吹雪だけが推しではない。
吹雪が最推しで艦娘そのものが推しなのだアァ!!
「司令官!司令官!
南西海域に艦娘の反応がありましたよ!!」
「でかしたブッキー!!新人ゲットのチャンスだ!!」
吹雪達は今、司令官の指示の下で南西海域にまで遠征に来ています。
私達の練度の問題で奥の方まで攻め込む事はしないという事ですが、目標海域に辿り着く前までに一人の艦娘の反応がありました。
「よくやったなちびっ子!!あの
「て、天龍さん!司令官にバカなんて言っちゃダメですよ!!」
「ヘッ!!あの提督なら気にしねーよ!!今までのクソ野郎どもとあいつは違うってよく分かったからな!」
先日の応援組が鎮守府にやってきてからというもの、天龍さんは新しい司令官の事を嘘のように信頼しました。
提督さんを信じてくれる人が出来て夕立ちゃん達は嬉しそうだったけど、私にはこの鎮守府で誰よりも提督という存在を恨んでいた天龍さんがこうも簡単に信用してしまった理由が分かりません。
単純に天龍さんが単細胞なだけなんでしょうか?
「吹雪。今なんか失礼な事考えなかったか?」
「ふえ!?い!いえいえ!何も!!」(鋭い!)
私は逃げ出すように艦隊の最後尾へと移動して時雨ちゃんの影に隠れました。
時雨ちゃんはなんだか可笑しそうにクスクスと肩で笑っています。
「吹雪、本当は何考えてたの?」(小声
「え!?えぇと…どうして、天龍さんはあんなに司令官の事を信頼してるのかなって」
「あぁ、確かに不思議だよね」
時雨ちゃんは天龍さんとの距離をもう一度確認した後、僅かにスピードを落としました。
それにつられて私も時雨ちゃんに合わせて速度を落とし、航行を続けます。
「提督が着任してまだ日が経ってない時、天龍さんが僕に言ってくれた事があるんだ。『そいつが本当にいい奴か悪い奴なのかはそいつの足跡が教えてくれる』 だからきっと、提督が残してきた
へぇ〜流石は天龍さん。ちゃんと自分なりの考えで司令官を判断しているんですね!
「でもその前に『人をそう簡単に信頼しちゃダメだ』とも言ってるんだよね〜。今の天龍さんに同じセリフを言ってあげたいよ」
思わずズッコケてしまいそうになった。
イマイチ決まり切らない所は流石天龍さんだ。
「お〜い吹雪!時雨!早くしねーと置いてくぞ!!」
「はーい!!」
噂をすればなんとやら。
天龍さんに呼ばれたので、艦隊に追いつこうと私達は速度を上げた。
〜〜〜
遠征から帰投すると司令官とその日の秘書官である神通さんが出迎えてくれました。
被害艦は小破艦すら出ていない0。
装備していたドラム缶にも溢れんばかりの資材が詰め込まれ、新しい艦娘までお出迎えすることに成功。
文句なしの大成功です!
他の皆も機嫌良さそうに帰投し、司令官に対しても嬉しそうに敬礼をしました。
今までこんな穏やかな気持ちで遠征を終えた事はありませんでした…。本当に司令官が着任してくれてよかったです。
「遠征任務ご苦労様!それで、その子が…!?」
司令官は私達に労いの言葉をかけた後、落ち着かない様子で私達の後ろにいる新しい艦娘の子に目を移しました。
「球磨型軽巡洋艦の1番艦、球磨だクマ。佐世保生まれだクマ。ちょっと古いとこもあるけど、頑張るクマー」
「ウオオォォォ!!!球磨だクマーー!!!!」
「クマッ!?」
司令官が球磨さんに襲いかかる勢いで飛び上がりました!
それを見て神通さんが瞬時に球磨さんと司令官の間に入り込み、飛び込んできた提督を掴んでそのまま海へ放り投げました。
「ンガボォ!!」
「クマアアァァ!!?提督大丈夫かクマァァァァ!!!」
「心配いらねぇぜ球磨。この
「それもそれで心配クマ!?」
球磨さんは海に放り投げられた司令官の事を心配しますが、司令官が沈んでしまう前に神通さんが手を差し出して引っ張り上げました。
投げた張本人なのに。
〜〜〜
「ヒックシ!!鼻に海水入った…!!」
「いきなり突撃はやめて下さいと言いましたよね?提督」
「ワ、悪かったよ」
海から上がった司令官は鼻をすすりながら震えています。
寒い季節ではありませんが、濡れた服を着たままでは流石に風邪を引いてしまいますよ?
「し、司令官その、シャワーだけでも浴びてきてはいかがでしょうか」
海から上がった司令官が寒そうにくしゃみをしたところで弥生ちゃんが心配そうに司令官に声をかけました。
弥生ちゃんはとても優しくて気遣いも上手なんですがちょっと表情が固い所があって、なんか怒ってる?と誤解を受けやすいのですが、司令官はそんな事全然ないみたいです。
そして弥生ちゃんに心配された司令官はそれはそれは嬉しそうに弥生ちゃんの頭に手を置いて優しい手つきで撫でてあげてました。
「ありがとな弥生!ちゃんと後で風呂入ってくるよ」
「え、あ…!」
突然の事だったのでびっくりしていましたが、弥生ちゃんも満更ではないようでいつも怒ってるみたいな仏頂面だったのに、なんだか心なしか柔らかく見えます。
「あぁぁ〜!!!弥生だけズルいっぽい!!夕立も褒めて褒めて〜!!」
「後でいい子いい子してやる!!」
「ぽ〜い!!!」
と、言いつつも弥生ちゃんを撫でる手は決して止めません。
司令官はもしかして俗に言うロリコンなのでしょうか?
「あ、夕立と弥生も一緒に風呂入るか?今なら特別に背中とおっぱい洗ってyドゴォン!!
今度は主砲が顔面に撃ち込まれました。
頭から黒煙を吐きながら吹っ飛ぶ司令官は再び海に落下し、そのままブクブクと沈んでいきます。
「や、やりすぎてしまいました!!提督ウゥゥー!!!」
再び神通さんが司令官を助けに行きました。
自分が撃ったのに。
…今の言葉でいよいよロリコンだという疑惑が確信に近くなってきたので司令官とは少し距離を取ろうと思います。
「……こりゃーとんでもねー鎮守府に来たクマね」
「アハハ…。なんだか恥ずかしいや」
球磨さんは提督達から少し離れた所で比較的大人びている駆逐艦の時雨ちゃんと響ちゃんの二人と一緒に成り行きを見ていました。
その口調は困惑しているようで…まるでこれからの生活に期待しているような、少々先が思いやられてそうな…。
「ハラショー、でも退屈はしないよ。それは保証する」
「………ちげぇねークマな!!」
球磨さんは豪快に笑い飛ばし、空の太陽に向かって笑顔を作りました。
「これから楽しくなりそうだクマ!!」
〜翌日〜
「なんか俺がロリコンとかいう噂が広まってんだけど」
「噂の出所は吹雪ちゃんだそうですよ?」
「ブウウゥゥゥッッキイイイィィィィ!?!?!?」