見た目が踏み台だからと言って、中身も踏み台だとは思うなよ? 作:蒼天 極
テスタロッサ姉妹がウチの学校に転入してから一週間後、なのはちゃん達のデバイスの改修と、特殊カートリッジの作製が完了したので、全員を本局に呼び出す。
「はーい、ご注文の新生レイジングハートにバルディッシュ、フレイムアイズとスノーホワイト、そしてグラディウスです。グラディウスはカートリッジシステムの強化および全体的な機能向上、レイジングハート達にはレオ君の調整したカートリッジシステムを搭載しました!」
「ありがとうございますマリエルさん」
マリエルさんの手渡したデバイスが持ち主の手に戻った事を確認すると、俺もダンボールたっぷりに用意したカートリッジの山を見せる。
「そしてこっちが特殊カートリッジな。コイツをロードして砲撃を守護騎士に浴びせてやれば洗脳を焼き切ることが出来るよ」
「ありがとう。これでヴィータ達を叩き起こしてやれるのね」
「流石だねレオ君」
いえいえ、出撃出来ない以上今回俺は足手纏いですからね。これくらいやらなければいけませんよ。
それにお礼はアリシアちゃんにお願いします。彼女が洗脳を受け入れてくれなかったらこれを作ることが出来なかったんだから……。
その代償に変な性癖を植え付けてしまったが、それはキチンと責任を取ると決めた。この事件が終わったらプレシアにこの事実を告白して俺は舞台から退場するのだ。
「ど、どうしたの? そんな避けられない死が目の前にあって絶望してる様な顔しちゃって」
「なんでもない」
さーて新しいシステムを追加した事だし、軽くチュートリアルでもしておいてやるか。
そう思った直後警報が鳴り響き、エイミィさんが通信を繋いで来た。
『至近距離にて緊急事態!! 都市部上空にて守護騎士を確認! クロノ執務官を向かわせます!!』
「……丁度良いわ。パワーアップした私達のデバイスの力、試す事ができそうね!」
「うん。もうシグナムさん達に遅れは取らない! みんなで助けよう!!」
みんなは出撃する気満々だ。まぁデバイスが返ってきた直後に警報だなんて、そこで使ってくださいって言ってる様なものだしなぁ。
本当はチュートリアルが終わった後に渡そうと思っていたが事情が変わった。もう一つ渡さなければならない物があるので今渡しておこう。
「これはカートリッジと同率並行で作ってたお守り。みんなこれを持ってて」
「え、レオ君何それ? 私そんなもの知らないよ」
マリエルさんが困惑した表情で聞いてくるがそりゃそうだろ。コッソリと一人で作ったわけですし。
洗脳の正体がニコポナデポだと確信してから一つ懸念点があった。それはなのはちゃん達も操られてしまうのではないかという可能性。あの守護騎士が操られたのだから、いくらニコポナデポに対してある程度の耐性のあるなのはちゃん達でも今金髪の前に立つのは充分危険だ。
故にこのお守りだ。コイツはバリアジャケットに干渉して、ニコポナデポによる精神干渉の魔力を遮断してくれる優れ物。
しかもヤマトの言霊でバリバリに強化したニコポナデポをも遮断する性能に仕上げたから、まず金髪ごときのニコポナデポで洗脳はされないだろう。
「コイツがあれば金髪のニコポナデポも怖くないだろ? 徹底的にやっちゃっていいよ」
「うん! 本当にありがとうね。レオ君の期待に応えるためにも私達がヴィータちゃん達を取り戻すよ!」
「私からもお願いや。どうかウチの子を助けてあげて!」
「任せなさい。帰ってくる時には誰かを救出してみせるわ!」
「そしてヤマト!」
俺はヤマトに俺の装備が入ったデバイスであるアーセナルを投げ渡す。
「これって……」
「少し中身を弄ってお前でも使える様にしてる。貸してやるから次は無様を晒すなよ?」
「おう!」
普段は銃と剣という単純なデバイスを使っているから分かりずらいが、ヤマトの戦闘センスは俺よりも高いし、普段の模擬戦でこの中に入っているデバイスの出来ることは完全に熟知している。実戦直前に渡すことになってしまったが充分戦術に組み込むことが出来るだろう。
直後リンディさんから通話が入る。
『なのはさん達に出撃を要請します。そしてついでと言っては何ですが、一つ指令が……』
「はい、何でしょう?」
『龍帝院 竜弥に逮捕状を出したいのですが現時点では守護騎士を操ったという証拠が不充分。なので仮面の一味が現れた場合、出来れば仮面を剥いでもらいたいんです』
そういう事が。リンディさんは事件の数日前から行方をくらませた金髪を本格的に捜索する部隊を立ち上げたい様だが、決定的な証拠がない今の時点ではまだ作れない。決定的な証拠を掴んで金髪の捜索部隊を立ち上げる足掛かりにしたいんだな。
『これは私の都合ですので可能ならばで構いません。守護騎士の保護を最優先に動いてちょうだい。そして無茶はしないで』
「「「「「「はい!」」」」」」
なのはちゃん達は転送ポートへ向かい、バックアップの俺とひなちゃんだけがこの場に残された。
「私達だけ戦えなくて何だか寂しいね……」
「そうだね。……せめて出来る事をしよう」
「うん。ひなは無限書庫の所にいるユーノ君を手伝ってくるね。怪我した人が来たら呼んでね!」
ひなちゃんも走って無限書庫へ行ってしまった。
それなら俺も出来る事をするか。
◇
俺は時空間転移で海鳴に戻ってくると、ハラオウン家へ駆け込む。
ハラオウン家には……予想通り書面と睨めっこしたプレシアがいた。
「ちょっと頼まれてくれませんプレシア?」
「何かしら? レオ君には娘共々お世話になったし、出来ることなら何でもするわよ」
そんな優しいこと言わないでぇ! 僕はあなたの大切な娘に変な性癖を植え付けた大罪人なんですぅ!!(泣)
泣きながらごめんなさいと叫んで逃げ出したいところではあるが、それは何とか我慢。あくまで冷静を装いながらプレシアに頼み事の内容を言う。
「フェイトちゃんやアリシアちゃんが出撃しました。援護射撃をしたいんですが、半年前に俺らに撃ち込みやがった別次元からの魔法。……使い方を教えてください」
「……分かったわ。エイミィの元へ行きましょう」
プレシアさんに案内されて、エイミィさんが指揮をとっている部屋に行く。
「あ、プレシアさんにレオ君! 今なのはちゃん達は守護騎士と睨み合ってるよ。仮面の一味はまだ現れていないみたい」
エイミィさんは俺が入室したのを確認すると、すぐに現在の状況を詳しく教えてくれた。
流石はエイミィさん。クロノ君が優秀なオペレーターだって褒めるだけはあるね。
「エイミィ、少しここに雷を落とすわよ。良いかしら?」
「え、どうしてですか!?」
「もちろん可愛いフェイトやアリシアの援護をするためよ!!」
おい俺に時空間攻撃魔法を教えるためだよな!?
現場責任者を任されているエイミィさんはしばらく「うーん……」と唸ると、首を縦に振りなのはちゃん達に通信で次元攻撃を行うから注意する様にと呼びかけてくれた。
流石はエイミィさん!!
「みんなには当てない様に注意してくださいね?」
「分かってるわ。守護騎士達を怯ませる程度の威力で撃つわね」
プレシアさんは半年前に使っていた杖を展開すると詠唱を開始する。俺はすかさずアナライザーで魔力の流れや発動構成式を読み取る。
……ふむふむ、ここにこの構文を入れてあれがこうで、これがああなるのか…………。
いやこれ、クソ難易度高いじゃねえか!! 並行思考で徹底的に考え抜いてようやく理解できたけど、駆動炉の元開発主任が使う魔法じゃねえだろ!!
「貫きなさい。《サンダーレイジ》!!」
直後、画面の向こう。守護騎士上空に雷が落ちる。
咄嗟に反応したザフィーラの兄貴が他の三人を守ったが、シールドを張るために突き出していた右腕は見事黒コゲだ。
「……分かったかしら?」
「え、いやいやプレシアさん。一度見せたくらいで使えるわけが「分かりました。これなら使えそうです」え、いけるの!?」
「行くぞアスカロン。《フォースジャベリン》、ファイア!!」
プレシアの今のプログラムを参照して俺の攻撃魔法を時空間攻撃魔法に転用する。
四属性の槍が守護騎士に降り注ぐがまたもやザフィーラの兄貴が防御。黒コゲになった右腕に槍が突き刺さり、彼の右腕は完全にお釈迦になった。
申し訳ないザフィーラの兄貴! 洗脳から解放されたらひなちゃんに回復お願いするから許してな!?
……まぁ、なにはともあれ現在戦場にいるみんなに念話を送る。
(ハロー! プレシアさんに時空間攻撃魔法を教えてもらったから俺も別次元から援護させてもらうぜ?)
(レオ……アンタ相変わらず規格外ね…………)
(でも百人力だ。頼りにしてるよレオ!)
戦場には出られないが、これで安全な地点から攻撃することが出来る。
さぁて守護騎士の皆さん、仮面のクソ野郎ども、覚悟はいいなぁ? (ゲス顔)