見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「皆さん一学期お疲れ様でした。明日から夏休みですが、メリハリある生活を心がけてください。それではアリサさん号令お願いします」
「起立、気をつけ、礼」
『さよーならー!』
よし明日から夏休みだ! 学校とかいう長時間拘束される障害もないし、ゆっくりとフォーチュンドロップとひなちゃん用デバイスを仕上げてやるぜ!!
……あ。その前に夏休みの宿題は邪魔だから排除しなければな。
「よしレオ、毎年恒例のアレをやるか」
「オッケ。今年は量が少ねえから2日で終わらせられるぜ?」
夏休みの最初の三日はヤマトの家から俺の家に合宿して、夏休みの宿題を終わらせてしまうのだ。
その際にやる教科を決めておいて、その教科が終わったら相手に見せる。
まぁぶっちゃけカンニング無しでも終わらせられるんだけど、小学校の内容とはいえほんの少しでも頭を使ってはタイムロスだ。故にカンニングありでやっているのだ。
「ねぇヤマト、明日から夏休みの宿題一緒に終わらせない?」
「分からないところは教え合えるしどうかな?」
アリサちゃんとすずかちゃんがやって来た。
お、宿題デートでもするのかい? なら俺は潔く引き下がるが
「いや、毎年レオとやってるしアリサ達だとカンニング出来ないから、今回はやめとく」
「お前のその女子からの申し出を断るスタイルなんなん? なんか女子に恨みでもあんのか!?」
本当にコイツは……鈍感が過ぎてヒロイン達が離れて行っても知らないんだからね!!
「ちょっと待ちなさい。今カンニングって言った!?」
「いくら内容が分かるからってそれはダメだよ?」
「でも教科を決めてやって言って、後で宿題を交換してカンニングした方が早く終わるんだよ」
「そーそー。どうせ授業の内容完全に分かってんだから、真面目にやったところで身につく物なんて何もないし」
俺の言葉にアリサちゃんは考える仕草をする。アリサちゃんは一見真面目そうだが、授業中は絵を描いてたりする不真面目系女子だ。俺の言葉に思うところがあるらしい。
「……確かにそうね。身につく物なんて無いのに真面目にやる意味は無いわね」
「えぇ? ダメだよアリサちゃん!」
「宿題の話? みんなは夏休みの宿題どうするの?」
なのはちゃんとひなちゃんも話に入ってくる。
因みになのはちゃんは毎日コツコツやって8月中旬に終わらせてしまう派であり、ひなちゃんは二学期の数日前に俺に泣きついてくる派だ。
去年や一昨年の事から、ひなちゃんに対しては彼女の家に定期的にお邪魔して8月中旬までに終わらせられるようにサポートする予定だ。
「あのねなのはちゃん。ヤマト君とレオ君、そしてアリサちゃんがカンニング合宿をやろうとしてるの」
「えー、カンニングはダメだよ!」
「そーだそーだ!! 三人だけずるいよ、ひなも混ぜて!」
「ひなはダーメ。カンニングする引き換えに一つの教科は自力でやってカンニング用として差し出すんだから。ひなはカンニング用の答案なんて用意できないでしょ?」
「うぅー」
それに羽鳥さんからひなちゃんの夏休みの宿題を手伝っているとき、ひなの為にならないからカンニングだけはさせないでって言われているのだ。
「それじゃあまたヤマト君の家に集まって、みんなで宿題しない? 教え合うだけならひなちゃんも入れてあげられるでしょ?」
なのはちゃんが名案だといった風に手を叩く。だけどついこの間ヤマトの家に集まったばっかだしなぁ。あまり乗り気で無い俺である。
それはカンニング派のヤマトとアリサちゃんも同じだったようで、なのはちゃんにちょっとタイムと言ってから念話で会議を開始する。
(これってまたお泊まりの流れじゃね? お泊まりは旅行含めてこの小説既に3回使ってるし、読者も飽きてるだろうから、今回はサクッと終わらせたいんだが……)
(メタ発言はやめなさい。でもそうねー、教え合ってたら普通にやるよりも時間がかかるし……)
(無難に日を改めて三人でこっそり集まるか? 日を改めてる間に指定した教科を終わらせておけば、集まったとき写し合うだけで終わるし)
(わざわざ日を改めるくらいなら、真面目に一人でやった方が早くね? どうせ真面目にやったところでそこまで時間かからないんだし)
(そうね。なら今回の宿題合宿は断りましょうか)
((賛成))
「……と言うわけで、念話での会議の結果一人一人で真面目に宿題をすると言うことになった。はい解散!」
「「「いまの会議で何があったの!?」」」
ヤマトの言葉にビックリと言った表情を浮かべるなのはちゃん達であった。
帰宅後、昼飯を冷凍食品で済ませてひなちゃんの自宅へ向かった。
「ハローひなちゃん。お邪魔しますねー」
「れお君どうしたの?」
俺が持って来たバッグから夏休みの宿題を取り出すとひなちゃんはギョッとした表情を浮かべる。この子勉強はどちらかと言うと嫌いな方だし、いきなりこんな物出されたらこんな顔もするだろう。
「早速ですが宿題をしましょう」
「やー!」
逃げ出そうとするひなちゃん。だがそうは問屋が卸さない、来る前にリニスに念話しており、人型になったリニスがひなちゃんを捕まえた。
流石はかつてフェイトちゃんの家庭教師をしていたヤマネコだ。子供の教育に関して右に出る者はいない。
「離してよリニス! お勉強はや!!」
「ダメですよひな。あなた去年も一昨年も直前にレオさんに泣きついているんですってね? 夏休みの最序盤で宿題を終わらせれば後は気兼ねなく遊べるんですし頑張りなさい」
「む〜!」
今年はヤマトとのカンニング攻略が出来なくなったので、諦めて自力で宿題をする事にした俺。
せっかくだからひなちゃんと一緒にやって、彼女の宿題も進められるところまで進めてしまおうと言う考えだ。
「さぁ、頑張ろう。今年は宿題少ないから、頑張れば三日で終わるよ」
「……ほんとに三日で終わる?」
「頑張ればね」
「……じゃあひな頑張る」
死ぬ気で頑張れば終わるよ。まぁ嫌われたくないからそこまでスパルタでやるつもりはないけど。
ひなちゃんは勉強嫌いとはいえ地頭自体はかなり良い方だ。
暗記系の科目はむしろ得意な方だし、数学系も解き方を教えてあげればすぐに終わらせられるだろう。
「うー……」
「因みにお勉強頑張ったら、明日以降お菓子作ってくるよ?」
「え、ほんと!?」
俺に告白する大胆さを見せつけたとはいえ、所詮精神年齢はまだまだ子供のひなちゃん。物で釣ってあげればこの通りですよ。
〜三日後〜
「終わったよ!!」
「……うん、何問か間違えてるけど許容範囲。ひなちゃんにしてはよく頑張った!! 頑張ったひなちゃんには翠屋のケーキをご馳走だ!」
「わーい!!」
その後本当に三日で終わらせることが出来て、残りの夏休みを堪能したひなちゃんなのであった。
絵日記だけはコツコツやるタイプだし、これなら夏休みの最後で泣きつかれる事もあるまい。
因みにヤマト達だが、アリサちゃんがこっそりヤマトを誘ってカンニング合宿をしようとしたが、なのはちゃんとすずかちゃんにバレて、結局泊まりがけでみんなで宿題をしたとヤマトから聞いたのだった。