう? それにフェイトさんの事だって心配のはず。だから今夜一晩みんなで話し合って、それから改めてお話をしましょう?」
「な、母さん!?」
リンディさんの言葉にクロノ君が驚愕の表情で母親の方を向いた。
おーい、リンディさん? 流石にそれは……
「「「「それはおかしいんじゃないの(ですか)?」」」」
同時に口を開いたのは俺とヤマト、そして駆け引きに関して親に仕込まれているアリサちゃんとすずかちゃんの金持ち組。
そして何がおかしいのか理解できないなのはちゃんと、そもそも話についていけなくて羊羹を食べるのに集中しているひなちゃん。
アリサちゃんからリンディさんの矛盾をついていく。
「私たちをこの件から遠ざけたいなら、有無を言わさずにデバイスを没収すればいいだけじゃない?」
「例え無理やりデバイスを没収したところで、麗央君が新しいデバイスを作っちゃうでしょう?」
「いえ、俺もうデバイスを作るだけの金ないですわ。先の修理で生活費にまで手を出したのに……」
「だからお金を払うって言ってるじゃない。フレイムアイズは150万にデバイス修理費は10万でしょ? パパに事情説明すればちゃんと払えるわよ。なのになんでいつも断るの? いい加減借りを返させなさいよ!」
「そうだよ。ちゃんとお姉ちゃんとかに事情を話せば私たち払えるよ? せめて修理代くらい受け取ってよ」
「いやだから親バレするのが問題なんだって! 親バレしたらアリサちゃん達を魔法とかいう危険なものに引き込んだ張本人って事で俺の首が飛ぶじゃん! それに小学生に請求する額にしては高すぎるわ馬鹿野郎!! それにたとえ請求したとしてもフレイムアイズとスノーホワイトは俺が勝手に作ったもんだから金いらないって!」
そう俺は金銭面に関しては決してアリサちゃんやすずかちゃん。果てはなのはちゃんやフェイトちゃんにも請求しないようにしている。
子供が払うにはデバイスは高すぎる値段だからだ。金持ちのアリサちゃんやすずかちゃんはともかく、なのはちゃんに10万請求した日には家族会議待ったなしだろう。
俺が作ったもしくは修理したデバイスを使ってくれる事こそ何よりの報酬だ。どうしてもお返しがしたいなら出世払いで返せ。
「……ありがと」
「ごめんねレオ君。大人になったら絶対に払うから……!」
「だから金銭面はもういいって!」
ただしヤマト、テメェはダメだ。
バレる親もいないんだし来月の支給日に俺がお前の家に泊まった時に発生した食費とか光熱費とかを差し引いた金額をきっちり請求するからな?
「……金銭トラブルについては後にしてもらっていいか?」
クロノの言葉にハッとする俺たち。
「こほん、それに今レオ君がもうデバイスを作ることができないと知っても、私達のデバイスを没収しないことが、何かの狙いがあると言う証明になりませんか?」
すずかちゃんの言葉に続き、無言で自分の羊羹をひなちゃんの方へずらしていた俺が追撃を仕掛けた。
「自画自賛するようでなんですけど、俺たちってクロノ君には届かなくてもかなり強い自信あるんですわ。なのに手を引けと言うのもおかしな話っすよね?」
さぁヤマト、とどめは任せた。
「つまりリンディさん達は俺たちに手伝って欲しいんじゃ無いですか? デバイスを没収する事もできると暗に脅して協力をせざるをえない状況に誘導しようとした。違いますか?」
リンディさんはクスリと微笑むともう一度お茶を一啜りする。
しばらく無言の状態が続いたが悪戯っ子のように舌を出して
「バレちゃいましたか」
とかのたまいやがった。