見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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(先生視点)さてみんなはどんな研究をしたのかしら

 早いことでもう二学期。

 3年生から夏休みの宿題に自由研究が追加されたけど、みんなはどんな事を調べたのかしら?

 最初はいつも一緒にいるあの六人組の自由研究から見て見ましょう。あの子達は頭がいいから、自由研究もクオリティの高いものがあるに違いないわ。

 

「まずは豊田君から。えーと[卵をお酢につけると金色の卵になる理由を化学的に調べてみた]? ……凄い、よく調べてるわね」

 

 化学式なんかを用いて論理的に説明している。それに膜が溶けないことも化学式で説明して……これ高校生レベルの内容よ?

 これはコンクールに出しても入賞を取れるクオリティじゃ無いかしら? 明日にでもコンクールに出してもいいか聞いて見ましょう。

 次は高町さんにしようかしら?

 

「[お母さんから学ぶ、お菓子を美味しく作る方法]? そう言えば高町さんのお母さんはパティシエだったわね」

 

 ただこうすれば美味しくなるだけじゃなくて、何故美味しくなるのか、何故生地がふんわりになるのかをしっかり書いてるわ。

 小学3年生ならお母さんから学んだことを書くだけでも充分なのに、しっかり理由の説明をつけている辺り流石としか言いようがないわね。

 次はバニングスさんを見て見ましょうか。

 

「[父の名義で投資にチャレンジしてみた]? 何やってるのバニングスさん!?」

 

 まさか無許可でやっているのかと思ったが、一度自由研究の中身を見てみるとキチンとお父様の許可はとっているようだ。

 自分の考えた方法で投資にチャレンジした結果、一ヶ月の収入は数百万だった。私の方法にはいくつか問題点がある事に気づいたので、次回はそこを直せばもっと稼げるだろう。

 ……さ、流石大企業の一人娘、自由研究も周りとレベルが違うわね。

 とりあえず今回の稼ぎはとある恩人への借りを返すために使う事にする。恩人って誰かしら?

 次は月村さんね。

 

「[ジャンクショップで買い取って来たケータイを修理して見た]? これはまた無謀な挑戦を……」

 

 中身を見てみると複数の同じ機種のケータイを買い取り、それぞれの無事なパーツを一つにまとめれば動かす事が出来るかも知れないと言った内容。これは随分と本格的ね。

 えぇっと、一つ目のケータイはバッテリーが老朽化により壊れただけなので、家にあったバッテリーと交換することで、動かせるようになった。

 二つ目は回路が焼き切れていたから、回路の無事なケータイから回路を抜き取り移植したら動かせるようになった……。

 な、なんで壊れた箇所が分かるの?

 

「はぁ、みんなレベルが高すぎるわ。桃崎さんと宮坂君のは後にして、普通の子の自由研究でも見ましょうか」

 

 確か豊田君が休校中の八神さんの夏休みの宿題とかを持って来てくれたから、八神さんの自由研究を見て見ましょうか。

 

「[親戚の子にテラウマ評価を貰いたい]……テラウマ?」

 

 えぇっと……足の動かない自分を心配して親戚の人たちが同居してくれるようになったが、私よりも年下の子が私の作る料理をギガウマと言ってくれる。でも私は知ってるんや。この子の最大評価はレオ君の料理を食べた際の評価テラウマだと。ライバルに負けるのは屈辱やから、なんとしてでもテラウマ評価をもらうで……?

 ギガウマって言うのは料理の評価のことね。それにしてもレオ君? 宮坂君の事かしら。のテラウマってどれだけ美味しいのかしら? 次の調理実習の時に味見させてもらおう。

 その後は料理の隠し味を変えたり色々していたのだが、その親戚の子の評価はギガウマ止まり。

 最終的に宮坂君からもらったレシピを実践した所、満面の笑みでテラウマと言ったようだ。子供とは時に残酷である。

 

「……頑張ってね。八神さん!」

 

 さて、休憩も終わったし次は宮坂君の自由研究でも見て見ましょうか。

 ……あら、表紙に注意書きがされてるわね。

 

 [先に桃崎さんの自由研究を閲覧してから、こちらを閲覧することを強く推奨致します]

 

 2人で同じ事を研究したのかしら? 桃崎さんはあのグループの中ではおバカな方だし、ひなさんの研究をレオ君が手直ししたのかも知れないわね。それじゃあ桃崎さんのは……

 

「[アゲハ蝶を羽化させる]? これは観察日記かしら。……なんと言うか普通ね」

 

 内容を見てみると、宮坂君と一緒にアゲハ蝶の幼虫を捕まえたので、育てる事にしたと言う内容。

 脱皮するごとに写真を撮っており、若齢幼虫や終齢幼虫といった難しい言葉も書かれてある。

 写真に映る幼虫の入った虫籠も常に綺麗にされており、暇なときは籠の掃除をしたりと常に大切に育てていた事が見て取れる。

 そして彼女の愛情が届いたのか途中で死ぬ事なくキチンと、蛹になった模様。

 

 微笑ましい気持ちになりながら次のページを開いて驚愕する。

 蛹からアゲハ蝶では無い虫が出て来ていたのだ。

 

「えぇっと、[れお君が言うにはきせーちゅうが幼虫の身体の中にいたと言う。ひなにはよく分からないけど、きっと蛹になったら二通りの羽化をするってことだね。とりあえずこの子は逃してあげる事にした。バイバイ、元気でね! ]……寄生虫にやられたのね。す、救いがないわ」

 

 愛情を持って育てていたのにこの結末はいかがな物だろうか。

 桃崎さんが都合の良い解釈をしてくれたから良かったものの、もし蛹の中で食い破られたと知った際は一生のトラウマになっていた事だろう。

 さ、さて最後は宮坂君のね。

 

「[寄生虫について]ね。あぁ、桃崎さんのを先に見たほうがいいって言うのはこう言う事だったのね……」

 

 中身を見ると、桃崎さんの自由研究でも使われていた蛹が食い破られた写真だった。

 この研究をしようと思った理由は桃崎さんの自由研究で育てられてたアゲハ蝶がアゲハヒメバチに寄生されていたからといった内容。

 その後はアゲハヒメバチの生態やどう言うプロセスで寄生されて成虫になるのかなどを、丁寧に纏められてあった。

 

「最後になんか書かれてるわ。[出来ればこの自由研究を評価し終わったら、そちらの方で処分していただけると助かります。それがダメでも桃崎さんに読まれたらあの子は絶対にトラウマになるので、彼女には読まれないようにしてください]……とりあえずこの自由研究は私がシュレッダーにかけておきましょう」

 

 明後日の授業でみんなの自由研究を自由に読める時間を作っているが、その時間に桃崎さんが宮坂君の自由研究を読むのは精神衛生的に良くないだろう。

 表向きには私が紛失してしまった事にして、明日宮坂君にキチンと処分したと伝えておきましょう。

 

 はぁ、なんか疲れたわ。残りの子達の自由研究は明日読みましょう。




おまけ

「最後に処分してって書くくらいなら、研究テーマ変えれば良かったんじゃ……」

「……これしか思いつかなかったんよ。すずかちゃんたちの自由研究レベルが高いし」

「あ、そうそう。私自由研究で投資やったんだけど、お金手に入ったからこれまでの修理代レオに返すわ」

「だが断る、将来の為の貯蓄にしなさい。こちらは管理局から数億単位で貰ってるから気にしなくていいよ」
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