見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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この犬からアルフの声が聞こえるんですけど……

「モキュモキュ……ンクンク……プハー! ご馳走様でした! れお君今日は連れて来てくれてありがと!」

 

「はいはい、どういたしまして」

 

 最後のジュエルシードを回収した翌日、ひなちゃんを置いていってしまったという事で現在翠屋でケーキをご馳走してあげていた。

 しばらくはひなちゃんの家に滞在するし、新作のデバイスを作るつもりもないから今月はいつも以上にお金に余裕がある。多少の浪費は問題ないだろう。

 

「相変わらずひなちゃんはいい食べっぷりね〜」

 

「ですね。奢り甲斐がありますよ」

 

「それはそうと、最近来なかったけど何かあったのかしら?」

 

 桃子さんの質問にひなちゃんはギョッとして目が泳ぎ出す。

 

「いやー、大したことはないですよ。先月は送金にちょっとしたトラブルがあって、いつもより生活費が少なかったんで外食控えてただけです」

 

「そう? それにしては特売にも来ないし何かあったんじゃないの?」

 

 ぐぅ、鋭いな桃子さんは……

 だが言い訳は千通りくらいは用意してるんだ。この質問は想定の範囲内!

 

「隣町のスーパーあるじゃないですか? あそこ行きつけのスーパーよりも商品が安いんで、そっちに行ってました。小学生やってるとあまり時間が取れないんで、こっちのスーパーの特売は諦めてましたね。あと先週からは予想外の出費で家計を回せなくなったんで、ひなちゃんの家にお世話になってました」

 

「あらそうなの、確かに隣町のスーパーは安いしね。はぁ、あのスーパーウチの近くにあればなぁ……」

 

「そうですねぇ……」

 

 よっし、上手く誤魔化せた。

 質問されるのは目に見えていたし、事前に隣町のスーパーまで行って料金を確認しておいたのだ。言い訳するならばリサーチ力は必須だよな!!

 

「それで予想外の出費って?」

 

 来ると思ってたよ。

 この質問は特にしっかりと念入りに誤魔化しておかないとな。

 まさかなのはちゃんのレイジングハートを修理したから生活費が消し飛んだなんて知られたら、魔法のことバレる+なのはちゃんが説教される未来は見て取れる。

 

「愛用してた掃除機がぶっ壊れたんで、それと同じ機種を買いました」

 

「確かに使い慣れてる方がいいものね。でも今月で良かったんじゃないの? 箒を使うなりすれば……」

 

「俺も買った後に気づきましたよ。あ、やっちまったって」

 

 苦笑いして答えると桃子さんは困った顔で、「一人暮らしは大変だろうけど気をつけなさいね?」と注意をすると俺への追求は止んだ。よし、今回は誤魔化しきったぞ! 以前アリサちゃん達にやったときは秒でバレて半殺しにされたからな。

 だが今度はひなちゃんに目を向ける。

 

「ひなちゃんもよく羽鳥ちゃんと一緒に食べに来てたけど、最近来てなかったけどどうしたの?」

 

「え、えぇっと……ママに聞いてくれると助かります……」

 

 誤魔化すの下手すぎて、羽鳥さんに説明を丸投げしやがった。

 桃子さんもしどろもどろなひなちゃんに聞くのは可哀想と思ったのか、くすりと微笑むとそうするわねとだけ言った。

 

「うーん、この分じゃレオ君達は関係無さそうね。……ひなちゃんはちょっと怪しいけど」

 

「ふぇ? ひな怪しくないもん!」

 

「まぁまぁ……それで、どうかしたんですか?」

 

「最近ウチのなのはがねー」

 

 詳しく聞くとやはりジュエルシード関連だった。アースラに宿泊してた件に関してはリンディさんが上手くうまーく魔法のことを誤魔化して桃子さん達に許可をとっていたようだ。あの人どうやったんだ?

 

「それじゃあ俺らはそろそろここらで……」

 

「そうね。レオ君もひなちゃんもまた来てね」

 

 俺とひなちゃんのケーキとコーヒー(ひなちゃんはジュース)代を支払って翠屋を後にした。

 

「お菓子食べた後だし外であそぼー!」

 

「いいよ、何して遊ぶ?」

 

「模擬戦!!」

 

「ひなちゃん。君にとっての遊ぶって戦うことなのかい? どこの戦闘民族の生まれなのかな君は?」

 

 いやまぁ、遊びを交えて魔法の訓練させてたのは俺なんだけど、俺なんだけど!!

 完全にひなちゃんにとって魔法=遊びって構図が出来上がってしまってるじゃないか!

 また今度羽鳥さんと一緒に魔法の怖さについて教えた方がいいかもしれない。

 

「ダメ?」

 

「いや、別にいいけど。なんでもありでやっていい?」

 

「ダメ。なんでもありだとれお君ズルばっかりするだもん!」

 

「あれはズルなんかではない。立派な戦略だ」

 

 なんでもありとは空飛べなくしたりとか、目眩し使ったりとか、パーフェクトプロテクションを全方位に張って中から安全にスフィアで攻撃したりとかだ。

 あまりに外道戦法の為、ひなちゃんに対しては許可をもらわない限りは使わない。

 ヤマトに対しては常になんでもありでやっている。だってアイツと正面から戦ったら勝てないんだもん!

 

 早速行きつけの山に行こうとするとアリサちゃんから念話がかかって来た。

 

(もしもしひな、レオ。デートしてるところ悪いけど私の家に来て。今すぐに!!)

 

(でーと?)

 

(うん? なのはちゃんとすずかちゃんの3人でヤマトをハーレムデートに誘ったやつが何か言ってんな。ヤマトを放ってどうしたのいきなり?)

 

(いいからはよ来い!!)

 

 一方的に念話を切られた。

 ったくアリサちゃんの前世ってジャイアンだったりしないよな?

 

「アリサちゃんすっごい焦ってたね。行くよれお君!」

 

「はいはいって、コラひなちゃん! 急いでるからってここで変身しようとするんじゃありません!! ほらバス代こっち持ちでいいからバスで行くよ!」

 

 

 〜アリサちゃん家近くのバス停にて〜

 

「あ、ひなちゃん! レオ君!」

 

 バスに乗りアリサちゃん家の近くまで来たが、バス停ですずかちゃんが待っていてくれてた。

 

「すずちゃん何かあったの?」

 

「うん、理由はアリサちゃん家につけば分かるから今はついて来て!」

 

 すずかちゃんに連れられてアリサちゃんの家へと走って行った。

 

「すずちゃん速いよー!!」

 

「すずかちゃん、アンタ自分の足の速さ自覚してくれ!!」

 

「あ、ご、ごめんね!」

 

 下手したら新幹線にも引けを取らない速度で走れるすずかちゃんの全力にはついていけませんぜ。

 

 

 〜アリサちゃん家にて〜

 

「来たよアリサちゃん! どうしたの?」

 

「おっすおっす……ってオレンジ色の狼?」

 

 アリサちゃんの庭に設置された犬小屋と言うか檻の中で介抱されてる怪我をしたオレンジ色の狼がいた。

 なんて珍しい狼だ。きっと新種だろう、動物園に寄贈するなり研究所送りにすれば……

 

「おいレオ。お前が今何考えてるか当ててやろうか?」

 

「どうぞ」

 

「研究所に売ればお金貰えるって思っただろ」

 

「残念でしたー! 正解は動物園に寄贈するなり研究所に引き渡すなりすれば、人類の貢献になると思ったでしt「何考えてんのよアンタはー!」ごぶぇ!」

 

 アリサちゃんに狼のいる檻の近くまでぶっ飛ばされた。解せぬ。

 

「あ、アンタ恐ろしいこと考えるね……」

 

「ん? アルフの声が聞こえたけどここにいんの?」

 

「いや、アタシだよアタシ。アンタが研究所送りにしようとしてるオレンジの狼がアタシだ」

 

 ……悲報、珍しいと思ってた新種の動物はただの使い魔だった。つまらん

 アルフの動物体を見たことがないから間違えちまったよ。

 

「それでねひなちゃん。アルフさんすごい怪我してるから治してほしいの」

 

「まっかせてー! ケーキ食べて元気いっぱいだからすぐに治してあげられるよー!」

 

 ハイテンションのひなちゃんによって抱きしめられたアルフはすぐに回復した。

 

「助かったよ。ありがとうねひな」

 

「どういたしまして!」

 

「それでどうして怪我してたんだよ?」

 

「……鬼婆のせいさ」

 

 アルフ曰くフェイトは日常的に虐待されており、今回も急いでいればジュエルシードを6個手に入れられた。とか言われて鞭で打たれたとか。

 それにブチギレたアルフがフェイトちゃんの母親プレシア・テスタロッサに襲いかかり返り打ちにあったという。

 

「胸糞悪い話ね……」

 

「うん、フェイトちゃん可哀想……」

 

「許せないの! そんな人に絶対ジュエルシードは渡せない!」

 

「うん、そんなの絶対に許せないよ! フェイちゃんをなんだと思ってるの!?」

 

「胸糞悪い話だ」

 

 みんなすっごい怒ってるね。

 特にひなちゃんの怒りは凄まじい。多分今までで一番怒ってるんじゃないかな?

 元々虐待されてた側だしそりゃそうだ。

 

「お願いみんな。フェイトを助けておくれ……!」

 

「分かったよアルフさん! なのはが絶対フェイトちゃんを助けるから!」

 

 負けられない理由が出来たなのはちゃんは、絶対にフェイトちゃんに勝つと決意を固めたのだった。

 それはそうと……

 

「なんでそんな重い話を聞かせんだよ! こっちは休日だと思ってたのによぉ! 空気を読めアルフ!!」

 

「「アンタ(お前)が空気読め!」」

 

 アリサちゃんとヤマトに二人がかりでボコボコにされた。

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