見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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(ヤマト視点)よくもレオをっ!!

 俺がクロノとひなの元へ到着した頃には既に決着はついていた。

 バインドで拘束され「妹……妹……」と呟き続けるプレシアと彼女を監視しているひな。そしてなんとかジュエルシードの暴走を止めようとしているクロノ。後近くのモニターにリンディさんも映し出されている。

 

「ひな!」

 

「あ、ヤマト君! もー、遅刻だよ?」

 

「すまん、だがこうもあっさり倒すなんて流石だな」

 

「えへへ〜」

 

「来てくれたかヤマト。すまないが君も封印を手伝ってもらっても良いか?」

 

「分かった」

 

クロノの言葉に次元震を発生させ続けているジュエルシードの前に立つ。

 自らの全身に魔力を満たす。ジュエルシード9個分を纏めて封印という無茶振りを実現できるだけの魔力を。

 

「すぅ……【ジュエルシードの暴走よ、止まれ】」

 

 直後ジュエルシードは一瞬で暴走を止め力無く床へ落ちる。

 ……よし、封印成功だ。

 

「な、なぁ。プレシアの次元跳躍魔法を跳ね返したときも思ったが、君の魔法はなんなんだ? まるで言葉にした事が実現したような……」

 

「ヤマト君のレアスキルの言霊だよー。口に出した事を実現する能力なの!」

 

「な!?」

 

『それは……すごいわね』

 

「な……それを使えば…………アリシアも……」

 

 おい待てひな、なぜこうもあっさりと話す? こう言う系の組織にこの力がバレたら面倒以外の何物でもないだろう?

 ……仕方ない。ひなの説明ではこの能力が万能だと誤解されそうだし補足をしておくか。

 

「ただし、言霊は実現させたい事象に応じて使う魔力の量が変わる。魔法を跳ね返す命令も相手の魔法の規模で必要な魔力量が増えるし、そこのアリシアを蘇生させるにしても俺の全ての魔力を使ったところで実現不可能だ」

 

「そう……そうよね。…………そう上手くいくはずがないわ……」

 

 これがアリシアの存在を知っても彼女を蘇生させられなかった理由だ。

 死者蘇生はあまりに常識に喧嘩を売りすぎているのか必要な魔力が非常に多い。それこそ21個のジュエルシードを取り込んだ上で全ての魔力を使ってようやくと言ったところだ。

 

「それに言霊は使いづらいんだよね? 初めてひなに見せてくれたときもれお君のお腹に大穴開けちゃってたし。ひなあのとき泣いちゃったよ?」

 

「そうだな。細かく指定すればそう言う事故は防げるんだが、細かく指定しても必要な魔力量は増えるからなぁ」

 

 あの後死んだレオをひなが生き返らせてくれたから良かったものの、あれ以降怖くて使えなくなってたんだよな。

 

『まぁ、彼の言霊の力は後で詳しく聞かせてもらうとして……大和君、ひなさん、クロノ。緊急事態よすぐに帰還してくれないかしら? 竜弥君がそっちに向かっているの』

 

「なんだって!? アイツは拘束されたはず……」

 

『ごめんなさいね。彼、無理矢理抜け出したみたいで。麗央君に不意打ちを仕掛けてそちらに向かってしまったわ』

 

 リンディさんの説明は続く。

 次元震を抑えるのに集中していたレオの背後から剣を突き刺して重傷を負わせ、こっちに向かっているようだ。レオの見立てではおそらく彼はプレシアの捕縛のために来たわけではないと言う。

 そして重傷を負ったレオは状況が悪化するのを懸念して、傷口を焼いて龍帝院を追いかけているようだ。

 

「……れお君」

 

「……レオ」

 

「ヒャッハー!!」

 

 直後、壁を破壊して下卑た笑みの龍帝院が入ってきた。

 どうやらリンディさんの報告は少し遅かったようだ。……まぁ余計な話をしていたのはこっちだから責める権利ないけどな。

 

「もう大丈夫だプレシア!! 俺がアリシアを生き返らせてやるよ。だからプレシアの持つジュエルシードを……あ、なんだモブゥ! また邪魔しに来たのか「死ね!!」うぉあ!?」

 

 無言でやつの目の前に行き、予備動作も無しに首にグラディウスの剣を振ったが流石は転生者。避けられてしまう。

 

「……《セラフィムソード》!!」

 

「ちょ、危ねぇ!? な、何すんだよひな!?」

 

 ひなは自らのデバイスであるミラクルホープに赤い羽を纏わせて、炎の剣として振るうが龍帝院はそれすらも避けて見せた。

 

「な、何をしてるんだヤマト、ひな!?」

 

「独断せんこーしてごめんねクロ君……でも!」

 

「このクソ野郎はここで消す!! 斬り殺して虚数空間にでも投げ込んでやる!!」

 

 俺とレオとの付き合いは長い。

 初めて会ったとき、俺はレオを変わったやつだなと思った。龍帝院と同じ踏み台に該当する見た目をしていると言うのに、なのはやアリサにはちょっかいをかけなかった。

 ひなから彼を紹介されたときは、ひなをターゲットにしていたのかと思ったがそんなことはなく、甲斐甲斐しくひなの世話をする彼女の兄的な立場だったのだ。

 まぁそれはそれで何があったと思ったのは秘密だが。

 彼が無害という事が分かってからは、同性という事で一緒に行動することも増えた。

 同じ転生者という事で気兼ねなく話す事ができて、俺と同等以上の実力を持っている彼との鍛錬は学ぶことも多かった。

 

 そして彼は龍帝院と同じでニコポナデポを持っており、それが原因でひなやなのは以外からの女子からの印象は最悪な方だった。

 だが彼はそれを気にしながらも、周りに合わせたりときにはみんなを引っ張ったりして、2年に進級する頃にはクラス委員に推薦されるほどの人望を手に入れていた。

 クラス委員はアリサに押し付けていたけど。

 

 そして何より、レオはいい奴だった。

 言霊を上手く扱えなかった俺が腹に大穴開けたときも、死ぬ寸前だって言うのに笑いながら気にすんなと言ってくれた。

 お調子者であるが強くて、協調性があって、優しくて、しっかり者。絶対に彼には言わないが俺が目標にしている人物であった。

 レオがどう思ってるかは分からないが、少なくとも俺は彼のことを親友だと思っている。

 

「そんなレオを殺したんだ!! どうなるか分かるよなぁ!?」

 

「れお君の仇、絶対にやっつける!!」

 

「ちょっと待てヤマト、ひな! レオは生きてるからな!?」

 

 クロノの言葉にハッとしたが、すぐに落ち着く。

 うっかり彼のことを殺してしまっていたが、それでも龍帝院はレオに大怪我を負わせたことに変わらないんだ。ならばここで倒す。

 

「お前みたいなやつは……【踏み台の見た目とニコポナデポ以外、転生特典無くなっちまえ】!!」

 

「何言ってんだ。無くなるわけねぇだろバーカ!! くらえアンリミテッドブレードワークス!! ……あれ?」

 

「今だやれ!!」

 

 親友を実験台にして、試行錯誤の末にようやく上手く扱えるようになった言霊でやつの特典を奪ってやる。

 ……コレだけ聞くと俺の方が悪役っぽいな。

 だけどレオから俺を実験台にして色々試せよ。って言ってきたし……俺は悪くない。

 でも今度翠屋のケーキでも奢ったろ。

 

「受けてみなさい、ひなの必殺奥義! 《サンシャイニングブレイカー》!!」

 

「え、な、なんだこの魔力りょぎゃぁああああああああああ!!」

 

 ひなの火属性の収束砲撃が抵抗できない龍帝院を飲み込んだのだった。非殺傷設定で撃ったのは彼女のせめてもの優しさなのだろう。

 後でサンシャインとシャイニングをごっちゃにしてると指摘してやろう。

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