●月×日
やっと腰を落ち着けられたので、今日から日記を書こうと思う。
ひとまず今日は何もなかったので、今まで自分の身に起きた事をまとめてみる。
自分はいわゆる転生者だ、それも神っぽいのに送り出されて転生した。
何らかのミスがあったとかではないらしい、最近死んだ若い奴を抽選で選んだとか、色々となめてる。
しかも行く世界も転生特典も完全ランダム、ただし二次創作的なアレだから安心しろって、どこに安心する要素がある、本当になめてる。
そんなんだから転生とか全力でお断りしようとしたのだが……最終的に足に縋りついて某駄女神よろしく全力で泣かれたので仕方なく転生する事にした。
で、いざ転生したら自分の体は遥か上空、眼下に広がるのは無駄に広大な砂漠、転生早々状況が殺意満々でキレた。
傍から見ればアニメのオープニングにありそうな演出ではある、だがそれは何の脈絡も無いアニメのオープニングだから許されるのであって、それをリアルでやったらダメだろ、死ぬわ。
まぁこの日記を書けている時点で助かってはいるのだが、正直今思い返してもギリギリだったと思う。
まず落下中に手元に何があるかを確認した。自分の恰好は黒系のブレザー、スカートにニーハイ、ただし胸にリボンやネクタイの類は無し。
ジャケットのポケットにはスマホらしき物体、棒付きの飴、サングラス、とりあえず飴とサングラスは装備した。
そして無意識に右腕で担ぐような格好で握りしめていたベルトの先には……
どこか見覚えのある布とベルトに巻かれた巨大な十字架が。
ソレを包んでいる布が吹き飛んでいかないように足で抱えつつベルトを外すと想像通りの物が姿を現した。
その時の思った事? 「オイオイどうすんだよコレ」だ。
同時に助かる手段を閃いた瞬間でもあるんだが、とんでもねぇモン押し付けられたと思ったね。
その名はパニッシャー、トライガンという作品に出てくる『最強にして最高の個人兵装』だ。
十字架の縦の長辺に機関砲、短辺にミサイルランチャーが搭載されている。作中にて弾切れの描写無し、一応ベルトリンク給弾式だが装填弾数不明の超兵器。
今回使うことになったのはミサイルランチャー側、それを地上にぶっ放してその爆風で落下の勢いを殺そう、という魂胆だった。
正直に言う、死ぬかと思った。
多分肉体が一般人なら余裕で2度は死んでたと思う。咄嗟にパニッシャーを盾代わりにして良かった。
ちなみに念の為確認した着弾地点は砂が一部ガラス化してた、馬鹿がよ。
そんなこんなでなんとか着地したは良いが辺り一面砂・砂・砂。
砂漠にパニッシャーとくれば流石にトライガン原作の地、ノーマンズランド*1を想像せずにはいられなかったが……それは空を見上げた時点で可能性はゼロになった。
空に浮かぶ巨大な光輪、ヘイロー。こんなものが存在する世界に心当たりは一つしかない。
ブルーアーカイブ、前世でやっていたソーシャルゲームの中でもお気に入りのゲームだったモノ……その世界であるキヴォトスが転生先と判明して――
あのクソ天使を盛大に呪った。
透き通るような世界観だの学園RPGだのと謳ってはいるが、その実態は美少女GTA、倫理観までゆるふわなせいで治安が終わってる。
……まぁノーマンズランドよりは幾ばくかマシか、あそこはもっといろんな所が終わっているから。
という事で、キヴォトスで砂漠といえばアビドス砂漠、メインヒロインとかが住んでる地域に存在する広大な砂漠だと判明した。
いやぁ本当に大変だった。手元に水は無いわ、オートマタとドローンに追い掛け回されるわ(全部破壊して武装を略奪した)、推定ビナー君に追い掛け回されるわ(どうにか撃退した、多分撃破は出来てない)、どうにか市街に辿り着いてもそこで遭難するわ、本当に、本当に大変だった。
途中カイザーの基地で略奪補給出来なければ砂漠で干物と化していたかもしれない。
どうやら自分がカイザーの所に辿り着いたのは原作で言う所のホシノ奪還の直後だったらしい、いいカンジに放棄された物資があったので存分に補給させてもらった。
とても出遅れ感がハンパ無いが下手に原作に関わる気もそんなに無いので丁度よかった。
けどどうするか、やる事が、やる事が無い。
学籍無し、身分証明無し、金も無し、手元の物資もだんだん心もとなくなってきた。
ついでに武装がヤバ過ぎる、パニッシャーの機関砲1発でコンクリ塊に人間大の大穴が開くのだ、こんなモン迂闊にぶっ放したらキヴォトス人でも死人が出かねない。
オートマタには容赦なくぶっ放したがな、あまりにも過剰だったから最終的に走って近づいてパニッシャーで殴るに変わったが(それでもオートマタは木っ端微塵になった)。
賞金稼ぎをしようにも身分証明が無いのが痛い、どうしたもんだろうか。
まあ、なるようになるか―――
「うーん、まさかほぼ無傷で突破するとはねぇ……あの高さから落として全身複雑骨折させた上でその体の再生能力を体験してもらおうと思ったんだけどな~……」
「まぁ、せいぜい楽しませてよね? 『速水ニコラ』さん」
多分続きません。