見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「最後の最後の裏ボス戦、この踏み台その2が締めさせてもらおうか!!」
とまぁカッコつけてみたワケですが…………
(や、やべぇ……マジで腹いてぇ。これかろうじて勝てたとしても確定であの世行きコースや)
『ひなちゃんに蘇生してもらってください。私はあなたの死に様を笑いながら見るので』
(お前ほんと俺のこと嫌いだよな)
あの金髪は余計な事をしたとヤマト達は思ってるだろうが、金髪のした事の全てが間違いなわけではない。俺もジュエルシード使ってアリシアちゃんを生き返らせること出来ないかなあって考えてたし。
ジュエルシードの力でアリシアちゃんの魂はこの世へ戻って来ている。ならば暴走したアリシアちゃんからジュエルシードを全部抜き取って再びあの世へ送り返したとしても、死んだばかりなら蘇生対象のひなちゃんのフェニックスウイングが使える筈だ。
本当は全部終わった後にリンディさんに頭を下げてジュエルシード一個でやる予定だったのだが、飛んだエクストラモードになったもんだ。
「それでレオ。お前勝てる算段はあるのか?」
「え、お前の言霊頼りですが何か?」
「は?」
「俺が暴走したあの子を抑えておくから、21個のジュエルシードの暴走を止められるだけの魔力を充填してくれ」
「すまん、もう魔力がない!」
言うと思ったよ! だがそれについても考えが無いわけではなかった。
「それこそここにいる全員の魔力をかき集めてやれば良いだろうが! 他人の魔力を複数人分も身体に入れるのは相当キツイだろうけど……がんば☆」
これはヤマトに相当な負担を強いる攻略法だ。
下手したらリンカーコアがボンってなって二度と魔法を使えなくなることだろう。
だがそれがどうした! 最悪ひなちゃんに治して貰えば良いし、世界の命運がかかってるのだからそれぐらいやれい!!
「お前なぁ……はぁ、まあこれしか無いからな。アリシアのことは任せたぞ!!」
「誰に言ってんだ! 俺はひなちゃんの師匠にしてこのメンツの中では最強の魔導師だぜ? この程度一人で充分だ」(ドヤ顔)
「頼りにしてる!!」
あれ? 調子に乗るなとか言われなかった。
チラリとなのはちゃん達を見ると、期待に満ちた目で頷くとヤマトの元へと駆け寄っていった。
それならばとテスタロッサ親子を見ると
「レオお願い。アリシアを……お姉ちゃんを止めて…………」
「お願い。娘を助けてあげて……」
とかほざきやがった。
「あ、これ頼りにされてるパターンや」
『なんだかんだ人望ありますね』
しゃーない。これだけ頼りにされてて無様な様を見せるわけにもいかないし、腹の傷は完全無視して全力でやるか。
俺はアリシアちゃんを安心させるために出来るだけ優しい笑みを浮かべる。
「大丈夫だよー。ほんの10分かそこらくらい我慢しててね。すぐ楽にしてあげるから」
「……お、お願い…………私を……とめて!!」
アリシアが手を突き出すと、純粋な魔力の衝撃波!
うーむアリシアちゃん自身に敵意はなさそうだし、ジュエルシードが外敵を排除するためにアリシアちゃんを操ってるって感じか。
「アルティメットプロテクションを超える防御魔法見せたるぜ。《パーフェクトプロテクション》!!」
俺の最強のデバイスであるアスカロンを媒介にして発動するこのパーフェクトプロテクションは、魔力の衝撃波をあっさりとせき止める。
パーフェクトプロテクションを張りながら一歩一歩アリシアちゃんの元へ歩み寄る。
「《フォースジャベリン》、ファイア!」
途中で炎、雷、風、氷の槍を展開して、アリシアちゃんに放つ。
普通の攻撃なら届く前に無限に等しい魔力の波に散らされてしまうだろうが、こいつには貫通性能が付いている。あのとき俺の腹をプロテクションごとぶち抜かれた経験をもとに作ったものだ!!
「ぅあああ!」
「ごめん、痛かったね。でもまだまだ行くよ」
アリシアちゃんが怯んだことで魔力の波が少し大人しくなった。この程度ならばバリアジャケット一本でいけるな。
「アスカロン、ランサースタイル」
『了解です』
アスカロンが杖から槍に姿を変える。そんでもってFガントレットを展開して、ジェット噴射を行う。
「一気に懐に入らせて貰うぜー!」
弱まった魔力の波を槍でかき分け、ジェット噴射で無理矢理突き進む。
アリシアちゃんを槍で突き刺したらまずいので、彼女に辿り着く直前にアスカロンは待機状態にする。
そしてFガントレットの大きな掌でアリシアちゃんを鷲掴みにしてやった。
以前フェイトちゃんがジュエルシードの暴走を素手で抑えようとしていたのと、同じことをやっている。
だが今回は手負いの俺1人だし次元震の規模も違う。
相当な負担だ。
「ぎ、ギガギギギ…………!」
「う、あ、あぁ!!」
「も、もう少し我慢してくれな……すぐに…………ヤマトが暴走止めてくれるから……」ゴフッ
や、やばいあまりの魔力の圧力に身体中が裂ける。
しかも腹の傷も広がって血が止まらない……。
これはあと一分待てば良い方だぞ。
「……でも限界なんて超えてしまえば一分以上待つよなぁ!」
「ぅ、あああああ! く、苦しいよ……!」
「俺も同じく! でももうちょっとだからな!!」
あ、意識が遠くなって来た……。
……いや、あともう少し10秒だけ我慢すれば………………。
「……っく、ま、待たせたレオ!! 【21個のジュエルシードの暴走よ、おさまれ】!!」
直後身体に襲いかかっていた膨大な魔力は止まった。
アリシアちゃんも苦しみから解放されたのか、安らかな顔で息を整えている。
俺は彼女を解放してやる。……ジュエルシードはまだアリシアちゃんの中か。
「すまないレオ! 俺らの魔力をかき集めても一時的に抑えるのが限界だ!! そして俺らは全員魔力切れ。トドメは任せたぞ!!」
おぉトドメはオリ主の特権なのに譲ってくれるなんて、おじさん嬉しいわ!!
…………でも俺も今ので血を流しすぎた。命が大事ならもう動かないほうがいいほどのダメージだが、命が大事でなければ最大出力一発くらいは余裕だろう。
「アスカロン、Mブラスター合体、バスタースタイル」
『了解、トドメはバチっと決めてくださいよ』
俺の全ての魔力を使ってやる。あとジュエルシードが吐き出し続けて充満し切ったこの魔力もな!
Mブラスターと一体化したアスカロンを構え、炎、氷、雷、風の魔法陣を展開する。
これはなのはちゃんで言うところのスターライトブレイカーに相当する技で、殺傷設定なら海鳴市くらい消し飛ばせるほどの破壊力を秘めている。
「死ぬほど痛いから覚悟してねアリシアちゃん! 助かった暁にはお菓子沢山作ってあげるから許してな!! 全身全霊、《ブレイク・オブ・エレメタリオン》!!」
アスカロンから発射された膨大な魔力は、ヤマトの言霊で力を封じられたアリシアちゃんには止めることが出来ず、四色の極太ビームに飲み込まれてしまった。
しばらくして最終砲撃を撃ち終わると、アリシアちゃん身体は元の背丈へと戻り、ジュエルシードも21個全て近くに落ちていた。
「……世界は…………俺がすくっ……た」
限界を迎えた俺も仰向けに倒れる。
あー、これはすぐに死ぬなー。
「れ、れお君……! しっかりして!! すぐに治すからね!!」
ひなちゃんが駆け寄って来たが俺は残っていない力をそれでもなんとか絞り出してアリシアちゃんを指差す。
「俺は後でいい。アリシアちゃんを蘇生させてやりな?」
「で、でもアリシアちゃんはもう……!」
「いいや、アリシアちゃんはジュエルシードで生き返って俺の一撃でまた死んだ。……つまり死んだばっかりだ。蘇生できる筈だ」
ひなちゃんはしばらく悩んだ顔で俺とアリシアちゃんを見ていたが、俺の頼みを優先してくれた様でアリシアちゃんの元へ向かった。
ひなちゃんと入れ替わりでヤマトが来る。
「お前のおかげで助かった」
「気にすんな。……何も考えずに撃っちまったせいで、そろそろ時の庭園崩れそうだから……あと、……よろしく…………」ガクッ
「え、時の庭園が崩れる……? あ、もうここまで崩壊が進んでるの!!」
「な、何ですって!? 急いで逃げなきゃ! すずか、私たちはプレシアさんを運ぶわよ!!」
「分かったよアリサちゃん!!」
「……もういいわ。私は…………」
「何言ってんだい、アンタが何を言おうが連れてくよ。アンタに死なれたらフェイトが泣くからね!! ユーノ、アンタも手伝いな!!」
「分かったよ!」
「なのは、レイジングハートが壊されて飛べないでしょ、捕まって?」
「ありがとうフェイトちゃん!」
「ひな、アリシアの蘇生は後だ! 先にアースラに戻るぞ!」
「うん、ごめんね。もう少し待っててねアリシアちゃん!」
「俺は龍帝院を連れて行くからレオ、アースラまで頑張れ……」
「ど、どうしたんだヤマト?」
「もうダメだ。レオ死んでる」
「分かった、ならレオは僕が運ぶ。早くずらかるぞ!!」
こうしてプレシア・テスタロッサの根城、時の庭園は崩壊した。