見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「それにしてもミッドでアリシアと会うなんて凄い偶然だな。なのは達もずるいずるい言ってたぞ」
そう言いながら大量のスフィアを速度差や複雑な動きをつけて撃ってくるヤマト。
俺もNロッドを構えてスフィアを作成し、一つ一つを丁寧にヤマトのスフィアへぶつける。
「まぁこればっかりは次元転送を持つ者と持たない者の差だよ。俺は次元転送でミッドに機材を買いに行けないと詰むからそういう機能が付いてただけだしな」
そう言いながらIスティックを展開してから、自慢の脚力でヤマトの懐に侵入。やつの脳天に棍のいちげきを入れようとする。
無論ヤマトも剣を抜いて応戦。
Iスティックは丈夫さが売りだ。いくらお前が剣だろうがコイツは斬れねえよ! 逆にグラディウスの刃を潰してやる!
「それを言われると弱いな。だがお前が連れて行ってくれても良いんじゃないか? 次元転送は二人以上でもいけるんだろ? 桃崎母娘と三人で行った事もあるんだろ?」
「そりゃ羽鳥さん元管理局員だし、入国手続きとかも既に出来てたからな。ひなちゃんについても、羽鳥さんが事前に終わらせてたし」
次元転送でミッドに行くのも規制があり、渡航許可証を持ってない人間を連れてくるのは割と罪が重いんだ。羽鳥さんだってその他の審査を全て終わらせた上で頼んで来たから連れて行けたわけだし、文句があるなら渡航許可証を発行してもらってからにしてくれ!!
そんな意志を込めてやつの顔面に繰り出すは力を込めた刺突。
だがヤマトはギリギリのタイミングで首を曲げてその刺突を回避してしまった。
くそ、このイケメンな顔を潰す気でやったんだが……。
「やっぱり入国は厳しいんだな。フェイトがこっちに戻ってきたタイミングでリンディさんに色々融通して貰おうか」
「そうしてくれ。……と制限時間すぎちまった。今日は引き分けだな」
「だな」
これで450勝450敗584引き分けだ。
前回追いつかれたけど、今回は引き分けに持って行けたし上々だろう。
「れお君、ヤマト君お疲れ様〜。はいタオルとポカリ」
「ありがとうなひな。……うん、あそこにいるのはなのは達か?」
「あ、ほんとだ」
ヤマトが山を指差すと、俺らを見上げている三人娘の姿があった。
そもそも今日は自主練しようと思って行きつけの山に登っていたら、ヤマトとひなちゃんと鉢合わせたから三人でやってたわけで。
つまり偶然にも全員揃ったという事だ。
「おーい、なのちゃん、アリサちゃん、すずちゃん!」
「こんにちわ、ひなちゃん」
「今日は三人で練習しようって話してたけど、あんた達も来てたのね」
「奇遇だねぇ」
「というか来てたなら声かけてくれれば良いのに」
「……うーん、ヤマト君とレオ君の間には入れないかな。目で追いつけなかったもん」
「そうか? 俺もレオも今日は軽く流してやってたけど」
「俺もなんでもあり封印して正々堂々とやってたしな」
たまには正々堂々と戦っておかないと、搦手なしの実力が鈍ってしまうからなぁ。それに卑怯な手段は相手を怒らせる可能性が高いため、実力を上げておかなければボコボコにされてしまうんだ。
……まぁ流してやってたから実力は向上してないだろうけどな。
「か、軽く流してあれなの?」
「ヤマトもレオも私達とは立ってるステージが違うと思ってたけど……」
「思った以上に遠いね」
そう言いながらも三人娘はお互いの顔を見合わせて頷いた。
「ねぇヤマト、ひな、レオ。私たちを鍛えてくれないかしら?」
まさかの弟子志願。
ヤマトは俺とひなを呼ぶと念話で話してくる。
(まさか弟子志願されるとは思って無かったけど、どうする?)
(受けてやって良いんじゃないか? あの3人には頑張ってもらって俺らと同等の実力がついてくれれば、二期とかの敵も怖く無くなるだろうし)
(ひなもさんせーい! なのちゃん達ともっと魔法の練習したい!!)
(そうか。確かになのは達はまだ強くなれそうだしな。俺たちという壁を乗り越えたら更に強くなれるはずだ)
満場一致の賛成。
というか魔法に手を出してる時点で今更だし、俺らも自分の強さを誇示したいわけじゃないから、反対する奴なんていないよな。
「分かった。それなら俺らも三人いるしマンツーマンで教える」
「待てヤマト。確かにマンツーマン方式は一人に専念できるけど、俺らじゃ教え方に差があるだろ? 仮にローテーションしたところで教えた順番で成長の仕方も違うだろうし。最初は俺らが交代で三人をまとめて教えていかないか?」
「ふむ、その心は?」
「本心だ馬鹿野郎! 喧嘩売ってんなら買うぞコラ!?」
「すまん、レオがそういう時って大体下心があるから今回もそうかと……」
うわー傷つくわ。見た目は踏み台だけど結構良くしてやった気がするんだけど、お前にとって俺は所詮そんな人間なんだな〜。
「だってお前。掃除の仕方は人それぞれだから一人でやった方が効率がいいとか言って、放課後の掃除当番俺一人にやらせたり、運動会は運動神経良いやつにみんなはついて来るとか言って、俺に運動会準備委員を押し付けたりしてるから、今回も俺一人にやらせるのかと」
「……」
これを機にもう少し誠実に生きてみようかしら?
ちゃうねん。掃除当番の日によりにもよって夕方のタイムセールがあったから、そっち行っただけやねん。
運動会の委員も体育会系のノリについて行けないから、それに理解のあるヤマトに押し付けただけやねん。
「私達は教えてもらう側だから文句はないよ」
「えぇ、でもヤマト達を超えたいから厳しめでお願いね?」
「き、厳しめ!? な、なのはは少し優しくしてくれると助かります……」
なのはちゃんチキってる〜w
まぁ口に出したらディバインバスターをブッパされる未来しか見えないから絶対に言わないけど。
「それじゃ、最初はひなが教えてもいーい?」
「ひなか。でもあんまり教えるのにひなは向いてないんじゃ……」
「最初は自分の実力と限界を知ってもらうって事で、何も考えずにひなちゃんと模擬戦をやらせてもいいんじゃない?」
「そうか、確かに一度改めてみんなの実力を見た方がいいしな。ならひな任せた」
「はーい!」
その後なのはちゃん、アリサちゃん、すずかちゃんのチームVSひなちゃんという圧倒的に卑怯な構図が出来上がった。
「え、ちょっとひな? 本当に3対1でいいの? 泣いても知らないわよ?」
「そうだよ、ヤマト君やレオ君ならともかく……」
「本当に大丈夫なの、ひなちゃん?」
「大丈夫だよ! ママもひなは強い子だってお墨付きをくれてるもん!」
三人を前にしても自信満々に笑うひなちゃん。
三人の心配する気持ちは分かるが、ひなちゃんはかの大魔導師プレシア・テスタロッサを単身で倒した実力者だ。
だからぶっちゃけ、ひなちゃんの心配よりもなのはちゃん達の心配している。
「それじゃあ最初はひなが先生ね! なのはちゃん、アリサちゃん、すずかちゃん! いざじんじょーに勝負!!」