見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
「ヤマト開けろコラァ!!」
インターフォンを連打して玄関の鍵を開けることを急かす俺。
しばらく強盗のごとくドアをドンドン叩いたり、インターフォンを連打していると、ドアが開いた。
開けたのは
「やかましいわ! 今何時やと思ってんねん!!」
「今はお昼の2時だよ! それよりヤマトはどこえぇえええええええ!!!! は、はやてお、おま…………おま………………お前…………生きとったんかいワレ!!」
「驚きすぎやろ。そして私はちゃんと生きとるよ。幽霊じゃないよー」
「にゃははは……やっぱりそう言う反応しちゃうよね」
玄関からなのはちゃん達とヤマトも出て来た。
まさか俺が本局に引きこもっていた間になのはちゃん達ははやてとコンタクトを取っていたのか!?
「はぁ、はぁ……待ってよー!」
「ちょ……レオもひなも足速すぎない……!?」
アリシアちゃんをおんぶしたひなちゃんもやって来た。
どうやらアリシアちゃんの足ではひなちゃんにすら置いていかれるので、おんぶして貰ったみたいだな。
ひなちゃんもはやてちゃんを見るなりびっくり仰天する。
「えー!? なんではーちゃんがいるのぉー!?」
「あ、ひなちゃんも来たんか。それに初めましての子もいるなぁ。私は八神はやて言います」
「あ、ご丁寧に……アリシア・テスタロッサです。…………ねぇねぇレオ、この人ってレオ達の友達?」
「そうだ。そしてはやてこそが闇の書の主だよ」
「えぇええええええ!?」
ヤマトの返答に驚きながら後ろに下がるアリシアちゃん。
おいヤマトテメェなんで言うんだよ! 管理局にバレたら……近くにフェイトちゃんもいるし今更か?
それでどうしてはやてがいるのだろうか?
「それがなぁ、最近うちの子達の様子がおかしいからヤマト君に愚痴りに来たんやけどな……」
はやて曰く、最近守護騎士達がぼーっとする事が多くなり、家にいることも少なくなったのだとか。
違和感を感じたはやてはヤマトに守護騎士の探りを入れてもらうためにここへ来たと言う。
俺はすぐにヤマトへ念話する。
(普通この状況ではやてが接触して来るだなんておかしくないか?)
(ああ、おかしい。だからはやてに会った後すぐに、言霊で洗脳解除と正体看破をしてみたが……)
(結果は?)
「まぁ見てろ。どうせこの質問が来ると思って魔力貯めてたし。はやて」
「なぁに、ヤマト君?」
「【はやてを縛るニコポナデポの呪いよ、消え去れ】! そして【はやての姿をした者よ、正体を現せ】!」
はやてに変化は無し。
それどころかはやては呆れたように「ヤマト君、それ今日でもう5回目やで?」と言うほどだった。
ヤマトも洗脳された可能性もあるが、コイツに限ってあり得ないし、言霊の発動に魔力を使ったのも確認済みだ。つまりはやては白と確定した。
そこまで確認した俺は一安心。
ひなちゃんも安心したように微笑んでいたが、やがて「あ、しゅごきし!」と叫ぶとはやての元へ行く。
「えっとねはーちゃん。しゅごきしさん達なんだけどね……」
「ヤマト君から聞いたよ。あの子達操られてしまったんやってな……ウチの大切な家族に手を出すだなんて犯人ども絶対許さへん! 男なら下についたキノコを、女ならたわわに実った果実を引きちぎったるからなぁ!!」
「だから下ネタぁあああああああああああ!!」
家族をいいように操られてたはやてはそれはもうお怒りだった。
だがひとまず安心だ。はやても強化版ニコポナデポの餌食になっていたらどうしようかと思ったが、仮面共もそこまでは手を回していなかったようだ。
「それで、レオはどうしてこんなに慌てて来たの?」
「おっとそうだった。単刀直入に言うが、守護騎士の洗脳された原因はニコポナデポにあると踏んだんだ。だから実験をしにな」
「え、ニコポナデポってレオやリュウヤのレアスキルだよね。相手に恐怖感しか与えない迷惑なスキル」
なかなか辛辣なフェイトちゃん。まぁその通りなんだけどさぁ。
「ニコポナデポって正確には洗脳系の能力なんだよ。笑いかけた相手、頭を撫でた相手を強制的に好きにさせる能力。と言っても結局は洗脳だから極めれば意思を奪う事もできるだろってな」
俺や金髪のニコポナデポが相手に恐怖を与える理由は、別に好きでもないのに洗脳で強制的に好きにさせられる事への本能的な恐怖が理由だと思う。
「ちょっと待って? てことは下手したらレオ君に洗脳されたかもしれないの!?」
「だなぁ。俺も危険性は分かってたから、出来るだけ笑わないように努めたり、ひなちゃんに庇護欲をそそられても頭を撫でるの我慢したりしてたんよ……地獄だった………………」
「レオ君も苦労したんだね……。あ、そっか。ひなちゃんにニコポナデポが効かなかったのって、元々レオ君が異性として好きだったからなんだね」
その通りだ。……その通りなんだけど恥ずかしいから面と向かって言わないで。
ひなちゃんも顔を抑えてきゃーって言ってるし、アリシアちゃんの目が怖い。
それに多分違うと思う。ひなちゃんが異性として好きになる前から割と笑いかけてしまっていたけど、この子全然気にして無かったし。恐らくあの邪神が踏み台対策にニコポナデポ耐性をつけたんじゃないかな? 知らんけど。
「ニコポナデポについてと、レオ君が無害だって言うのは分かったよ。でもうちの子とニコポナデポがどう繋がるん?」
「仮面の男の一人が俺のことを踏み台って言ったんだよ。そして俺のことを踏み台なんて呼ぶ奴は、ふざけているときのヤマトか……もう一人のニコポナデポの使い手である金髪しかいないってわけ」
「そう言うことか! あのドクサレ野郎がうちの子を操ってるんやね!? 絶対許さへん、車椅子で轢き殺したる!!」
「ねぇすずか。悪いけど私の髪を根本から切ってくれないかしら? アイツと同じ髪の色はもう嫌だわ……」
「すずか、私のもお願いしていいかな?」
「落ち着いてアリサちゃん! せっかく綺麗な髪なのに切るのは勿体無いよ!!」
「落ち着いてフェイト! そんなにその髪の色が嫌なら、また今度ママと同じ髪の色に染めよ!?」
タダでさえマイナスを振り切っていた金髪の好感度は、さらに下がり続ける。
もし奴が洗脳した張本人じゃない場合は全力で土下座をしなければならないが、ほぼ確実に金髪だろうから土下座することは無いだろうけどな。
「つーわけでヤマト。せっかく消してもらって申し訳ないけど、俺にニコポナデポを返して欲しいってのと、言霊で俺のニコポナデポの強化を頼みたいんだよ」
「なるほど。目には目を、歯には歯を、洗脳には洗脳をぶつけるって事やね」
「いや違う。まだ聞いてないから分からないけど、多分俺は出撃の許可が降りないからな」
蒐集された際のリスクを考慮した場合、俺は出るべきでは無い。故に俺のニコポナデポで対抗するのではなく、俺のニコポナデポを元にしたアンチプログラムを作るのだ。
「まずはニコポナデポで守護騎士のように相手の意思まで奪えるようになるのかの確認だ。それが出来たらニコポナデポを発動した際の魔力の測定。もし魔力が検出されたなら、それを打ち消すプログラムの作成etc」
「お、多いな。どれくらいで終わるん?」
「今日は魔力の測定まで。測定さえ出来れば二日程度で作れる。と言うわけでヤマト、バッチ来い!!」
「分かった。【レオから奪ったニコポナデポよ、レオの元へ戻れ】! そして……【レオの身に宿るニコポナデポよ。一日程度強化しろ】!」
せっかくニコポナデポから解放されたと思ったのに、まさか再びこの呪いを受ける事になるとはトホホ……
はやてちゃんは無事だった!
丁度守護騎士と仮面共が蒐集に行っていたため、ヤマトとコンタクトを取る事に成功しました。