見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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もう友達だろ?

「ふぅ、ようやく完成」

 

『ありがとうございます。マイスター麗央』

 

「よせやいマイスターだなんて。アスカロン作るのに残ってた高級素材を少し使ったから、また龍帝院に叩きつけられても今度は耐えられると思うぞ」

 

『えぇ、お陰様で更にマスターのお役に立てそうです』

 

 アリシアちゃんにバッテリーデバイスを渡してから数日後、ようやくレイジングハートの修理が完了した。

 多めに修理代貰ってたから高価な素材も使わせてもらったけど、それでもお釣りが出たな儲け儲け。

 にしても前回の時点で割と壊れにくいように改良してたはずなのに、どんな馬鹿力で叩きつけたんだよあの金髪は……。

 なんとか復元できたけど、AIも破損してて後ほんのちょっとでも壊れてたら修理不可能だったぞ。

 

 デバイスを大切に扱わない金髪の金の玉を蹴り抜いてやりたい気分だが、アイツはアースラに拘束されており、このまま管理世界に連れて行くとのこと。21個のジュエルシードを故意に暴走させたから、未成年である程度の減刑がついても当分は檻の中だ。

 

『正直もう出てこないでいただけると、私としてもマスターとしても助かるのですが……』

 

『無理でしょうね。アレは運の悪いことに才能だけは一丁前にあります。管理局でタダ働きさせられて数年で戻ってくるのが関の山でしょう』

 

「……レジアスのおっちゃんに娑婆に出さないでって土下座しようかしら…………」

 

 でも陸軍中将の権力でも限界があるからなーと頭を悩ませていると電話が鳴る。

 着信は……なのはちゃんか。

 

「はいはーい。丁度いいタイミングでかけてきたね。レイジングハートの修理終わったよー」

 

『ほんと!? あ、そうじゃなくって、クロノ君達そろそろ帰っちゃうんだって』

 

「そうなん?」

 

『それでね、最後にフェイトちゃんとアリシアちゃんとお話しする時間を作ってくれたの!!』

 

「マジか。やろうと思えばミッドで会えるけど、それでも会いづらくなるのは変わりないし、最後の挨拶くらいしないとな!!」

 

『……次元転移を使えない私への当てつけのつもりなの!?』

 

「はぁあああい!」

 

『レオ君……まぁ、喧嘩は後でいいや。それでね、この電話をひなちゃんとヤマト君に回して欲しいの』

 

「りょうかーい」

 

 これはフェイトちゃんとお別れを済ませたあとO☆HA☆NA☆SHIがあるパターンだな。

 ま、 なのはちゃんは体力ないし、全力ダッシュで逃げ切れば問題ないだろ。

 最悪何かあってもレイジングハートを人質にしてやるぜ(ゲス顔)

 

『な、なんか寒気が……』

 

『なに言ってるんですかデバイスのくせに』

 

『申し訳ありません。寒さを感じないはずなのに何故か寒気を感知しました』

 

 お話しに華を咲かせるデバイスどもは無視してヤマトとひなちゃんにまとめて念話をかける。

 

(二人とも起きてるー?)

 

(ふわぁ。今起きたところ)

 

(むー、ママに起こされたー!!)

 

 のんびりあくびをするヤマトと絶賛不機嫌なひなちゃん。

 だがこれを聞けばすぐさま目を覚まし、機嫌を直し、出かける準備をすること間違いなしだ。

 

(クロノ君達がこの後帰るらしいけど、フェイトちゃんとアリシアちゃんと最後に話す時間作ってくれたんだとさ)

 

(ほんとに!? ママー。フェイちゃんとアリシアちゃんお見送りしたいからちょっと、お出かけするねぇ)

 

(そうか! なら急いで準備しないとな)

 

 よし、二人には伝えた。ならば俺もさっさと行くか!

 俺は雑談を続けるアスカロンとレイジングハートをポケットにしまうとさっさと家を飛び出した。

 道路を走っていると、高級車が俺の横を通る。

 

「この白髪どこかで見たことあると思ったらレオじゃない!」

 

「レオ君、奇遇だね!」

 

「あ、アリサちゃんとすずかちゃんだ。あとアリサ、白髪やない。銀髪や!」

 

「どっちも似たようなもんでしょ。レオもフェイトの所に行くのよね?」

 

「せっかくだから一緒に行こ?」

 

「走るのダルかったから助かるありがとう。そして乗ってる間にアリサちゃんには白髪と銀髪の違いを徹底的に教え込んだる」

 

「朝からお説教は嫌だし置いていこうかしら……?」

 

「まぁまぁ。レオ君もほどほどにね?」

 

 ほどほどではなく割と本気でやる。

 白髪呼ばわりした報復に逆ナンだなんて嬉しいわってボケてやろうと思ったけど、これはマジで置いていかれそうだからやめてやったんだぞ? 説教くらい甘んじて受けるんだ。

 

 車に乗せてもらった数分後、なのはちゃんから聞いた目的地へと辿り着く。

 そこには既にリンディさんとクロノ君とフェイトちゃん、アリシアちゃんにアルフが待っていてくれていた。

 そしてヤマトが一番乗りだった。こちらは車で来てるのに解せぬ。

 

「あ、アリサ。すずか。レオ」

 

「フェイト!」

 

「フェイトちゃん!」

 

「よっす」

 

 これが最後ということで来たは良いものの、なにを話したら良いのかわからない。

 アリサちゃんやすずかちゃん。それにヤマトも話題を考えようと必死に考えている。

 

「レオ!!」

 

「うぉっとアリシアちゃん朝っぱらから元気だねぇ」

 

「うん。ドロップ、ありがとね。フェイトと魔法の練習してるけどすっごい楽しいよ!」

 

「ドロップ……? ああ、あのデバイスの名前か。別に良いよ余り物だし」

 

「まさかのカミングアウト!!」

 

 オーバーにショックを受けたと身体で表現するアリシアちゃん。

 本当にフェイトちゃんと似てないな。これはプレシアが姿だけ似てるって言ったのも納得できるものである。

 

「まぁ、まぁ。そしてこれバッテリー半年分ね。無くなったらクロノ君経由ででも連絡すれば、魔力補給も兼ねて遊びに行くから」

 

「うわぁ、いっぱいだね。クロノ持って!」

 

「え、僕荷物持ちなのか!?」

 

 魔力バッテリーも無論防犯面はしっかりしている。解析、分解は爆発するため取り扱い注意だ。

 アリシアちゃんにバッテリーを渡したタイミングでなのはちゃんとリニスを抱いたひなちゃんがやって来た。

 本当いいタイミングですよ。

 

「なのはちゃんパス!」

 

「うわっと……レイジングハート!」

 

『ご心配をおかけしましたマスター』

 

「ううん、こっちこそ油断しちゃってごめんね。それとありがとうレオ君。修理してくれて……」

 

「別に良いよ」

 

 このタイミングで渡すのもどうかと思ったが、やはりこの集まりが今回の事件の最後のイベントなのだ。最後くらい相棒と一緒がいいもんな。

 

「それじゃリンディ私達もしばらくお別れだし向こうで話しましょっか?」

 

「そ、それはいいけどどうしてそんな怖い顔なの羽鳥!?」

 

「それじゃあ僕たちは向こうにいるから、ゆっくり話すといい」

 

「それじゃ後でね!」

 

 いつも間にやらいた羽鳥さんにリンディさんは引きずられて、クロノ君とアリシアちゃん。それにアルフとリニスが離れて、この場にはみんなでジュエルシードを集めた面々だけとなる。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

 うん、全く会話がない。やっぱ最後って言われると話なんて、まとまらないよな。

 

「ちょ、ちょっとすずか。アンタ何か話しなさいよ」

 

「こ、ここで私!? ここは普通レオ君でしょ!?」

 

「え? 考えまとまらないから無理。なのはちゃん、レイジングハートの借りを返す時が来たようだぞ」

 

「ふぇえ!? え、えっと…………ごめんヤマト君お願い!!」

 

「ここで俺!? ……ダメだ。なに言っていいか思いつかない。コミュ力お化けのひな、任せた!!」

 

「え、ひな!? え、えっと……ええっと……フェイちゃんタッチ!」

 

「え、えぇ!? ……お、思い浮かばないからアリサ。お願い」

 

「え、私!?」

 

 しばらく無言になると、やがてみんなで笑い合う。

 いやぁ、見事に一周したな。

 ひとしきり笑い合うとフェイトちゃんが静かに呟いた。

 

「やっぱりみんなといると楽しいや。私ね、みんなが受け入れてくれて。向き合ってくれて嬉しかったんだ」

 

「友達になれたらいいなって思ったの!」

 

「……友達か。ねぇなのは、ヤマト、みんな。私達って友達なのかな? みんなとはジュエルシードを集めるまで共闘する仲だった。それが終わった今、私たちはなんなのかな?」

 

「今更何言ってるんだ。俺らはもう友達だろ?」

 

 ヤマトがフェイトちゃんに投げかける。それになのはちゃんが続いた。

 

「友達になるにはね。名前を呼べばいいの。名前を呼べばもう友達」

 

「そうだね。友達になるのは簡単なことなんだよ?」

 

「そうそう。むしろ私はジュエルシードを集めてたときからずっと友達だと思ってたわよ」

 

「ひなもひなも! フェイちゃんはひなの姉弟子さんで、大切なお友達だよ!」

 

「諦めろフェイトちゃん。コイツらに気に入られた時点でもう君は俺らの友達になってたんだよ」

 

「ヤマト、なのは。……みんな…………!」

 

 俺含めたみんなの言葉にフェイトちゃんは涙を流す。

 そしてみんなに抱きついた。

 みんなも涙を流しながら抱きしめ返すが俺は空気を読んで離れる。

 ニコポナデポがある俺が入ったら興冷めだからな。俺は見てるだけで……

 

「今日ぐらい、いいだろレオ。【レオを縛るニコポナデポの呪いよ! 永久に消えろ!!】……ほら」

 

「ヤマト……ったく踏み台に塩送ってどうすんだっての」

 

 余計な事をしやがったヤマトに心からの感謝を伝えると、俺もみんなを抱きしめさせてもらう。

 決して下心からではない。ただこのタイミングで俺だけ離れたのはちょっとだけ寂しかったのだ。

 

「……そろそろ時間だ」

 

「フェイト……友達がたくさんできて良かったねぇ…………!」

 

「むー、お姉ちゃんだけ蚊帳の外だー! 私も混ぜてー!!」

 

 アリシアちゃんも飛び込んできた。

 まぁアリシアちゃんだけ仲間外れだなんて可哀想だしね。

 

「この際ユーノにクロノも来なさいよ」

 

「俺らはまだまだ余裕だぜ。カモンカモン!」

 

「あ、あはは僕たちは遠慮しとくよ」

 

「もうそういう事をする年では無いからな」

 

 照れたユーノ君とクロノ君は欠席。あの時やっておけば良かったって後悔しても知らないんだから!!

 

 そしてお別れの時がやって来た。

 

「はぁ、ひなさんのフェニックスウイングとヤマト君の言霊は絶対黙っておけって釘を刺されちゃったわ」

 

「当たり前よ。ただでさえバッテリーデバイスだけでも大発見ものなのに。今回はこれで我慢しなさい」

 

「なのは。アンタには特にフェイトが世話になったね。フェイトの全力を受け止めてくれた事。私は忘れないよ」

 

「アルフさんもお元気で」

 

「フェイト。再び会えて、大きくなったあなたを見る事ができて良かった。これで私の心残りは無くなりました」

 

「うん。リニスはひなの使い魔なんだから、ひなを支えてあげてね?」

 

「はい。プレシアにもよろしく伝えておいてください」

 

 リンディさん、クロノ君、フェイトちゃん、アリシアちゃん、アルフの5人は魔法陣の中へ入る。

 フェイトちゃんが声を上げた。

 

「なのは、私と戦ってくれてありがとう!

 アリサ、私を引っ張ってくれてありがとう!

 すずか、メイのことを許してくれてありがとう!

 ひな、怪我を治してくれてありがとう!

 ヤマト、心が折れそうなときに励ましてくれてありがとう!

 レオ、バルディッシュを治してくれて……母さんを守ってくれてありがとう!

 

 みんな大好き!! またね!!」

 

「またね! フェイトちゃん!!」

 

「また旅行行きましょう!!」

 

「バイバイ、今度は気兼ねなく遊ぼうね!!」

 

「バイバーイ、遠くへ行っても元気でね!!」

 

「次あったらまたみんなで遊ぼうな。またな!!」

 

「ミッド行けるからたまに遊び行くわ。それじゃ!!」

 

 魔法陣が光り輝き、光が収まるともうそこには何もなかった。どうやら無事に転移に成功したらしい。

 

 みんなでしばらくの間魔法陣のあった場所を眺めていたが、先に動いたのはアリサちゃんだった。

 自らの頬をパチンと叩くとみんなに告げる。

 

「さぁ、私達も日常に帰るわよ!! 早く帰って支度しないと学校に遅刻しちゃうわ!!」

 

「そうだね、もう準備して来てるし私はこのまま行くの!」

 

「ひなもー! ママー車で送って!」

 

「仕方ないわねぇ、今日だけよ?」

 

「私もファリンが荷物とかを校門まで持ってきてくれるらしいから、そのまま行くよ」

 

「俺も準備を終わらせてきてる」

 

「俺徹夜だから今日サボるわ」

 

「それはダメよ。レイジングハート直したからなのは知ってるけどそれとこれとは話が別。頑張っていきなさい!!」

 

「そうだぞ。授業中寝ればいいだろ?」

 

「いや、まぁそんなんだけどさ〜」

 

 こうして、3年の春に起きた不思議な事件は無事解決したのだった。




無印編。完!!

こんな駄文を楽しんで読んでくださった皆様に精一杯の感謝を……!
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