見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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これが俺なりの救い方ってね

 クロノ君、リンディさん、エイミィさんが過剰なほどの驚愕の表情を浮かべると、困惑したような表情のなのはちゃんが耳打ちしてくる。

 

「ねえねえレオ君。ミゼットさんとレオーネさんだっけ? その二人ってもしかして偉い人なの?」

 

「偉いなんてもんじゃないよ。伝説の三提督って呼ばれる管理局のトップクラスの権力を持つ人たち」

 

「ふぇえ!?」

 

 ミゼットさんとの出会いは半年くらい前だ。定期的にミッドチルダに買い出しに行くが、必要な部品を買った帰りにミゼットさんが顔を隠した魔導士たちに襲われそうになる場面に出会したんだよ。見捨てても寝覚めが悪いし、魔導師達を殴り倒して彼女を助けてみたら凄い人だったってオチだ。

 

「それ以降孫のように可愛がっていただいてるんだよ。いやー、こんな時に使えるとはコネとは素晴らしい!!」

 

「ちょっと待ちなさい麗央君。あなたの言い分じゃ三提督とはただ仲がいいだけなんじゃないかしら? これではコネとしては脆弱すぎる。その程度の仲では管理局を動かせないわよ?」

 

 リンディさんが砂糖とミルクたっぷりの緑茶を啜って一息ついてからごもっともな指摘をした。

 分かっとりますよ。でも俺からしたらミゼットさんとの面識、そしてこの手紙を読んでくれる程度の仲であれば充分なんだよ。

 

「この手紙読んでみればわかりますよ?」

 

「そ、そう? それじゃあ読ませてもらうわね。えーと……え? ………………え、え? …………………………えぇ!?」

 

 リンディさんの顔に驚愕の色が浮かぶ。

 クフフ、驚いてる驚いてる。

 

「ちょっとレオ君、リンディさんすっごい驚いちゃってるけど、なんて書いたの?」

 

「大したこと書いてないぞ。ミゼットさんに前から言ってたバッテリーデバイスが完成したって報告と。特許を取る予定だったけど、今回のジュエルシード事件でヒュドラの元開発副主任のやった事なんかを徹底的に洗い出してくれたら、特許を取らずにバッテリーデバイスの論文と設計図を全て管理局に譲るって書いただけ」

 

「ぶふ!? お、おま……ば、馬鹿野郎!! 全然大した事あるじゃねえかよ!! お前言ってたじゃねえか! バッテリーデバイスの特許で億万長者だ。うへへへへって!! こんな事でその夢潰れてもいいのか!?」

 

「いや、それはめっちゃ惜しいけど、やっぱ人の人生には変えられないよ。それにこの件でプレシアに大きすぎる貸しを作った方が億万長者になるよりも旨みがある」ニチャア

 

 俺がドス黒い笑みを浮かべると、みんなはうわぁ……と言った感じに距離を取る。

 だが問題はない。バッテリーデバイスがなくなったって、それとは別に新しい物を作ってそれで今度こそ億万長者になってやるのだから!!

 そんな中リンディさんが手紙を読みながら俺に聞いてきた。

 

「あの麗央君? これに書いてることが本当なら、バッテリーデバイスって歴史的な大発見だと思うの。でも実物がないからちょっと信じられないかなー? リンディさんに見せてくれると嬉しいかなー?」

 

「いいですよ。自宅になのはちゃん用に作ってたバッテリーデバイスがあるんで、明日それ持ってきますよ」

 

 

 〜翌日〜

 

「あー! 私を助けてくれた銀髪君だー!!」

 

「あ、アリシアちゃん。……君には謝っとかないとね。ごめんねー、止めるためとは言えあの砲撃は痛かったでしょ?」

 

「すっごい痛かった! でも謝ってくれたし許してあげる!」

 

 貧血も多少はマシになったので、早速自宅へ戻りバッテリーデバイスを持ってきたのだが、アリシアちゃんと鉢合わせた。

 アリシアちゃんに最大出力の一撃をぶっぱした事もあり多少は罪悪感があったのだが、笑って許してくれた。

 アリシアちゃんってひなちゃんみたいに快活な子だったんだ。

 

「それで、お母さんとは一緒じゃないの?」

 

「ママね、独房に入っちゃったんだ。私を生き返らせる為にすっごい悪い事をしたからって」

 

「そっかー」

 

 さて悪魔の契約と洒落込むか。(ゲス顔)

 

「お母さん助けたい? アリシアちゃんが手伝ってくれるなら、少なくともプレシアさんに執行猶予が付くんだけど……」

 

「助けたい!」

 

「はい契約成立ね。ついてきて!」

 

「分かった!」

 

 

 〜アースラ内の訓練ルームにて〜

 

「と言うわけで実験だゲフンゲフン、モルモゲフンゲフン、協力者としてアリシア・テスタロッサをお呼びしました」

 

「麗央君、実験台って言おうとした? モルモットって言おうとした?」

 

「レオ。母さんを助けるためにバッテリーデバイスの情報をくれたのはすごく嬉しいよ。ありがとう。でも姉さんを実験台なんて呼んだら怒るよ?」

 

「ナンノコトヤラ」

 

「……下手したら違法研究者と同じくらいタチが悪いぞ」

 

 だまらっしゃいクロノ君。

 アリシアちゃんの魔力を測定してもらうと、魔導士ランクEだった。ほんのちょっと魔力があるみたいだけど、あまりに微弱すぎてスフィアはもちろん飛行魔法も使えないほどの量なので問題ないはずだ。

 アリシアちゃんの体質などを確認して、本来なのはちゃん用に作っていたバッテリーデバイスを彼女用に最適化させた。

 彼女に渡したのは二丁拳銃型のデバイスだ。

 

「これで魔法が使えるようになるの!? フェイトみたいに魔法使えるの!?」

 

「使えると思う。少なくともアリサちゃんとすずかちゃんはこれでいけた」

 

 大興奮のアリシアちゃんの相手を務めるのは妹のフェイトちゃんだ。

 フェイトちゃんにはなるべく手加減するようにって言っている。

 

「姉さん、身体に異変とかがあったらすぐにやめてね?」

 

「分かってるって。フェイトは心配性だなー」

 

「よし、模擬戦初め!!」

 

 アリシアちゃんは二丁拳銃型のデバイスに飛行魔法や魔法の行使のレクチャーを受けながら魔法を使うが、流石はフェイトちゃん。危なげなくスフィアを避けてシールドで守る。

 アリシアちゃんの魔法適性について測定の時からずっと一緒にいたリンディさんとクロノ君の凄い顔と言ったらw

 

「これがバッテリーデバイスです」

 

「な、なんと言うか……これ本当に君が作ったのか?」

 

「はい。アリサちゃんに才能のない私たちも魔法が使いたいからなんとかしろって、小学一年の頃に言われたから作りました」

 

「す、凄いわね……」

 

「そしてもう一つ。アリサちゃんとすずかちゃんはバッテリーデバイスを使い続けるうちに、俺の魔力によってリンカーコアが刺激されて、普通のデバイスで魔法が使えるようになりました」

 

「え、そ、そうだったの!? これは……本当に世間に公表したら時代は変わるわね」

 

「そうなったら俺は歴史上の偉人ですな」

 

 その後リンディさんにアリシアちゃんの模擬戦の様子をビデオに撮っててもらい、アリシアちゃんの魔力ランクと共に手紙に同封することにした。

 ミゼットさんの事だから俺を疑うようなことはしないだろうけど、これがあるだけで信憑性は増すからな。無いよりはマシだよ。

 

「ふぅ、ここまでやればプレシアも助かるだろ」

 

「なぁレオひとつ聞いていいか?」

 

「なんよクロノ君?」

 

「なんで君はここまでするんだ? プレシア・テスタロッサを放っておけば、君の望む通り億万長者になれたはずなのに」

 

 あ、それ聞いちゃう?

 

「大したことじゃないよ。簡単に言えば下らない意地だよ」

 

「意地?」

 

「俺の教え子のひなちゃんはアリシアちゃんを生き返らせた。ライバルのヤマトはプレシアを若返らせた。二人はそれぞれの人生を救ってるって言うのに俺はなにも出来てないからな。だからそれに対抗して、二人の守った未来が絶望とか悲しみに染まらないようにちょっとした舗装をした。ただそれだけだよ」

 

「そ、それは本気で言ってるのか?」

 

「……ひなさんにアリシアさんの蘇生できるって言ったのは麗央君だし、大和君に魔力共有したのも麗央君よね? ……充分救ってるじゃないの」

 

 あれ? 確かにそうだ。ま、まぁ救ったんなら最後まで救済しないと後味悪いし、やっぱり誰かの人生には変えられないからな。

 

「それじゃあそろそろ俺は帰りますね」

 

 なのはちゃんから砕け散ったレイジングハートを預かってるし、早いところ修理しなければならないのだ。

 今回はリンディさんが修理代を出してくれた為痛む懐はない。

 

「あ、麗央君? アリシアちゃんに貸したデバイスはいいの?」

 

「ああ、アリシアちゃんにあげますよ。バッテリーも半年分くらい作っておきますね」

 

「そうじゃなくてだな。これを盗まれて解析されたりなんかしたら君の手柄が奪われるんじゃ無いかと懸念しているんだ」

 

「それについても大丈夫です。俺以外が分解しようとしたり、システムを覗いたりしたら爆発するようになってるんで」

 

 リンディさんとクロノ君に一礼すると、俺は地上に戻り帰路についた。

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