見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
今日は日曜だが、運動会のため学校に行かなければならなくなった。
ニチアサを見る派の俺としては非常に気に入らない。俺は運動会よりもデカレンジャー見たいんだよぉ! (迫真)
「分かるぞ! 俺も仮面ライダー剣を見て、今週も一週間乗り切ったなぁって気持ちになるのに、至高のルーティンを崩すんじゃねえ!! お前らもそう思うよなぁ!!」
『おー!!』
クラスの男子達が騒ぎ始める。これは集団ストライキの流れだな。
「ちょっと男子ー! 何バカな事言ってるのよ!!」
「そうよそうよ。ニチアサなんて子供の見る物じゃない」
女子達のなんとも失礼な発言にヤマトが彼女らの方を向く。俺が行こうと思ったが、ヤマトが行くなら俺は行かなくていいや。
「分かってないな。吉田さんや須藤さんだって、今日のプリキュアを観れなくて内心凹んでいるのは知ってるんだぞ!」
「「!!」」
その後ヤマトの言霊により見事洗脳された一部の女子達を仲間につけた俺たち。(言霊で洗脳なんてしておりません)
さぁ、今日はもう帰ろう。今ならまだ間に合う、帰って録画したデカレンジャーを視聴するのだ!!
「アンタらは何やってんのよ!」
「止めるなアリサ! 俺たちは帰ってニチアサを観るという使命があるんだ!」
「そうだそうだ、それにどうせ明日も学校。俺らに振替休日はねえんだ! ならばこれ以上付き合ってやる道理はない!!」
「そう、止まる気は無いのね。なら今日こそはアンタ達を超えて見せるわ。行くわよ、なのは、すずか!」
「分かったの!」
「みんなを止めよう!!」
そう言ってヤマトと三人娘は人気のない所に移動してから結界の中に入っていった。いや魔法で白黒つけるんかい!!
え、俺は行かなくていいのか? 今日はデバイス持って来て無いから別にいいや。
「れお君ダメだよ。運動会頑張ろ?」
「でもさひなちゃん。ニチアサ観れないんだよ? ひなちゃんもプリキュア観てるんでしょ?」
「うん。でもパパとママにひなの活躍を見せてあげられるもん! だから残念じゃないよ!! みんなもそうでしょ?」
ひなちゃんが純粋な笑顔で問いかける。それに対してみんなはこれまで運動会のために頑張って来た事を思い出したのだろう。みんなは正気を取り戻して、改めて今年の運動会に気合いを入れ始めた。
くそ、やっぱ親のいるコイツらはダメだ!! だが俺はそうは行かんぞ。なぜなら見せる親なんていないのだからなぁ!!
「ママもパパもれお君も応援するよって言ってたよ。それにひなもれお君の事を応援するから……ね?」
「ぐぁああああああああああ!! 目がぁあああああああああああ!!」
ひなちゃんのあまりに眩しすぎる笑顔に、心がドス黒い俺は撃沈したのだった。
三人娘のような武力行使ではなく、心からの問いかけと天使の微笑みこそが真に我々を討ち倒すのに必要なものだったのか……。
「れお君、大丈夫!?」
「じょ、浄化されました……」
「?」
その後、ヤマト達が戻って来た。……あれ、 なのはちゃん達の目が死んでる…………もしかして。
「フハハハハハ、傷つけたくは無かったし、言霊で説得してやったわ!」
「踏み台みたいな事しやがって! 嫌われても知らねえからな!? ひなちゃん、このオリ主の皮を被った踏み台に
「はーい!」
その後ヤマトもひなちゃんスマイルによって浄化されたのでした。
そして洗脳から解放されたなのはちゃん達は顔を赤らめて……
「や、ヤマト君の良いように使われちゃったー! で、でも嫌じゃなかったかったの……///」
「なんというか凄く心が満たされてたよ……///」
「ヤマト、今のもう一回やって///」
嫌うどころかむしろ喜ぶって、アンタらは本当にブレないなぁ!!
まぁそれはそれとしてヤマトにはオリ主として、やってはいけない事を拳を交えて徹底的に教えてやりました。
その後結局、運動会を真面目にやる事になったのだが……
「っと言ってもうちのクラス運動できる奴が固まってるから、運動会なんて勝負にならないんだよなぁ。ほらひなちゃん100メートル走一位取ったよ」
「そうよねぇ。普通なら運動できる人たちはクラスを分けられるんだけど……」
「……一年の最後に、来年もみんなと一緒がいいなぁって言ったらお姉ちゃんがお家から飛び出したけど、なんか関係あるのかな?」
「それじゃないか? ……あ、なのはは五位か。去年まで最下位だったのに成長したな」
何やってんだよ忍さん。
どうせあの邪神の強制力が働いてるだろうと思ってたら、まさかのまさかで月村家の権力が働いてたんかい。
『さて5分の休憩の後は3年生全員のダンスです』
「あ、一番やりたくないやつ来たわ」
「あのダンス恥ずかしいし、ちょっとずるいけどトイレに篭っちゃおうかな?」
「ハレ晴れユカイなら良かったのに……」
「同感だな」
「「はれはれゆかい?」」
後数年したらテレビで放送されるし今から楽しみだよ。
その後、精神年齢が実年齢と釣り合っていない俺らには地獄のダンスを終えてお昼ご飯となった。
「ひな、ママ気合いを入れて沢山作ったからいっぱい食べてね」
「わーい!」
「レオ君も遠慮しないでしっかり食えよー? お前は俺たちの息子みたいなもんなんだから」
「ありがとうございます」
毎年運動会は俺は弁当を作ってこない。なぜなら桃崎家が俺の分まで用意して下さっているからだ。素直にありがたい。
「ひな100メートル走凄かったねー。いっぱい練習したのね」
「えっへん!」
「レオ君も1500メートル持久走は頑張ってたなー。凄い速さで走ってたけどキツくなかったのか?」
「そりゃ毎日山登り降りし続けて5年ですもん。本気出せばこんなもんですよ」
ドヤ顔を決める。最も500メートル走のヤマトには負けるけどな。だってアイツ最近山登り降りするときに500キロの重り背負ってやってるんだもん。バケモノかあいつ?
何はともあれ午後はクラス対抗リレーだけだ。リレーの順番最後が俺たちグループだし、今のうちに身体を休めておこう。
そんなこんなで始まりましたクラス対抗リレー。
うちのクラスは足の速い連中は全員最後の方の為、予想通り序盤と中盤はビリである。
「なのちゃん頑張って!」
「うん、私が走り終わったら後はアリサちゃん達だもん。少しでも負担を減らせるように頑張るね!」
綾小路君からバトンを受け取ったなのはちゃん。だがクラスの中ではかなり足の遅い方。最近は魔法の訓練のおかげで速くなっては来ているが、それでも普通の三年生の子よりも少し足が遅い程度までしか改善されていない。
「ハァ、ハァ、……アリサちゃんお願い!」
「任せなさい! しっかりひなに繋いでやるわ!!」
アリサちゃんは確かに速い。だがなのはちゃんで他のクラスとかなり差が空いてしまったため、距離を縮めることしか出来なかった。でも後少しで1人追い抜ける。よくやったアリサちゃん!
「ひな、パスよ!」
「はーい! 頑張るね!」
ひなちゃんは俺と同じ足の速さを誇る。アリサちゃんが距離を潰してくれたおかげで次々とライバルチームを追い抜いていく。これならひなちゃんの番には一位に躍り出るだろう。
直後
「あ!」
ひなちゃんは転んでしまった! しかも足が速すぎるせいで、慣性が働いてそのまま大きくコースアウト!
ひなちゃんはすぐに立ち上がると、再び走り出したが、時すでに遅し。俺にバトンを回す頃にはなのはちゃんの番と同じほどの距離が空いてしまっていた。
「ごめんねれお君! 後お願い!!」
「任せろって! キッチリフォローしてやらァ!!」
このままじゃ、ひなちゃんは自分のせいだと泣いてしまうだろう。故に絶対に一位を取らなければならない。
俺は足に力を込める。そして貯めた力を一気に解放した。
「な、神速!? 恭ちゃんレオ君にも教えてたの!?」
「いや、ヤマトにしか教えてない!! ……まさか目で見て盗んだのか!?」
近くで高町兄妹がなんか話してるが関係ない。全力で地面を蹴って一気に距離を潰し、他のクラスを追い抜く。だが、あと数チーム追い抜くことが出来ずにヤマトにバトンを回す。
「後任せた!」
「おう、すずかに回すまでに一位になってやる!!」
よし、これで俺のやるべき事は終わった。
俺は近くでえぐえぐと泣いているひなちゃんの元へ行く。
慰めていたなのはちゃんとアリサちゃんは俺の姿を見るなり代わってくれた。
(後は任せたわ)
(お願いねレオ君)
「ドンマイひなちゃん。こういう日もあるって!」
「でも、でもぉ……」
「それにほら。ヤマトの方を見てみ?」
ヤマトはとっくに全員追い抜いていた。流石体力バカは違う。
「ひなちゃんが転んだって結果は変わらなかった。……ううん、ひなちゃんがすぐに立って走ってくれたからこの程度で済んだんだよ? 痛かったのによく頑張った!」
「うー!!!!」
ひなちゃんは俺の胸に顔を埋めた。おいおい今汗かいてるから離れてくれないかなぁ! でも無理にどかそうとしたら今のひなちゃんは大泣きし始めるだろうし……。
(助けて?)
(ひなの彼氏でしょ? 受け入れてやりなさい)
(違うよアリサちゃん。レオ君はひなちゃんの婚約者なの!)
(どっちも違え!!)
念話で2人に文句を言いつつ、ひなちゃんの背中をさすってやっていると、ヤマトがすずかちゃんにバトンを渡した。もう走り切りやがったよコイツ。
「すずか! 逃げ切ってくれよ!!」
「うん、任せて!!」
アンカーを務めるのはすずかちゃんだ。魔法無しでもヤマトとタメを張れる体力お化けだったのに、魔法を覚えてから更に体力が上がったのだ。
その後最下位のクラスに周回差をつけてゴールだった。
「やったねすずかちゃん!」
「うん、みんなが頑張ってくれたからだよ! ……ひなちゃんも転んだのにすぐ立ち上がってくれてありがとね? おかげで周回差で勝つ事できたよ」
「……ぅん」
その後、予想通り優勝は俺らのクラスが所属するチームだった。
みんなで翠屋で打ち上げをするのだった。
ヤマトめ、踏み台みたいなことしやがって。
だからレオにいいところを持っていかれるんだよ!
レオ「そういう展開にしたのはお前やろ。どの口が言ってんねん」
……サーセン