見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「か、完全に油断した……」
『だから言ったではありませんか、暑いからって冷房を下げすぎですよと』
夏風邪をひきました。
昨日は猛暑日だったので、冷房をガンガン冷やして寝たのだが、それが原因で体を冷やしてしまったようだ。
ちゃうねん。俺も何気にチート持ちだから風邪はひかないと思い込んでいたんや。
直後なのはちゃんから念話が飛ぶ。
(みんなおはよう。福引で海鳴ウォーターパークの無料券を10人分もらったからみんなで行かない?)
(おはようなのは。いいわね、ちょうど今日はお稽古休みの日だし行きましょうか)
(ひな知ってるよ! あそこウォータースライダーあるよ!!)
(いいな。あそこは浮き輪の貸し出しとかやってるしはやてとかも誘えるんじゃないか? シグナムとかいれば安心だし)
(ええね~。泳げんでもぷかぷか浮いてるだけでも楽しいし私も行かせてもらおかな。シグナムとヴィータの水着がないから買ってからいくわ)
このタイミングでこれかよ……。
まあ風邪だし仕方がない、今回は諦めるか。
(すまん、俺パス)
(えー、れお君も行こうよ~)
(すまんね、夏風邪ひいちまったし、うつしても悪い。今回はやめておく)
(風邪ひいちゃったの? なら治るまで待つよ?)
(心配してくれてありがたいけど、せっかく俺いないんだし心置きなくヤマトにアプローチ仕掛けるチャンスだよ? それにこの際のんびりアニメを見る時間もできたし、気にせずに楽しんできなよ)
最近は神アニメが多すぎて、溜まったアニメが全然減らないのだ。こういう時に消化をしなければ。
それに水着回なんて重要なイベントだ。大胆な水着でヤマトをドギマギさせられるのだからな。そんな貴重なイベントに踏み台がいたら台無しだろう。だから悔しくなんてない。うん悔しくない。グスン
(そっかー、お大事にね。れお君)
(うん。感想聞かせてな)
念話を切ってベッドからリビングへ移動してソファーに寝転がる。
はー、惜しいことをしちまった。まあいいや、ついこの間まで忙しかったし今日はのんびりとしよう。
そう決心した俺は録画からケロロ軍曹を再生するのだった。
「ケロロ見てると異様にプラモデル作りたくなるのはどうしてなのかな~」
『何気にガンダムの販促要素含んでますからねー』
温玉うどんを啜りながらアスカと会話する。
いくら風邪で身体がきついとはいえ、徹夜したときと比べればそこまでつらくない。料理くらいはお茶の子さいさいなのだ。
ピンポーン
ん? 普段遊びに来るみんなは今プールだろうし、あいつら以外に我が家にお邪魔するやつなんていない……まさか。
玄関のドアを開けるとそこにいたのは、ひなちゃんだった。
「お見舞いに来たよ!」
「風邪うつるよ?」
風邪をうつしても悪いので家に帰そうとするが、アスカ曰くひなちゃんは転生特典の健康な身体は病気はおろか、毒物を摂取しても平気になるチートだから心配はいらないらしい。
しかも怪我の自然治癒力も極限まで高くなってるから、フェニックスウイングを使わなくても他の人より怪我の治りが早いとか。
ほんとひなちゃんは回復チートだよなあ。
「というかプールにはいかなかったの? ウォータースライダー楽しみにしてたのに」
「延期になったよ。やっぱりみんなもレオ君含めた全員で行ったほうが楽しいからって」
せっかくの俺抜きの好感度イベントだというのに、俺のことを気遣ってくれるだなんて……。やべぇ、みんなが優しすぎておじさん泣きそう。
「さあ、れお君はお風邪ひいてるんだからゆっくりしてて! ひながお昼ご飯作ってあげるね」
「あ、もううどん食べた」
「ならお部屋のお掃除してあげる!」
「昨日掃除したから大丈夫だよ」
「……お洗濯してあげる」
「もうしたよ。乾燥機能とは本当に素晴らしい」
「……することある?」
「特にないよ」
一人暮らし歴長いし、風邪のせいで家事が出来ないなんてことはないのだ。
ひなちゃんはれお君の面倒見たかったと項垂れてしまった。妹に面倒見てもらうほど落ちぶれてはないやい。
「うぅ……あれ? れお君ちょっといい?」
「なぁに?」
ひなちゃんは自らの額を俺の額にくっつけた。
熱を測ってるんだね、分かります。でもこれ恥ずかしいから、別の手段で熱測ってくれると嬉しいな。
「顔が赤いからもしやと思ったけど、すっごく熱いよ。れお君平気なの!?」
「平気平気。確かにさっき測ったときは40度だったけど、あったかくしてるから2日くらいで下がるよ」
「40度!? 全然平気じゃないよ、れお君ベッド行こ!!」
ひなちゃんに寝室まで強制連行されて寝かせられる。熱で多少なり筋力が落ちているから、抵抗できなかった。まぁする気もないけど。
「えっとお熱のときはポカリだよね? 買ってくる「大丈夫、今朝近くのスーパーで買って来たから。冷蔵庫にあるよ」もぉ! 熱がある日はお外にいっちゃダメなんだよ!」
ひなちゃんはプリプリと怒りながら冷蔵庫からスポドリを持って来てくれた。
ひなちゃんはポカリ派みたいだけど、残念ながら俺はアクエリ派なんだよねー。まぁどっちも変わらんから良いか。
「いい? 今日は絶対に安静にしててね。こんなにお熱あるのにテレビなんて見ちゃったら悪化するからね。熱さまシートはどこ? こんなに体温が高いならおでこだけじゃなくて首にも巻かなきゃ」
「うちに熱さまシートはないよ。冷凍庫に保冷剤があるから、タオルと一緒に持って来てくれない?」
「はーい」
俺の数少ない弱点の一つに熱さまシートがあるからなぁ。だから俺は風邪を引いたときは保冷剤をタオルに巻いて脇の下に当てて冷やすのだ。
「持って来たよー」
「ありがと。ごめんね、結局看病してもらっちゃって」
「ううん。いつもれお君ひなに優しくしてくれるでしょ? たまにはお返ししないとね」
ひなちゃんは無邪気に笑いかける。ほんといい子や。
単なる気まぐれで優しくした俺のことをここまで慕って看病もしてくれて。踏み台の俺には勿体無いくらいできた子だよ。
「早く元気になってね。れお君と遊べないとひな、つまんないから」
「うん、明日までには平熱に戻すから」
その後、ひなちゃんは濡れタオルを用意してくれたり、お粥を作ってくれたりと、俺の家に泊まり甲斐甲斐しく俺の看病をしてくれた。
流石にそれはどうなのかと羽鳥さんに連絡したら、ひなちゃんは止めても引き下がらないだろうし、特異体質で風邪を引かないのだから、熱がある日くらい甘えてもいいんじゃないかと言って来た。
確かにダルかったのは事実なのでお言葉に甘える事にしたのだが、ひなちゃんが一生懸命看病してくれたのもあり、翌日には熱は下がり、明後日にはすっかり元気になったのだった。
「本当にありがとねひなちゃん。おかげですっかり元気になったよ」
「うん! それとごめんね、タオルちゃんと絞れなかったし、お粥も味しなかったし……」
「何言ってんのさ。ひなちゃんが俺の代わりにやってくれたから回復に専念できたし、お粥は美味しかったよ。……あ、そうだ。お礼と言っちゃなんだけど…………これどうぞ」
ちょうどいい機会だったので、フォーチュンドロップを作るのと同率並行で進めていた、ひなちゃんの専用のデバイスを渡す。
「ひなミラクルホープ持ってるよ?」
「確かにそうだね。でもこれはね……」ヒソヒソ
あまり大きな声で言いたくなかったので、誰もいないが耳打ちでこっそり話す。
するとひなちゃんは目を輝かせた。
「すご〜い! それじゃあこれはひなのパワーアップアイテムなんだ!!」
「そうだよ〜。早速試してみる?」
「れお君病み上がりだからダメ! 病み上がりは気をつけないといけないんだから、まだ過度な運動はしちゃダメだよ?」
「はーい」
ひなちゃんがこのデバイスを使うのはまだもう少し先の話になりそうだ。
ひなちゃん、エンジェルウイングやフェニックスウイング、そして病気系にかからない丈夫な身体の他にレオ特製の特殊なデバイスをゲットした。