見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
12時になりはやてが9歳の誕生日を迎えた瞬間。
外から飛び込んできた何かによって寝室の窓ガラスが割れた。
「にゃあ!? 何、何!?」
「だ、誰か外から石でも投げたの!?」
「いや、これ……本?」
「あ、これって私のお気に入りの……」
「あ、窓が……【割れた窓ガラスよ、1分前の状態に戻れ】!」
「そんなことしてる場合か!? 見ろ、この本浮かび上がってるぞ、絶対魔法関連だろこれ!」
「んみゅ……もぉ、なんの音〜?」
いきなりのイレギュラーに冷静さを忘れて騒ぐ俺たち。この家が防音でなかったならば絶対に近所の方に怒られているところだ。
窓ガラスから投げ入れられたのは、厳重に鎖で縛られ中が読めなくなっている一冊の本。
冷静になってよく見てみるとこれはストレージデバイスかなんかか?
「にゃ、すごい魔力放出してるの! これってまさかロストロギアなの!?」
「ろ、ロストロギア!? なら急いで封印しなくちゃ。……あぁ、フレイムアイズ家に忘れてる!!」
「私もだよ!! まさか急にロストロギアが出てくるなんて思わないし〜!」
「魔力、ろすとろぎあ? なのはちゃん達は何言ってるんや!?」
「ってなんかこの本鎖ぶっ壊してページ開こうとしてない? ヤバいんでね? ヤマえもーん、言霊でなんとかしてよ!」
「これほどのロストロギアの封印は魔力の充填に時間がかかる。間に合わない!!」
「んー、この本どこかで見たことあるような……ないような?」
直後、鎖は砕け散りページが開く。
俺とヤマトはとっさにデバイスを展開しており、この本が何かしようといつでもみんなを守れるように体勢を整える。
『起動』
「な、ええ?」
「は、はやてちゃんから何か出てきたの!」
「はーちゃん大丈夫? 痛くない?」
「へ、平気や。でもなんなんやあれ……」
あれははやてのリンカーコア?
ってか今まで気づかなかったけどはやてめちゃくちゃ魔力あるやん! まぁ俺には及ばないけどな!!
直後はやてのリンカーコアから魔力が発生し、それは魔法陣を形作る。
「一応念の為、《パーフェクトプロテクション》!!」
「【レオの防御魔法をさらに強固にしろ】!」
ヤマトの言霊で強化された最強の防御魔法でみんなを守ってたが、魔法陣が攻撃する様子はない。
直後魔法陣が光り輝き、光が収まったかと思うと四人の男女がはやての方を跪いていた。
「闇の書の起動を確認しました」
「我ら、闇の書の蒐集を行い主を護る、守護騎士にてございます」
「夜天の主の元に集いし雲」
「ヴォルケンリッター。何なりとご命令を」
「「「「「「「…………………………」」」」」」」
跪いている四人を前にした俺たちは無言でみんなと目を見合わせ頷きあう。
そして同時に一言。
「「「「「「「おやすみなさい」」」」」」」
「「「「え?」」」」
これはあれだ、何かの夢に決まってる。(キャパオーバー)
夜更かししすぎて気づかないうちに寝てしまっていたのだ。なら夢の中で寝れば現実世界で起きれるはず。だから寝る。
さりげなくヤマトの上に覆い被さって寝たはやては流石だと言っておく。
〜翌日〜
朝もキチンと食事を作るタイプ故に俺の朝は早い。
気持ちのいい朝を迎えて一通り伸びをすると、朝食を作るために台所へ向かおうと
「あ、レオ君おはよ〜。ええ朝やね」
「悪い起こした? とりま朝飯作るからもう少しヤマトの上を堪能してて」
「昨日ご馳走になったのにこれ以上ライバルに貸しを作るわけにもいかん。朝ごはんは私が作るから、レオ君はひなちゃんでも抱いて寝ててな」
「「…………」」
「少しよろしいでしょうか?」
「「うぇ!? ど、どちらさん!?」」
こうなればどちらが美味しい朝ごはんを作れるか勝負よ! っとなりそうな雰囲気をぶち壊してくれた桃髪の女性。夢じゃなかったのか!
「我々は闇の書の守護騎士ヴォルケンリッター。主の命に従い、闇の書の蒐集を行い、主人を守る者です。主に聞きたいことがございます。よろしいでしょうか?」
「え、主って私? うん、ええよ。どうしたん?」
「彼とそちらに寝ている者達。彼らはかなり高位の魔導師とお見受けします。彼らは主の味方なのでしょうか?」
「うーん、どうやろ? 魔導師とかはよく分からんけど、一応ここに寝てる子達はみんな友達。こっちの子は私のライバルや」
「ライバル……命令とあらば排除できますが「何考えとんねん! ライバルは自分で倒さな意味がないやろ!?」そ、そうですか……ですが彼はそこで寝てる者達よりもさらに上の大魔導師。今の主では「あ、戦う方のライバルじゃないから」そ、そうなのか……」
横を見ると不安そうな表情の短い金髪の女性、俺だけじゃなくはやても睨んでいる赤髪の少女、無表情の筋骨隆々の大男。なんでお前はイヌ耳つけてんの?
……これは。
「はやて。今から11人分の朝飯作らなきゃ行けないみたいだぞ」
「それは……多いな。よし、レオ君手を組もうか」
「おう。実は昨日のハンバーグのタネがまだ残ってるんだ。これを揚げてメンチカツもどきにして、メンチカツサンド作ろうと思ってる」
「朝から手間のかかるメニューやね。ウチじゃなかったら心折れてるで?」
「やれるか?」
「余裕や」
「「ちょっと朝ごはん作るから適当に寛いで待っててな?」」
「え、あ、はい……」
とりあえずいきなり本から現れた訳の分からん四人組は後だ。
詳しい話は飯を食いながらしてもらおう。
「「「「………………」」」」
俺らが料理する様を興味深そうに覗き込む守護騎士の四人。正直言ってやりづらい。
「メンチカツ揚がったぞ」
「そっか。それじゃあさっそくサンドウィッチに…………。ごめんレオ君、二つもらってええか?」
「食わせんだね。どうぞどうぞ」
はやてはメンチカツを半分に切ってキッチンペーパーで包むと、四人にそれぞれメンチカツを手渡した。
「ちょっと味見してみぃひん?」
「え、いいのですか?」
「そんな……悪いですよ」
「気にせんといて。まだまだたくさん揚げてくれるからちょっとくらいええよ。あ、すっごく熱いからちゃんとふーふーして食べるんよ?」
「……いただきます」
おそるおそるメンチカツに齧り付く四人。いや、そんなに警戒せんでも。毒なんざ入れてないぞ?
ハフハフと言いながらもなんとか咀嚼して飲み込んだ赤髪の子が小さな声で「テラウマ」と呟いた。
テラって10の12乗……ちょっと大袈裟すぎや。
「はいもういっちょ揚がったよ」
「了解や。……なぁなぁレオ君。メンチカツサンドだけってのもつまらないと思うんよ」
「たまごサンドとレタスサンドも作るか? ちょうど昨日持ってきた卵とシーザーサラダのレタスが余ってるから作れるぜ?」
「流石や」
その後、俺とはやては一時間かけて大量のサンドウィッチを作った。
11人いても食べきれない量だが、余ったらそれぞれお持ち帰りしていただこう。
「にゃ〜いい匂いなのー」
「サンドイッチだ。おいしそー!」
「え、まさか朝からこんなに作ったの? ……すごいわね」
「そ、そうだね。ねぇねぇレオ君はやてちゃん。ウチでシェフやらない?」
「これは……すごい量だな」
サンドウィッチと昨日の残りのコーンスープの匂いで起きてきた海鳴魔導師組の面々。
彼らがリビングのソファに座っている守護騎士を見つけると、ひとしきり驚き「夢じゃなかったんだ」と呟いたのだった。
「さ、細かい話は食べながらや。特に魔導師について詳しく聞かせて貰うからな。それじゃ、みんな席についてー」
守護騎士登場。
原作との相違点として、魔導師全員が守護騎士と対面してしまいます。
……これじゃ二期も原作大ブレイクやな。