見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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ド修羅場じゃないですかやだー!

「よくもまぁ、私の目の前に現れたわねぇ、ヴォルケンリッター。……11年前の屈辱、今ここで晴らしてやるわ」

 

「貴様、もしやあの時の管理局員か……!」

 

「そう。ひなちゃんは貴女の子供だったのね……」

 

 過去一恐ろしい顔をした羽鳥さんとヴォルケンズがお互いに得物を抜いて向き合っており、そんなド修羅場に巻き込まれた俺となのはちゃんにひなちゃん、そしてヴォルケンズの主のはやては状況についていけず呆然と立ち尽くしていた。

 

 

 時は数十分前に遡る。俺はいつものようにセール品をゲットする為にスーパーを訪れていた。

 さて、今日はジャガイモ詰め放題。100グラム50円は破格すぎる、赤字で潰れてもいいのか! (褒め言葉)

 

「あら、やっぱり来たのね」

 

「れおくーん!」

 

 声をかけられて振り向くと桃崎親子。

 やはり来るわな。この大特価セールには……

 

「ひなちゃんもジャガイモ詰めるためについてきたの?」

 

「うん! ママが手伝ってって。ひなは今日はお手伝いなのです!」

 

「偉いねーよしよし」ナデナデ

 

「えへへ〜」

 

「ひなちゃんがニコポナデポ……あ、そっか。レオ君の体質はヤマト君に治してもらったんだったね」

 

 えへんと胸を張るひなちゃんの頭を撫でていると、高町親子もやってきた。

 な、なぜ桃子さんがここに? 今日のこの時間は翠屋のシフトが入ってるってなのはちゃんは言ってたのに……まさか騙された!?

 

「それは士郎さんとバイトの子達に任せてきたわ。パティシエである前に一介の主婦。これほどの大特価は見過ごせるはずがないもの!!」

 

「私もお母さんに頼まれたからついて来たの」

 

 まさかここまでやるか……。

 くそ、今日は桃子さんはいないだろうと思っていたのに……!

 

「な、なぜ桃子さんがいるんや……!? 昨日なのはちゃんに仕事があるって聞いてたのに……!」

 

 シグナムさんとシャマルさんに車椅子を押されてやって来たはやてちゃんも桃子さんがいる事に驚愕の表情。

 

「あれ? 犬耳で目立つザフィーラの兄貴はさておき、ヴィータちゃんは? 4人で挑んだ方が良かったんじゃね?」

 

「ヴィータは今日はアリサちゃん達と遊んでるよ。なんか気が合ったみたいでな」

 

 確かにアリサちゃんとヴィータって若干似てる所あるし、通じ合える部分があるんだろうな。

 そしてザフィーラだが、どうやらアルフやリニスと同じ使い魔に近い存在らしく、普段は犬の姿でいるらしい。

 それでいいのかザフィーラの兄貴。

 

「……ひな。はやてちゃんの後ろにいるあの2人って?」

 

「うん! この間言ってたはーちゃんの新しい家族だよ!!」

 

「あの2人の名前ってシグナムとシャマルよね?」

 

「そうだよ! あれ? ひな、しゅごきしのお名前教えたっけ?」

 

 シグナムさんとシャマルさんを見て恐ろしい表情を浮かべる羽鳥さん。まるで大切な物を奪った怨敵を見るような目で……

 

 直後、セール開始を知らせるベルが鳴り響く。

 

「あ、始まった。それじゃおっ先ー!!」

 

「とりあえずあの2人は後ね! ひな、いきましょ!」

 

「おー!」

 

「なのは、ハードだけど頑張って!」

 

「うん」

 

「あかん、出遅れてしもうた! シグナム、シャマル! 頼りにしてるで!!」

 

「御意」

 

「了解よ、はやてちゃん」

 

 

 〜十分後〜

 今回の特売の勝者は俺!

 数こそみんなよりも少し少ないものの、大きく新鮮なジャガイモを大量に取ることができたのだ。

 

「今日は俺の勝ちみたいだな車椅子レーサー!」

 

「ぐぅ……出遅れたのが仇になったわ。あと、シャマルがあそこまで体力が無かったのも誤算や……」

 

「も、申し訳ありません〜」

 

 フハハハハ、誰かに頼るからそうなるのだよ車椅子レーサー! 結局頼れるのは我が身一つなのさ!!

 

「白熱したわ〜。それじゃあなのは、ママは早く翠屋に戻らないといけないから先に戻るわね」

 

「分かったの!」

 

「……桃子先輩は帰ったわね。それじゃあ!」

 

「ママ?」

 

 直後、結界の中に囚われる俺たち。

 あまりに急なことに全員が戸惑っている中、魔力の流れを探る。出所は……羽鳥さん!?

 同じく魔力の出所を掴んだシグナムさんが羽鳥さんの元へ行く。

 

「貴様……どういうつもりだ?」

 

「あら、久しぶりに貴女達とお話ししたかっただけよ。それとも……かつて蒐集した人の顔なんて覚えていないかしら?」

 

「「「え?」」」

 

 俺は無言でひなちゃんの手を引き、はやての車椅子を押してその場を離れる。近くにいたら巻き込まれる可能性が高いからだ。

 

「ちょ、ひなちゃんどういう事や? 羽鳥さんが……闇の書の被害者!?」

 

「ひな知らないよ! ママに何も聞いてないもん!!」

 

「同じく! 元管理局員なのは知ってたけど、詳しく聞いてなかったし……」

 

 まさか局員時代に闇の書と関わっていた!?

 いつのまにか、ミラクルホープにそっくりのデバイスを取り出しバリアジャケットを展開した羽鳥さんと、バリアジャケットこそ展開せずとも剣を取り構えるシグナムさん。

 

「よくもまぁ、再び私の目の前に現れたわねぇ、ヴォルケンリッター。……11年前の屈辱、今ここで晴らしてやるわ」

 

「貴様、もしやあの時の管理局員か……!」

 

「そう。ひなちゃんは貴女の子供だったのね……」

 

 過去一恐ろしい顔をした羽鳥さんとヴォルケンズがお互いに得物を抜いて向き合っており、そんなド修羅場に巻き込まれた俺となのはちゃんにひなちゃん、そしてヴォルケンズの主のはやては状況についていけず呆然と立ち尽くしていた。

 

「なんか殺し合いに発展しそうだし止めるか。はやて、ヴォルケンズの方を頼む」

 

「り、了解や! 今のマスターは私やし、みんなから詳しくお話を聞かせて貰わなあかんね!」

 

「ママー! 喧嘩はダメだよー!!」

 

 その後、はやての命令でヴォルケンズの武装を解除してもらい、羽鳥さんは俺となのはちゃんとひなちゃんの三人がかりで何とか止めて羽鳥さんのデバイスを奪い取った。

 

「お願い止めないで頂戴三人とも……。闇の書はここで止めないと悲劇を生むわ」

 

「羽鳥さん今アナライザーで見たけどほとんど魔力ないじゃないですか! それで騎士には勝てませんって!」

 

「ママ喧嘩はダメだよっていつもひなに言うでしょ! だからめーだよめー!」

 

「とりあえずシグナムさんとシャマルさんとお話ししてみましょう?」

 

 何とか羽鳥さんに落ち着きを取り戻させると、はやてが羽鳥さんの元へ歩み寄る。

 

「えっと……羽鳥さん。よろしければ闇の書と何が有ったか教えてもらってもええですか?」

 

「……気持ちのいい内容ではないわよ?」

 

「それでも今の闇の書の主は私です。聞く義務がある。お願いします」

 

「……分かったわ」

 

 羽鳥曰く。

 闇の書は11年前に羽鳥さんとリンディさんの2人で担当した事件だったと言う。

 だが闇の書の報告をしに現地の管理局支部へ訪れた所、そこには誰もおらず局員の代わりにヴォルケンリッターがいて、囲まれて襲われたらしい。

 その後必死に抵抗したようだがリンカーコアを蒐集されてしまい、無茶な蒐集によりリンカーコアは破損。魔力を大幅に失った上に、エンジェルウイングを使えなくなったようだ。

 

「後から知ったんだけど、かつての闇の書の主とそこの支部長は賄賂で結託していてね……魔力量の多い私からリンカーコアを蒐集するために罠を張っていたんだって」

 

「そうだったのね、おかしいと思ったのよ。支部を制圧したからそこで待機だなんて……」

 

「……あの時のなぜ一人で我々の元へ来たのかと疑問だったが……そう言う事だったか」

 

 その後、嵌められた事にショックを受けた羽鳥さんは辞表をリンディさんの机の上に置いて失踪。

 実家のある地球へ戻って来たらしい。

 

「そしてしばらくの間実家で引きこもってたんだけど、あの人……ひなのパパと出会って結婚。ひなが生まれて今に至るのよ」

 

「何やそれ。そんなのあんまりや……!!」

 

「この二人は責めないでね。主が罠を張ってたって知らなかったみたいだから。それに守護騎士達はそこまで恨んでないのよ? あの事件があったからあの人と出会えて、ひなって言う宝物にも出会えた」

 

「ママ……」

 

 俺はそれよりもひなちゃんのエンジェルウイングが羽鳥さんのレアスキルだった事に驚愕っすわ。

 エンジェルウイングはひなちゃんの転生特典ってよりは、羽鳥さんの能力をひなちゃんが継承したって言う方が正しいんだ。

 はやては重苦しい表情で羽鳥さんの過去の話を聞いていたが、やがて決心したような形でシグナムさん達に向き直る。

 

「シグナム、シャマル約束しよ。私は……今回の闇の書の主はやては絶対に闇の書のページ集めはしない。だから二人ももし私が道を間違えて闇の書のページを集めそうになったら全力で止めてな?」

 

「……御意」

 

「分かりました。そして羽鳥さん、あなたにも何てお詫びしたらいいか……」

 

「はやてちゃんが闇の書の蒐集を行う気がないならそれでいいの。私が一番怖いのは、娘が私みたいな目に遭うことだから……。闇の書の蒐集をしないって誓ってくれるなら管理局への通報はしないわ」

 

「誓います。絶対に闇の書は完成させません」

 

「約束よ?」

 

 羽鳥さんはそこまで言うと安心した顔で結界を解いた。

 何と言うかめっちゃ重い話だったな。

 

「闇の書ってそんなに危ないものだったんだね」

 

「うん、はーちゃんが主さんで良かったよ」

 

「だな。あ、そうだ、羽鳥さんのリンカーコアだけどひなちゃんのフェニックスウイングで治せるんじゃね?」

 

「え、ほんと? ママにフェニックスウイング使ったことないし、帰ったらやってみる!!」

 

 それにしても闇の書か。見た感じデバイスだし、古代ベルカ言語を取得済みの俺ならプログラムをいじり回せる。また今度蒐集のシステムを改良するためにお邪魔してみるか。

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