見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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金髪がいないなら余裕よな。……あ、雷

 水竜の顎をあっさり避けた俺たち。その隙にユーノ君とアルフ、リニスが拘束魔法で水竜を縛り上げてしまった。

 丁度こっちも6人だし、1人1匹だな。

 俺たちはそれぞれの顔を見て一度頷くと今の時点で最大火力の大技を放つために準備する。

 Mブラスターを起動して構える横で、ヤマトも剣と銃を合体させて巨大な銃剣へと変形させる。おぉ、こいつも本気みたいだな。てかこれで最後なんだし気合いが入らない方がおかしいか。

 ……ひなちゃん連れてくれば良かったかなぁ?

 いや、いいや。今日置いてけぼりにした分はどこかで返そう。うん。

 

「《ディバインバスター》!!」

 

「《バーニングスラッシュ》!!」

 

「《フローズンバースト》!!」

 

「《サンダースマッシャー》!!」

 

「《ルインズレクイエム》!!」

 

「《マキシマムブラスターフルバースト》!!」

 

 一つの首に対して一人分の最大火力の攻撃を浴びた水竜はあっさりと水となって海へと還り、水竜の中心から六つのジュエルシードが姿を現した。

 かかった時間は僅か30秒。最後の戦いだと言うのに本当にあっけなく終了したのであったとさ。

 金髪がいないとこうもあっさり終わるのか。いやー管理局様様だな!

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

 しばらく沈黙が続いていたが、ふと気づいた。

 

「あ、フェイトちゃんジュエルシードを」

 

「あ、う、うんそうだね! 取り分は半分だし三つもらっていくね」

 

「それじゃあ残り三つは私が貰うの」

 

 フェイトちゃんとなのはちゃんが三つずつ回収した。

 

「あー!! もう終わっちゃってるー!!」

 

 丁度そのタイミングでひなちゃんもやって来た。

 ありゃりゃ、予想はしてたけど随分とご立腹だ。まぁ最後の最後で仲間外れにされたのだから無理はない。

 

「もぉ、れお君なんで起こしてくれなかったの!? ひなも戦いたかったよぉ!」

 

「うん、普通にごめん。起こしたら不機嫌になるから気を遣って起こさなかった」

 

「むぅうううううう!!」

 

 泣きながら頰を膨らませてポコポコと叩くひなちゃん。確かにこれは怒るのも無理ないよな。

 今月の生活費も入ったし明日にでも翠屋で美味しいものでも奢ってあげよう。

 俺たちのやり取りを見てたメンバーが急に笑い出した。

 なんだお前ら? ぼーっとしたり笑ったり忙しい奴らだな。

 

「なのちゃんにフェイちゃん達もだよ! 念話で呼んでほしかったよぉ!」

 

「にゃははごめんねひなちゃん。次は一緒に戦おうね?」

 

「あっはは、ひなの声聞いてたらようやく終わったーって気になったわ!」

 

「うん、そうだね。私たち全部集めたんだよ!」

 

「うん、これで母さんも……いやまだだ」

 

 フェイトちゃんの一声で空気が変わった。

 そうかまだフェイトちゃんの件が残ってたね。すっかりド忘れしてたけどフェイトちゃんは本来敵側の人間だ。ジュエルシードを集め終わったのならもう俺らと手を組む必要は無くなったと言えるだろう。

 

「そうか。21個集まったから、今度はフェイトの戦いだよな。約束だ、フェイト。俺たちの誰と戦う?」

 

 ヤマトの問いかけにフェイトちゃんはしばらく目を閉じていたが、しばらくすると目を開けてなのはちゃんの元に来た。

 

「なのは、最後の戦いの相手、お願いしても……いいかな?」

 

 真剣な表情のフェイトちゃん。だが一方のなのはちゃんは無邪気に微笑んだ。

 

「私でよければ喜んで!」

 

 その様子にフェイトちゃんも微笑む。

 まぁそうなるよな。前提条件としてフェイトちゃんは勝たないと後がない。その理論で言うと言霊を持つヤマトと長期戦が得意なひなちゃんとは絶対に戦わない。

 それとフェイトちゃん自身、だいぶ緩和されてるけどすずかちゃんと俺にまだほんの少しだけ苦手意識があるだろうし、俺らも除外。

 そうなると消去法でアリサちゃんかなのはちゃんになるのだが、なのはちゃんはこの中ではひなちゃんと同じくらいフェイトちゃんに寄り添っていた。

 フェイトちゃんの心情としては最後は、なのはちゃんと戦いたいと思ったのだろう。

 

『積もる話をしているみたいだけど少しいいかしら?』

 

 急に何もない空間から一つのディスプレイが浮かぶ。あ、リンディさんだ。

 リンディさんの視線にはフェイトちゃん。フェイトちゃんは警戒してバルディッシュを強く握りしめた。

 

『当然だけど警戒されちゃってるわね。私こう見えてもアースラでは女神のリンディ様って言われてるんだけど……』

 

「女神だとぉおおおおおお!? 貴様ァ、俺のこのザマを嘲笑いに来たかぁ!!」

 

「あ、すいません。こいつは神に恨みがあるんで、神系の冗談は控えてください」

 

『そ、そうなの? ごめんなさいね』

 

 ヤマトは俺の首根っこを掴むと頰を膨らませたままのひなちゃんに「煮るなり焼くなり好きにしていいぞ」と言って渡してしまった。

 そして人形のようにギュッと抱きしめられる俺。我々の業界ではご褒美……ではないな。イエスロリータノータッチの俺からしたら解釈違いだ。だから放してくれひなちゃん。

 

『こほん、ねぇフェイトさん? 私としてはこのまま降参してくれると嬉しいんだけど、退くつもりはあるかしら?』

 

「……いいえ。私は退きません」

 

『そう……。本当なら話し合いで解決したかったんだけどね……』

 

 リンディさんはそう言ってるがアンタ断られるのなんとなく分かってたな?

 

『分かりました。それでは戦いの場は私たちが用意しましょう』

 

『全力で壊しても問題ない舞台、しっかり用意しちゃいますよ!』

 

「「「「あからさまに罠設置しに来たよこの人」」」」

 

 俺とヤマトとアリサちゃんすずかちゃんでハモってしまった。

 フェイトちゃんが負けた場合は、その場で取り押さえてしまう腹積りなのだろう。それに万が一勝っても、自分達の土俵ならこっそりとサーチャーをつけたりできるだろうし……。

 これだから大人って……

 

「……一応俺も大人だったわ」

 

「何言ってんのよ、アンタ私達と同い年でしょ?」

 

 精神年齢の問題さアリサちゃん。

 フェイトちゃんがしばらく考えていると急に天気が曇り出した。

 それに雷がゴロゴロなってるし……これ俺らに落ちてくるパターンじゃね?

 

「か、母さん……?」

 

「え、フェイトちゃん。お母さんがどうしたの!?」

 

『じ、次元干渉!? 別次元から当艦及び戦闘区域に向けて行使魔力……決ます!』

 

『いけない! みんなすぐに防御魔法を展開して!!』

 

「え、急に防御魔法って言われても……!」

 

「私の防御もキツイかも……レオ君!!」

 

「はいよ、《アルティメットプロテクション》!!」

 

 俺が防御魔法を張った直後、恐ろしいほどの魔力量の雷がこちらに襲いかかった。

 

「ぐぅうううう!? 威力高すぎだろふざけんな!!」

 

 だがこちらだって魔力SSS、魔力をたっぷり使ったゴリ押しは得意なんですわ!!

 でももうすぐシールドが決壊しそうだな。

 

「ヤマト任せた! 人もいないし魔法を消すだけなら余裕だろ!?」

 

「分かってる! 【雷属性の魔法よ消えろ】!!」

 

 直後、先ほどからしつこいほどに襲いかかって来た雷は消えて、再び夕陽が差し込み出した。

 ふぅ、なんだってんだ一体。

 

「……母さんが呼んでる。ごめんなのは、私いかなきゃ! また今度!!」

 

「あ、フェイトちゃん!?」

 

 フェイトちゃんはそういうとアルフを連れて次元跳躍魔法で帰っていってしまった。




 ジュエルシード残り六個だから一人一殺をしたかったのと、ひなちゃんを泣かせたかった。
 後悔はないが敢えて合わせて貰う。


 ひなちゃんファンの読者の皆様誠に申し訳ありませんでした。
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