見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
俺とヤマトは結界の維持に努め、この戦いを見守る。
なのはちゃん達とひなちゃんの戦いはまさに激戦だ。
アリサちゃんが前衛で攻撃。なのはちゃんが後衛からスフィアや砲撃などの攻撃面の援護。すずかちゃんはアリサちゃんが攻撃を食らいそうなタイミングでの的確な防御。
小1の頃からずっと仲良しやってたからこその見事な連携だ。
たまに暇でミッドチルダの戦技教導ビデオとか見るけど、ここまでの精度の連携はあんまり見たことがない。
……でも。
「うー、ひなに攻撃が当たらない〜!」
「ひなちゃんまだエンジェルウイング使ってないよね!? エンジェルウイング無しでこんなに強かったの!?」
「ひなちゃん凄い……」
ひなちゃんはアリサちゃんの剣の間合いには入らないように立ち回り、フレイムウィップも華麗に回避。なのはちゃんのスフィアは自分のスフィアで相殺して、砲撃はシールドで防御、設置型のバインドも事前に察知してかからないようにしている。すずかちゃんの氷のバインドも的確に避けている。
流石ひなちゃん、俺やヤマトと一緒に練習しただけはある。
しかもひなちゃんにはもう一つの強みがある。
それは……
「きゃん!」
「よし当たったわ! え、いつの間に……」
「ごっつんこ!!」
「ぅあ!?」
……はい、アリサちゃん撃墜。
話を戻そう。ひなちゃんのもう一つの強みは、異常なまでに痛み慣れをしていることだ。
今アリサちゃんのフレイムウィップが当たったが、ダメージを受けた次の瞬間にはもうアリサちゃんの懐に侵入しており、そのまま頭突きを食らわせたのだ。
ひなちゃんはダメージを受けて声を上げはするけど、怯むことは一切ない。まるでこの程度の痛みは慣れていると言ったように。
だからこそ攻撃を当てたからと油断した瞬間にはひなちゃんのカウンターの餌食となってしまうのだ。
前世の苦痛がこんな所で役に立つのは俺としては複雑なんだけどな。
「アリサちゃんがやられちゃったよ!」
「油断しちゃダメなのはちゃん!!」
「え? 「つーかまーえた!」にゃぁああああああああああ!?」
「なのはちゃん!!」
いつの間にかエンジェルウイングを展開して背後に回っていたひなちゃんにガッチリホールドされたなのはちゃん。
すずかちゃんは なのはちゃんをなんとか救出しようと氷の弾丸を放つが、ひなちゃんはなのはちゃんをホールドしながら縦横無尽に空を駆け回り回避する。
「お、おい……そんなに飛びながらグルグルと旋回なんかしたら…………」
「俺なら絶対酔う自信がある」
「にゃ〜……」
ひなちゃんの暴走飛行に強制的に付き合わされたなのはちゃんは、目を回してフラフラとゆっくり地面に落ちていった。
これでなのはちゃんも撃墜……かな。
「あぁ、なのはちゃんまで……あ!?」
残されたすずかちゃんも、ひなちゃんがこっそりと設置していたバインドに引っかかり身動きが取れなくなってしまう。
ひなちゃんはミラクルホープの先端から魔法陣を展開して魔力を溜める。
「《シャイニングバスター》!!」
「きゃああ! ……あれ?」
だがひなちゃんのトドメの一撃は発射されず、すずかちゃんの胸を魔法陣を消したミラクルホープで軽くつっついただけだった。
「ひなの勝ちだね」
「……参りました」
はい、ひなちゃんの勝ち。
〜数分後〜
目を回したなのはちゃんの回復を待つ間に、ひなちゃんはアリサちゃんと自分のタンコブを回復魔法で回復させていた。
この子喧嘩とか説教とかで泣く事はあっても、痛みで泣くことって無いんだよなぁ。
「うぅ……まだ気持ちが悪いの」
「ごめんね、なのちゃん。大丈夫?」
「だいじょ……ばないかも。少し横になるね……」
なのはちゃんはまだグロッキー状態のため、横になった状態で今回の反省点だ。
「どうしてひなに負けたか分かるか?」
「それはひなちゃんが強いからじゃ無いの?」
「そうね。というか私たちひなに完全に遊ばれちゃってたわね……」
「それもあるけど、ひなちゃんはアリサちゃんの間合いでは絶対に戦わなかったよ。もしアリサちゃんとの近接に待ち込めてたら勝ててたんじゃ無いかな?」
すずかちゃん正解。
今回のなのはちゃん達の敗因は、ひなちゃんに対する立ち回りであった。
綺麗な連携でなく、なのはちゃんとすずかちゃんがひなちゃんの妨害に徹底して、最終的に氷のドームかなんかでひなちゃんとアリサちゃんを閉じ込めて、一騎打ちに持ち込めば勝てていたかも知れなかったのだ。
「それに加えてひなは常に盤面をよく見渡していた。戦闘中でも広い視野で状況を見極めることも重要だ」
「金髪いたときに出来てなかったやつがよく言うよ」
「茶化すな! アイツは何しでかすか分からなすぎただけだ!!」
え? アイツは俺かヤマトを見たら無条件で襲って来るから、姿とか気配を感じたらすぐに気配を消して、調子に乗って油断した瞬間に背後に回ってきゃん玉蹴り上げれば確実に倒せるんだけどあれあれ〜?
「うーん、それは相性じゃ無いかな?」
「そうね。卑怯なレオは単純なリュウヤと相性いいだけでしょ」
「卑怯言うな」
卑怯も実力のうちだ。それを批判される筋合いはないですぜ?
「話を戻すが、なのは達の課題は、盤面を広く見渡す能力を得ること。それぞれの得意分野を伸ばすこと。そして実戦経験の三つだ」
ちょうど課題が三つあるな。それならそれぞれ一つずつ各教科を担当しようか。
「それじゃあ実戦はひなが担当するね! 練習あるのみ。一緒に頑張ろうね!」
「なら俺が得意分野の担当をしよう。剣については恭也さんから手解きを受けてるし、砲撃とかも自信がある。バインドや防御については不得手だが一緒に勉強していこう。盤面を広く見渡すのはレオの得意分野だ。彼に鍛えてもらってくれ」
「勝手に決められた!? まぁいいけどさ!!」
だが俺が真に得意なのは盤面を見渡す力ではなく、いかに相手の力を削ぐか。いかに相手がされて嫌な事を見抜いて実践にうつすかだ。
「それでどれくらい練習したら、ヤマト達に追いつけるの?」
「俺たちに? 俺とレオは4歳の頃から練習してるから5年はかかるんじゃないか?」
「5年も!?」
「いや待てヤマト。なのはちゃん達覚えが良いし、本気で頑張れば一年で追いつけるはずだぞ?」
俺なんて1年かけて、幾つもデバイスを用意して、ようやく原作に遅れを取らない実力になったのに、なのはちゃん達なんてデバイス手に入れた瞬間にそれくらいの強さ持ってるんだもん!
おじさん納得いかねぇ!!
「一年か。それなら頑張れるわ!! なのは、すずか! 頑張ってヤマト達に追いつきましょう!」
「「おー!」」
「頑張ってねぇみんな」
こうして定期的に三人娘に魔法を教える事になったのだった。