見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
勉強会?授業ついていけるんだけど……
「みんなで勉強会するの!」
ジュエルシード事件が終わって初めての金曜日。さっさと帰ろうとしていると急になのはちゃんがそんな事を言った。
「勉強会って言われても明日はレオとゲーム大会やる約束してたんだが」
「明後日は録画してたアニメを消化したいしなー。ローゼンメイデンとか蒼穹のファフナーとか」
「自分からお勉強したくないよ〜」
「今週末は私もゴロゴロしたいから来週なら付き合ってもいいわよ」
「うーん、正直私もお休みしたいな」
「ふぇえ、今週じゃないとダメなの!」
なのはちゃんがそんな事を言う。
君ねぇ、せっかく忙しかった事件も終わったんだから、週末くらいお家でのんびりしましょうよ。
その後もやる気のない五人組をなのはちゃんはなんとか勉強会に誘おうとする。
なのはちゃんが頑固なのは知ってたけど、今日は特にしつこいな。もしかして勉強しないとまずい事でも…………あぁ。
「来週テストか」
「なのちゃんとアリサちゃんとすずちゃんはアースラに行ってたから、学校いっぱいお休みしてたからねー」
「つまりこのままじゃテストがヤバいって訳か」
「う……で、でもそれはヤマト君たちも同じでしょ?」
なのはちゃんが苦し紛れに聞いてくるが、ヤマトも俺もひなちゃんもアースラに寝泊まりしてる訳じゃなかったから学校にはきちんと行ってたしな。
それにそもそも俺とヤマトは学校行かなくても授業の内容は分かるからなー。ひなちゃんは流石に不味いかもだけど、俺が休んだ分は教えるから問題ないし。
「あ、アリサちゃんとすずかちゃんも学校いっぱい休んじゃったからまずいよね? そうだよね?」
「私は平気。元々授業なんていつもほとんど聞いてないし」
「私も元々学校でまだ習ってないところとかを、予習してたから平気かな? テスト前に少しは勉強しないといけないけどね」
「つまりヤバいのはなのはちゃんただ一人ってか」
「うー……」
目の端に涙を浮かべるなのはちゃん。ちょ、君流石にそれは卑怯ですよ。はいはい分かりましたよ教えればいいんでしょ教えれば。
〜翌日〜
結局なのはちゃんの泣き落としに折れたので、アリサちゃんの家で勉強会をする事になった。
何気に宿題も昨日やってしまったし、なのはちゃんからの質問が来るまで暇だなー。
「それじゃー、分からないところがあったら聞きなさい。教えてあげるからー。あ、私の得意教科は社会ね」
ベッドに寝っ転がりながら言うアリサちゃん。ちょっと待ってこのベッド、キングサイズじゃないですかやだー。
俺も寝転がりたいが、レディのベッドに寝っ転がるのは流石に不味いだろ。家に帰るまで我慢しよう。
「それじゃあ俺は国語でも教えようかな。あ、アリサ、俺も寝転がりたいから隣いいか?」
「え、あ、う、うん。いいわよ……///」
流石ヤマト、俺が怖気付いて出来ない事を堂々とやってのける。そこに痺れもしないし憧れもしない。テメェは少し距離感を学べ。
「それじゃあ私は理科を教えるね。えい、ヤマト君の左隣りいただき!」
「それじゃあひなはねー。体育教えるねー。それじゃあアリサちゃんの横お邪魔しまーす!」
「ひなちゃん。来週体育の座学のテストはないし、そもそも体育の座学は苦手でしょうが。あ、俺は消去法で算数教えるから聞いてな。アリサちゃん、この高級そうなソファ座ってもいい?」
「減るもんじゃないし良いわよー」
「みんなやる気が無さすぎるよ〜……」
なのはちゃんは「もっとアースラでお勉強しておけば良かったの」と呟きながら問題集に取り掛かる。
今やってる問題集は……国語か。なのはちゃん国語苦手だったはずだし、これはヤマト召喚の時は近いな。
「う〜、ヤマトくーん。教えて〜」
「よし来た」
流石はメリハリの付いているヤマト。すぐさまベッドから降りると、国語の苦手ななのはちゃんにも分かりやすい説明で丁寧に教え始めた。
「はぁー、ゴロゴロするのも良いけど暇ねー」
「そうだねぇ、しりとりでもする?」
「いいねぇ、それじゃひなから! しりとり」
「硫酸ナトリウム」
「ムハンマド」
「ドラえもん!」
「はい、んで終わったからひなの負け」
「あー、やっちゃったー!」
おいやめろよ。
なのはちゃん集中できてなくてチラチラそっち見てるぞ。
「……だからこの文の抜き出すべきところはここって事だ」
「分かったよ。ありがとうヤマト君」
国語の範囲は終わらせられたのか、次は社会に取り掛かる。
苦手教科をこの短時間で終わらせるだなんて、なのはちゃんの地頭がいいのか、ヤマトの教え方が良かったのか……。
「……アリサちゃーん助けてー」
「待ってなさいすぐ行くわー」
アリサちゃんがなのはちゃんを教え始めたその時、執事の鮫島さんがケーキと紅茶を持ってきて下さった。
よりにもよってアリサちゃんが担当のときかよ。
「ほらヤマト君あーん?」
「いや、流石に自分で食べれるが「あーん?」……いただきます」
「「……………………」」
こうなってしまえぱすずかちゃんの独壇場。
自分のケーキを上品にすくってヤマトに差し出す。その光景を恨めしそうに見るなのはちゃんとアリサちゃん。……可哀想に。
「ひなちゃん。ほっぺにクリームついてるよ? ほら動かないで」
「んみゅ……ありがとー」
そんなこんなで次は理科を始めたなのはちゃん。
流石理数系が得意ななのはちゃん。すずかちゃんを呼び出さずともスラスラと解いていく。
だがしばらくしてペンが止まった。
「私の出番だね?」
「お願いしますー……」
すずかちゃんが教えに行った。すずかちゃんも教え方は上手なため、彼女の説明でなのはちゃんは納得したような表情でペンを動かし始めた。
「んー! おやつも食べたし遊びたいわねー」
「そうだねぇ、でもゲームをするのはなのちゃんに悪いよね?」
「そうだよな。……なぁレオえもん。なんか面白いもの出せよ」
「誰がレオえもんじゃ! 某青色の狸みたいに不思議な道具なんて出せね……あ、それならこれのテスターになって貰おうかな…………」
俺は懐から一枚のカードを取り出して展開する。するとこれはヘルメットに姿を変えた。
「何よこれ?」
「前から趣味で少しずつ作ってた、デバイスのイメージトレーニングを応用したフルダイブ型ゲーム機。最終的にはVRMMO作りたいけどまだ一人から複数人で簡単なゲームしか出来ないがな」
「え、何それ面白そう!」
「……さりげなくお前はまた凄いのを作ってるな」
いや、これは意外と簡単に作ってる。
最終的にはバッテリーデバイス技術と合体させて、魔力のない人でも遊べるようにして管理世界に普及させても良いかもしれない。
因みにこのヘルメットで遊べるのは、アイドル系リズムゲームと剣や銃火器などでモンスターをハンターするアクションゲームだけだ。
「一応バッテリーデバイスほどのリスクはないから安心して使ってみてくれ。あ、遊び終わったら感想……出来れば感想とか要望を紙に書いて提出してくれると助かる」
ヘルメットは三つしかないので、アリサちゃんとひなちゃん、ヤマトに遊んでもらうとしよう。
なのはちゃんとすずかちゃんも興味があるのかチラチラと見ている。
頑張れなのはちゃん! 理科が終わったら最後は得意教科の算数だ!!
君ならできる!
「えっと一通り説明したけど分かったかな?」
「うん、バッチリだよ。すずかちゃんありがとう」
「どういたしまして。それじゃ……私も混ぜてー」
すずかちゃんはダッシュでアリサちゃん達の方へ向かってしまった。
これはなのはちゃんの勉強途中に出すべきでは無かったな。なのはちゃんが「むー」と言いながら算数の問題集を大急ぎで解いてる。
……よし。
「なのはちゃんなのはちゃん。円を使った問題は3.14をπに置き換えて文字式として計算して、最後にπを3.14に戻して計算した方が早いよ」
「そうなの? ……あ、ほんとだ」
「あと、この最大公約数の数字が大きい約数は2とか3とか共通した小さな数字で割っていって、これ以上簡単に出来ないときに、割った数字を全部かけたらそれが最大公約数になるよ」
「……ほんとなの!」
なのはちゃんは算数は問題無さそうなので、せめて簡単に計算する近道を教えてあげた。
これでテストも今までの半分の時間で解き終わる事だろう。
「終わった! ありがとうレオ君。おかげで凄い早く終わったの! みんなー、私も遊ぶのー!!」
「どういたしましてー。さ、感想聞かせろー」
フルダイブ型ゲームの元へ行ったなのはちゃんの後を追って俺もみんなの輪の中に入った。
〜数日後〜
「やったー!」(385/400)
「がんばったねぇなのちゃん!」(301/400)
「やったじゃないの。頑張った甲斐があったわね」(397/400)
「過去最高点数でしょ? 凄いねなのはちゃん」(394/400)
「ふむ、ま、こんなもんだよな」(397/400)
「あ、いっけね。何問か外すの忘れてた」(400/400)
「れ、レオに負けるだなんて……」
アリサちゃんはがくりと項垂れるのだった。
え、俺に負けただけでここまで凹むか普通?