見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「さぁ、待ちに待った海鳴ウォーターパークよ!」
「ほんと肝心なところで風邪でダウンして申し訳ない。本日の昼は奢るんで」
「お前なぁ。そんなに金を浪費したらまた月末俺のところに頼りに来るだろ? もう少し計画的に金使うとかしろよ」
ヤマトが文句を垂れ流したが、安心しろもう大丈夫だ。何故ならこの間ミゼットさんから数億単位で貰ったからな。故にちょっとくらい浪費しても問題はない。
「それもこれも実験だゲフンゲフン……テスターになってくれたアリサちゃんやすずかちゃんのお陰ですよ」
「アンタ今実験台って言おうとした?」
「普通にその言い方は酷いよレオ君」
青筋を立てたアリサちゃんにお仕置きされました。
まぁ何はともあれプールだ。そして女子達にとっては貴重なイベントでもある。
いかに可愛い水着でヤマトをドギマギさせるか。この一週間で着てくる水着を悩みに悩み抜いたとはやては言っていた。
早速プールの無料券を払い、更衣室でさっさと着替えてクッソ広いプールの前で女子組を待つ。
「プールか……正直言ってあんまりいい思い出ないんだよな」
「あれ? お前カナヅチじゃ無かっただろ? 授業でも体力お化けのすずかちゃんとタメをはってるし」
「いやお前がバッテリーデバイスを作って引きこもってる間にみんなで温水プールに行ったんだが……」
なんでもそこにジュエルシードがあったようで、アリサちゃんやすずかちゃん、ひなちゃんの水着を剥いたりやりたい放題したらしい。……ひなちゃんも餌食になったんか(怒)
「おいヤマトォ。ひなちゃんの痴態は見てねえよな?」
「見てねえよ、目つぶってたし。だからこんなところでチェーンソー取り出すな。誰かに見られたらどうすんだ」
ヤマトの目を見ると嘘はいっていない。仕方がねえ、許してやるか。
だが剥かれたのが女子だけならば、お前にとっちゃ普通に役得じゃねえか。
「現場いなくてよかった。もしその場に居合わせてたら、アリサちゃん達に殺されてたよ。……てかジュエルシードの願いの発生源もしかしなくても金髪じゃね?」
「あり得るな。それにしてもあんな目にあったのによくまたプールに行こうって思ったもんだ」
「だってもうジュエルシードないじゃない」
あ、アリサちゃん達が来た。
ここから先は好感度イベントのため俺は無言でヤマトの近くを離れる。できる踏み台は違うのだ。
「どうヤマト君、似合ってるかな?」
「みんなで選んだんだよ」
「水着を選ぶ時間があった件についてだけはレオが風邪で良かったわね」
おいそれはどう言う意味だ?
「明るい感じがアリサに合ってて可愛いぞ。それにすずかの水着の落ち着いた感じもマッチしてるし、なのはのは可愛いタイプか、いいじゃないか。はやての水着はまぁ……ノーコメントで」
「なんでや!?」
非常に珍しく水着を褒めるヤマト。そんな貴重な機会を逃した車椅子レーサーが着ていたのは、黒ビキニ。
そりゃ黒ビキニはやりすぎですよはやてさん。
ほらあまりにあからさま過ぎてヤマトも引いてるぞ。
「ぐ……裸見せてるから少しくらい過剰でも問題ないと思ったったけど…………やりすぎたか!」
「どんまいはーちゃん。……れお君どこかなぁ?」
急に離れたものだから俺を見つけられなかったひなちゃんは辺りをキョロキョロとしていたが俺を見つけると駆け寄ってきた。
「れお君どう? みんなと選んだんだけど、ひな似合ってるかな?」
ひなちゃんが来ているのはピンクのフリルの多い水着だ。
「可愛いと思うよ。あれ、去年も買ってたけどもう入らなくなっちゃった?」
「実は以前みんなと温水プール行ったときに、ジュエルシードに襲われて水着破られちゃったの。れお君仲間外れにしたバチが当たっちゃった」
「………………」
「れ、れお君怖いよ! やっぱり仲間外れにしたから怒ってるんだね、ごめんね、ごめんねぇー!!」
ウチの妹に何してくれてんだジュエルシードォ……。
一瞬本気で殺意が湧いたが、ジュエルシードについては管理局に回収してもらったからもういいや。命拾いしたなぁ。
その後気を取り直して水の中に入る。
意外と冷たかったでござる。でもまぁ泳いでればあったかくなるか。
「ここ水の流れがあるから、浮き輪で浮かんでたら流されて楽しいわ〜」
「はやて、浮き輪がひっくり返ったら泳げないはやては死ぬから気をつけるんだぞ?」
「分かってるよー、ヤマト君は心配性やな〜。それに沈んでもシグナムが見てくれてるから大丈夫や」
「命に懸けてもお守りいたします」
固いよシグナムさん。もう少し楽しもうぜ?
ほらヴィータちゃんなんてすごいはしゃぎようだ。
「大きな水溜まりなんて、水浴びくらいでしか使ったことないから、こうやって遊ぶのは初めてだ! アリサーあっちまで競争しよー?」
「いいわよー! なのはもやる?」
「えぇ、疲れちゃうから別にいいの。すずかちゃんを誘ってあげて?」
「えー、すずかが入ったら勝負にならないじゃん」
「ガーン!」
意外とハッキリ言うねヴィータちゃん。ほらすずかちゃんショックで沈んじゃったよ。ヤマトに華麗に救助されたけど。
「れお君引っ張ってー」
「りょうかーい」
ひなちゃんの浮き輪についた紐を持って流れに逆らって泳ぐ。
この際力強くバタ足をするとひなちゃんに水かかっちゃうから、主に腕を使って泳ぐのがコツだ。
「あ、それいいなー。ヤマト君、なのはもお願いしていいかな?」
「いいぞ」
ヤマトがなのはちゃんの浮き輪を引いて後ろから迫ってきている。
(少し速度上げるよ。気を付けてね)
(うん分かったー)
少し本気を出して泳ぎヤマトを引き離す。
フハハハハハオリ主風情が踏み台に勝とうだなんて十年早いのだぁ!!
直後ヤマトも速度を上げる。どうやら何としても追いつきたいようだな。
(れお君追いつかれちゃうよ!)
(……これ以上速度を出すなら力強くバタ足しないとダメだ。でもひなちゃんに水かかるかも)
(いいよ、全速力だー!!)
(よっしゃ)
ひなちゃんに許可をもらったのでここからは全力全開だ!
「いっけーれお君!!」
「にゃあああああああ!! 速くしていいって言ったけど速すぎるのぉ!!」
ひなちゃんの歓声となのはちゃんの悲鳴がプールに響き渡った。
だがいつまで泳いでいても決着はつかない。ここらでゴールを決めておくか。
(ヤマト、あと一周したら終わりな。逃げ切ったら俺の勝ち、追いつかれたらお前の勝ちだ)
(いいだろう。負かせてやるよ)
さて今でも全力全開でやってるわけだが、最後の一周は全力のその先で泳いで見せる!!
だがオリ主のヤマトは俺より身体能力が高い。どんどんと距離が縮まっていく。
あと十メートル逃げ切れば俺の勝ちだ! 持ってくれ俺の身体!!
あと少しでゴールといったその時、俺の隣をすさまじい速度で追い越すものがあった。ば、馬鹿な!? まだあれだけの余力を……
自ら顔を出して、何とか息を整える。
「くそ、まだこれだけの力を持っていたとは。俺の負けだヤマ「その齢にしてはかなり動けている。私ほどの背丈に成長するころには私では追いつくこともできないだろう」し、シグナムさん……だと?」
俺を追い抜いたのはまさかのシグナムさん。
近くでは彼女の引っ張る浮き輪に乗ったはやてはひなちゃんに胸を張っており、その横で目を回しているなのはちゃんと悔しがるヤマトがいた。
「どうやらウチのシグナムが速かったみたいやねぇ!!」
「むうううううう、負けたー!!」
「クソ! シグナムが来るなんて聞いてないぞ!」
「にゃ~」
結論、シグナムさんが最強。そしてヤマトには勝利していました。
はやてちゃんが落ちた時にすぐ助けられるように、近くでシャマルがきちんと様子は見ていました。