見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
3チームに別れてから一週間。
ヤマトがフェイトちゃん陣営に行ったためヤマトの家には泊まれなくなり、どうしようかと悩んでいた俺に羽鳥さんが声をかけてくれた。
「ミラクルホープを直してくれたから金欠なのよね? しばらくウチに泊っていいわ。あと修理代も渡すからね?」
「あざます。でも修理代はいいですよ。ひなちゃん家からは貰っといてアリサちゃん達はただなんて不公平ですし」
ということで、俺は現在ひなちゃんの家にお世話になっている。
そして現在……
「いっくよー! 《ウイングアーム》!!」
「あっぶね!?」
絶賛模擬戦中である。
おおう、まさか天使の翼を刺突に使ってくるなんて、しかも俺の投げたWファンメラン片方の翼で掴まれてるし……器用だなぁ。
「お返しだー、えーい!!」
「そのお返しは受け取りませんよと」
距離をとったところでファンメランを投げ返して来たが、普通にキャッチして止める。
自分の攻撃が効くわけないでしょうが。
「ほい《マキシマムブラスト》」
「《ウイングバリアー》!!」
溜め時間ゼロの砲撃は翼にくるまったひなちゃんには届かず、エンジェルウイングが破壊されただけだった。
それも数秒後には再生してしまい、今の砲撃は無駄だったと言える。
次はどんな攻撃を試してみるかと考えていると、模擬戦の終了を知らせるアラームが鳴る。
なんだ、もう終わりか。
「ふう今日はここまでね。それにしてもひなちゃんも強くなったね~。スフィアの操作ができなくて泣いてた昔からしたらずいぶんと進歩したじゃん?」
「ひなも進歩しているのだ!」
えっへんと旨を張るひなちゃんの頭をなでてやる。
ついこの間ひなちゃんにはニコポナデポが効かないと判明してから、たまに頭をなでるようになった。嫌なら言ってと言ってるが、嫌と言わないことから嫌がってないのだろうと思い込む。
「それじゃママがおやつにフレンチトースト作っててくれてるし、食べてからジュエルシード探しに行こ」
「今月の生活費支給されたのにまだお世話になってて、なんか申し訳ないね」
羽鳥さん曰く、「リンディからの連絡とかもあるし修理代も考えたら、事件が終わるまでは泊まってて欲しいわ」と言って下さったので一週間経った今もお世話になっている。
早起きして朝食の用意をしなくても朝食が出てくるし、洗ってなくても風呂を沸かしてくださっていたり正直非常にありがたい。
(レオ、今いいか?)
(オケ、これからおやつの時間だから手短に頼む)
(お前なぁ……、まあいいや。今日の夕方に俺とフェイトは動く)
(詳しくどうぞ?)
(海鳴市全域をくまなく探しても見つからないということは、残ったジュエルシードは海にあると思う。だからフェイトの魔法で海全体に魔力を流して海に沈んだジュエルシードを一気に全部叩き起こす)
(あ……あー! 原作知識思い出した! 確かに海での戦いがあったわ!)
(……そういえばレオはリリカルなのはの原作知識を持ってたんだったな)
(邪神のせいで記憶抜き取られてるから、無いようなもんだけどね。原作ではどこらへんで戦ってたか当たりをつけられる。お前のデバイスに大体の場所送っておくな)
(助かる。5時半から決行だから、管理局に怪しまれない程度に遅れて来てくれ)
「了解。ひなちゃーんヤマトから連絡きたんだけどー」
「はーい、ヤマト君なんて言ってたの?」
ヤマトが行動を起こすというなら、今日のジュエルシードの捜索はやめてジュエルシードとの戦いに体力を回した方がいいだろう。
(もしもーし、なのはちゃん、アリサちゃん、すずかちゃん? こちらレオだけど〜?)
(はーい、こちらなのはでーす。どうしたのレオ君?)
(カクカクシカジカだから援軍求む)
(え? かく、しか?)
(ちょっとレオ、ちゃんと説明しなさいよ。それとも揶揄ってるの?)
(ヤマト曰く残りのジュエルシードは海にあるだろうとの事で、海の底に沈んでるジュエルシードを一気に全部叩き起こすそうです)
(え、それって本当!?)
(てことは最大6個のジュエルシードの位相体と戦う事になるってわけね。いいじゃない、腕がなるわ)
(そこの好戦的な蛮族はどうでもいいとして、5時半から決行だそうだから上手いことリンディさんに話を通しておいて)
(レオアンタ後で覚悟しときなさいよ?)
今は3時前だ。フレンチトースト食べて部屋でのんびりしたら行くか。
……ついでに遺書も一筆したためておくか。
〜決行時間〜
「スピー……スピー……」
「ごめんねレオ君。ひなったら一度寝ちゃったら起こしたときに不機嫌になっちゃうから……」
「いえいえヤマトいるから大丈夫だと思うけど、そこそこ危険な戦いになるし羽鳥さん的にもひなちゃんを危険なところに置きたく無いでしょう? そういう意味では運が良かったですよ。このまま寝させてあげてください」
「それはレオ君達も一緒なんだけどね……」
「あはは、それでは行ってきます」
ひなちゃん寝ちゃったから今回は欠席!!
〜海鳴市海上〜
「遅刻してこいって言われたから、遅刻してきたぜ!」
「丁度いいタイミングだ! ほら見ろ!」
海を見ると離れたところから六つの光が上がっていた。
ヤマトの勘は正解だったようだ。
「ねぇフェイト、一気に六つも封印だなんて大丈夫なのかい?」
「大丈夫だよアルフ。アルフとリニスは援護に回って貰うとしても、ヤマトとレオもいるし1人二つ封印できればそれでおしまいだもの……あれ? ねぇレオ、ひなはいないの?」
「すまんね。ひなちゃん寝てしまったから今回は欠席。ひなちゃんの分まで俺が頑張るから許してクレメンス」
「くれめんすが何かは知らないけど、大丈夫だよ」
「おーいフェイトちゃーん!!」
「リンディさん説得して来たよー!!」
「な、なのは。すずか!」
うん? 空の上からなのはちゃんとすずかちゃんがやって来たぞ。
どうやら2人もこっちに来れたようだ。
……あれ、アリサちゃんは? 欠席?
「来たわよー。そんで持って……ふん!」
「ぐへぇ!?」
直後頭に鈍い痛みが走る。
いつの間にか背後に回ってたアリサちゃんは、俺にかかと落としを仕掛けていた。
「痛ってえな! 何すんだアリサちゃん。俺の身長が止まったら責任取れんのか、ああん!?」
「うっさい! 私を蛮族扱いしたことは万死に値するわ! むしろこの程度で済んだだけありがたいと思いなさい!」
「かかと落としはやり過ぎだろうが! こうなったら俺のニコポナデポを駆使して永遠に消えないトラウマを心の奥底に刻んでやるぅ!」
「ごめんアリサ、レオ! 喧嘩は後にして。……来る!」
6個のジュエルシードは六首の水竜となり、それぞれの首が俺たちに襲いかかって来た。
最後のジュエルシードの戦いではひなちゃんは欠席です。