スケベ提督と元ブラック鎮守府   作:ルフレオ

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 前話の弥生が予想以上に好評だった為、二話連続で弥生回です。

 娘にしたい艦娘アンケートでもぶっちぎりで弥生が一番でしたね。やっぱり皆ロリコンなんだよ。


弥生と友達

 

 

「司令官…今日も一緒に寝てもいいですか?」

 

「おう。今日もいい子いい子してやろうか?」

 

「いえ…今日は、いい…です」

 

「……ホントは?」

 

「……寝る前、に、一回だけ……」

 

 

 あれ以来、弥生は毎日のように一緒に寝たいと寝室を訪れるようになった。

 

 

 赤城にかけられた駆逐艦夜這い疑惑の誤解も解けた事だし、俺自身も弥生にはやらしい気持ちより先に庇護の思いが出てくるので、正直寝込みを襲ってやろうという気持ちは全く湧いてこない。

 

 

 

 

 ちなみに、毎晩のように弥生が部屋に来て俺と同じ布団で寝てる事は赤城、武蔵、神通が知っている。

 

 弥生は割とプライドの高い子だし、普段のキャラもあって甘える姿はあまり人には見せたくないんだそう。

 

 

 

 

 とはいえ、ここはあくまで軍の施設。

 

 最高司令官である提督の部屋に毎晩駆逐艦が出入りしてる事を誰も知らないというのは軍務の規律的にも、世間の目から見てもあまりよろしくないので、口が固く、鎮守府内で有力な立場の三人には知っててもらっている。

 

 

 

 ただ、何故かその事を伝えた神通はこの世の終わりかのようなショック顔でその場に倒れかけていたのだけれど…。

 

 

 

 

 まぁそれはそれとして…本当は表情が硬いだけなのにいつも仏頂面なんて言われ、甘えるのが苦手で不器用な弥生が俺と二人っきりの時だけは思いっきり甘えてくれる事が本当に可愛くて仕方ない。

 

もうこのまま俺の養子として迎え入れてやってそのまま鎮守府からトンズラしたいくらいだ。

 まぁそれを声に出せば神通辺りから砲弾が飛んでくるので永遠に心に秘めておくとしよう。

 

 

 

「司令官…。お友達と仲良くするにはどうすればいいんですか?」

 

 不意に弥生がそんな事を聞いてきた。

 弥生と一緒に飲もうと準備していたココアを混合し終えた俺は少し考え込みながら、静かにコップを二つ弥生の元まで持っていった。

 

 

「んー、一緒に遊んだりしたら仲良くなれると思うぞ。なんだ?弥生は友達が欲しいのか?」

 

「…お友達なら、吹雪や響とかがいます。でも弥生はあんまり仲良く皆と話せないんです。だから、誰とでも仲良くなれる司令官みたいになりたいなって…」

 

「俺みたいにか?嬉しいねぇ、ありがとな弥生。ほいこれ、ココア出来たぞ」

 

 

 コップに入れたココアを弥生に手渡す。早速俺が口に含んでみるとまだまだ熱いが、飲めない程ではない。

 ちょっと甘すぎるけど…、まぁ美味い。

 

 弥生は『ありがとうございます』と受け取ると、コップに口をつけて飲む。

 

「!!熱ッ!」

 

 熱湯で作ったばかりのココアは弥生の口には熱すぎたようだ。

 大事そうに両手で持ったカップに口を近づけ、『フゥーー』と息を吐いて一生懸命に冷ましている。

 カワイイ。

 

「氷あるぞ。いるか?」

 

「…二つ下さい」

 

 氷を入れたココアはどうやら適温になったらしく、美味しそうに口をつけて飲んでいた。心なしか、普段の仏頂面も和らいで笑っているように見える。

 

 

「俺は俺のやり方で友達を作ってる。弥生も弥生のやり方で仲良くなれたらそれでいいさ」

 

「弥生のやり方…。………その、具体的にはどんな感じでしょうか?弥生には分かりません…」

 

「そ、そうだな……。やっぱり弥生は気遣いが上手だけど、友達にありがとうとかそういう日頃の感謝をあまり言葉に出来てないんじゃないか?」

 

「…はい。……自覚、してます」

 

「あ、そうだ!それだよ!!試しに明日の遠征が終わったら一緒の子達になんかプレゼントとかしてみたらどうだ?貰った方は嬉しいだろうし、距離も縮められるかもしれないぞ!」

 

「!!な、なるほど…やってみます!」

 

 

 

 その日の晩は珍しく勢いづいてる弥生が中々寝つけずに、暇潰しに俺の背中に文字を書いたりしていてカワイイ事この上なかった。

 

 

 

 

 

 〜翌日〜

 

 

 俺は遠征を終えたメンバー達を出迎えると、弥生の為に少し早めに報告書を確認して早めに終了をさせた。

 すると、報告を終えた駆逐艦組は続々と立ち去ろうと踵を返した。

 それを見て慌てて俺は咳払いをし、少しだけ皆を振り返らせた。

 

 

「ぽい?提督さんどうしたっぽい?」

 

「あぁ〜…悪い悪い。弥生が皆に渡したいモノがあるらしくってさ…」

 

 

 そしてそこまで言ったら俺はそのまま執務室の机へと向かい、机の裏に隠してあった弥生のプレゼントを手渡した。

 

 ここからは弥生が頑張るのだ。

 

 弥生は緊張した面持ちで手持ちサイズの一つの袋を今回の遠征の旗艦である天龍に向かって差し出すと恥ずかしそうに顔を隠し、明後日の方向を向く。

 

 

「あ、あの…これ。皆に…プレゼント、です。いつもありがとう…」

 

「あ?俺にか?」

 

「チ、違う…。あ、いや違わないんだけど…、み、皆にプレゼントだから」

 

「おうそっか。開けてもいいか?」

 

 

 弥生が小さく頷くと天龍はすぐさま中に手を入れる。

 

 

 中から出てきたのは三日月型の小さなネックレスだった。

 ちょうど弥生がつけてる三日月の髪留めに近いとても可愛らしいオシャレアイテムだ。

 

「ワァァ、カワイイ…!!ホントに貰っていいの!?」

 

「う、うん」

 

 遠征に参加していた夕張は早速首にかけてみて、嬉しそうに口元をニヤつかせている。

 様子を見る感じ、相当気に入ったようでこっちまで嬉しくなってしまう。

 

 

「エヘヘ…。どう似合う!?明石さんにも見せてあげたいな!!今までこんなのって着けた事なかったからなぁ〜」

「俺には似合わねえだろ、こんなキラキラしたもん…」

「時雨も似合ってるっぽい〜!」

「ありがとう夕立。夕立だって似合ってるよ」

 

 

 笑顔一つも中々見せない弥生からのプレゼントという事で皆喜んで受け取ってくれている。

 

 

『弥生ちゃんありがとう!』

「ありがとよ!弥生!」

 

「う、うん…!!」

 

 

 皆口々にお礼を言い、弥生も嬉しそうに顔を赤くしている。プレゼント作戦は大成功と言っていいだろう。

 うんうん、よく頑張ったな弥生。

 子供の成長を見守る親ってこんな気持ちなのかねぇ…。

 

 

 

「弥生も一緒にご飯食べに行かない?今日は金剛さんの当番だから多分カレーだと思うよ」

 

「っぽい!提督さんも一緒にご飯食べるっぽい〜!」

 

「おう!すぐ行く!」

 

 

 遠征組と一緒に食事処へと向かう。

 

 

 

 …道中、弥生が誰にも見られてないのを確認してから小さな手でピースを作り、照れ臭そうに振り向いた。

 

 俺も誰にも見られないよう、小さくピースを返した。

 

 

 

 

 〜〜〜

 

 

 

「なにこのカレー美味っ!!」

 

「thanks!!テートクの為に作ったんだからおかわりしてネ!」

 

 

 金剛の作ったカレーは意外な程に美味かった。

 お前の妹が作る劇物カレーとはエライ違いだ(殴

 

 

「…司令官は、ご飯作れる人が好きなんですか?」

 

 隣でカレーを食べる弥生が相変わらずの仏頂面で聞いてきた。

 本当に普段はクールな感じだよなぁ…。

 

「うん。俺は料理が出来ないからな。なんか憧れるっていうか」

 

「…そうですか」

 

 弥生はムスッとした無表情になると空になったコップに麦茶を汲んだ。

 

 

「なにを怒ってんだい」

 

「怒ってなんかないですよ」

 

「分かってる、また表情固くなってたぞ」

 

 

 弥生のほっぺを片方引っ張ってあげると普段の仏頂面が醜く(可愛く?)歪み、向かいに座る夕張と吹雪が思わず吹き出した。

 

「・・・司令官…?」

 

 

 弥生はホントに怒ったようで同じように俺のほっぺも引きちぎる勢いで引っ張る。

 

「痛ててててててて!!!!ごめんごめん!!」

 

「どうして謝るんですか?弥生は怒ってません」

 

 

 いやこれ絶対怒ってるよね!?

 

 

 

 

 

「弥生ちゃんって、最近提督に凄い懐いてるよね」

 

「で、ですよね…。鎮守府を建て直してくれた恩がある事を含めても…」

 

 

 

 舞鶴鎮守府では、提督に最も懐いてるのは(神通を除けば)夕立一強だったが、最近になって弥生が急速に足を伸ばし始めてきた。

 

 

 

 赤城、神通、武蔵以外の何故急速に提督に懐き始めたのかを知らない子達は首を傾げるばかりだが、少なくとも弥生が提督に対して甘える姿なんて見たことのない筈なのになんだか妙に提督の隣にいる事が違和感なく映る。

 

 私達の知らない所で仲良くなったんだろうな。

 

 夕張はそう結論づける事にし、残ったカレーを一気に頬張った。

 

 

 

 

 

 〜〜〜

 

 

「それで今日は吹雪と響も一緒にお風呂に入ったんです。響と交代で洗いっこしたんですけど、響の髪って凄くサラサラだったんです」

 

「そりゃ羨ましいな!でも俺は弥生の髪もキレイで可愛いと思うぞ!」

 

 

 その日の晩、いつものように弥生は俺の部屋に枕片手にやってくると、布団の上に枕を放り出して俺の膝の上をすぐさま陣取ると今日の思い出話を背中越しに楽しそうに語っている。

 

 

 全く、本当に甘えるのが大好きになったもんだ。

 弥生がこんなに感情豊かな子とは思わなかったな。

 

 とはいえ、相変わらず表情は固いままだ。

 こうして二人きりのときでも笑顔を見せてくれる事は少ない。

 

 まぁそのおかげでふとした時に見せるあの笑顔の破壊力は凄まじいものがあるので、これはこれでいいか…。

 

 

 

 

「あ、もうこんな時間…」

 

 

 時計を見ると時刻はフタヨンマルマル(二十四時)を過ぎていた。

 

 おっと、舞鶴鎮守府は日が変わると消灯時刻になる。

 

 なので俺達は消灯時刻を過ぎて夜更かしをしてる訳だ。

 

 

「寝るか」

 

「はい、……今日も、撫でてもらっていいですか?」

 

 

 ……カワイイなぁ…クソォ…。

 布団に入り、弥生の頭を撫でながら俺も静かに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 舞鶴鎮守府が寝静まりると妖精さん達の見回りが始まった。

 

 

『ソッチハドウダ!?』

 

『ヘイワナモンダゼ‼︎』

 

 

 妖精さん達も特に何もなく、提督にもらった金平糖を頬張りながら特にルートすらも決めずに自由気ままに見回りをしている。

 

 

 本来ならば、もう少しパターンを作ってより効率よく見回るべきなのだが、自由な妖精さん達にそれを言った所で馬の耳に念仏である。

 

 まぁ、見回りをする妖精さん達の数がとんでもないから見回りの穴を心配する必要はないのだが。

 

 

 

 

 

 そんなとき、一匹の妖精さんが警報を鳴らした。

 

 

 

 

 

 

『侵入者発見!!侵入者発見!!艦娘は直ちに戦闘準備!!』

 

 繰り返す!!

 

 侵入者発見!!侵入者発見!!艦娘は直ちに戦闘準備!!』

 

 

 

 

 

 妖精さんの鳴らした警報により館内放送が流れ、全ての艦娘と提督は飛び起きた。

 

 

 そして、提督はすぐさま見回り専用の探知機を確認。

 探知機には警報を鳴らした妖精さんの位置が表示されるようになっており、どこに侵入者が現れたのか一目瞭然。

 

 

 

 提督はすぐさま館内放送のマイクに向かい、艦娘達に位置情報を伝達する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 舞鶴鎮守府に隣接する海岸に打ち上げられたソレは、今にも生き絶えそうになりながら、必死に鎮守府に向かって力無く手を伸ばしていた。

 

 

 

 

 

 

??? 「タ……、タスケ…テ……()()………()

 

 

 

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