見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「フェイト! 大丈夫だったかい! 怪我はないかい!?」
「大丈夫だよ。ありがとうアルフ」
レオの咄嗟の機転で管理局から逃げることのできた私は、空間転移で複数箇所を経由して拠点にしているマンションへと辿り着いた。
普段は別行動でジュエルシードを探してくれていたアルフは今日は家にいて、私が部屋に入ると同時に駆け寄って来た。
なんでもアルフも時空管理局の人に囲まれてしまったが、運のいいことに相手の実力が大したこと無くて殴り倒して逃げて来たとらしい。
「フェイトは見つからなかったかい?」
「大丈夫。レオが逃がしてくれたよ」
「あの銀髪っ子か。あとでお礼を言っておかなきゃね」
でもどうしよう。
管理局が来たからには、ヤマト達は管理局側に着いてしまうだろう。でもたとえみんながそっちに行ったとしても、そもそも間違えているのは私なのだからみんなを責める権利は私にはないし責めるつもりもない。
むしろこんな私と今まで仲良くしてくれてありがたかったくらいだ。みんなのおかげで手持ちのジュエルシードだって6個になったし感謝してもしきれない。
「ねぇ、フェイト。もうやめようよ、あの鬼婆……アンタの母さんなんてフェイトに酷いことばかりする! あんな奴のためにこれ以上フェイトが傷つく必要なんて……」
「母さんのこと悪く言わないで」
「言うよぉ! だってアタシフェイトが心配だ! せっかくフェイトに友達が出来たと思ったのに、こんな事で別れる必要なんてないじゃないか! 今からでも遅くない、もう自首してしまおうよ!! ……ちょっとフェイト、どこへ行くんだい!?」
「外の空気を吸ってくる。悪いけどついてこないで……」
街へ出た私は宛てもなくブラブラ歩く。
アルフの言ってることは正しい。自首してジュエルシードを管理局に渡してしまえば、悪いようにはされないだろう。それにきっとみんなは私を庇ってくれると思う。
……でも全てのジュエルシードを手に入れて母さんの元へ帰れば、きっと優しい母さんに戻ってくれるはずだから。
だからここで投げ出すのは……絶対に嫌だ。
街を歩きながら色々と考えてしまう。それがいけなかった
「お、嫁! なのは達は一緒じゃないのか?」
「っ!?」
この街には
彼はヤマトやレオの攻撃であっさり倒されてしまうが、それでも私よりも強い。
逃げた方がいい。
そう感じた私は走って拠点にしているマンションに戻ろうとしたが、手首を掴まれてしまった。
「は、離して!!」
「まぁ待てよフェイト! 俺をプレシアの拠点、時の庭園に案内してくれよ」
「な、なんで母さんのことを知ってるの?」
リュウヤは下卑た笑みで続ける。
プレシアはアリシアという私の姉を生き返らせるためにジュエルシードを集めているが、自分ならアリシアを生き返らせられるというのだ。
「あ、アリシアって誰? 私そんな子知らないよ。お姉ちゃん? 私は一人っ子だよ。嘘をつかないで!!」
「あー、そういう風になるのは無理ないよな! でも安心しろ、何も考えず俺に任せておけば、アリシアもプレシアもこの俺が救ってやれる! な、だから俺を時の庭園に案内してくれ」
「いや!!」
仮にアリシアの存在が本当だとして、私には実はお姉ちゃんがいたとして、なんで彼がそんなことを知ってる?
元々彼の笑みには得体の知れない恐怖があった。まるで私を塗りつぶすようなそんな恐ろしいものが。そして私の知らない私の家の事情を知ってもいる。一体なんなのリュウヤは……怖い!
「おいおいなんでそんなに嫌がるんだよ。泣いてる姿も可愛いけど、今はそれどころじゃないんだ。アリシアを救えればプレシアだってフェイトだって幸せになれるだぜ?」
「いや、いや!! 離してよ!!」
私の力では彼の手を振り払うことはできない。
でも私は怖いから全力で抵抗する。
「いい加減にしろよ龍帝院! いつもいつもなのは達を怖がらせて、余計なことして被害を拡大させて……恥ずかしいと思わないのか!?」
「や、ヤマト……」
ヤマトがリュウヤの手を捻り上げて私を解放してくれた。
どうしてここに、管理局に行ったんじゃなかったの?
「いつも邪魔しにくるモブが何言ってんだ! それに俺はアリシアを助けようとしてんだ邪魔してんじゃねえ!」
「アリシアが誰かは知らんがどう助けるつもりだ? それだけの力を持ってるのか?」
「俺が使えるのは無限の剣製だけだ!! ジュエルシードを使うんだよ!」
確かにジュエルシードは願いを叶えるロストロギア。でもロストロギアは願いを歪に叶えるもので正しく叶えることなんて殆どない。
「話にならないな。お前がジュエルシードを使ったときのことを忘れたのか?」
「確かにあのときは不覚にも意識が飛んじまった。だが意識が飛んだからこそ分かったんだ! ジュエルシードってのはドラゴンボールだったんだよ!」
「何言ってんだお前?」
どらごんぼーる? ドラゴンの絵が描かれたボールかな? ヤマトじゃないけど何を言ってるんだろう?
「は? ドラゴンボール知らねえの? 7個集めたら願いが叶う奴だよ。ジャンプ読めよ」
「いや、ドラゴンボールは知ってるよ。だがジュエルシードを21個全部集めて祈ったところで願いを正しく叶える保証はないだろう? 21個分の次元震が起きて世界が滅びる未来しか見えない」
「うるせぇ、やってみないと分かんねえだろうが! そのためにはモブゥ、お前の持ってるジュエルシードが必要なんだよ! 丁度いいから今ここで全部置いていけ!!」
「お前なんかに渡すわけないだろ!」
「なら実力行使で貰うまでた! くらえ、アンリm「黒縄地獄!」おごぉおおおおおおお!!?!??!?」
ヤマトとリュウヤが戦いになる。そう思った直後、リュウヤの股にレオの爪先が突き刺さっていた。
リュウヤは顔を真っ青にしてしばらく震えていたが、白目をむいてうつ伏せに倒れてしまった。
いつの間にレオもいたの!?
「おいレオお前なぁ! 流石にシャレにならないからそれやめろっていつも言ってんだろ!?」
「あ〜、金髪だからやるんだよ。そんじゃーな。ったく。なんで眠くてはよ帰りたいときにこんな場面に遭遇すんだよ……」
レオはブツブツと愚痴を漏らしながらさっさと帰っていってしまった。何しに来たの?
「はぁ、また美味しいところレオに持ってかれたな。フェイト、龍帝院のやつに酷いことされてないか?」
「う、うぅ、……うぅうううううう!!」
得体の知れない恐怖から解放された安心感から涙が止まらなくなり、ヤマトの服を濡らしてしまった。
数日後リュウヤは時空管理局に捕まったとヤマトの口から聞かされたのだった。
踏み台のニコポナデポは相手を強制的に好きにするというある種の魅了が入っていますが、効果が弱いためヒロイン達にとっては自分を塗りつぶす得体の知れない恐怖として感じてしまいます。
それが踏み台がヒロインに嫌われる由縁の一つであり、レオは行動で示したためヒロインに友人として認められていますが、ニコポナデポさえ持っていなければ普通にある程度はモテてました。
結論:あの邪神が悪い