見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
緑髪の女狐はお茶のおかわりを注ぎながら続ける。
「確かに私達があなた達の力を欲しているのは事実ですが、必ずしもあなた達の協力が必要というわけではありません。魔法を捨てるもよし、私たちに協力するもよし、それぞれの自主性にお任せしますよ」
「そうですか」
「ですが私個人としては協力をしてくれた方が助かりますけどね」
「……念話をしてもよろしいでしょうか?」
「ええ構いませんよ」
ヤマトはリンディさんに念話の許可をもらうと、俺たちに念話を繋ぐ。
(みんなは今のを聞いてどうする?)
(私は反対! この人達に協力するってことはフェイトを裏切る事になるって事じゃない!)
(私も同感。フェイトちゃんをほっとけないの!)
(そうだね私も反対かな? 私達も逮捕されちゃうかもだけどフェイトちゃんを見捨てられない)
(ひなも反対。なんかあのおばちゃん怖い!)
ひなちゃん、面と向かっておばちゃんって言ったら殺されるから絶対に言っちゃダメだよ?
念話でひなちゃんに注意をしていると全員が俺の方を見る。あ、俺も答えんの?
(保身を優先するならリンディさん側に付きたいけど、フェイトちゃんにも情が湧いてるからなぁ……。結論、お前らに任せる。ユーノ、一番の当事者としてはどう思う?)
(ジュエルシードは君たちが集めてくれたものだ。それに僕もフェイトに関しては心配している。だから君達に任せるよ)
(そうか。みんなならそういう風に言うと思ってた。俺も反対だ。理屈とか抜きにフェイトを捨て置けない。ここまで来たら全部集めてフェイトと決着までつけないとダメだよな)
反対5、どっちでもいい2で反対が勝利した。つか賛成全くいないじゃねえかそりゃそうだ。
ヤマトが代表して断ると言うために立ち上がった。
アースラの緊急アラームが鳴ったのはその瞬間だった!
「大変です艦長! アースラに何者かが侵入、すごい勢いでこちらに向かってきています!!」
「なんですって!? クロノ、迎撃準備! あなた達もデバイスを起動して頂戴!」
「はい!」
緊急アラームが鳴ったと言う事で急いでバリアジャケットを展開する俺たち。
なーに、誰が侵入してこようがリンディさんクロノ君。後ユーノ君も含めてこっちは9名、数の暴力で充分押し切れるだろう。
そう思いまずNロッドを展開して構えていると、扉が乱暴に蹴破られた!
そこには桃色の短髪にモモザキベーカリーのエプロンをつけた女性。桃崎羽鳥さんだった。
「ひな! どこにいるの!! 返事を頂戴!!」
「あ、ママだー!!」
ひなちゃんはトテトテと母親の元へ行くと彼女に抱きつく。
いや、なんでアンタがここにいるんすか?
ほら見ろよ俺たちだけじゃなくて、クロノ君とリンディさんすらも目を点にして固まってるだろ!?
「もうひな。魔法を使うのはいいけど、海鳴市から出てはいけませんと言ったじゃない」
「あうぅ……ごめんなしゃい」
(ね、ねえレオ君)
(何なのはちゃん?)
(ひなちゃんのお母さんって、魔法のこと知ってたの!?)
(嘘つく事のできないひなちゃんが魔法のこと隠し通せるはずないだろう?)
羽鳥さんから以前聞いたのだが、彼女、元時空管理局の局員だったらしい。
昔は前線で戦う武闘派だったのだが怪我をしたのを機に管理局を辞めて地球に戻り、ひなちゃんの父親と出会って結婚したと。
「でもどーしてここにいるの?」
「GPSでひなの現在地を把握してるからよ」
「じーぴーえす?」
そういえばミラクルホープの現在地が羽鳥さんの持つデバイスに常に送られてるって言ってたっけ?
あー、だからここを特定してカチコミかけたわけね。
「え、羽鳥? ひなさんのお母さんだったの……?」
「あ、うちの可愛い一人娘を誘拐しやがったのはリンディだったのね? 大方管理局に勧誘しようとしてたんでしょうけど、管理局にくれてやる娘は一人もいないわよ」
どうやら羽鳥さんとリンディさんは知り合いのようだ。羽鳥さんがこの女狐と少しお話があるからあなた達は帰りなさいねと言ってきたので、状況に置いて行かれて呆然としているクロノに頼み海鳴市に返してもらうのだった。
〜ヤマトの自宅にて〜
「なぁ俺ら3チームに分かれないか?」
「え、どう言う事よ?」
俺らは管理局に着くのは満場一致で反対だったはずなのに、この短時間でどう言う心変わりだろうか?
アリサちゃんがヤマトに問い詰めると、管理局を利用しようと言うのだ。
「帰るときにこっそり覗いたんだが、あのアースラの船にはレーダーが付いてた。あれで多分ジュエルシードを捕捉できるはずなんだ。ならそれを利用してジュエルシードを集めてしまおうと思ったんだ」
「それが出来たら苦労しねえよ。管理局と手を組んだらフェイトちゃんとの約束はどうなる?」
「あくまで利用するだけだ。管理局につくチーム、フェイトが管理局に捕まらないように彼女を護衛をするチーム、そしてフェイトと管理局とは独立してジュエルシードの探索を行う中立チームを作る」
ヤマトの話を詳しく聞くとこうだ。
管理局陣営はリンディさんやクロノ君の指示に従いジュエルシードとフェイトちゃんを捜索する。
一方フェイトちゃん陣営はフェイトちゃんと共にこれまで通りジュエルシードを集め、フェイトちゃんを捕縛に来た管理局員や管理局陣営を追い払う護衛を行う。
中立チームはジュエルシードの捜索のほかに、管理局陣営とフェイトちゃん陣営の両方ともコンタクトを取り情報を交換するスパイのような立ち位置とのこと。
「それなら管理局側に行く人よりも、フェイト側に行く人の方が強い方がいいわよね?」
「あぁ、だからフェイト陣営には俺が行く」
「「「えー!?」」」
原作三人娘は不満なようだ。フェイトちゃんにヤマト取られるからな、そりゃそうだ。
だがこの中ならヤマトは強いし、何かあったら言霊で完封出来るからこの上ない人選だろう。
「ヤマト君、フェイちゃんも寂しいと思うからリニスも連れて行ってあげて?」
「分かった。それとレオ、正直お前と戦うのは色々面倒くさい。敵対したくないから中立に立ってくれないか?」
「まぁ戦力的にそれが妥当よな」
「レオ君がちゅーりつならひなもそっち行く!」
「そうだな。ひなとの戦闘も長期戦を避けられないから中立に行ってくれた方が助かる」
「なら余り物の3人は管理局陣営に行ってもらおうか?」
「何よ余り物って!?」
「いくらなんでも失礼すぎるよレオ君!」
「そうなの! 余り物には福があるんだよ!!」
……なのはちゃん。怒るところズレてるよ?
何はともあれ俺たちは管理局陣営、フェイトちゃん陣営、中立陣営の3チームに分かれて行動することとなった。