見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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ビーチチェアには不思議な魔力があるよな。

 その後もプールで競争したり、複数のウォータースライダーを制覇したり、浮き輪に乗ってぼーっとしたりすること数時間。

 すっかりお昼時になったので、昼食を食べることになった。

 ここは海の家形式でお昼ご飯まで提供しているので、わざわざ外に出る必要もない。

 

「ここはキロウマだな。やっぱはやてのご飯の方が美味いや」

 

「嬉しいこと言ってくれるなぁ。でも私の料理もギガウマ止まりやから、まだまだレオ君のテラウマには届きそうにないなぁ」

 

 ヴィータちゃんは、食べているカツカレーに対してなかなかの辛口評価。ヴィータちゃんからギガウマの評価を貰っているはやては悔しそうにテラウマ級の料理の腕を持つ俺の方を見るのだった。

 そりゃあ君、年季が違うんだから。

 

「それで午後はどうする? プールって割と身体に負荷がかかるしみんな疲れてるだろう?」

 

「私は平気。恭也さんに扱かれてるからこれくらい慣れてるわ。でも食べた直後に泳がない方がいいし、ちょっとゆっくりしてもう一回軽く泳いだら解散かしら」

 

「そうやねぇ。お日様もあったかいし、食べ終わったら少しお昼寝でもしよか。ヴィータも一緒に日向ぼっこしよ?」

 

「うん、わかったー」

 

「私もちょっと疲れたから休憩したいかなー」

 

 ハンバーガーを頬張りながら尋ねるヤマトに対して、同じくハンバーガーを食べているアリサちゃんと、ナポリタンを食べているはやて、サンドウィッチを疲れた顔でチビチビ食べているなのはちゃんは少し休む選択肢を取ったようだ。

 

「シグナム、午前中はずっとはやてちゃんの側に付いてたでしょ。休憩中は私がはやてちゃんを見てるわよ」

 

「そうか、ならお言葉に甘えよう。泳ぐ機会なんて滅多に無かったしこの後ひと泳ぎしてこようか」

 

「私ももう少し泳ぎたいかな。だからお昼ご飯も軽めのものにしてるし」

 

「ひなはねぇ、もう一回ウォータースライダー行く!」

 

「ひなちゃん、ご飯の後すぐは胃がシェイクされて気持ち悪くなるんじゃね?」

 

 カルボナーラを上品に食べているシャマルさんははやての護衛を買って出た。

 おにぎりを静かに咀嚼していたシグナムさんと、既にサラダを食べ終えたすずかちゃんは、これからもう少し泳ぐらしい。

 そしてパンケーキを口いっぱいに頬張ってるひなちゃんはウォータースライダー。

 

「れお君はどうするの?」

 

「午前中に遊び回ったからおじさんもういいや。ゆっくり休んでるよ」

 

「いや、おじさんってレオアンタ私たちと同い年じゃない」

 

「レオ君ってたまに自分のことをおじさんって言うよね」

 

 そりゃあ精神年齢はおじさんですし。

 結局、午後はヤマト達と一緒に休憩をすることにした。受付で数百円でビーチチェアをレンタル出来たため、それを日陰に並べて横になる。

 ふー。庭とかでやるとただ暑く感じるだけなのに、どうしてプールとかビーチでやるとこうも極楽なのか。

 

「はぁあああああ、極楽やわぁ……。あまりに極楽すぎて天に昇りそうやー」

 

「は、はやて!? 死んじゃやだ!!」

 

「大丈夫よヴィータちゃん。ただの例えだから……スピー…………」

 

「シャマルさんもう寝た!? ふわぁ……横になったら私も眠くなってきたわ………………」

 

「寝るなら起こそうか?」

 

「そうねー。それじゃあ30分くらいしたら起こしてー」

 

「ふをぁ……私も眠くなって来たの。ごめんヤマト君、私も起こしてー」

 

 アリサちゃんとなのはちゃんはやはり多少は疲れがあったのだろう。すぐにスヤスヤと寝息を立て始める。

 ヴィータちゃんも横になってからウトウトし始めたし、寝るのは時間の問題だろう。

 そして僅か数秒で夢の中に旅立ったシャマルさん。はやてを見ていると言う発言はなんだったのか。シグナムさんが見たら怒るぞ。

 

「……あかん、眠れへん。私はただ浮き輪でプカプカ浮いてただけやし、ウォータースライダーもシグナムと滑ったからそこまで疲れて無いんや」

 

 そりゃタダでさえ特売で鍛えられて体力ある癖に、あれだけシグナムさんを足にしてたら疲れませんわ。適度な疲労は睡眠の最高のスパイスなんだぜ?

 まぁ流石にプールを車椅子で移動するのもどうかと思うし、仕方ないのかも知れないがな。

 

「眠れないなら眠れないで、のんびりすれば良いだろう?」

 

「せやね。それに眠れなくても寝転んでるだけで極楽やしな。夏のビーチチェアには不思議な魔力があるなぁ」

 

「魔力? はやてのビーチチェアからは魔力を感じないぞ」

 

「そう言う意味じゃねえだろ」

 

「いや、ボケただけだが」

 

「ヤマト君のボケは判別しずらいなぁ。レオ君お手本を見せてやりい。……夏のビーチチェアには不思議な魔力があるなぁ」

 

「そりゃそうだろ。これロストロギアだし」

 

「……まぁ別にそこまで面白くは無いけど、これくらい突拍子ない事を言って初めてボケになるんや。覚えとき?」

 

「もう少しボケの勉強でもしてみるか」

 

 ヤマトが真面目に返す中、俺は一人ショックを受けていた。

 べ、別にそこまで面白く無い? このネタ俺の中ではよく出来た方だったのに……。

 俺が一人項垂れていると、はやてが何かに気づいたかのようにプールを見る。俺もつられて見てみると、子供たちを集めて泳ぎを教えているシグナムさん。

 

「いや、何があった!?」

 

「シグナムは教えるのが上手やからなぁ。道場の師範代もやっとるんよ」

 

「知ってる。よく高町家の道場に来るから、俺もレオもそこで寝てるアリサもよく魔法無しでシグナムと鍛錬したりする」

 

「そうやったんか」

 

 因みにヤマトはシグナムさんと殆ど引き分けており、俺とアリサちゃんは魔法無しの剣道ではシグナムさんに一回も勝ったことが無い。

 そしてシグナムさんに毎回勝って見せてる恭也さんはもうなんて言うか、化け物としか言いようがない。気まぐれに士郎さんが来たときは、そもそもシグナムさんは一発も士郎さんに入れることが出来ずにやられてしまう。一体どんな戦闘民族の集まりなんだ高町家……。

 

 俺が遠い目で恭也さんとの鍛錬を思い出していると、ひなちゃんとすずかちゃんがこちらに来た。

 どうやらひなちゃんの面倒を見ていてくれたようだ。考えて見たらひなちゃん一人は危ないもんな。

 

「れお君も一緒に回ろうよ!」

 

「お、行くか? 丁度体力回復したし、一泳ぎ行くか!」

 

「それじゃあれお君の寝てたこれ使ってもいい? 私も疲れちゃったから休憩したいんだ」

 

「どうぞどうぞ」

 

 俺はビーチチェアから退きすずかちゃんに譲ると、すずかちゃんも横になってしばらくしたらすぐに寝息を立て始めた。

 

「ヤマトは寝るなよ? 起こさないと行けないんだから」

 

「分かってる……が一応30分経ったら様子を見に来てくれ。俺が寝てたらお前が頼りだ」

 

「大丈夫や。私とヤマト君が2人同時に寝るだなんてあり得へんから」

 

 おいはやてがフラグを建設しやがったぞ。これは絶対に30分したら見に来なければ。

 その後しばらくひなちゃんと遊んでから、ヤマト達の所へ戻るとヤマトとはやても見事にビーチチェアの魔力に呑まれて夢の中。フラグ回収お疲れ様。

 仕方ないのでひなちゃんと2人がかりでみんなを起こしたのだった。

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