見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ?   作:蒼天 極

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探偵ごっこか。たまにはいいね

「エイミィさーん。なのはちゃん達のデバイスってどこに預けたって言ってましたっけ?」

 

 一晩かけて本局の一角に無許可で機材を持ち込んだ俺は、傷ついたレイジングハート達を再調整する為にエイミィさんにデバイスの在処を聞いていた。

 歪に強化された守護騎士との戦いで大破したレイジングハートと中破したバルディッシュ。そして壊れなかったもののそこそこ負荷がかかったグラディウスにフレイムアイズとスノーホワイトは、本局の専門の人に見せているようだ。

 本当は俺に預けたかったらしいが、なのはちゃんが運ばれて来た時はミッドの地上本部で軽い取り調べを受けていたからなぁ。

 そしてあれだけ頑丈な素材で強化しまくってたのに壊すなんてなのはちゃんェ。

 

「今は本局メンテナンススタッフのマリエルって人に預けてるよ〜『エイミィ先輩、メンテナンススタッフのマリーです』あ、ナイスタイミング! マリー、紹介するね。こちらがフレイムアイズやスノーホワイト、そしてアリシアちゃんのフォーチュンドロップの製作者にしてフリーの凄腕マイスター、宮坂麗央君だよー」

 

『え!? アリシアちゃんの多重セットアップ方式を作った超絶凄い人!? ……それにしては小さすぎません?』

 

「上等だ! ちょっと待ってろ? 殺し行くからなァ!!」

 

 魔力通信を一瞬で逆探知して居場所を特定した俺は、緑色のメガネの女の元へ行こうとしたが、エイミィさんに頭を掴まれて止められた。

 

「落ち着いてどうどう! ごめんねマリー。この子ちょっとタチの悪い事件に巻き込まれちゃって気が立ってるの。それでどうしたの?」

 

『ご、ごめんね! こんなに凄いものを作った人だからどんなベテランさんが作ったんだろうって……それで先輩から預かってるインテリジェントデバイス5機なんですけど、なんだか変なんです』

 

 話を露骨に晒しやがったな。……変?

 俺が作ったフレアやスノホ、製作者ではないものの魔改造を施したレイハとバルデが変とは、只事ではない。

 え、グラデ? ヤマトのやつたまにしか見せに来ないし、神特製デバイスは下手に弄らない方がいいから修理するくらいで魔改造してないよ。

 

『部品交換と修理は終わったんですけど、エラーコードが消えなくって……』

 

「エラー? 何系の?」

 

「てか部品交換ってこの4つはかなり高い素材使ってるけど、交換する部品はあったの?」

 

『う、うん。高い素材って言ってもここには色々と揃ってるし……。ちょっとエラーコードそっちに送りますね』

 

「あ、来た来た……これって」

 

「あー、デバイス達も我儘だねぇ……」

 

 [エラーコード203必要な部品が不足しています。エラー解決のための部品、CVK-792を含むシステムを組み込んでください]

 

『……5機ともこのメッセージのままコマンドを全然受け付けないんです。グラディウスは既にこのパーツがあってそれが破損しているのが原因だから修理すればいいんですけど、その他4機はそうじゃなくて……それで困っちゃって…………』

 

「レオ君これってベルカ式の……」

 

「ええ」

 

 守護騎士達の持つアームドデバイスと同じカートリッジシステム。

 本当にカートリッジシステムが故障して修理を求めているグラデはともかくとして、その他4機、俺が施そうと思っていた改造を提案するなんて、今回守護騎士達に敗れたことがよっぽど悔しかったみたいだな。

 

 ……でも。

 

「マリエルさん。今からそっちに行くんで、絶対に4機にそちらにあるCVK-792は組み込まないでください。これはなのはちゃん達への負担が強すぎる」

 

 相手に勝つ為だけに機体だけじゃなく、マスターにまで負担を強いるシステムを使うのは絶対に許さない。

 特にベルカ式のカートリッジシステムをシステムに対応していないミッドのデバイスに使うだなんて以てのほかだ。

 

『え、でも……』

 

「俺が家から持って来たミッド専用に調整を施したカートリッジシステム、CVK-792-7を使います。これならばCVK-792よりも負担が少なくより強い力を引き出しやすい」

 

『え、CVK-792-7? 何それ聞いたことがない部品なんだけど……』

 

「そりゃあレイハ達にいつかカートリッジを入れることを想定して開発していたオリジナルのパーツですからね」

 

『えぇ!?』

 

 いくつかの試作の果てに作ったレイハ達に最適化させたカートリッジシステムだ。

 それぞれのデバイス毎にシステムや設計は少しずつ違うが、これならば多少の無茶をしても問題はあるまい。

 それにしても……

 

「マリエルさん驚きすぎじゃ無いです? 部品を最適化させるなんてデバイスマイスター全員やってるでしょ?」

 

『う、うんそうだけど、まさかもう用意してるとは思わなくって……』

 

「なのはちゃん達も魔法に慣れて来たし、近いうちにカートリッジシステムは導入しようと思って事前に準備していたんですよ」

 

「あ、あはは流石というかなんというか……」

 

 そうだ。この際マリエルさんにカートリッジシステムの導入については全部任せてしまおうか。彼女がデバイス達を改造している間に俺は特殊カートリッジを作ってしまおう。

 

 

 ◇

 

 

 俺は現在必死にプログラムを書き込んでいる。聖徳太子レベルのマルチタスクを駆使して複雑なプログラムを組んで行く。

 

「グヌヌヌヌヌヌヌヌ…………!!」

 

「「ばぁ!」」

 

「うわぁ! っとひなちゃんとアリシアちゃんかー、びっくりしたー」

 

 そう言えばアリシアちゃんはともかくひなちゃんは俺と同じで、今回の事件では戦線に出ない組だったな。

 ひなちゃんはかつての闇の書の被害者である羽鳥さんに猛反対された上に、誰かが蒐集されても直ぐに後遺症なく復帰させることの出来る優秀なヒーラーという事でバックアップ担当らしい。

 

「二人はどうして本局に? 俺は身を守る為だけど」

 

「おじいちゃんがいたからお話ししてたの! ママはまだお話中だよ」

 

「ビックリしたよ。まさか私達一家の後見人になってくれたおじさんがひなのおじいちゃんだったなんて……。いいお爺ちゃんだよー、ほらお小遣い貰っちゃった!」

 

「そっかー、良かったなぁ」

 

 無邪気な二人に癒されつつ、再び作業に戻る。

 癒されたんだもう少し頑張れるはず。リンディさんの獄甘緑茶はまだ飲まなくて大丈夫……

 

「っく、やっぱ飲むか。リンディさんが入れてくれた獄甘緑茶……!!」

 

 水筒の中に入った甘いお茶を飲んで糖分補給だ。

 う……やっぱこれ好きにはなれないな……

 

「そんなに悩んでどうしたの?」

 

「いや、シグナムさん達を正気に戻すシステムを作ってる最中なんだけど……。一体どうやって洗脳したのか分かんないから、手のつけようが無いんだよな。一応ありきたりなのは120通り作ったけど……」

 

「うわぁ、いっぱいだ! やっぱりレオは凄いねぇ……」

 

「うん! でも全部試すわけには行かないからねぇ」

 

 これが効いているかを試すには120回ほどカートリッジをロードして守護騎士に攻撃しないといけないし、全てがハズレかもしれない。

 120回なんてなのはちゃん達も守護騎士も身体が持たない。だからせめてどんな洗脳を受けたか解析できれば……。

 …………そうだ。

 

「ヒラメキと言えばアリシアちゃんだ。どんな洗脳を受けたか特定するにはどうすればいい?」

 

「え、私!?」

 

 フォーチュンドロップなんてぶっ飛んだ発想ができたアリシアちゃんの事だ。きっといい意見を持っているに違いない。

 

「ええっと、ええっと……調べる?」

 

「いやだから調べ方を聞いてるんよ」

 

「急に言われたって分かんないよぉ!」

 

 流石に無茶振りすぎたかー。

 諦めてまだじっくり悩もうとしているとひなちゃんが思いついたように手を叩く。

 

「そうだ。探偵さんになりきって考えてみたらどう?」

 

「ごっこ遊びかー。いいね! やってみようよレオ教授!!」

 

 探偵かー。確かに難しいなら遊んでやればいいかも。よし休憩がてらやってみるか。

 

「分かったよ助手のアリシア君とひな君」

 

「それじゃあ私から! 洗脳と言っても、守護騎士が洗脳されたって言うと闇の書がハッキングされたのではと思うんですよ!」

 

「それは俺も思ったよ。だが闇の書のハッキングはかなりの高難易度だ。どうやってハッキングしたのか。守護騎士の守る闇の書を強奪して、少しでも失敗したら海鳴市がぶっ飛ぶほどの鬼畜セキュリティを突破しなければならないのでね」

 

「……無理じゃない?」

 

「でもこれ以外に守護騎士を洗脳する方法は見つからないんだよ」

 

「じゃあ仮面の人たちは遠隔で操ってるんじゃないかな?」

 

 しばらくの間うんうんと悩んでいたひなちゃんはまたもやひらめいた様だ。

 闇の書を手に入れて直接操るだけでも鬼畜難易度なのに、遠隔で操るだなんて無理がある。

 

「それが出来るのは神様くらいだと思うよ」

 

 神様、神……邪神………………転生者。

 

「「それだ(よ)!!」」

 

「え、私正解なの!? なんで!?」

 

 よく考えたらあそこに転生者らしい仮面Dがいたじゃん。てことは闇の書を操ってるのは仮面Dの転生特典か……?

 

「ねぇねぇホープ。私達転生者って何人いるの?」

 

『4人です。ひなちゃんとヤマト様。そこのヤケに頼りになる銀髪の方の踏み台と、ドクサレな金髪の方の踏み台の4人です』

 

 こらホープ、口が悪い! ひなちゃんが真似したらどうするの!?

 まぁ何はともあれ仮面Dの正体は金髪で確定か。後でリンディさんにチクッとこ。

 

 仮に犯人が金髪だとして、アイツが闇の書を操る能力ってあるか?

 俺が知ってる範囲だが、踏み台っぽい能力と無限の剣製しかないやつだぞ?

 ん? 踏み台っぽい能力?

 

 銀髪オッドアイ、魔力SSS、ニコポナデポ……

 ニコポナデポか!!

 

「おそらく金髪は守護騎士をニコポナデポで操ってるのではと思う」

 

「あ、れお君の体質だね。ひな以外の女の子に嫌われちゃう体質」

 

「え、何それ悲しい」

 

 アリシアちゃんが同情的な視線を向けてくる。やめろよな、ヤマトに消してもらったんだから……!

 ただニコポナデポは洗脳系だが効果が凄く弱かったはず。だとしたら違うか?

 

「そう言えばアリサから聞いたんだけど、守護騎士達って異様なまでに強化されてたんだよね。もしそれをリュウヤが使ってたらどう?」

 

 ……なるほど、全てが繋がった!!

 

「こうしちゃいられねえ、ヤマトの家に行くぞ!」

 

「え、どうして?」

 

 

 

「俺の消された()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」




なぜ足長おじさんは人格に爆弾を抱える奴まで使ってまで闇の書への封印に躍起になっているのか……。
つまりはこういう事だ。
前から設定としてあったけど、本文で書きそびれてましたよ。
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