見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「明後日ははやての誕生日だからみんなでお祝いしてやらないか?」
とある放課後、帰る前にみんなで駄弁っているとヤマトがそんな事を言った。
「え、はやてちゃんって八神はやてちゃん? ヤマト君も友達だったの?」
「え、すずかちゃんも知ってるの? はやてちゃんはなのはとひなちゃんとも友達なの」
「明後日ってはーちゃんのお誕生日なんだー! ひな賛成。お祝いしたいよ」
そういえばついこの間誕生日近いって言ってたなアイツ。ライバルのよしみでケーキくらい焼いてやろうか?
そんな事を思ってるとアリサちゃんが脇腹をつついてくる。
「アリサちゃん、脇腹弱いからやめて」
「あ、脇腹弱点だったのね。まぁそれは置いといて……はやてって誰? なんか私以外全員知ってるじゃないの」
金髪からはやてを守ったヤマト。
スーパーの特売品を奪い合うライバルの俺。……最近負け越してるけど。
スーパーで俺と対立してると言う事で知り合いなんだかんだ仲良くなった、なのはちゃんとひなちゃん。
そしてなんか知らんが仲がいいらしいすずかちゃん。
そんな中で唯一彼女の接点を持たないアリサちゃん。
「はやてって言うのは俺のライバルだな。スーパーの特売に命を賭ける者同士、少なくとも週に一回はお互いに全てを賭けた戦いをしてる」
「たかが特売のために? はやてって子も大人気ないのね」
「テメェ、それ言ったら戦争だぞ? ニコポナデポの餌食にしてやろうかコラ?」
たかが特売ではない。俺みたいに月末の生活が苦しくなる家庭に置いて、特売というのは救済なのだ。
俺が手をワキワキとさせてアリサちゃんに詰め寄ると、アリサちゃんは余裕な表情を浮かべる。
「いいわよ。やって見なさいよ?」
「ほぉ、吐いた唾飲み込むんじゃねえぞ? ほらにっこり」ナデナデ
「あ、アリサちゃんがニコポナデポの餌食になっちゃったの!!」
フフフ、ゾクゾクするだろう? 気持ちが悪いだろう? これが俺の忌まわしい力よ!
だがしばらくアリサちゃんの頭を撫で続けてもアリサちゃんの余裕の表情は消えない。
「やっぱりね。最近レオが笑っても得体の知れない恐怖を感じないからもしかしたらと思ったわ。レオ、アンタのニコポナデポはもう私には効かないわ!」
「な、なんだってぇええええ!?」
ど、どういう事だってばよ! ま、まさかニコポナデポが消えているのか……!?
確かにフェイトちゃんがミッドに行く直前にニコポナデポ消してもらったけど、金髪の前例から転生特典はしばらく経つと元に戻るはず……。
【レオを縛るニコポナデポの呪いよ! 永久に消えろ!!】
永久に消えろ!!
永久に
……あ! よく思い出したら期間をしっかり指定してんじゃねえか!!
「そうだ。つまりお前のニコポナデポは永久に消え去ったんだ。喜べ」
「一生ついていきますぜヤマトの兄貴!!」
「それはそれとして。……レオに頭撫でられたから浄化してヤマト〜」
「ぶっ飛ばしてぇ! でも機嫌がいいから許す!!」
「おめでとうれお君! これで気兼ねなくいっぱいナデナデできるね!!」
さて俺のニコポナデポが消えていたというとてつもなく嬉しいニュースは置いておいて……
「だがよヤマトの兄貴。はやてのやつ誕生日は石田先生って言う主治医の先生がお祝いしてくれるって自慢してたぞ」
「そうなのか。なら誕生会してやれないな……」
「それじゃあ明日するのはどうかな? 丁度土曜日だし準備できるよ」
「前夜祭だね。はやてちゃんもきっと喜んでくれるの」
「せっかくだしサプライズしようよ。こっそり準備してはーちゃんを驚かせちゃお!」
「それいいわね。でもサプライズならはやての家で誕生日は出来ないわよね? どうしようかしら」
「なら俺の家でやるか? はやてもたまに泊まりにくるし」
「さりげなくとんでもないこと言ったヤマト君は後でO☆HA☆NA☆SHIするとして、なら私とアリサちゃんではやてちゃんを連れて来るね」
「え、私も? でもすずか、私はやてとは初対面よ?」
「私がお友達を紹介するって連絡するから大丈夫だよ」
「なら私はお母さんと一緒にケーキ作って来るの」
「なのはちゃんがケーキ作るなら料理は俺が担当するかね。一人暮らし歴長いし料理には自信ありますぜ。ひなちゃん手伝いよろしく」
「はーい」
「なら俺は飾りつけでもするか」
と言うことで、急遽明日はやてちゃんのサプライズ誕生日前夜祭をする事になった。
〜スーパーにて〜
「あれレオ君や。そんなにいっぱい食材買い込んで明日パーティーでもやるん?」
やっべ、はやてとエンカウントしちまった。
明日は七人分のごちそうを用意しなければならないということで、発案者のヤマトに金を出させて食材を大量に買い込んでいたのだが、行きつけのスーパーで買ってしまったのが仇となったか……
うまく誤魔化さなければ……
「ちょうど明日生活費を援助してくれてる親戚の家族が来るんでね、感謝の気持ちを込めてたくさん料理を作ってもてなそうという魂胆ですわ」
「そうなんか。ちゃんとおもてなししてあげなあかんよ?」
はやてとはスーパーでしか話さないからうまく誤魔化せたぞ!
アリサちゃんやリンディさんだったらこうはいかなかっただろう。
直後特売を知らせるベルがスーパーに鳴り響いた。
「馬鹿な、今日は特売はないはず……!?」
「わ、私としたことが見落としたんか……!?」
「たまごを間違えて大量に入荷してしまいました! このままでは大量廃棄となるので、急遽半額セールです。ご協力お願いいたします!!」
……これは運がいい。
「……レオ君、私今日は荷物が多くて困っとるんよ。車いす押してくれへんか?」
「……いいだろうここは共闘だ。俺の荷物多いが持っててくれるか?」
「誰に聞いとるん。余裕や」
はやてに俺の荷物を持ってもらい、はやての車いすの背後に回る。
そして自慢の脚力で押された車いすは、まるで車のごとき速度でスーパーの中を駆ける。
「「どけどけぇええええええ!!」」
ライバルと共闘して、卵に群がる主婦の群れの中に飛び込んだ。
~数分後~
大量に卵をゲットした俺とはやてはホクホク顔でスーパーを後にする。
これは明日のパーティーの献立を卵づくしにしてもおつりが来るぞ……
「流石スーパーランナーや。おかげさまで卵が大量や」
「そっちもあれだけの量の荷物を持ってくれるだけじゃなく、卵をとってくれて助かった」
はやてと握手する。
「明日はヤマト君を招待して卵パーティーやな!」
「ヤマト明日は大切な用事があって空いてないらしいぞ」
はやての誕生前夜祭という大切な用事がな。
「え、レオ君ヤマト君と知り合いなん?」
「ダチだよ。この間はやてがキャベツをドロップしたときにヤマトに持って行かせたのはこの俺だ!!」
「な、なんやってぇえええええ!?」
「崇め奉れぇ!!」
「ははー!」
両手を合わせて崇めるはやて。
ライバルのこの様を見ると優越感がやばいな。
はやてと別れて帰路につこうとすると、スーパーから浮かない顔をしたなのはちゃんが出てきたのに気づく。
「にゃー、卵買えなかったの。明日ケーキ作らないといけないのに……」
「……」
俺は無言でなのはちゃんの元へ行き、卵を差し出す。
「明日のケーキ期待してるZE☆」
「れ、レオ君……。ここは感謝しないといけない所なのに、レオ君のマイバックの中の大量の卵のパックを見ちゃったせいで素直に感謝できないの……」
まあ俺とはやてが自重してたらもしかしたら買えたかもしれないからね。