見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
テスタロッサ・ハラオウン家で一泊させていただき、彼女達に見送られながら海鳴市に帰還した。
ふう、やっぱり家が一番落ち着くなぁ。
え? 夕飯はどうした? お風呂はどうした? 寝ている時に誰と一緒に寝たか?
夕飯は美味しかったし、お風呂は広かったよ。
確かにご飯のときはアリシアちゃんがおかずをアーンってスプーンを差し出して来たし、お風呂も一緒に入ろうとアリシアちゃんが洗面所まで突撃をかけて来た。
でも親バカのプレシアにガッチリガードされたのだ。私のアリシアにはまだ早いって。
それを言ったらあなたフェイトちゃんは既にアーンも混浴も体験しておりますよ。と言ったら殺されそうだから言わないでおいた。フェイトちゃんにも言わないように念話で釘を刺しておいた。
その後も寝室は間違いがないようにとクロノ君と同室だったし。眠くなるまでクロノ君から執務官としての体験談とかを色々聞かせてもらったがそれ書いても誰得だよってなるだろ?
と言うわけで今回の宿泊では何も無かった。やはりイベントを起こすにはオリ主であるヤマトが必須なようだ。
さーてここ最近デバイスを組みまくってたし、しばらくデバイス制作はお休みして小学3年生の夏休みを堪能させてもらうか。
ピンポーン
「あ、お客さんだ。さてはデバイスは組まないぞって意気込んだのがフラグになったな」
ドアを開けると、アリサちゃんとすずかちゃんとヴィータちゃんだった。
これはまた珍しい組み合わせで。
「いらっしゃい。どうしたの?」
「ごめんねレオ君。スノーホワイトが壊れちゃったんだ」
そう言ってすずかちゃんが差し出したのは、大破した槍モードのスノーホワイト。
ありゃりゃ、これは見事にぶっ壊したなぁ。
「悪い。アタシと模擬戦してたんだけど力が入りすぎた」
ヴィータちゃんがぶっきらぼうに謝って来る。
ヴィータちゃんの武器は確かハンマー。なるほど、ヴィータちゃんの一撃を槍で防御しちゃったんだ。
「今回はちゃんと修理代払うから修理してくれないかな?」
「だから修理代はいいよ。そんな大金を小学生が払うんじゃありません」
「でも悪いよ。いつもタダだなんて」
「だからいくら金持ちでも修理代払ったら何に使ったか聞かれるじゃん? 俺がすずかちゃんを魔法の世界に誘ったってバレるじゃん? 忍さんに殺される未来しか浮かばんのよ。俺のこと思ってくれてるなら、金を払って魔法のことがバレるのを避けてくれ」
「わ、分かった。分かったから土下座しないで。私が嫌な子みたいになってるよ!」
仕方がないので身体を起こす。
だが正直今回謝らないといけないのは俺の方なんだよなぁ。
そもそもすずかちゃんのスノートライデントは牽制目的、近づかれたときの対抗手段であるため、そこまで強度の高いフレームを使っているとはいえず、ベルカ式とは相性が良くないのだ。
「特にヴィータちゃんみたいな防御の上からぶっ壊すスタイルなタイプとの相性は最悪。逆によく今まで壊れなかったね」
「すずかはデバイスを大切に使ってたからね」
「……本当にごめん。そんな大事なデバイスを」
「謝らないでヴィータちゃん。大丈夫だよ、レオ君が修理してくれるから」
「金髪みたいにぞんざいに扱って壊したならともかく、大切に使ってくれた上で壊したのなら、デバイスマイスターとしても嬉しいことはないよ。ヴィータちゃんとやり合ってもキチンと打ち合えるように強度の高いフレームにしておくからね。だからヴィータちゃんもそんな落ち込まないでな?」
「……ありがと」
「この程度ならほんの数時間で終わるからテレビでも見て待っててよ」
さーて早速修理するかー。
これはフレームをこれより硬い素材で作り直さなければならないから、そこそこ時間がかかる。
だが我が家のデバイスの余った素材で修理できるからお金はかからない。むしろ我が家の物置の肥やしがなくなってラッキーなほどだ。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……どうしたのみんな。作業中の俺をジロジロと見て?」
「いや、考えてみるとあんたがデバイス修理してるところをちゃんと見るのは初めてだと思ってね」
「アタシもアイゼンのメンテとかはするけど、レオほど器用には出来ないからなー」
「実は私前から気になってたんだよね。デバイスも時計とか携帯電話みたいなのかな? って」
あー、すずかちゃんは機械弄りが趣味だもんね。だとしたらデバイス作りとかにも興味を持つのは自然な事だよな。しばらく作業を続けるが興味津々と言った感じで見ている。
……よし。
「せっかくならすずかちゃんの手でスノーホワイト修理してみる? 手取り足取り教えてあげるよ?」
「え、いいの?」
「いいよ。今日は重要な機関が壊れたわけじゃないからフレームの取り替えだけだし」
「それじゃあお願いしようかな。よろしくねレオ君」
その後すずかちゃんにフレーム加工の仕方などを丁寧に教えてやってもらったが、流石は機械弄りが趣味のすずかさん。凄い器用だ。
「すげー、綺麗に作るじゃん!」
「そうねー。レオ、初めてのすずかがここまで上手なら、これは追い抜かされるのも早いんじゃない?」
「追い抜けるものなら追い抜いてみろとだけ言っておく」
別にプライドなんてないから追い抜かれても素直に賞賛してあげるよ。
バッテリーデバイスにVRMMOもどき、多重セットアップ方式を作った俺に勝てるならなぁ!!
何はともあれ。怪我する可能性のある工程は俺がやったが、それ以外はすずかちゃんにやってもらい、数時間後には修理され前より丈夫になったスノーホワイトの姿があった。
『修理してくださりありがとうございました、マイスター』
「お礼はすずかちゃんに言ってやりな。修理手伝ってくれたんだから」
『まぁそうですの? 私の修理を手伝ってくださりありがとうございましたスズカ』
「ううん、こっちこそごめんね。壊しちゃって」
スノーホワイトは青いビー玉に戻り、すずかちゃんはそれを大切そうに胸ポケットに入れた。
このフレームは丈夫だしこれで壊れる事もないだろうな。
一仕事終わり身体を伸ばしているとすずかちゃんがこっちに来た。
「ねぇレオ君お願いがあるんだけど」
「何? デバイス制作に興味が湧いた?」
「うん。私にデバイスの作り方教えてくれないかな?」
「いいよー」
「え、あっさり!? すずかの事だから今日の経験がきっかけでレオに弟子入り志願するんじゃないかとは思ったけど、レオの事だから断ると思ってた」
「アリサちゃんが俺をどう見ていたのか、よーく分かったよ」
報復としてもしフレイムアイズを壊したときは手抜き修理……ごめん嘘、職人として手抜きは出来ないわ。
すずかちゃんにデバイスの作り方を教えるのはこちらとしても利点があるのだ。
もしまた壊したときは次からは自分で修理できるだろうし、なんならヤマトがデバイス壊したときはすずかちゃんが修理すればやつの好感度も上がるだろうしな。
「とりあえず何冊かデバイスの入門書あるから、家で読んで。……あ、ミッドチルダの言葉分からないか。ほとんど英語と同じなんだけど」
「英語と同じなの? なら大丈夫だよ。私英語なら読めるから」
「分からないところあったら聞きに来て」
すずかちゃんに数冊の本を渡すと今日は日も暮れたので家に返す。
喜べすずかちゃん。お前は近い未来にデバイスの歴史に名を残す宮坂麗央の一番弟子だ。
フハハハハハ!!
『ですがマスターが初めてデバイスを作った時よりも器用でしたよね。これはアリサちゃんの言う通り、数年で追い抜かされるんじゃないですか?』
「…………」
ま、まぁ。俺に追い抜くにはデバイスだけの知識じゃなくて、その他にも色々な知識を身につけないとまず無理だから、そう簡単には追い抜かれないはず……多分。
その後すずかちゃんは定期的にウチにデバイスについて学びに来るようになった。
そろそろしっかりとレオ君とヴィータちゃんを絡ませたいなー。